『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』第606号 別冊編集後記
第606号(No.606) 2021/11/6
「創刊600号突破記念― 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(6)
第三期・ネットの時代―その3―ガボちゃん氏」
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※『週刊ヒッキイ』は、
・ 2014年7月より
月二回(第一・第三土曜日)の発行に変更しました。
・ 2019年10月より
第一・第三土曜日の発行は、新規配信
第二・第四土曜日の発行は、バックナンバーからの再配信
に変更しました。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
引き続き、再配信はしばらくお休みとします。
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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン
右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第606号(No.606) 2021/11/6
「創刊600号突破記念― 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(6)
第三期・ネットの時代―その3―ガボちゃん氏」
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創刊600号突破記念― 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(6)
第三期・ネットの時代―その3―ガボちゃん氏
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「創刊600号突破記念」として書き始めた
「私が影響を受けた左利き研究家・活動家」の3回目です。
1954-1989(0-35)
第一期「左利きライフ研究家以前」では、箱崎総一先生。
1990-2000(36-46)
第二期「左利きライフ研究家・紙の時代」では、
『モノ・マガジン』「左利き生活向上委員会」編集部A・K氏。
2001-(47-)
第三期「左利きライフ研究家・ネットの時代」では、
斎藤茂太先生、スタンレー・コレン氏、ロジャー・オームロッド氏。
(2001-08頃)
第三期「左利きライフ研究家・ネットの時代―初期」
大路直哉・ひでゆき両氏。
(2005-09年頃)
第三期「左利きライフ研究家・ネットの時代―中期」
浦上裕生・渡瀬謙両氏。
さて今回は、「第三期・ネットの時代」編の3回目―
「後期」(2010-現在)です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
<私が影響を受けた左利き研究家・活動家> (6)
第三期・ネットの時代から―その3―(最終回)
◆ ガボちゃん氏 ◆
第三期・ネットの時代―後期(2010-現在)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●「ガボちゃん」のブログ
創刊600号記念として書いてきました
<私が影響を受けた左利き研究家・活動家>ようやく最終回になります。
結構やっつけで始めた企画なので、余りきちんと調査していません。
そんななかで、この現在につながる2010年代の出来事としましては、
やはりこの人、「ガボちゃん」の存在でしょう。
(「ガボちゃん氏」と表題には書きましたが、自分としましては、
「ガボちゃんさん」ですね。)
「ガボちゃん」とは、
私のブログ『レフティやすおのお茶でっせ』のサイドバーにある
<気になるWeblog>の欄の
「3人産んでこうなりました - 楽天ブログ(Blog)」
の人です。
最近の私のブログ記事
2021.10.23
日本初!ひだりききの子どものための絵本
『ヒミツのひだりききクラブ』発売
(お茶でっせ版)
(新生活版)
の情報源も、このガボちゃんさんの記事によるものです。
2021.10.08
本が出るそうです(カテゴリ:左右の話)
・・・
そのガボちゃんさんのブログの
カテゴリを見ていただきますとわかりますように、
右乗りママチャリストの世界(545)
https://plaza.rakuten.co.jp/gabochan2007/diary/?ctgy=13
左足用スタンドプロジェクト(234)
https://plaza.rakuten.co.jp/gabochan2007/diary/?ctgy=14
左右の話(762)
https://plaza.rakuten.co.jp/gabochan2007/diary/?ctgy=15
両使いのたわごと(504)
https://plaza.rakuten.co.jp/gabochan2007/diary/?ctgy=17
左右平等作戦in小学校(50)
https://plaza.rakuten.co.jp/gabochan2007/diary/?ctgy=18
というように、
<左利き>ネタ満載です。
ネタと書きますと、お笑いみたいですが、
もちろんそういうものではありません。
「右乗りママチャリスト」とありますように、
自転車を右から乗る人で、「両使い」の人でもあります。
●「ガボちゃん」さんが教えてくれたこと――「中間の人」の存在
今手元にある記録が正確なのかどうか分かりませんが、
ガボちゃんさんとは、2010年頃からのお付き合いのようです。
たぶんその前の段階があったと思うのですけれど、
今手元にある記録はこの辺からです。
おもにmixiでのお付き合いでした。
ガボちゃんさんからの最大の影響としましては、
私の「左利き/利き手」概念の物差しにはなかった
「中間の人」の存在を知らしめてくれた点でしょうか。
従来の私の考え方としましては、私自身が「強い左利き」で、
世の中の人は、そういう「左利き」の人と
そうではない、一般的な右使いの「右利き」の人との二択でした。
時に「両利き」とか「両使い」という人がいるのですけれど、
それはあくまでも「後天的な訓練の結果による」もので、
「隠れ左利き」もしくは「右使い左利き」なのだろう、
と考えていました。
そうではなく、生まれつきの資質として、
「ある程度右使いができる左利きの人がいる」
あるいは、「ある程度左使いができる右利きの人がいる」
ということですね。
ガボちゃんさんのブログを読み、
ガボちゃんさんの体験を知りますと、
世の中には、ある程度「右使いもできてしまう左利き」、
もしくは「左使いのできてしまう右利き」の人がいるのだ
という事実を認識させられました。
私がのちに「中間の人」と呼ぶ人たちのことです。
●「中間の人」とは?
