『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』【別冊 編集後記】
第649号(No.649) 2023/9/16
「創刊18周年記念号――明日のために」
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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン
右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第649号(No.649) 2023/9/16
「創刊18周年記念号――明日のために」
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今月は、2005.9.28の創刊号以来、18年周年となります。
当初は、軽い気持ちで週刊としました。
実際書き始めると、なかなか大変で、徐々に手抜きとなり、
月4回、そして現状の月2回となりました。
さらに8月は、猛暑を理由に、合併号で月一回なんてことにも……。
そういうわけで、週刊とうたいながら、18周年で649号なのです。
18年といいますと、今では成人年齢となります。
始めたころに生まれたお子さんも今では大人ということです。
このようなメルマガでも、左利きの子の育児のアドバイスの
何かしらの足しにしてくださった方がいたとしますと、
もうそのお子さんは、二十歳を過ぎていることでしょう。
どのように育っていることでしょうか。
幸か不幸か、たいしたことはできていないので、
マイナスにはなっていないことでしょう。
そして、少しでもお役に立っていたのなら、幸いです。
ということもあり、
今回は、暑さの手抜き? で、記念放談とします。
┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
創刊18周年記念号――明日のために
「汗で書く」―「汗をかく」ぐらいの気持ちで書き続けたい
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛
●初心忘るべからず
創刊号の編集後記にこう書きました。
《=●レフティやすおの編集後記●=======
色々迷った末の出発です。これからも多少の変更があるでしょう。
しかし左利きの人のお役に立ちたいという思いは変わりません。
左利きの人の力になりたい、そして幼い頃の自分のように左利きで
嫌な思いをする人がいなくなるように、そう願って左利きの活動を
続けています。
これからもよろしくお付き合いのほどを!》
あれから18年が過ぎてしまいました。
今も変わらぬ思いは、
左利きの子供たちに自分と同じ嫌な思いをして欲しくない
ということです。
そのために何かできることはないか、と始めたのがこのメルマガです。
ブログは2003年12月25日、
ホームページは2004年1月1日に始めていました。
それだけでは何かしら満足できず、もっと能動的なイメージの活動を、
と思って始めたのです。
・・・
「初心忘るべからず」の初出は、
世阿弥の「花鏡(かきょう)」(1424年)だそうです。
習い始めのころの謙虚で真剣な気持ちを忘れてはならない、の意。
(出典 小学館 デジタル大辞泉)
から、
「何かを始めた最初のころの気持ちを忘れてはいけない、
という戒めのことば」
となったといいます。
始めたときの思いを今も胸に秘めて、メルマガを続けていきます。
●当時を振り返って
当時、左利きメルマガを出している人がいたのです。
記憶で書いてしまいますが、なんとなく気が合う感じがして、
思いつくネタをいくつか提供しました。
まぐまぐの先輩でもあり「左利きメルマガ」の先輩でもある
渡瀬謙さんの発行する『レフティサーブ』がそれでした。
(のちに、
『左利きの人々』(渡瀬 けん:名義 中経の文庫)
にまとめられた。)
メルマガという、こういうやり方もあるのだ、と思い、
ちょっと相談したうえで始めました。
創刊号を書いて「まぐまぐ!」に送り審査の上、発行にこぎ着けました。
渡瀬さんに報告をすると、早速メルマガで紹介していただき、
一気に68部でスタートできました。
その後、教師生活23年、現・教育評論家の親野智可等さんの
家庭教育メルマガ『親力で決まる子供の将来』
https://www.mag2.com/m/0000119482?l=iib0008fb8
(「左利きを直す必要はない」という文章を書いておられるのを知り、
連絡をし、左利き対応の100ます計算というのを実践されている先生が
いることをお知らせしたり、時折お便りをしていました。)
でも紹介していただき、
またまた一気に300あまりまで伸ばすことができました。
その後は、私の力が及ばず、発行部数は減る一方です。
