まかろんのお茶会

日々の小さなことを詩モドキにしてます。
皆さまのお茶菓子代わりに楽しんでもらえたら嬉しいです。

新作 ~ 「妖精の結婚式」 その151

2014-08-22 21:39:50 | 未完「妖精の結婚式」 2014梅雨
続きでーす。


2014年6月10日~ブログ直接投稿 「妖精の結婚式」 その151

  低い空に鳥は歌い 雨風はときに
  荒々しく地をたたき けれど
  しっとりとした豊かな大気が
  絶えることなく 大地をおおい
  森は草花は大地に根ざし 力強く天に笑う

<つづき>

そんな大地を 識っている
それは一族の 妙なる誇り
だけど妖精には とても哀しく思えた
そして哀しいことが また辛かった
私は 何もできなかった・・・

王を一族を裏切って なのに
恩義を受けた地にも 何も返せず
ただいたずらに 枯れてゆく
それでも・・と紫陽花はうなだれた
この娘を見捨てて 王の手を取れなかった

ごめんなさい王よ
ごめんなさいサヤカ・・・
紫陽花の葉と茎は ゆっくりと
茶色く硬くなっていった
最後の名残の水が一滴 葉からこぼれた

アア ソレハ勿体ナイ・・
繊細な手が こぼれた水滴を受けとめた
ペンを握り 本をめくるのに慣れた手
丸い眼鏡の奥の目は 細められ
黒目が柔らかく 蒼色の娘を映してた

繊細な手は もう片方の手を伸ばし
枯れたはずの花に 手を触れた
薄ぼんやりとした空の下
さえぎる物もないのに
どうしてか その姿は暗かった

・・さま? 妖精はつぶやいた
ふいに身の裡に 水が湧いたような気がした
暗い人影は 微笑んだようだった
紫陽花の精は ぼんやりと笑い返した
暗い人影は 渇いた地面にしゃがみこんだ

<つづく>


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新作 ~ 「妖精の結婚式」 その150

2014-08-22 21:35:28 | 未完「妖精の結婚式」 2014梅雨
どもども、続きです~。


2014年6月10日~ブログ直接投稿 「妖精の結婚式」 その150

  不安げな妖精たちに うなずいて見せる
  さすがに今 場を鎮めるゆとりはない
  王の立つ光は かなり欠けてきていた
  よし・・いくぜ
  激しく吹きあげる光に 飛び込もうとした

<つづき>

風も動かない 渇いた大地に
紫陽花は 独り立っていた
どこかでこんなこと あった気がする
そんな想いが 心をかすめ
紫陽花は 幹をふるわせた

いいえいいえ そんなはずない
紫陽花は 自分に言い聞かせた
私はハイドランジア ほんの少しでも
水が枯れれば 生きていけないはずだもの
私は 多くの水を与えられた・・

紫陽花は 東方の地で受けてきた
水のあれこれを 思い浮かべた
冬を溶かす春の雨 しとしと潤す長雨に
叩きつける雷雨 吹き荒れる大あらし
干上がる夏には じょうろの甘露

あらしはあっても 水はまろく
とげも痛みもなく 人は穏やか
それにどれだけ 潤されてきただろう
紫陽花は 大地に笑いかけた
貴女の水も 柔らかだったわサヤカ・・・

けれど 大地は黙したままだった
妖精は 自分が知る
もう一つの大地を 心に思った
妖精と生まれた者みな 存在の奥底で
知っている 永遠のふるさと

低い空に鳥は歌い 雨風はときに
荒々しく地をたたき けれど
しっとりとした豊かな大気が
絶えることなく 大地をおおい
森は草花は大地に根ざし 力強く天に笑う

<つづく>


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