「エディンバラ利き手テスト」や「H.N.きき手テスト」や
「チャップマンchapman利き手テスト」、
最新の「フランダースFLANDERS利き手テスト」などの
利き手テストの結果を、左端に「強い左利き」を置き、
右端に「強い右利き」を配したグラフにしたとき、
その分布曲線は「J字」のカーブを描きます。
で、その両端に位置する高まりの部分、
「強い左利き」と「強い右利き」の傾向を示す人たちの間に、
「J字」の鍋底にあたる低い部分には
「弱い左利き」や「弱い右利き」の人がいることが分かります。
それらの人は、
「どちらかといえば左利きだけれど、特定の作業では右手が充分使える/
様々な場面である程度は右手が使える」
という「弱い左利き」の人と、
「どちらかといえば右利きだけれど、特定の作業では左手が充分使える/
様々な場面である程度は左手が使える」
といった「弱い右利き」の人だったりするのです。
そういう「強い左利き」と「強い右利き」の中間に位置する、
という意味で、この二つのタイプをひっくるめて
私は「中間の人」と呼んでいます。
●「クロス・ドミナンス(cross-dominance)」
この人たちの多くは、「クロス・ドミナンス(cross-dominance)」
という言葉で表現される人たちのことでもあります。
字は右だけれどお箸は左とか、字や箸は右だけれどボール投げは左とか、
作業や動作で使う手が異なるケースを「クロス・ドミナンス」といいます。
日本語では「交差利き」と呼ぶといいます。
利き手が、作業によって右手だったり左手だったりと交差している、
という意味ですね。
これとは別に、非常にまれに、左右同等に使えるという人がいます。
この人こそ「両利き」ですが、
ほとんどの人が言うところの「両利き」はそうではなく、
単に「特定の作業・動作でのみ両手が使える」
あるいは、「ある程度のことなら左右どちらでもできる」
というものです。
たとえば「字は右手左手どちらでも書ける」、
「お箸がどちらの手でも使える」といった場合で、
それ以外のことはどちらか一方の手でしかできない、というケース。
あるいは、
ちょっとしたことなら右でも左でもできるけれど、
専門的な高度な作業までは難しい、といったケースです。
真にどちらも使えるという、
本当の意味での「両利き」という人もいないわけではありませんが、
これは非常に少ないといいます。
まあ、当然のことでしょう。
●ガボちゃんさんと「両使い」
上にいいますように大半の人は、単に特定の作業・動作での両手使いで、
ガボちゃんさんも書いていらっしゃるように、
「両利き」というよりも「両使い」です。
ガボちゃんさんの場合は、
右乗りママチャリストの世界(545)
左足用スタンドプロジェクト(234)
というカテゴリで分かりますように、
自転車の右乗りの人で、
そこからご自身のなかにある左利きの素質に気付かれたようです。
通常、多くの人は右利きで、足も右足利きで、自転車にのるのは左側から。
体重を支える支持足(利き足とは反対の側の足=左足)を
ペダルに乗せてから、
作用足である利き足(右足)を使って地面を蹴り乗るようです。
ガボちゃんさんは、自転車を右から乗る人で、
それ故、通常左側にある自転車のスタンドのロックを、
右側にあるタイプに取り替えてもらった、というのが、
「左足用スタンドプロジェクト」です。
これが意外に売っていない、
取り寄せてもらって取り付けてもらう際にも、
意外な反応があるということ。
この辺のくだりは、左手左利き用品の場合と同じです。
さて、このガボちゃんさん、エレクトーンの演奏もされていたそうで、
その辺でも両手両足を使っていた人で、
そういう訓練の結果もあってか、両手使いの面があるそうです。
知らない人は、左利きの人と思い込むというほど、といいます。
ガボちゃんさんの両使いは、素質+訓練の結果、というのが、
私の見解ですけれど、どうでしょうか。
「両使いのたわごと」カテゴリで、いろんな左利きの話と、
ご自身の両使いの話が窺えます。
●「左右平等作戦in小学校」の影響
ガボちゃんさんから受けた影響としましては、もう一つはこれ。