卒業される読者も多く、現在は200ちょいになっています。
左利きのお子さまを持つ親御さんの場合、
お子様がある程度大きくなられますと、自然と卒業されていくようです。
それはちょっと悲しいことなのですが、
当面の問題が解消されれば、人はそうなってしまうものなのですね。
喉ものと過ぎれば熱さを忘れる、とも申します。
本音を言いますと、親御さんたちにはいつまでも読者のままで、
左利きの子(および人)の味方でいて欲しいのですけれど……。
●大路直哉さんの新刊『左利きの言い分』にこのメルマガも…
基本、読者を想定して書いているつもりですけれど、
どうしてもその時その時の自分自身の思いが先行して、
読者の方々の意識からずれることも多々あるのかもしれません。
反響を待ちながらも、なかなかいただけなくて、
その辺は私の悪い癖が出てしまっているせいかもしれませんね。
お便りをいただけたら嬉しくて、許可も得ずに書いてしまったり……。
反省していますが、遅かりし、かも……。
もう一度初心に戻って、
気を入れてやっていこうと思います。
そういうモチベーションを上げるいい機会になりそうな、
ニュースがあります。
9月16日今日ですが、大路直哉さんの左利きの本が発売されます。
この本の巻末情報欄に、
このメルマガのことも載せていただくことになっています。
『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』大路 直哉
PHP新書
『見えざる左手』(三五館)、共著『左ききでいこう!』
(フェリシモ出版)につづく、著者三冊目の左利き本。
最初の社会学的アプローチの『見えざる左手』からは、ちょうど25年。
Amazonの情報によりますと、
左利きの人たちが経験してきた、歴史的な出来事やその背景も含めて、
左利きについての世間的な話題をまとめた、
最新版の左利き入門書(応援本)となっているように思います。
楽しみな一冊です。
●ネット活動20年の変化
このメルマガは18年ですが、ネット活動は20年になります。
この20年の変化を思い起こしてみますと、
ネット環境が電話回線から光になったということは大きかった変化です。
オフラインで、とかでなく、そのままネットサーフィンというんですか、
検索などできるのは、大きな変化です。
そして、当初はパソコン向けでよかったのが、
今ではスマホ向けを考えなければならなくなっている、ということ。
私のネット活動は、今はまだパソコン向けというレベルですね。
スマホ対応しないと、取り残されていくのでしょう。
このメルマガも、部数を伸ばすことはむずかしいでしょうね。
●20年間でいちばんうれしかったこと――教科書に左手書字例
ここで左利きを取り巻く環境の変化について見ておきましょう。
20年で変わったといえば変わっています。
左利きを否定されることが少なくなったのは事実でしょう。
ネット活動を始めたころは、例えば箸使いについていいますと、
左手で箸を持つことは日本の食事作法として認められない、
という意見が強く残っていました。
左手用の躾箸(練習箸)を作っていないメーカーさんがありました。
日本の作法として認められません、という意見です。
裏を取るように、作法・エチケットの本で、
悪い箸使いの一例として「左箸」を上げている人がいました。
今ではそういう例を見つけるのはむずかしくなっています。
実際には(本心は)どうかわかりませんが、
表向きはなくなってきています。
駅の自動改札も挿入式からタッチ式になっている部分もあるようです。
最新型では生体認証装置付きも出てきているようで、
少しは改善されてきているのかもしれません。
一番嬉しかった変化は、2020年に、このメルマガで長年訴え続けてきた
「小学書写教科書に左手書字例を!」
を実現させた教科書が誕生したことでした。
東京書籍の令和2年度用の小学校教科書「新しい書写」がそれでした。
https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/shou_current/shosha/
--
特色 3 書くことが楽しくなる教科書
全ての子供に「分かった!」「できた!」の喜びを。
特別支援教育への配慮
色覚多様性への配慮
左利きへの配慮
--
https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/shou_current/shosha/data/shosha_m_pamph_04.pdf
PDFファイル
あたらしいしょしゃ 1 [令和2年度]
(小学校国語科書写用 文部科学省検定済教科書) 東京書籍 2019/3/1
*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2020.2.9
