旅してマドモアゼル

Heart of Yogaを人生のコンパスに
ときどき旅、いつでも変わらぬジャニーズ愛

いまさら感ありありですけども

2008-05-04 | 観たものレビュー
鼻のてっぺんに絆創膏を貼ってる管理人です。

吹き出物ができただけなんですけども、見た目、殴り合いの喧嘩したあとみたい…


さて。


ぜったい書きますから!と宣言しておきながら、先月で全公演終わっちゃったしなー、このままスルーしても誰も何も言わないやろ?という悪魔のささやきに負けそうだったのですけども。


今日はPCの調子がわりかしイイので、やっぱり書きます。


舞台「ロス:タイム:ライフ 真実へのカウントダウン」のレビュー。


舞台は、ドラマ「ロス:タイム:ライフ」の連動企画として、第2話の「刑事編」を舞台化したものですが、ドラマ版とはストーリーがまったく違うものになってました。
ドラマ版と同じなのは、主役が慶ちゃんっていうことと、その役が刑事で役名が「都並浩太」であることだけ。
でも、舞台ですから、ドラマ版よりスケールのでかい内容になってました。

パンフレットにあったストーリーをまとめますと

念願の警視庁刑事部捜査第一課に配属された新人刑事・都並浩太(小山慶一郎)。一課には過去の人質救出作戦で抜群の交渉手腕を発揮し、都並が刑事を志すきっかけとなった憧れのベテラン刑事・瀬谷宗佑(古谷一行)がいるのだ。しかし瀬谷は、ある事件の後で閑職に回され、今は地味な事務処理を淡々とこなすだけ。瀬谷の後輩で現在は上司でもある管理官・大熊茂雄(大高洋夫)以外は、彼を「過去の人間だ」と言って見向きもしない。

そんなある日、都並は担当に瀬谷を指名した爆破予告を受ける。しかも爆弾が仕掛けられているのは、都並の恋人・梶山絵里(高橋真唯)が働く商業ビル「晴海ガーデンシティ」。いてもたってもいられず現場に向かった都並だったが、何者かに時限爆弾が設置されたボイラー室に監禁されてしまう。そしてタイマーがゼロを刻もうとしたその瞬間、ホイッスルの音とともに謎の審判団が現れ、都並に人生の「ロスタイム」を告げる。それはたったの90分。刑事としての使命感と恋人の命を救いたい一心で、犯人を突き止めて爆破を阻止することを選んだ都並は、審判団を引き連れ走り出すのだった。

しかし捜査は難航し、残り時間は少なくなる一方。焦る都並だったが、親友でライターの楢崎一平(西山聡)から過去に起きた爆破テロ事件の真相を聞かされる。死への本格的なカウントダウンが始まろうとする中、事件解決のヒントを得て、急いでボイラー室へ戻った彼を待ち受けていたのは、なんと瀬谷だった…。


…ほとんどまる写しでまとめてないな。


ドラマ版では、三課に配属されてすでに死んでいる都並ですけども、あそこでは「死ななかった」というシチュエーションで、舞台の方は始まってます。
しかも、舞台のしょっぱながいきなり現場のボイラー室で、都並が手錠を掛けられて閉じ込められているシーンから。
ちなみに、このシーン、シゲとヤマピーとマッスーの3人が観にきた時、慶ちゃんがちょっと暴れただけで、手錠がうっかりハズれてしまったそうです。
私のときはガッツンガッツンやっててもハズれんかったな。

そして、カウントダウンが0を指そうとしたときに、ドラマ版とまったく同じメンツの審判団が現れて、ロスタイムを告げたところでストーリーが最初に戻るという展開。
審判団がドラマと同じ役者さんたちというのがなんか嬉しい。
「おお、きたきたー!」という感じ。
審判団4人の無言劇もテレビ同様に表情豊かで面白い。

さて、ドラマの三課ではクサっていた都並ですが、舞台では憧れの一課に配属ということで、ちょっとテンション高め。元気いっぱい。
慶ちゃんスーツ着ると手足長いの目立つなー、こんなひょろった刑事さんいるかなー(笑)
でもカッコイイからいいのだ。

瀬谷役の古谷一行さんが、慶ちゃんとまったく対照的な存在感を発揮しているので、舞台上のバランスがいい感じで取れていて、見ていて安心感がある。
噛み合わない二人の会話が生み出すビミョーな空気感もちょっと心地いい。