「左右平等作戦in小学校」カテゴリの、小学校での左利き話です。
例えば「学校教材の左右平等環境の整備」に関して、
「百ます計算用紙」の左右両用化を実現したり、
家庭科の時間での編み物や裁縫の左右両仕様での指導を考えたり、など。
書道といいますか、書写の時間も一つ。
私が「左手書字例を教科書に」という教科書プロジェクトを
弊誌でやっていたのも、
一つには、このガボちゃんさんの事例も大きく影響しています。
実際の学校現場では、
先生が色々と工夫して左利きの児童に対応している
という事実を教えてくださったのも、
ガボちゃんのこのカテゴリの記事でした。
左手書字例も、後ろの掲示板に掲げていたり、
現場の先生は頑張っているのです。
文科省は依然、左利きの児童や生徒への指導法を明文化していません。
結局、現場任せというのが実状です。
家庭科などの教科書では、
以前から教科書に左手指導例が掲載されていたようです。
しかし、学問の手始めであるはずの、肝心要の手書き文字では、
左手書字の例は書写教科書には掲載されていませんでした。
まるで左手で字を書く人はいないかのように。
あるいは、左手で字を書くことは認められていないかのように。
しかし、令和2年版の東京書籍版書写教科書に
初めて左手書字例が掲載されました。
しかし、これなどもあまり反響がみられません。
残念なことです。
*参照:
『お茶でっせ』2020.2.9
左利きへの配慮がなされた東京書籍・小学校教科書「新しい書写 2年度用」
(お茶でっせ版)
(新生活版)
(画像:左利きへの配慮がなされた東京書籍・小学校教科書「新しい書写 2年度用」表紙)
(画像:左利きへの配慮がなされた東京書籍・小学校教科書「新しい書写 2年度用」左手書字例のイラスト)
(画像:左利きへの配慮がなされた東京書籍・小学校教科書「新しい書写 2年度用」左手書字例の写真が併載されたページ)
・・・
こういったことを教えてくださったのが、
このガボちゃんさんのブログでした。
近年これだけ左利きについて問題意識を持って取り組んでいる人は
いなかったのではないでしょうか。
私にとっても大きな存在でした。
この頃はお子さんも大きくなられ、環境がかなり変わってきたため、
多少ブログの更新内容にも変化が出ていますが、
これからも左利きの味方として、左右平等を目指す一人として、
ご活躍いただきたいものです。
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★600号までの道のり(6)第121号~第140号
第121号(No.121) 2008/2/23「<左利きプチ・アンケート>」
第50回 左利き環境は昔よりよくなったか?
□読者のお便りから□ 利き手における「器用さ」と「好み」について
第122号(No.122) 2008/3/1「<左利きQ&A>」
(16)左利き用品って?《2》
第123号(No.123) 2008/3/8
「左利き子育て相談の疑問(9)社会との関係」
▲左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ▲―その15―
第124号(No.124) 2008/3/15「左手書字の研究―実技編」
(2)縦書きと横書き―左手書字の要点
第125号(No.125) 2008/3/22「<左利きプチ・アンケート>」
第51回 新版・利き足は右左どちらですか―利き足テスト
第126号(No.126) 2008/3/29春季臨増
「テーマ別BN2/左利き講座<左利きQ&A>」
第127号(No.127) 2008/4/5「<左利きQ&A>」
(17)左利き用品って?《3》
第128号(No.128) 2008/4/12「左利き子育て相談の疑問」
(10)説得より納得
第129号(No.129) 2008/4/19「左手書字の研究―実技編」
(3)「姿勢」と「ペンの持ち方」
第130号(No.130) 2008/4/26「<左利きプチ・アンケート>」
第52回 利き手をケガしたとき不便を感じましたか?
