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中国の古典編―漢詩を読んでみよう(13)漢代(4)李陵と蘇武-楽しい読書305号

2021-11-01 | 本・読書
 ―第305号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2021(令和3)年10月31日号(No.305)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(13)漢代(4)李陵と蘇武」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2021(令和3)年10月31日号(No.305)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(13)漢代(4)李陵と蘇武」
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 今度こそ、6月以来、久しぶりの
 「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」で、13回目です。

今回は、漢代の英傑たちの作品から、李陵と蘇武を紹介します。

 李陵と蘇武は、前漢半ばの武帝の全盛時代の武人たちです。
 李陵は、かなり複雑な生涯をすごした人で、
 一方、蘇武もまた悲劇の武人として知られています。

 では、その作品とともに紹介しましょう。


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◆ 悲劇の将軍 ◆

 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(13)漢代(4)

  漢代の英傑たち・李陵と蘇武

  ~ 李陵「別れの歌」(伝)李陵「蘇武に与ふるの詩」他 ~

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今回の参考文献――

『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社
「三、楚調の歌――漢代の英傑たち」より


(画像:『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20)

◎中島敦「李陵」

・『現代日本文学館 李陵 山月記』中島敦 文春文庫 2013/7/10


(画像:『現代日本文学館 李陵 山月記』中島敦 文春文庫 2013/7/10)

中島敦「李陵」青空文庫

 ●李陵という人

(略)

 ●李陵「別れの歌」

別歌   別れの歌     李陵
                                  
 径万里兮度沙漠
  万里(ばんり)を径(わた)つて沙漠(さばく)を度(わた)り
 為君将兮奮匈奴
  君(きみ)が将(しょう)と為(な)つて匈奴(きょうど)に奮(ふる)ふ
 路窮絶兮矢刃摧
  路(みち) 窮(きはま)り絶(た)えて矢刃(やじん)摧(くだ)け
 士衆滅兮名已隤[こざとへんに貴]
  士衆(ししゆう)滅(ほろ)びて 名(な) 已(すで)に隤(お)つ
 老母已死     
 老母(ろうば) 已(すで)に死(し)せり 
 雖欲報恩将安婦
  恩(おん)に報(むく)ひんと欲()ほつすると雖(いえども)も
  将(は)た安(いづ)くにか帰(き)せん


 私は一万里の遠い道のりを超えて砂漠に遠征し、
 漢の天子さまに仕える将軍となって匈奴を大いに攻め、活躍した

 しかし道は行き止まりとなって、弓矢を刀も砕け散り、
 味方の兵士もみんな撃滅され、私の名声も失われた

 老いた母上ももうこの世にいない
 母上のご恩に報いたいと思っても、
 いったいどこに身を落ち着ければいいのだろうか

  『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
    江原正士、宇野直人/著 平凡社
  「三、楚調の歌――漢代の英傑たち」
   <逆境を糧として――李陵と蘇武>より

(略)

 ●(伝)李陵「蘇武に与ふるの詩」

(略)

与蘇武詩   蘇武に与ふるの詩  (伝)李陵

 携手上河梁
  手(て)を携(たずさ)へて河梁(かりょう)に上(のぼ)る
 遊子暮何之
  遊子(ゆうし)暮(くれ)の何(いづ)くかに之(ゆ)く
 徘徊蹊路側
  蹊路(けいろ)の側(かたはら)に徘徊(はいかい)して
 悢[りっしんべんに良]悢[りっしんべんに良]不能辞
  悢悢(りょうりょう)として辞(じ)する能(あた)はず
 行人難久留
  行人(こうじん) 久(ひさ)しく留(とど)まり難(がた)し
 各言長相思
  各々(おのおの)言(い)ふ 長(なが)く相(あい)思(おも)うと  
 安知非日月
  安(いづく)んぞ日月(じつげつ)に非(あら)ざるを知(し)らんや
 弦望自有時
  弦望(げんぼう) 自(おのづか)ら時(とき)有(あ)り
 努力崇明德
  努力(どりょく)して明徳(めいとく)を崇(たか)くせよ
 皓首以為期
  皓首(こうしゅ) 以(もつ)て期(き)と為(な)さん

 私は君と手を取り合って橋の上に立った
 旅人となる蘇武どの、君はこの夕暮れ、いったいどこへ向かうのか
 小道の側をうろうろ歩き回ると悲しみがこみ上げるばかりで
 別れの挨拶もできないままだ