左利きへの配慮がなされた東京書籍・小学校教科書
「新しい書写 2年度用」
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/02/post-0fbe38.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/dd08c16d81a211f5c60266bf57191f20
●10年ごとに一区切り
10年ぐらいの間隔で、
左利きの本があれこれと出版されることがあるようです。
理由として考えられることは、世代交代が進むということでしょうか。
十年一昔といいますように、十年もたちますと小学生も成人となり、
その親の世代は人生の次のステージへと進み、
かわって新しい世代が子を持つ親となります。
左利きや利き手についての知見は、学校の教科書には含まれず、
その知識や経験は、一世代毎に個人的に学ばれては失われて行き、
次の世代がまた新たに個人的に学び直すことになります。
そういう状況のなかで、
左利きや利き手に関する知識を本に求める人々が現れ、
そのニーズに応えるように、
こういう現象が起きるのではないか、と思われます。
以下に、ここ20年ほど、主だった左利き本の年表をまとめてみました。
2000年前後――
(1998 平成10)
10/『見えざる左手―ものいわぬ社会制度への提案』大路直哉 三五館
(1999 平成11)5/
『おいしい左きき』造事務所編著 イーハトーブ出版
(2000 平成12)
7/『左ききでいこう!―愛すべき二一世紀の個性のために―』
フェリシモ左利き友の会、大路直哉 フェリシモ出版
(2001 平成13)
2/『あなたは完全な右(左)利き? それとも○○利き?』鮫島良文
文芸社
(2002 平成14)
6/『左利きで行こう! 目からウロコの左利きツアー』
リー・W・ラトリッジ、リチャード・ダンリー
丸橋良雄、尾島真奈美訳 北星堂書店
2010年前後――
(2005 平成17)
12/1『左ききのたみやさん。―哀愁ただよう左きき爆笑エッセイ』
たみやともか 宝島社
(2006 平成18)
7/『「左利き」は天才? 利き手をめぐる脳と進化の謎』
デイヴィッド・ウォルマン/著 梶山あゆみ/訳 日本経済新聞社
10/『非対称の起源 偶然か、必然か』クリス・マクマナス∥著
講談社ブルーバックス
(2008 平成20)
7/20『左対右 きき手大研究』八田 武志/著 DOJIN選書
12/6『左ききのトリセツ』貫吉達郎 グラフ社
(2009 平成21)
1/1『左利きの人々 悲しくも笑える』渡瀬 けん/著 中経の文庫
1/16『モノ・マガジン』2009年2月2日号「特集・左利きグッズ大図鑑」
ワールドフォトプレス
5/『左利きの子 右手社会で暮らしやすくするために』
ローレン・ミルソム/著 笹山裕子/訳 東京書籍
6/『神々の左手―世界を変えた左利きたちの歴史』エド・ライト著
スタジオタッククリエイティブ
8/31『左利きギターコード1008 -これは便利!左利きギタリスト御用達-』
中央アート
(2010 平成22)
3/5『選ばれし民 左利き』インフォレスト
(2014 平成26)
12/18『ぼくは左きき 本当の自分であるために』度会金孝
(わたらいかねたか)/著 日本機関紙出版センター
2020年前後――
(2017 平成29)
2/7『左利きあるある 右利きないない』左 来人/著 小山 健/イラスト
ポプラ社
(2018 平成30)
8/31『左利きの本【左利き専用メジャー&定規つき】』宝島社e-MOOK
10/18『左利き専用 綺麗な字が書けるペン字ドリル』岡田崇花/著
ブティック社・ブティックムック
(2020 令和2)
7/23『左利き用 誰でも一瞬で字がうまくなる大人のペン字練習帳』
萩原 季実子/著 アスコム
(2021 令和3)
3/14『左利きギター専用! ギターコードブック』
ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
9/29『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き
「選ばれた才能」を120%活かす方法』加藤俊徳/著 ダイヤモンド社
10/7『ヒミツのひだりききクラブ (レアキッズのための絵本)』
キリーロバ・ナージャ/著 古谷萌, 五十嵐淳子/イラスト 文響社
(2022 令和4)
1/10『左利き用100ページのギター弾き語りノート&204パターンの
ギターコードブック』楽譜乃音/著 Independently published
5/16『左対右 きき手大研究』八田 武志/著 DOJIN文庫
7/29『眠れなくなるほど面白い 図解 左利きの話』八田武志/監修
日本文芸社