第131号(No.131) 2008/5/3「<左利きQ&A>」
(18)左手・左利き用品は専用か兼用か?
第132号(No.132) 2008/5/10「左利き子育て相談の疑問」
(11)一般論と個別事例を見極める
第133号(No.133) 2008/5/17「左手書字の研究―実技編」
(4)ペンの持ち方―掌の角度ほか
第134号(No.134) 2008/5/24「<左利きプチ・アンケート>」
第53回 自転車に乗るのは左側から右側から?
第135号(No.135) 2008/5/31「テーマ別BN3/
左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ その7~その15」
第136号(No.136) 2008/6/7「<左利きQ&A>」
(19)鞄の持ち方で利き手がわかる?
第137号(No.137) 2008/6/14 「初めての生活技術(1)」
▲左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ▲
―その16― 初めての生活技術(1)
第138号(No.138) 2008/6/21「左手書字の研究―実技編」
(5)ペンの持ち方―ペンの角度(高度)
第139号(No.139) 2008/6/28「<左利きプチ・アンケート>」
第54回 利き手専用の道具を選びますか左右兼用ですか?
第140号(No.140) 2008/7/5「<左利きQ&A>」
(20)ちょっとした工夫で左右兼用できるものとは?
――このころは、毎週異なるテーマで書いていました。
第一土曜は、<左利きQ&A>
第二土曜は、<左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ>
左利き子育て相談の疑問
第三土曜は、私にとっての左利き活動
第四土曜は、<左利きプチ・アンケート>
第五土曜があるときは、臨時増刊で、バックナンバーの紹介
*各号のタイトルを見て、「これ気になるなあ、読んでみたいなあ」
というものがございましたら、リクエストをお願いいたします。
再配信なり、現時点での加筆・修正を行っての配信など、
改めてお届けすることも考えています。
リクエストは、本誌に返信してください。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本誌では、「創刊600号突破記念―私が影響を受けた左利き研究家・活動家(6)第三期・ネットの時代―その3―ガボちゃん氏」と題して、2010年頃から現在に至る期間について、なかでも私に大いなる影響を与えた「ガボちゃん」さんのブログのことに関して書いています。
今回も全転載紹介です。
「創刊600号突破記念」エッセイ「私が影響を受けた左利き研究家・活動家」も最終回です。
第三期「左利きライフ研究家・ネットの時代」の2010年から現在までの期間のお話です。
この期間は、正直これという出来事のない時期でした。
ある程度収まってしまっている時期ともいえます。
世間的にも、自分自身としても、大きな変化のない時期になっているように感じます。
そんななかで、私にとって大きな存在となっていたのが、今回の「ガボちゃん」さんの存在でした。
左利き関連の事象の中では、一人孤軍奮闘的な印象です。
実際には、その後色々な変化が生まれてきていますし(日本左利き協会が発足したり、ネット通販の左利き用品店「左ききの道具店」がオリジナルの商品を販売したり、など)、「ガボちゃん」さんも最近はかつてほどのご活躍の印象でもありません。
特に最近のコロナ禍のなかにあって、<左利き>が、ほかの少数派(マイノリティー)の存在のなかで埋没しているような気がしています。
たしかに昔に比べれば、緊急避難的にも今すぐどうにかしなければ、といった切迫性は薄れているように感じます。
しかし、長い目で見れば、私の子供の頃と比べてもさほど大きく改善されていないとも言える状況です。
私は<左利き>の問題は、人権の問題だと考えてきました。
今でもその考えは変わっていません。
いろんな観点からもう一度<左利き>の問題を考え直してほしいと思っています。
・・・
これを機会に、本誌をご購読の上でお楽しみいただけると幸いです。
(ご登録・ご購読は無料です。ご登録をいただくと毎号メールで送られてきます。読み落としを避けることができます。読む読まないは自由ですし、いつでも好きなときにお読みいただけるので便利だと思います。不要の折には解除も自由です。)
*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
『レフティやすおのお茶でっせ』〈左利きメルマガ〉カテゴリ
--
『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(6)第三期・ネットの時代―その3(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第606号
--
第606号(No.606) 2021/11/6
「創刊600号突破記念― 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(6)
第三期・ネットの時代―その3―ガボちゃん氏」
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※『週刊ヒッキイ』は、
・ 2014年7月より
月二回(第一・第三土曜日)の発行に変更しました。
・ 2019年10月より
第一・第三土曜日の発行は、新規配信
第二・第四土曜日の発行は、バックナンバーからの再配信
