まかろんのお茶会

日々の小さなことを詩モドキにしてます。
皆さまのお茶菓子代わりに楽しんでもらえたら嬉しいです。

新作 ~ 「妖精の結婚式」 その130

2014-08-09 21:31:03 | 未完「妖精の結婚式」 2014梅雨
続きでーす。


2014年6月10日~ブログ直接投稿 「妖精の結婚式」 その130

  人影は 大きな花びんほどの丈
  妖精たちより 大分大きかった
  足元まで覆う長い外衣の背に 羽はなく
  膝までの長い髪が 光にひるがえっている
  全てが影に沈んで 目鼻立ちは分からなかった

<つづき>

人影は時折揺らめき 姿がかすれた
妖精たちは繰り返し 歌を歌い続けた
ちらちら ちらちらと
歌う妖精たちの身体に 蒼い光が走った
妖精たちは 一段と浮かれ飛びまわった

どうしようかなと さやかさんは思った
ぐったりしてるのを 起こしたくないが
ねぇ と手の中の妖精をつついた
王様っぽいのが 出てきたよ
急いだ方がいいんじゃない どうしたらいい?

妖精は うっすらと目を開け
囲い地の方にのたくた 身を向けた
まだ・・いい と目を反らす
今だと言ったら・・俺を中に放り込め
そう言うと 眉をしかめながら目を閉じた

大丈夫かなと さやかさんは思った
これで タイミングが分かるんだろうか
大丈夫と さやかさんは心に言った
ちゃんと自分で分かってるはず
大丈夫大丈夫と 包んだ手を胸に押し当てた

痛ぇ と妖精が手の中でもごもご言った
お前の不安のトゲが ビンビンきやがる
痛いわうるさいわで 寝てらんねぇ
ごめ・・ごめんね とさやかさんは慌てて言った
まあいい と妖精はもぞもぞ囲い地に向いた

起きてた方が・・様子も分かるしな
妖精は重そうに頭を上げて 囲い地を見つめた
さやかさんの手を押す 妖精の手は冷たかった
お前の心は しけってトゲだらけだが
吹く“風”は熱いぜ ・・悪くない


<つづく>



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※変更:2018年8月17日
ねぇ と妖精をつついて呼びかけた → ねぇ と手の中の妖精をつついた
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新作 ~ 「妖精の結婚式」 その129

2014-08-09 21:28:03 | 未完「妖精の結婚式」 2014梅雨
いよいよお盆が近づいてきましたねぇ。

まかろんも予定が詰まって、ついでに話の展開も詰まって、
昨日今日ロクに書けてなかったりして・・・。

ここからうんとこさ面白くなるはずのところなんで、
少しでも皆さまの夏休み気分に花を添えられるよう、何とか進めていきたいです。

では、続きでーす。


2014年6月10日~ブログ直接投稿 「妖精の結婚式」 その129

  妖精は ただ黙って目を閉じた
  よし行こう さやかさんは駆けだした
  揺れたり落としたりしないよう
  妖精を 両手で包んで胸元で支える
  囲い地の入口が 見えてきた

<つづき>

先日は 掃除で入った場所
今はなぜか 目線がかく乱して
見えるのに見えない そんな感じ
気がつくと 別の場所を見ている
中を窺うだけで 気力がいった

頭に広がる 一瞬の無感覚のベール
腹に力を入れて その向こうを視る
石鉢を囲んだ 天にも届く螺旋のかがり火
何千何万の妖精が集まり 光の渦となって
繰り返し 一つの歌を歌っていた

イノチ湛エシ 古キ女王おーな
力モテ砕カン 新シキ女王ぬあら
導キタマエ ふぃん・ばらノ王
隠サレシ都 ぶるー・な・べーは
イザヤイザ 恵ミモテ還ラン・・

頭の中が くらりとした
知らないはずの 遠い大地
雨の風の緑の 古い古い刻が降る
ああでも と耳の奥で声がする
何かが 何かが足りないの

石鉢が カッと光った
鉢の口から 淡い光が湧き出して
しみが広がるように 人の姿が現れ始めた
妖精たちは 歓声を上げた
現れた人影は石鉢の上に 悠然と立った

人影は 大きな花びんほどの丈
妖精たちより 大分大きかった
足元まで覆う長い外衣の背に 羽はなく
膝までの長い髪が 光にひるがえっている
全てが影に沈んで 目鼻立ちは分からなかった


<つづく>



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※変更:2016年1月10日
何千何万の妖精が集まり 光の渦となり → ~ 光の渦となって
繰り返し 一つの歌を歌ってた → ~ 一つの歌を歌っていた
鉢の口から 淡い光が差し始め → ~ 淡い光が射し始め

※変更:2018年8月17日
鉢の口から 淡い光が射し始め → ~ 淡い光が湧き出して
しみが広がるように 人の姿が現れた → ~ 人の姿が現れ始めた
人影は騒ぎを聞くでもなく 悠然と立った → 現れた人影は石鉢の上に 悠然と立った
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