(2023 令和5)
7/19『左利きさんのためのはじめてのかぎ針編み』佐野 純子/著
日東書院本社
★新刊★
9/16『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』大路 直哉/著
PHP新書
*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.6
「日本左利き協会」発起人大路直哉さんの新著『左利きの言い分』
9月16日発売
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-64dede.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/7baf11f00484a6f32b9d06781490e8bf
★新刊★
10/24『左利きさんのためのはじめての棒針編み』佐野 純子/著
日東書院本社
*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.11
佐野純子さんの左利き編み物本の第二弾
『左利きさんのためのはじめての棒針編み』10月24日発売
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-e43f26.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/a8d6067ceae1b5d06f69e2e65d3c82ba
最近の傾向として、実用書も色々と出版されるようになってきました。
これは、啓蒙書の類いの時代からより実践的な実用書の時代への変化で、
左利きが世間で一般化してきた反映と言えるかもしれません。
よい傾向です。
●最後に――明日のために、今書くこと
このメルマガは先にも書きましたように、今も陸続と生まれてくる
左利きの子供たちが健やかに育つことができる環境を整備する
その一助となることを願って書き続けています。
あと何年書き続けることができるのかわかりませんが、
最期の時が来るまで、その時その時精一杯できることを、
と考えています。
ニーチェは、血をもって書け、といっています。
《およそ書かれたもののなかで、私が愛するのは、
血をもって書かれたものだけだ。血をもって書け。
そうすれば君は、
血こそ精神だということが身に沁みて分かるだろう。》
『ツァラトゥストラはこう言った』フリードリヒ・ニーチェ
森一郎訳 講談社学術文庫 2023/6/12
「第一部 ツァラトゥストラは語る」<読むことと書くこと>p.66
「血でもって書く」とまでは行かないかもしれませんが、
「汗で書く」―「汗をかく」ぐらいなら私にもできそうです。
それぐらいの意気込みで無理せず続けていきたいと思っています。
では、これからもよろしくお願いいたします。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本誌では、「創刊18周年記念号――明日のために」と題して、今回も全紹介です。
メルマガ18年で649号に達しました。
当初は文字通り週刊でしたが、さすがにしんどくなり、今では月二回発行になりました。
昔は総発行部数を表示するものがありましたよね。
今月は何部、一年で何部に達したとか。
単純に今の発行部数に649をかけると、約130000部になります。
それでどうだ、ということですが。
延べ13万人の人が読んでいる可能性がある、ということですね。
精読者数は1%として1300人、10%なら13000人です。
それでどうだ、ということですが。
これからも最期の日が来るまで頑張ってみようと思います。
これからもよろしくね。
・・・
弊誌の内容に興味をお持ちになられた方は、ぜひ、ご購読のうえ、お楽しみいただけると幸いです。
*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
『レフティやすおのお茶でっせ』
〈左利きメルマガ〉カテゴリ
--
『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii創刊18周年記念号-第649号
--
第649号(No.649) 2023/9/16
「創刊18周年記念号――明日のために」
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◇◆◇◆◇◆ 左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii ◆◇◆◇◆◇
【左利きを考えるレフティやすおの左組通信】メールマガジン
右利きにも左利きにも優しい左右共存共生社会の実現をめざして
左利きおよび利き手についていっしょに考えてゆきましょう!
