花*小紋日記

出張着付師kyoさんの奮闘記

着付け技術 その8 ~帯 後編~

2020-05-12 17:42:25 | 着付け技術
自粛生活に慣れてきて、のんびり生活を堪能していたところ・・・スタジオのお仕事が再開しました
元々1日数組限定のスタジオですが、お客様同士が重ならないようにさらに工夫をして対応するとのお話。

着付け側としてはお客様とは思いっきり対面仕事なので、フェイスシールドとマスク着用の完全防備
メイク室は窓と扇風機でガッツリ換気 
ヘア用品やメイク道具は毎回アルコール消毒とかなり気を使ってお仕事させていただいています
安心感のあるフェイスシールドですが、暑いのが難点 夏はつらいかも~


さて、今回の内容は引き続き「帯編」になります

帯をしっかり結んだら、次はお太鼓部分を作ります


ベーシックなお太鼓結びですが、綺麗に結ぶには意外と技術が必要になります
ポイントを押さえて、スッキリ綺麗なお太鼓結びを作りましょう


写真は同じお太鼓ですが、雰囲気が違いませんか?






お太鼓が決まらないと、お着物が綺麗に着れていても残念な印象になってしまいます
せっかくなら、スッキリしたお太鼓結びを目指したいですね

まず、最初にポイントになってくるのが、たれ元の部分になります
たれ元はシワシワになっているとお太鼓の上線に影響するので、しっかり左右に広げておきましょう




次にお太鼓の大きさを決めなければなりません
帯枕を先に乗せてからお太鼓を作る方法と、お太鼓の大きさを決めた後に帯枕を入れる方法があります。
私自身は後から入れる派です
帯揚げは先に帯枕に付けておいても、あとから付けてもOKです(自装の場合は先につけておいたほうがおススメです)


帯全体の大きさを決めるには、帯枕を帯のどこに乗せるかが重要なポイントです。
大きさをどの位にするかにもよりますが、たれ先を三角に折った時の端の線に帯枕の真ん中が来るようにに乗せると標準的なサイズになります
ただ、帯の硬さや長さ、帯枕の大きさや形も影響しますので、確認しながら微調整してくださいね。




帯枕の位置が決まったら、お太鼓部分の長さを調整し、上からかぶせてそのまま帯の土台に乗せます
少し斜めから差し込んだ後に背中に付けると帯枕が安定しますよ




乗せる時に帯枕の位置がたれ元から近すぎたり、差し込み方が緩いと帯の上線がウネウネしたりフカフカ浮いたりするので注意しましょう
お太鼓の上線はまっすぐ、背中にピッタリついているのが〇です






そして、もう一つ大事なのがお太鼓の重なり部分をしっかり揃えておく事です
お太鼓の上線のカーブから布目を2枚綺麗に揃えて下ろす事がポイントになります
ここが揃っていればあとは、そのまま下におろせばお太鼓全体が綺麗な状態になっています





帯枕の紐を結んだら、お太鼓の下側にある余りの部分を横に広げて平らにします
この部分が平らになっていないと、お太鼓が膨らんだ仕上がりになってしまいます
帯が厚く硬かったり、長い場合はどうしても膨らみがちになりますのが、できるだけ平らに広げてあげるとよいですね




たれの長さを残し、残りを折り上げて手先をしまって帯締めを締めれば完成です

通した手先は左右1-2cm出すのが一般的ですが、帯から出さない説、片側だけ出す説等もあるようです。
余った部分は輪の方の内側にしっかり折り込んでくださいね





どうしても仕上がりが大きく膨らんでしまった場合は、手先から出た折り上げの輪の部分を引くとスッキリします
構造上お太鼓の背中の部分からつながっているので、どこをを引くとどこが引かれるか理解しておくと修正も楽になります





おまけになりますが、お太鼓を作る時により美しく仕上げるには、

 柄合わせ

という作業があります
この柄合わせはしてもしなくても問題ありません。
ただ、幾何学の総柄模様の場合などは、やはり柄があっていると美しい仕上がりになります




柄が合っている帯と、合っていない帯の比較になります
絶対合わせる必要はありませんが、合わせるとより洗練された印象になりますね




柄合わせは帯枕を乗せる前に、たれ先の柄と同じ模様をお太鼓面から探す事が重要です
同じ柄を数か所探して、隣り同士になるように合わせます
そして、手前の柄を少しだけ下げておくことがポイントになります
なぜなら、帯枕をのせた時に手前の柄は外側のカーブの為、距離が必要になるからです。
陸上トラック競技のコーナーを曲がる時をイメージするとわかりやすいですね (外側のレーンは距離が少し長くなります)




柄合わせをしてから帯枕をそっと差し込む方がやりやすいと思います
どうしても多少ずれが生じてしまう場合は、お太鼓部分を引き出したり、中の余りの部分を引いたりして調整をします
ただ、合わないからと柄合わせに何分も時間をかけてしまうのは良くないので、程々で諦める決断をしないといけないですね(笑)
また、柄合わせを気にしすぎて、お太鼓の折り上げ部分が短くなってしまうと帯が崩れる原因になりますので気をつけましょう。



帯は大きさ、バランス、スッキリした仕上がりがとても大事です
ポイントを押さえながら、美しい帯結びを目指してくださいね





次回は ~帯揚げ・帯締め編~ の予定です




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