テレビ版では都並と母親(しかも後ろ姿だけ)との会話がやたらと涙腺うるうるきましたけども、ここでは、恋人の絵里との会話。
すでに「死」を宣告されている都並は、絵里に「大丈夫だから。心配するな」と声をかけるけれど、電話越しに聞こえてくる都並の言葉のニュアンスから、彼の身に何か危険が迫っていることを感じる絵里。
でも、だからといって絵里に出来ることは何もない。都並が望むとおりに、安全な場所へと避難し、彼の無事を祈るしかできない。
ドラマ版の時もそうでしたけど、主人公に待ち受ける運命を分かっているだけに、相手(母・恋人)の「無事であってほしい」という思いとの間に横たわるすれ違いに思わず涙してしまうわけですよ。


ネタばれにはならないので、その後のストーリーを話しますと

今回の爆破予告は実は瀬谷による茶番劇だった。瀬谷は、過去の爆破テロ事件の真実(事件の主犯が警察のお偉いさんの息子)が上層部によってもみ消されたことに絶望し、第一線を退いたが、その後何年たっても変わらない警察組織に「誰もがテロリストになれる現実」を見せつけて危機感を煽るために、ニセの爆破予告事件を起こしたのだ。と同時に、過去とまったく同じシチュエーションで事件を起こすことで、もみ消された過去の事件を再び表に引き出そうとしたのだ。

「誰もがテロリストになれる現実」…この展開に、「SP」がフラッシュバック的に脳内をよぎったのは私だけではなかったはず。

爆弾は偽物だから大丈夫という瀬谷だが、都並のロスタイムは消えない。「誰かが本物の爆弾にすり替えたのでは?」
そしてついに時計は0を指す。ところが、やはり爆発は起こらない。しかもロスタイムはまだ続いている。これはいったいどういうことなのか。
そこへ、現場で狙撃隊を統括している上司の大熊から都並の携帯に電話が入る。
「そこに瀬谷さんはいるか」「はい」「瀬谷さんはいつもと同じコートか」「?…はい」
大熊との会話ですべてを悟る都並。大熊は、警察の過去の汚点を知る瀬谷をここで抹殺するつもりなのだ。

もうね、ここで予測できちゃうわけですよ、都並の死が。
ヤバいんですよ、涙腺。

瀬谷は、自分の犯した罪を素直に認めて、都並に連行されようとしている。
都並は、このままでは瀬谷が狙撃されて命を落としてしまうことを知っている。
そして、自分の死があと数分後に間違いなくくることもわかっている。
舞台上の慶ちゃんの表情を見ているだけで、涙が出てきちゃうんですよ。

で、瀬谷の手に手錠をかけるフリをして、その手にかけた手錠をパイプ管につなげた都並は、瀬谷のコートを自分の肩にかけるわけです。
このへんは、もう涙ボロボロ状態でしたね。
テレビ版との涙腺ゆるみポイントが違うんだけど、これはマジでやばかった。
劇場中ですすり泣きが響きっぱなし。

都並が何をしようとしているか、そして都並の身に何が起ころうとしているかを気づいた瀬谷が必死に止めようとするのだけれど、都並は自分の死によって残されていく者への事後を瀬谷に託してボイラー室の入口へと向かう。

瀬谷の最後の交渉も、自らの定められた運命を悟り、その運命に粛々と従おうとしている都並には効かなかったってことなんだなあ…
と、今になって思ったりしました。
だって観ている時は、もう「慶ちゃんが死んじゃうー」(違)と涙ぽろぽろだったから、そんなことを思う余裕もなくって。


すべてのプレーヤーは、一瞬にして英雄となる可能性と、道化と化す危険性を秘めている。


都並のロスタイムは、90分。
されど、彼の「死」と「死」の間にある時間は、ほんの一瞬だった。
その一瞬の間に、彼の死は「道化」から「英雄」へと変わったのだ。


人生のロスタイム


そんなものが、死の間際に与えられるとは現実的にはありえないことだけれど、どんな場合でも「悔い」を残さない人生を歩んだほうがいい、ということなのだろう。
それを思うと、私の人生のロスタイムって、けっこうあるかもしれない。