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第649号(No.649) 2023/9/16
「創刊18周年記念号――明日のために」
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今月は、2005.9.28の創刊号以来、18年周年となります。
当初は、軽い気持ちで週刊としました。
実際書き始めると、なかなか大変で、徐々に手抜きとなり、
月4回、そして現状の月2回となりました。
さらに8月は、猛暑を理由に、合併号で月一回なんてことにも……。
そういうわけで、週刊とうたいながら、18周年で649号なのです。
18年といいますと、今では成人年齢となります。
始めたころに生まれたお子さんも今では大人ということです。
このようなメルマガでも、左利きの子の育児のアドバイスの
何かしらの足しにしてくださった方がいたとしますと、
もうそのお子さんは、二十歳を過ぎていることでしょう。
どのように育っていることでしょうか。
幸か不幸か、たいしたことはできていないので、
マイナスにはなっていないことでしょう。
そして、少しでもお役に立っていたのなら、幸いです。
ということもあり、
今回は、暑さの手抜き? で、記念放談とします。
┏ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┓
創刊18周年記念号――明日のために
「汗で書く」―「汗をかく」ぐらいの気持ちで書き続けたい
┗ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ━ ┛
●初心忘るべからず
創刊号の編集後記にこう書きました。
《=●レフティやすおの編集後記●=======
色々迷った末の出発です。これからも多少の変更があるでしょう。
しかし左利きの人のお役に立ちたいという思いは変わりません。
左利きの人の力になりたい、そして幼い頃の自分のように左利きで
嫌な思いをする人がいなくなるように、そう願って左利きの活動を
続けています。
これからもよろしくお付き合いのほどを!》
あれから18年が過ぎてしまいました。
今も変わらぬ思いは、
左利きの子供たちに自分と同じ嫌な思いをして欲しくない
ということです。
そのために何かできることはないか、と始めたのがこのメルマガです。
ブログは2003年12月25日、
ホームページは2004年1月1日に始めていました。
それだけでは何かしら満足できず、もっと能動的なイメージの活動を、
と思って始めたのです。
・・・
「初心忘るべからず」の初出は、
世阿弥の「花鏡(かきょう)」(1424年)だそうです。
習い始めのころの謙虚で真剣な気持ちを忘れてはならない、の意。
(出典 小学館 デジタル大辞泉)
から、
「何かを始めた最初のころの気持ちを忘れてはいけない、
という戒めのことば」
となったといいます。
始めたときの思いを今も胸に秘めて、メルマガを続けていきます。
●当時を振り返って
当時、左利きメルマガを出している人がいたのです。
記憶で書いてしまいますが、なんとなく気が合う感じがして、
思いつくネタをいくつか提供しました。
まぐまぐの先輩でもあり「左利きメルマガ」の先輩でもある
渡瀬謙さんの発行する『レフティサーブ』がそれでした。
(のちに、
『左利きの人々』(渡瀬 けん:名義 中経の文庫)
にまとめられた。)
メルマガという、こういうやり方もあるのだ、と思い、
ちょっと相談したうえで始めました。
創刊号を書いて「まぐまぐ!」に送り審査の上、発行にこぎ着けました。
渡瀬さんに報告をすると、早速メルマガで紹介していただき、
一気に68部でスタートできました。
その後、教師生活23年、現・教育評論家の親野智可等さんの
家庭教育メルマガ『親力で決まる子供の将来』
https://www.mag2.com/m/0000119482?l=iib0008fb8
(「左利きを直す必要はない」という文章を書いておられるのを知り、
連絡をし、左利き対応の100ます計算というのを実践されている先生が
いることをお知らせしたり、時折お便りをしていました。)
でも紹介していただき、
またまた一気に300あまりまで伸ばすことができました。
その後は、私の力が及ばず、発行部数は減る一方です。
卒業される読者も多く、現在は200ちょいになっています。
左利きのお子さまを持つ親御さんの場合、
お子様がある程度大きくなられますと、自然と卒業されていくようです。
それはちょっと悲しいことなのですが、
