「雪姫桜」
さて、雪姫さまの第2回ですね。
多気の地にはひとつの伝説が残されています。
地元で入手した資料をもとにしまして、
先月の前橋「まちなかキャンパス」でご紹介したエピソードを、
こちらでもご紹介します。
「信長の侵攻前のある日のこと・・・
野駆けに出かけた具教、雪姫親子の前に一匹の白い仔狐が猟師の罠にかかっていた。
『狐を助けて!』と懇願する幼い雪姫に具教は生物の理を説いた上、
猟師からその狐を買い取り、山へと放してやった」
「雪姫は父・具教に殉じて自害しようとしたが果たせず、
多気御所東御所の桜の木に見せしめとして縛られた。
死を待つだけだった雪姫の前にある日、
どこからともなく一匹の白い狐が現れた・・・
そして白狐は姫を救うと、どこへともなく連れ去っていったという。
以来、雪姫が縛られた桜は幹は枯れても根は腐らず、
新たに芽吹いては育つため『雪姫桜』と呼ばれ、
北畠氏の最期と、運命に翻弄された姫の姿を今に伝えている・・・」
その後、雪姫は何処かの地で天寿を全うしたと言います。
そして、怒りに燃える織田軍は筍の皮を一面に敷き詰め、
北畠の痕跡が何ひとつ残らないように、徹底的に多気を焼き払った。
だから、今でも多気では筍を使った料理は決して作らない・・・これは北畠神社を取材の際に、直接お聞かせいただい話です。
『神剣の守護者』では自害説を前提におきまして、
白狐伝説とからめて、物語の終焉とさせていただきました。
(肝心の桜の木を八田城で出してしまったので、
こっちで出せませんでしたが・・・)
そして、雪姫が正具との別れの場面で口にする西行法師の和歌、、
「風さそふ、花のゆくへは知らねども、惜しむ心は身にとまりけり」
これは実は色々悩んだんですが、
(いや、ホントに悩んだ。最初は和歌ではなく単なるセリフでした)
ここでの雪姫の心の内をのぞくと、、、
「風に舞い散る桜の行方は知らないけれど、
この花がすべて散っても私の心は伊勢とともにある。
でも正具殿・・・再び季節が巡ってこの桜の木に花の咲く頃には、
私を迎えに来て欲しい」
・・・そういう意味で書きました。
雪姫・・・好きなキャラですけど、
珠子さんと違う点はいろんな局面で、それはそれは振り回された点です、作者が!
「女神もえらく気まぐれ」と正具が言うかは、さておきw
前にも少し出しましたが、
雪姫桜周辺の景色を少しばかり、またご紹介!
雪姫桜ちょこっと写ってますねw
ちなみに、、右上下の道は発掘調査の結果、
北畠時代から同じ場所を通っています。
桜の木から伊勢本街道方向。好きな写真。
北畠神社脇にはその名も「雪姫亭」
北畠神社にて購入した「雪姫伝説 白喜常守」
幸運を皆様へ!!
智本光隆