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第606号(No.606) 2021/11/6
「創刊600号突破記念― 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(6)
第三期・ネットの時代―その3―ガボちゃん氏」
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創刊600号突破記念― 私が影響を受けた左利き研究家・活動家(6)
第三期・ネットの時代―その3―ガボちゃん氏
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「創刊600号突破記念」として書き始めた
「私が影響を受けた左利き研究家・活動家」の3回目です。
1954-1989(0-35)
第一期「左利きライフ研究家以前」では、箱崎総一先生。
1990-2000(36-46)
第二期「左利きライフ研究家・紙の時代」では、
『モノ・マガジン』「左利き生活向上委員会」編集部A・K氏。
2001-(47-)
第三期「左利きライフ研究家・ネットの時代」では、
斎藤茂太先生、スタンレー・コレン氏、ロジャー・オームロッド氏。
(2001-08頃)
第三期「左利きライフ研究家・ネットの時代―初期」
大路直哉・ひでゆき両氏。
(2005-09年頃)
第三期「左利きライフ研究家・ネットの時代―中期」
浦上裕生・渡瀬謙両氏。
さて今回は、「第三期・ネットの時代」編の3回目―
「後期」(2010-現在)です。
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<私が影響を受けた左利き研究家・活動家> (6)
第三期・ネットの時代から―その3―(最終回)
◆ ガボちゃん氏 ◆
第三期・ネットの時代―後期(2010-現在)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●「ガボちゃん」のブログ
創刊600号記念として書いてきました
<私が影響を受けた左利き研究家・活動家>ようやく最終回になります。
結構やっつけで始めた企画なので、余りきちんと調査していません。
そんななかで、この現在につながる2010年代の出来事としましては、
やはりこの人、「ガボちゃん」の存在でしょう。
(「ガボちゃん氏」と表題には書きましたが、自分としましては、
「ガボちゃんさん」ですね。)
「ガボちゃん」とは、
私のブログ『レフティやすおのお茶でっせ』のサイドバーにある
<気になるWeblog>の欄の
「3人産んでこうなりました - 楽天ブログ(Blog)」
の人です。
最近の私のブログ記事
2021.10.23
日本初!ひだりききの子どものための絵本
『ヒミツのひだりききクラブ』発売
(お茶でっせ版)
(新生活版)
の情報源も、このガボちゃんさんの記事によるものです。
2021.10.08
本が出るそうです(カテゴリ:左右の話)
・・・
そのガボちゃんさんのブログの
カテゴリを見ていただきますとわかりますように、
右乗りママチャリストの世界(545)
https://plaza.rakuten.co.jp/gabochan2007/diary/?ctgy=13
左足用スタンドプロジェクト(234)
https://plaza.rakuten.co.jp/gabochan2007/diary/?ctgy=14
左右の話(762)
https://plaza.rakuten.co.jp/gabochan2007/diary/?ctgy=15
両使いのたわごと(504)
https://plaza.rakuten.co.jp/gabochan2007/diary/?ctgy=17
左右平等作戦in小学校(50)
https://plaza.rakuten.co.jp/gabochan2007/diary/?ctgy=18
というように、
<左利き>ネタ満載です。
ネタと書きますと、お笑いみたいですが、
もちろんそういうものではありません。
「右乗りママチャリスト」とありますように、
自転車を右から乗る人で、「両使い」の人でもあります。
●「ガボちゃん」さんが教えてくれたこと――「中間の人」の存在
今手元にある記録が正確なのかどうか分かりませんが、
ガボちゃんさんとは、2010年頃からのお付き合いのようです。
たぶんその前の段階があったと思うのですけれど、
今手元にある記録はこの辺からです。
おもにmixiでのお付き合いでした。
ガボちゃんさんからの最大の影響としましては、
私の「左利き/利き手」概念の物差しにはなかった
「中間の人」の存在を知らしめてくれた点でしょうか。
従来の私の考え方としましては、私自身が「強い左利き」で、
世の中の人は、そういう「左利き」の人と
そうではない、一般的な右使いの「右利き」の人との二択でした。
時に「両利き」とか「両使い」という人がいるのですけれど、
それはあくまでも「後天的な訓練の結果による」もので、
「隠れ左利き」もしくは「右使い左利き」なのだろう、
と考えていました。
そうではなく、生まれつきの資質として、
「ある程度右使いができる左利きの人がいる」
あるいは、「ある程度左使いができる右利きの人がいる」
ということですね。
ガボちゃんさんのブログを読み、
ガボちゃんさんの体験を知りますと、
世の中には、ある程度「右使いもできてしまう左利き」、
もしくは「左使いのできてしまう右利き」の人がいるのだ
という事実を認識させられました。
私がのちに「中間の人」と呼ぶ人たちのことです。
●「中間の人」とは?