当面の問題が解消されれば、人はそうなってしまうものなのですね。
喉ものと過ぎれば熱さを忘れる、とも申します。
本音を言いますと、親御さんたちにはいつまでも読者のままで、
左利きの子(および人)の味方でいて欲しいのですけれど……。
●大路直哉さんの新刊『左利きの言い分』にこのメルマガも…
基本、読者を想定して書いているつもりですけれど、
どうしてもその時その時の自分自身の思いが先行して、
読者の方々の意識からずれることも多々あるのかもしれません。
反響を待ちながらも、なかなかいただけなくて、
その辺は私の悪い癖が出てしまっているせいかもしれませんね。
お便りをいただけたら嬉しくて、許可も得ずに書いてしまったり……。
反省していますが、遅かりし、かも……。
もう一度初心に戻って、
気を入れてやっていこうと思います。
そういうモチベーションを上げるいい機会になりそうな、
ニュースがあります。
9月16日今日ですが、大路直哉さんの左利きの本が発売されます。
この本の巻末情報欄に、
このメルマガのことも載せていただくことになっています。
『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』大路 直哉
PHP新書
『見えざる左手』(三五館)、共著『左ききでいこう!』
(フェリシモ出版)につづく、著者三冊目の左利き本。
最初の社会学的アプローチの『見えざる左手』からは、ちょうど25年。
Amazonの情報によりますと、
左利きの人たちが経験してきた、歴史的な出来事やその背景も含めて、
左利きについての世間的な話題をまとめた、
最新版の左利き入門書(応援本)となっているように思います。
楽しみな一冊です。
●ネット活動20年の変化
このメルマガは18年ですが、ネット活動は20年になります。
この20年の変化を思い起こしてみますと、
ネット環境が電話回線から光になったということは大きかった変化です。
オフラインで、とかでなく、そのままネットサーフィンというんですか、
検索などできるのは、大きな変化です。
そして、当初はパソコン向けでよかったのが、
今ではスマホ向けを考えなければならなくなっている、ということ。
私のネット活動は、今はまだパソコン向けというレベルですね。
スマホ対応しないと、取り残されていくのでしょう。
このメルマガも、部数を伸ばすことはむずかしいでしょうね。
●20年間でいちばんうれしかったこと――教科書に左手書字例
ここで左利きを取り巻く環境の変化について見ておきましょう。
20年で変わったといえば変わっています。
左利きを否定されることが少なくなったのは事実でしょう。
ネット活動を始めたころは、例えば箸使いについていいますと、
左手で箸を持つことは日本の食事作法として認められない、
という意見が強く残っていました。
左手用の躾箸(練習箸)を作っていないメーカーさんがありました。
日本の作法として認められません、という意見です。
裏を取るように、作法・エチケットの本で、
悪い箸使いの一例として「左箸」を上げている人がいました。
今ではそういう例を見つけるのはむずかしくなっています。
実際には(本心は)どうかわかりませんが、
表向きはなくなってきています。
駅の自動改札も挿入式からタッチ式になっている部分もあるようです。
最新型では生体認証装置付きも出てきているようで、
少しは改善されてきているのかもしれません。
一番嬉しかった変化は、2020年に、このメルマガで長年訴え続けてきた
「小学書写教科書に左手書字例を!」
を実現させた教科書が誕生したことでした。
東京書籍の令和2年度用の小学校教科書「新しい書写」がそれでした。
https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/shou_current/shosha/
--
特色 3 書くことが楽しくなる教科書
全ての子供に「分かった!」「できた!」の喜びを。
特別支援教育への配慮
色覚多様性への配慮
左利きへの配慮
--
https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/shou_current/shosha/data/shosha_m_pamph_04.pdf
PDFファイル
あたらしいしょしゃ 1 [令和2年度]
(小学校国語科書写用 文部科学省検定済教科書) 東京書籍 2019/3/1
*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2020.2.9