 しかし旅人はいつまでも留まっていることはできない
 そこでお互いいつまでも忘れずにいよう、別れの挨拶を交わした
 そうは言うものの、私たちのご縁は太陽や月と同じではないなどと、
 どうしてわかるだろう
 半月や満月は時の巡りとともに現れる
 これからもせいぜい努力して自分を鍛え、磨きたまえ
 遅くとも白髪頭なった頃が再会の時となるだろう

  『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
    江原正士、宇野直人/著 平凡社
  「三、楚調の歌――漢代の英傑たち」
   <逆境を糧として――李陵と蘇武>より

(略)
 

(画像:中村不折「蘇李訣別」―北野美術館本館公式サイトより無断借用)

 ●蘇武という人

(略)

 ●(伝)蘇武「詩四首」(その三)

(略)

詩四首   詩四首   (伝)蘇武

 其三   其の三

 結髪為夫妻   結髪(けつぱつ) 夫妻(ふさい)と為(な)り 
 恩愛両不疑   恩愛(おんあい) 両(ふたつなが)ら疑(うたが)はず
 歓娯在今夕   歓娯(かんご) 今夕(こんせき)に在(あ)り
 燕婉及良時   燕婉(えんえん) 良時(りょうじ)及(およ)ばん

 征夫懐遠路   征夫(せいふ) 遠路(えんろ)を懐(おも)ひ
 起視夜何其   起(た)つて夜(よる)の何其(いか)なるかを視(み)る
 参辰皆已没   参辰(しんしん) 皆(みな) 已(すで)に没(ぼつ)す
 去去從此辞   去去(きよきよ) 此(これ)從(よ)り辞(じ)せん

 行役在戦場   行役(こうえき) 戦場(せんじょう)に在(あ)り
 相見未有期   相(あい)見(み)る 未(いま)だ期(き)有(あ)らず
 握手一長歎   手(て)を握(にぎ)つて
          一(ひと)たび長歎(ちょうたん)すれば
 涙為生別滋   涙(なみだ)は生別(せいべつ)の為(ため)に滋(しげ)し

 努力愛春華   努力(どりょく)して春華(しゆんか)を愛(あい)し
 莫忘歓楽時   歓楽(かんらく)の時(とき)を忘(わす)るる莫(なか)れ
 生当複来帰   生(い)きては当(まさ)に
          複(ま)た来(きた)り帰(かへ)るべし
 死当長相思   死(し)しては当(ま)た
          長(なが)く相(あい)思(おも)ふべし


 私たちは成人して夫婦となり、お互いの愛情を疑ったことはなかった
 今夜、二人で語り合うすばらしい楽しみがここにある
 なごやかにくつろいで、このすばらしい時を満喫しよう

 しかし明朝出征する私は、遠い旅路のことが気がかりで、
 つい立ち上がって夜のようすを見つめてしまう
 西の星も東の星も沈んでしまい、もう見えなくなった
 夜明けだ、いよいよお別れだ

 今回、命令が下った行く先は戦場だ
 また会えるかどうか保証はない
 しっかり君の手を握ってため息をつくと、
 それにつれてこの生き別れの悲しみに涙が流れてしまうよ

 どうかしっかり努めて、君の花のような体を大切にして、
 楽しく過ごした日々のことを忘れないでくれたまえ
 生きのびたら必ず帰ってくるよ
 死んでしまっても必ずいつまでも変わらず君のことを思い続けるよ

  『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
    江原正士、宇野直人/著 平凡社
  「三、楚調の歌――漢代の英傑たち」
   <逆境を糧として――李陵と蘇武>より

(略)

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 ● 漢詩の入門書等を読む

★『漢詩入門』一海知義/著 岩波ジュニア新書 1998.6.22

▲★『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20
―漢詩の歴史をたどるシリーズ全4巻。第1巻は『詩経』から屈原の
 『楚辞』、漢や三国時代を経て東晋の陶淵明まで。
 俳優・声優の江原正士が専門家の宇野直人を相手に、代表的な詩
 を対話形式でわかりやすく読み解く。

★『漢詩入門』入谷仙介/著 日中出版 1979/01
―漢詩の有名作をたどりながら、その歴史と構造を解く漢詩入門。


 ▲マークは、本文で取り上げた本
 ★マークは、筆者のおすすめ本です。本選びの参考にどうぞ。
 (基本的に、筆者が“偶然”手にしたものを取り上げています。)

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 ★創刊300号への道のり(5) 2012(平成24)年(5年目)

