歴史作家 智本光隆「雪欠片―ユキノカケラ―」

歴史作家 智本光隆のブログです。

祈念―がんばろう東北―

桜の花に癒され、地震の爪あとに涙し・・・しかしながら確実に仙台の街は復興しております。1歩づつではございますが、前進していきたいと思っております―8年前、被災地からこの言葉をいただきました。今年もまた、春がめぐって来ました。今も苦しい生活を送られている方々に、お見舞いを申し上げます。本当に1日も早い復旧、復興がなされますよう、尽力して行きたいと思っております。

神剣の守護者人物秘話第5回―雪姫②―

2014-07-22 22:01:18 | 神剣の守護者

「雪姫桜」


さて、雪姫さまの第2回ですね。
多気の地にはひとつの伝説が残されています。
地元で入手した資料をもとにしまして、
先月の前橋「まちなかキャンパス」でご紹介したエピソードを、
こちらでもご紹介します。



「信長の侵攻前のある日のこと・・・
野駆けに出かけた具教、雪姫親子の前に一匹の白い仔狐が猟師の罠にかかっていた。
『狐を助けて!』と懇願する幼い雪姫に具教は生物の理を説いた上、
猟師からその狐を買い取り、山へと放してやった」


「雪姫は父・具教に殉じて自害しようとしたが果たせず、
多気御所東御所の桜の木に見せしめとして縛られた。
死を待つだけだった雪姫の前にある日、
どこからともなく一匹の白い狐が現れた・・・
そして白狐は姫を救うと、どこへともなく連れ去っていったという。

以来、雪姫が縛られた桜は幹は枯れても根は腐らず、
新たに芽吹いては育つため『雪姫桜』と呼ばれ、
北畠氏の最期と、運命に翻弄された姫の姿を今に伝えている・・・」




その後、雪姫は何処かの地で天寿を全うしたと言います。
そして、怒りに燃える織田軍は筍の皮を一面に敷き詰め、
北畠の痕跡が何ひとつ残らないように、徹底的に多気を焼き払った。
だから、今でも多気では筍を使った料理は決して作らない
・・・これは北畠神社を取材の際に、直接お聞かせいただい話です。


『神剣の守護者』では自害説を前提におきまして、
白狐伝説とからめて、物語の終焉とさせていただきました。
(肝心の桜の木を八田城で出してしまったので、
こっちで出せませんでしたが・・・)


そして、雪姫が正具との別れの場面で口にする西行法師の和歌、、


「風さそふ、花のゆくへは知らねども、惜しむ心は身にとまりけり」


これは実は色々悩んだんですが、
(いや、ホントに悩んだ。最初は和歌ではなく単なるセリフでした)
ここでの雪姫の心の内をのぞくと、、、


「風に舞い散る桜の行方は知らないけれど、
この花がすべて散っても私の心は伊勢とともにある。
でも正具殿・・・再び季節が巡ってこの桜の木に花の咲く頃には、
私を迎えに来て欲しい」



・・・そういう意味で書きました。
雪姫・・・好きなキャラですけど、
珠子さんと違う点はいろんな局面で、それはそれは振り回された点です、作者が!
「女神もえらく気まぐれ」と正具が言うかは、さておきw



前にも少し出しましたが、
雪姫桜周辺の景色を少しばかり、またご紹介!




雪姫桜ちょこっと写ってますねw
ちなみに、、右上下の道は発掘調査の結果、
北畠時代から同じ場所を通っています。



桜の木から伊勢本街道方向。好きな写真。




北畠神社脇にはその名も「雪姫亭」




北畠神社にて購入した「雪姫伝説 白喜常守」
幸運を皆様へ!!



智本光隆