左利きへの配慮がなされた東京書籍・小学校教科書
「新しい書写 2年度用」
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/02/post-0fbe38.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/dd08c16d81a211f5c60266bf57191f20
●10年ごとに一区切り
10年ぐらいの間隔で、
左利きの本があれこれと出版されることがあるようです。
理由として考えられることは、世代交代が進むということでしょうか。
十年一昔といいますように、十年もたちますと小学生も成人となり、
その親の世代は人生の次のステージへと進み、
かわって新しい世代が子を持つ親となります。
左利きや利き手についての知見は、学校の教科書には含まれず、
その知識や経験は、一世代毎に個人的に学ばれては失われて行き、
次の世代がまた新たに個人的に学び直すことになります。
そういう状況のなかで、
左利きや利き手に関する知識を本に求める人々が現れ、
そのニーズに応えるように、
こういう現象が起きるのではないか、と思われます。
以下に、ここ20年ほど、主だった左利き本の年表をまとめてみました。
2000年前後――
(1998 平成10)
10/『見えざる左手―ものいわぬ社会制度への提案』大路直哉 三五館
(1999 平成11)5/
『おいしい左きき』造事務所編著 イーハトーブ出版
(2000 平成12)
7/『左ききでいこう!―愛すべき二一世紀の個性のために―』
フェリシモ左利き友の会、大路直哉 フェリシモ出版
(2001 平成13)
2/『あなたは完全な右(左)利き? それとも○○利き?』鮫島良文
文芸社
(2002 平成14)
6/『左利きで行こう! 目からウロコの左利きツアー』
リー・W・ラトリッジ、リチャード・ダンリー
丸橋良雄、尾島真奈美訳 北星堂書店
2010年前後――
(2005 平成17)
12/1『左ききのたみやさん。―哀愁ただよう左きき爆笑エッセイ』
たみやともか 宝島社
(2006 平成18)
7/『「左利き」は天才? 利き手をめぐる脳と進化の謎』
デイヴィッド・ウォルマン/著 梶山あゆみ/訳 日本経済新聞社
10/『非対称の起源 偶然か、必然か』クリス・マクマナス∥著
講談社ブルーバックス
(2008 平成20)
7/20『左対右 きき手大研究』八田 武志/著 DOJIN選書
12/6『左ききのトリセツ』貫吉達郎 グラフ社
(2009 平成21)
1/1『左利きの人々 悲しくも笑える』渡瀬 けん/著 中経の文庫
1/16『モノ・マガジン』2009年2月2日号「特集・左利きグッズ大図鑑」
ワールドフォトプレス
5/『左利きの子 右手社会で暮らしやすくするために』
ローレン・ミルソム/著 笹山裕子/訳 東京書籍
6/『神々の左手―世界を変えた左利きたちの歴史』エド・ライト著
スタジオタッククリエイティブ
8/31『左利きギターコード1008 -これは便利!左利きギタリスト御用達-』
中央アート
(2010 平成22)
3/5『選ばれし民 左利き』インフォレスト
(2014 平成26)
12/18『ぼくは左きき 本当の自分であるために』度会金孝
(わたらいかねたか)/著 日本機関紙出版センター
2020年前後――
(2017 平成29)
2/7『左利きあるある 右利きないない』左 来人/著 小山 健/イラスト
ポプラ社
(2018 平成30)
8/31『左利きの本【左利き専用メジャー&定規つき】』宝島社e-MOOK
10/18『左利き専用 綺麗な字が書けるペン字ドリル』岡田崇花/著
ブティック社・ブティックムック
(2020 令和2)
7/23『左利き用 誰でも一瞬で字がうまくなる大人のペン字練習帳』
萩原 季実子/著 アスコム
(2021 令和3)
3/14『左利きギター専用! ギターコードブック』
ヤマハミュージックエンタテイメントホールディングス
9/29『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き
「選ばれた才能」を120%活かす方法』加藤俊徳/著 ダイヤモンド社
10/7『ヒミツのひだりききクラブ (レアキッズのための絵本)』
キリーロバ・ナージャ/著 古谷萌, 五十嵐淳子/イラスト 文響社
(2022 令和4)
1/10『左利き用100ページのギター弾き語りノート&204パターンの
ギターコードブック』楽譜乃音/著 Independently published
