南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

訴訟費用

2007年04月07日 | 交通事故民事
 「訴訟費用」という言葉は、訴状や判決で必ず出てきます。
 例えば、判決の主文は、

1 被告は、原告に対し、金**円及び平成*年*月*日から支払い済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え
2 訴訟費用は被告の負担とする

というように書かれますし、訴状もそれに対応するように書きます。
 この2項に「訴訟費用」という言葉が出てきます。

 最高裁のホームページを見ると

 法律で定められている訴訟費用は,基本的には敗訴者が負担することになります。訴訟費用には,訴状やその他の申立書に収入印紙を貼付して支払われる手数料のほか,書類を送るための郵便料及び証人の旅費日当等があります。ここでいう訴訟費用は,訴訟を追行するのに必要なすべての費用を含むわけではなく,例えば,弁護士費用は訴訟費用に含まれません。

となっています。
 これではなんのことかよくわからない方が多いのではないかなと思います。

 「訴訟費用」とはなんなのか?ということですが、正確さを犠牲にしていえば、訴状に貼る収入印紙代のことと思ってください。
 実は細かいことをいえばきりがないのですが、実際に問題になるのはこの印紙代ということが多いですから、ほとんどのケースでは、
 訴訟費用=印紙代
と考えていただいていいと思います。

 最高裁は、この点を
「訴状やその他の申立書に収入印紙を貼付して支払われる手数料のほか,書類を送るための郵便料及び証人の旅費日当等があります。」
としており、これが正確な説明ですが、もっともお金がかかるのは印紙代です。

 それでは、印紙代というのはどの程度かかるものなのかが心配になるところですが、河原崎弁護士のホームページにある印紙額の計算機をつかえば、金額を把握できますから、正確な印紙代を知りたい方はそちらをご活用下さい。

 目安を述べておきますと、損害賠償の金額が
1000万円の場合 5万円
2000万円の場合 8万円
3000万円の場合 11万円
4000万円の場合 14万円
5000万円の場合 17万円
となります。

 これをご覧いただければわかるように、金額に必ずしも比例しているわけではありません。


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附帯控訴

2007年04月05日 | 交通事故民事
 控訴については、以前にもこのブログで書いたことがあるのですが(→こちら)、今回は
 附帯控訴(ふたい こうそ)
についてです。

 控訴のことはご存じでも、附帯控訴のことはご存じでない方も多いですし、このブログでも今まで附帯控訴のことは全く書いていませんでしたので、附帯控訴についてご説明しておいた方がよいかなと思いました。

 まず、控訴というものの復習ですが、
 控訴とは、一審ででた判決に対して高裁に不服申し立てをするもので、
 控訴できる期間は、一審の判決を受け取った日から2週間以内(受け取った日は入りません)です。

 被害者側は原告になることが多いので、被害者側=原告、加害者側=被告ということで説明していきますと、判決を受け取ってから、原告も被告も控訴するまでは2週間の考慮期間があるということです。
 この2週間をすぎてしまいますと、「控訴」はできなくなります。

 例えば、原告は「被告が控訴しなければ、この判決は確定させてもよいかな」と考えていたのに、被告が控訴期間ぎりぎりで控訴をしてしまったので、原告の控訴期間が過ぎてしまったというケースがあるとします。

 この場合、原告は「控訴」はすることができません。
 しかし、「附帯控訴」はすることができるのです。
 つまり、被告が控訴したことに付随して控訴ができるということです。

 被告が控訴して、原告が附帯控訴したら、控訴審では双方が控訴したときと同じ扱いになります。

 ただし、この「附帯控訴」というのは、あくまで被告が控訴したことに付随しているので、被告が控訴を取り下げてしまえば、自動的に附帯控訴も効力が無くなることになっています。

 被告が控訴を取り下げるというのは、どんな場合かと言いますと、「原告が附帯控訴をして、控訴審でこちらに不利な判決がでる可能性がある。それならば、一審判決で確定させてしまおう」と思うときです。
 このように考えて、被告側が、控訴を取り下げると附帯控訴も効力を失って、一審判決が確定します。

 


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介護保険と将来の介護料

2007年04月03日 | 交通事故民事
被害者に後遺障害が残って、介護保険が使用できる状況にあると、加害者側の弁護士からは
「介護保険制度を利用すれば、高額な職業介護は不要である。」
との主張が出てくることがあります。

前回「将来の介護料」のところで紹介した、さいたま地裁平成18年10月18日判決(自保ジャーナル1675号2頁)でも、加害者側からそのような主張がなされましたが、この判決は、加害者側の主張を認めませんでした。

この判決は
「介護保険は障害者を保護するための制度であり、これを利用するかどうかは障害者側で選択する問題である。
今、介護保険を受けていない被害者に対して、加害者が介護保険の適用を受けられるから、職業介護を低額にすべきだということは、許されない。」
と、その理由を記載しています。

このように、介護保険の適用を受けられる場合は、将来の介護料をどう考えるかが微妙に関わってきます。
介護保険の制度、運用はどんどん変わっていくでしょうし、この観点からも将来の介護料がどう認定されていくか、注意が必要というべきでしょう。





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