「エディンバラ利き手テスト」や「H.N.きき手テスト」や
「チャップマンchapman利き手テスト」、
最新の「フランダースFLANDERS利き手テスト」などの
利き手テストの結果を、左端に「強い左利き」を置き、
右端に「強い右利き」を配したグラフにしたとき、
その分布曲線は「J字」のカーブを描きます。
で、その両端に位置する高まりの部分、
「強い左利き」と「強い右利き」の傾向を示す人たちの間に、
「J字」の鍋底にあたる低い部分には
「弱い左利き」や「弱い右利き」の人がいることが分かります。
それらの人は、
「どちらかといえば左利きだけれど、特定の作業では右手が充分使える/
様々な場面である程度は右手が使える」
という「弱い左利き」の人と、
「どちらかといえば右利きだけれど、特定の作業では左手が充分使える/
様々な場面である程度は左手が使える」
といった「弱い右利き」の人だったりするのです。
そういう「強い左利き」と「強い右利き」の中間に位置する、
という意味で、この二つのタイプをひっくるめて
私は「中間の人」と呼んでいます。
●「クロス・ドミナンス(cross-dominance)」
この人たちの多くは、「クロス・ドミナンス(cross-dominance)」
という言葉で表現される人たちのことでもあります。
字は右だけれどお箸は左とか、字や箸は右だけれどボール投げは左とか、
作業や動作で使う手が異なるケースを「クロス・ドミナンス」といいます。
日本語では「交差利き」と呼ぶといいます。
利き手が、作業によって右手だったり左手だったりと交差している、
という意味ですね。
これとは別に、非常にまれに、左右同等に使えるという人がいます。
この人こそ「両利き」ですが、
ほとんどの人が言うところの「両利き」はそうではなく、
単に「特定の作業・動作でのみ両手が使える」
あるいは、「ある程度のことなら左右どちらでもできる」
というものです。
たとえば「字は右手左手どちらでも書ける」、
「お箸がどちらの手でも使える」といった場合で、
それ以外のことはどちらか一方の手でしかできない、というケース。
あるいは、
ちょっとしたことなら右でも左でもできるけれど、
専門的な高度な作業までは難しい、といったケースです。
真にどちらも使えるという、
本当の意味での「両利き」という人もいないわけではありませんが、
これは非常に少ないといいます。
まあ、当然のことでしょう。
●ガボちゃんさんと「両使い」
上にいいますように大半の人は、単に特定の作業・動作での両手使いで、
ガボちゃんさんも書いていらっしゃるように、
「両利き」というよりも「両使い」です。
ガボちゃんさんの場合は、
右乗りママチャリストの世界(545)
左足用スタンドプロジェクト(234)
というカテゴリで分かりますように、
自転車の右乗りの人で、
そこからご自身のなかにある左利きの素質に気付かれたようです。
通常、多くの人は右利きで、足も右足利きで、自転車にのるのは左側から。
体重を支える支持足(利き足とは反対の側の足=左足)を
ペダルに乗せてから、
作用足である利き足(右足)を使って地面を蹴り乗るようです。
ガボちゃんさんは、自転車を右から乗る人で、
それ故、通常左側にある自転車のスタンドのロックを、
右側にあるタイプに取り替えてもらった、というのが、
「左足用スタンドプロジェクト」です。
これが意外に売っていない、
取り寄せてもらって取り付けてもらう際にも、
意外な反応があるということ。
この辺のくだりは、左手左利き用品の場合と同じです。
さて、このガボちゃんさん、エレクトーンの演奏もされていたそうで、
その辺でも両手両足を使っていた人で、
そういう訓練の結果もあってか、両手使いの面があるそうです。
知らない人は、左利きの人と思い込むというほど、といいます。
ガボちゃんさんの両使いは、素質+訓練の結果、というのが、
私の見解ですけれど、どうでしょうか。
「両使いのたわごと」カテゴリで、いろんな左利きの話と、
ご自身の両使いの話が窺えます。
●「左右平等作戦in小学校」の影響
ガボちゃんさんから受けた影響としましては、もう一つはこれ。