5/16『左対右 きき手大研究』八田 武志/著 DOJIN文庫
7/29『眠れなくなるほど面白い 図解 左利きの話』八田武志/監修
日本文芸社
(2023 令和5)
7/19『左利きさんのためのはじめてのかぎ針編み』佐野 純子/著
日東書院本社
★新刊★
9/16『左利きの言い分 右利きと左利きが共感する社会へ』大路 直哉/著
PHP新書
*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.6
「日本左利き協会」発起人大路直哉さんの新著『左利きの言い分』
9月16日発売
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-64dede.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/7baf11f00484a6f32b9d06781490e8bf
★新刊★
10/24『左利きさんのためのはじめての棒針編み』佐野 純子/著
日東書院本社
*参照:『レフティやすおのお茶でっせ』2023.9.11
佐野純子さんの左利き編み物本の第二弾
『左利きさんのためのはじめての棒針編み』10月24日発売
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/09/post-e43f26.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/a8d6067ceae1b5d06f69e2e65d3c82ba
最近の傾向として、実用書も色々と出版されるようになってきました。
これは、啓蒙書の類いの時代からより実践的な実用書の時代への変化で、
左利きが世間で一般化してきた反映と言えるかもしれません。
よい傾向です。
●最後に――明日のために、今書くこと
このメルマガは先にも書きましたように、今も陸続と生まれてくる
左利きの子供たちが健やかに育つことができる環境を整備する
その一助となることを願って書き続けています。
あと何年書き続けることができるのかわかりませんが、
最期の時が来るまで、その時その時精一杯できることを、
と考えています。
ニーチェは、血をもって書け、といっています。
《およそ書かれたもののなかで、私が愛するのは、
血をもって書かれたものだけだ。血をもって書け。
そうすれば君は、
血こそ精神だということが身に沁みて分かるだろう。》
『ツァラトゥストラはこう言った』フリードリヒ・ニーチェ
森一郎訳 講談社学術文庫 2023/6/12
「第一部 ツァラトゥストラは語る」<読むことと書くこと>p.66
「血でもって書く」とまでは行かないかもしれませんが、
「汗で書く」―「汗をかく」ぐらいなら私にもできそうです。
それぐらいの意気込みで無理せず続けていきたいと思っています。
では、これからもよろしくお願いいたします。
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本誌では、「創刊18周年記念号――明日のために」と題して、今回も全紹介です。
メルマガ18年で649号に達しました。
当初は文字通り週刊でしたが、さすがにしんどくなり、今では月二回発行になりました。
昔は総発行部数を表示するものがありましたよね。
今月は何部、一年で何部に達したとか。
単純に今の発行部数に649をかけると、約130000部になります。
それでどうだ、ということですが。
延べ13万人の人が読んでいる可能性がある、ということですね。
精読者数は1%として1300人、10%なら13000人です。
それでどうだ、ということですが。
これからも最期の日が来るまで頑張ってみようと思います。
これからもよろしくね。
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(まぐまぐ!)『左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii』
『レフティやすおのお茶でっせ』
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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
左利きで生きるには 週刊ヒッキイhikkii創刊18周年記念号-第649号
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