いつもの散歩に少し変化をつけてあげようと出かけたのは、衣笠城址。
衣笠城址は三浦一族の本城のあった跡で、衣笠山のすぐ隣にある里山。
その取り付きはちょうど横浜横須賀道路衣笠インターの脇辺りからアクセスする。大楠山へのハイキングコースにもなっているようであるが、現在、途中で工事迂回区間有り。
予定されている方は適宜ご確認下さい。

取り付き付近にある迂回表示板
この掲示板のあるところから山科台への車道に沿って間もなく、
右側に見えてきた案内通りに、脇道を衣笠城址目指し住宅地の方へ上がる。
道なりに坂道を進むと、間もなく水を貯めている建造物が見えてきた。

おそるおそる覗きこむヴァレンシア
これは衣笠城の生活用水だっという歴史ある井戸。
井戸を左手にさらに進むと、大善寺の駐車場に到着。
案内版によると、当時の大善寺(金崋山不動院大善寺)は衣笠城の中にあり、その中心的な役割を担っていた歴史あるお寺のようだ。
案内版近くにある方向指示板に従い階段道を上がり、
大善寺の脇を通ってさらに進むと、間もなく鬱蒼とした林の中に。
階段道は間もなく二手にわかれるが、どちらを進んでもOK.
さらに階段道を登り続けると、衣笠城址らしき開けた場所に出た。
広場は、いくつもの石碑がある鬱蒼とした竹林際と、陽の当たる明るい草地からなっており、子供や犬と喧騒を離れてのんびりと過ごすには程良い広さ。
もちろん小鳥たちが多いため、ヴァレンシアは大喜び。ボブも初めての場所に大興奮。
小さな祀と駒犬、いくつかの石碑が点在。
辺りを散策してみる。
この広場に大楠山と衣笠山への分岐があり、衣笠山方向へ戻る別ルートがあるようだ。
そしてこの衣笠城址は、私が小学校2年生のときに一度だけ遠足で訪れたことがある。
その頃は、もっと開けた明るい場所に、石垣か石で積み上げられた何かの建造物跡のような敷地があった。そこは足場の悪い岩盤で出来た細い道で囲まれ、スリルある歩きを同級生たちと楽しんだ記憶がある。
それは記憶違いか幻か???
辺りを見る限り、その記憶のような形跡はなく、木の大きな根が絡み合って、足場の悪い岩盤がところどころに顔を出している道だけがわずかに残っている。

木の根と土と岩が絡み合った道
イヌドモをしばし遊ばせたあと、方向指示板のとおり、衣笠山へ戻る別ルートの道へ進む。
まもなく広場から抜け、
しばし心地よい道を歩く。
たくさんの小鳥が進む先々で目の前から逃げていくため、ヴァレンシアはとても楽しんでいる。
余裕のある歩きはここまで。
間もなく、とても足場の悪い細い下り道になっていった。
急な下りに差し掛かったと思ったら、途中で岩場越えが!?

ヴァレンシアの横顔の上、石の斜面上に続く道
あり得ない!と思っていたら、すぐ脇に安全な迂回路があった。
しかし間もなく、本当にピンチな状況へと展開していった。
ヴァレンシアの座っているところからの下りは考えられないほどの急下降階段。

ヴァレンシアは「go!」が出るのを待ち、ボブはビビリ気味。
しかも大昔に岩をそのまま削って作ったのか、一つ一つの段差は大きく、凹凸そのままで安定した足場は無し。
おまけにその幅は一人ずつしか降りられない!
恐怖感をあおるのは、ヴァレンシアの腰辺りの下方は、奈落の底のような山の谷間。

谷底が見えない!
一番怖いのは、バカ力で引きの強いボブが予期せぬ行動にでることだ。
ヴァレンシアのように軽い身のこなしが出来ないため、皆一緒に転落する可能性も十分に予測できる。それにヴァレンシアの装着しているフレキシリードの最大長は5m。ヴァレンシアだけを一気に階段下の地面に到着させることも出来ない。
最もリード長いっぱいに伸ばして先行させるのも、この不安定な下り階段ではこちらが降りる際に撒き戻しする操作など危険極まりない。
結局、フレキシリード装着のヴァレンシアを先行させ、中間程で待機させた。
そして次に、ボブが余計な動きを取らぬようハーネスの背中ベルトをガッシリと掴み、私が前、ボブを後ろ手に縦並び。
私が一段降りたらボブという繰り返しでヴァレンシアの待機している段まで近づく。
ヴァレンシアの一段上に到着したところで、ふたたびヴァレンシアを先に進ませ、同じ繰り返しで皆無事に着地。
右腕と左腕で異なるコントロールをしながらイヌドモを導いたこのひと時。帰宅したらすぐにシャワーを浴びたいほどの大汗まみれとなった。
下降中に大声で発した「マテ!」「go!」「スワレ」の繰り返しで声もかすれている。たまに間違えて「マテレ」などと口走っていたり...。
既に筋肉痛なのか二の腕が痛い。
しかしコマンドに従ったイヌドモをここでちゃんと誉める。誉めて誉めて、「オリコウだったねー!」と抱きしめてあげた。
まもなくこの平らな道に出会ったとき、フツーの道を歩ける幸せをかみしめた。(笑)
さらにどんどん下って行き、
大楠山ハイキングコースの方向板を過ぎた頃、
林間に衣笠山が見えてきた。
さらに下りを進み、
平地へと近づいていく。
三浦縦貫道衣笠インターのトンネル脇へと到着。
車が一台、これから衣笠城址へと向かうのだそう。
この正面の山に向かって歩き、山裾の小道を左方向に進めば衣笠山展望塔へと抜ける。
想定外のスリルを楽しんだ衣笠城址歩きとなった。