「左右平等作戦in小学校」カテゴリの、小学校での左利き話です。
例えば「学校教材の左右平等環境の整備」に関して、
「百ます計算用紙」の左右両用化を実現したり、
家庭科の時間での編み物や裁縫の左右両仕様での指導を考えたり、など。
書道といいますか、書写の時間も一つ。
私が「左手書字例を教科書に」という教科書プロジェクトを
弊誌でやっていたのも、
一つには、このガボちゃんさんの事例も大きく影響しています。
実際の学校現場では、
先生が色々と工夫して左利きの児童に対応している
という事実を教えてくださったのも、
ガボちゃんのこのカテゴリの記事でした。
左手書字例も、後ろの掲示板に掲げていたり、
現場の先生は頑張っているのです。
文科省は依然、左利きの児童や生徒への指導法を明文化していません。
結局、現場任せというのが実状です。
家庭科などの教科書では、
以前から教科書に左手指導例が掲載されていたようです。
しかし、学問の手始めであるはずの、肝心要の手書き文字では、
左手書字の例は書写教科書には掲載されていませんでした。
まるで左手で字を書く人はいないかのように。
あるいは、左手で字を書くことは認められていないかのように。
しかし、令和2年版の東京書籍版書写教科書に
初めて左手書字例が掲載されました。
しかし、これなどもあまり反響がみられません。
残念なことです。
*参照:
『お茶でっせ』2020.2.9
左利きへの配慮がなされた東京書籍・小学校教科書「新しい書写 2年度用」
(お茶でっせ版)
(新生活版)
(画像:左利きへの配慮がなされた東京書籍・小学校教科書「新しい書写 2年度用」表紙)
(画像:左利きへの配慮がなされた東京書籍・小学校教科書「新しい書写 2年度用」左手書字例のイラスト)
(画像:左利きへの配慮がなされた東京書籍・小学校教科書「新しい書写 2年度用」左手書字例の写真が併載されたページ)
・・・
こういったことを教えてくださったのが、
このガボちゃんさんのブログでした。
近年これだけ左利きについて問題意識を持って取り組んでいる人は
いなかったのではないでしょうか。
私にとっても大きな存在でした。
この頃はお子さんも大きくなられ、環境がかなり変わってきたため、
多少ブログの更新内容にも変化が出ていますが、
これからも左利きの味方として、左右平等を目指す一人として、
ご活躍いただきたいものです。
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★600号までの道のり(6)第121号~第140号
第121号(No.121) 2008/2/23「<左利きプチ・アンケート>」
第50回 左利き環境は昔よりよくなったか?
□読者のお便りから□ 利き手における「器用さ」と「好み」について
第122号(No.122) 2008/3/1「<左利きQ&A>」
(16)左利き用品って?《2》
第123号(No.123) 2008/3/8
「左利き子育て相談の疑問(9)社会との関係」
▲左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ▲―その15―
第124号(No.124) 2008/3/15「左手書字の研究―実技編」
(2)縦書きと横書き―左手書字の要点
第125号(No.125) 2008/3/22「<左利きプチ・アンケート>」
第51回 新版・利き足は右左どちらですか―利き足テスト
第126号(No.126) 2008/3/29春季臨増
「テーマ別BN2/左利き講座<左利きQ&A>」
第127号(No.127) 2008/4/5「<左利きQ&A>」
(17)左利き用品って?《3》
第128号(No.128) 2008/4/12「左利き子育て相談の疑問」
(10)説得より納得
第129号(No.129) 2008/4/19「左手書字の研究―実技編」
(3)「姿勢」と「ペンの持ち方」
第130号(No.130) 2008/4/26「<左利きプチ・アンケート>」
第52回 利き手をケガしたとき不便を感じましたか?