73.
2012(平成24)年1月15日号(No.73)-120115-
私の読書論-29-初心者のための読書の仕方を考える(11)
最初の一冊の選び方(8) 本選び(選書)の方法 III 書名~
74.
2012(平成24)年1月31日号(No.74)-120131-最良の処世訓『イソップ寓話』
75.
2012(平成24)年2月15日号(No.75)-120215-
私の読書論-30-初心者のための読書の仕方を考える(12)
最初の一冊の選び方(9) 本選び(選書)の方法 IV 直接法(1)
76.
2012(平成24)年2月29日号(No.76)-120229-
ギリシア悲劇:"ギリシャ悲劇の創造者"アイスキュロス
77.
2012(平成24)年3月15日号(No.77)-120315-
私の読書論-31-初心者のための読書の仕方を考える(13)
最初の一冊の選び方(10) 本選び(選書)の方法 IV 直接法(2)書名
78.
2012(平成24)年3月31日号(No.78)-120331-ギリシア悲劇:
 "ギリシャ悲劇の代表作"ソポクレス「オイディプス王」
79.
2012(平成24)年4月15日号(No.79)-120415-
私の読書論-32-初心者のための読書の仕方を考える(14)
最初の一冊の選び方(11) 本選び(選書)の方法 IV 直接法(3)書名【後編】
80.
2012(平成24)年4月30日号(No.80)-120430-ギリシア悲劇:
 エウリピデス「バッコスの信女(バッカイ)」
81.
2012(平成24)年5月15日号(No.81)-120515-
私の読書論-33-初心者のための読書の仕方を考える(15)
最初の一冊の選び方(12) 本選び(選書)の方法 IV 直接法(4)著者略歴
82.
2012(平成24)年5月31日号(No.82)-120531-
 恋について『饗宴』プラトン
83.
2012(平成24)年6月15日号(No.83)-120615-
私の読書論-34- 本選びの方法 直接法(5)目次 
84.
2012(平成24)年6月30日号(No.84)-120630-
笑いの原点~ギリシア喜劇:アリストパネス「女の平和」他
85.
2012(平成24)年7月15日号(No.85)-120715- 私の読書論-35-
本選びの方法 直接法(6)「まえがき・あとがき・その他」
86.
2012(平成24)年7月31日号(No.86)-120731-  
名著・名作の“一冊”―各社<夏の文庫>フェアから
87.
2012(平成24)年8月15日号(No.87)-120815-  
私の読書論-36- 本は買わずに借りて読め!
88.
2012(平成24)年8月31日号(No.88)-120831-
2012年岩波文庫フェアから
<名著・名作再発見! 小さな一冊をたのしもう> 
89.
2012(平成24)年9月15日号(No.89)-120915-  
私の読書論-37- 本は買わずに借りて読め!(その2)
90.
2012(平成24)年9月30日号(No.09)-120930-  
我々は哲学すべきである:アリストテレス「哲学のすすめ」
91.
2012(平成24)年10月15日号(No.91)-121015-  
私の読書論-38- 読書の決まり(その1)
92.
2012(平成24)年10月31日号(No.92)-121031-  
魂の不滅~『老年について』キケロ
93.
2012(平成24)年11月15日号(No.93)-121115-  
私の読書論-39- 読書の決まり(その2)
94.
2012(平成24)年11月30日号(No.94)-121130-  
クリスマス・ストーリーをあなたに~
 アガサ・クリスティー『ベツレヘムの星』から
95.
2012(平成24)年12月15日号(No.95)-121215-  
私の読書論-40- 読書の決まり(その3)
96.
2012(平成24)年12月31日号(No.96)-121231-  
愛から生ずる崇高な徳に勝る友情はない~『友情について』キケロ

 ・・・

この年は、古代ギリシアのギリシア悲劇3大詩人の名作、
イソップ寓話など、さらに古代ギリシアのプラトン、アリストテレス、
古代ローマのキケロの哲学までを紹介。

月半ばの発行号では、
「読書は楽しい」を実践するための
「初心者のための読書の仕方を考える」のシリーズを続けています。

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(13)漢代(4)李陵と蘇武」をお届けしています。

今回は、詩および人物の解説や私のコメントを省略し、詩の部分のみ転載しています。

中島敦の小説「李陵」は、悲劇の将軍・李陵の物語を司馬遷蘇武を交えて、鮮やかに描いています。
背景などを知る上でも役に立ちます。

そういう参考資料として読みましたが、思った以上に魅力的な小説でした。

李陵や蘇武の漢詩ともども一度は読んでいただきたいものです。

 ・・・

詳細は本誌で。

*本誌のお申し込み等は、下↓から
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『レフティやすおのお茶でっせ』

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(13)漢代(4)李陵と蘇武-楽しい読書305号
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