第131号(No.131) 2008/5/3「<左利きQ&A>」
(18)左手・左利き用品は専用か兼用か?
第132号(No.132) 2008/5/10「左利き子育て相談の疑問」
(11)一般論と個別事例を見極める
第133号(No.133) 2008/5/17「左手書字の研究―実技編」
(4)ペンの持ち方―掌の角度ほか
第134号(No.134) 2008/5/24「<左利きプチ・アンケート>」
第53回 自転車に乗るのは左側から右側から?
第135号(No.135) 2008/5/31「テーマ別BN3/
左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ その7~その15」
第136号(No.136) 2008/6/7「<左利きQ&A>」
(19)鞄の持ち方で利き手がわかる?
第137号(No.137) 2008/6/14 「初めての生活技術(1)」
▲左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ▲
―その16― 初めての生活技術(1)
第138号(No.138) 2008/6/21「左手書字の研究―実技編」
(5)ペンの持ち方―ペンの角度(高度)
第139号(No.139) 2008/6/28「<左利きプチ・アンケート>」
第54回 利き手専用の道具を選びますか左右兼用ですか?
第140号(No.140) 2008/7/5「<左利きQ&A>」
(20)ちょっとした工夫で左右兼用できるものとは?
――このころは、毎週異なるテーマで書いていました。
第一土曜は、<左利きQ&A>
第二土曜は、<左利きのお子さんをお持ちの親御さんへ>
左利き子育て相談の疑問
第三土曜は、私にとっての左利き活動
第四土曜は、<左利きプチ・アンケート>
第五土曜があるときは、臨時増刊で、バックナンバーの紹介
*各号のタイトルを見て、「これ気になるなあ、読んでみたいなあ」
というものがございましたら、リクエストをお願いいたします。
再配信なり、現時点での加筆・修正を行っての配信など、
改めてお届けすることも考えています。
リクエストは、本誌に返信してください。
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本誌では、「創刊600号突破記念―私が影響を受けた左利き研究家・活動家(6)第三期・ネットの時代―その3―ガボちゃん氏」と題して、2010年頃から現在に至る期間について、なかでも私に大いなる影響を与えた「ガボちゃん」さんのブログのことに関して書いています。
今回も全転載紹介です。
「創刊600号突破記念」エッセイ「私が影響を受けた左利き研究家・活動家」も最終回です。
第三期「左利きライフ研究家・ネットの時代」の2010年から現在までの期間のお話です。
この期間は、正直これという出来事のない時期でした。
ある程度収まってしまっている時期ともいえます。
世間的にも、自分自身としても、大きな変化のない時期になっているように感じます。
そんななかで、私にとって大きな存在となっていたのが、今回の「ガボちゃん」さんの存在でした。
左利き関連の事象の中では、一人孤軍奮闘的な印象です。
実際には、その後色々な変化が生まれてきていますし(日本左利き協会が発足したり、ネット通販の左利き用品店「左ききの道具店」がオリジナルの商品を販売したり、など)、「ガボちゃん」さんも最近はかつてほどのご活躍の印象でもありません。
特に最近のコロナ禍のなかにあって、<左利き>が、ほかの少数派(マイノリティー)の存在のなかで埋没しているような気がしています。
たしかに昔に比べれば、緊急避難的にも今すぐどうにかしなければ、といった切迫性は薄れているように感じます。
しかし、長い目で見れば、私の子供の頃と比べてもさほど大きく改善されていないとも言える状況です。
私は<左利き>の問題は、人権の問題だと考えてきました。
今でもその考えは変わっていません。
いろんな観点からもう一度<左利き>の問題を考え直してほしいと思っています。
・・・
これを機会に、本誌をご購読の上でお楽しみいただけると幸いです。
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
私が影響を受けた左利き研究家・活動家(6)第三期・ネットの時代―その3(創刊600号突破記念)-週刊ヒッキイ第606号
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