まかろんのお茶会

日々の小さなことを詩モドキにしてます。
皆さまのお茶菓子代わりに楽しんでもらえたら嬉しいです。

新作 ~ 「妖精の結婚式」 その138

2014-08-13 22:18:42 | 未完「妖精の結婚式」 2014梅雨
んで、続き。


2014年6月10日~ブログ直接投稿 「妖精の結婚式」 その138

  妖精たちは 四方八方に飛び惑った
  また小さくなる者 怪物のように膨れ上がる者
  囲い地から逃げ出そうとする者
  石鉢からあふれていた炎と光は 不安定に
  あふれだしたり とぎれたりし始めた

<つづき>

乱れ爆発しそうな空気の中に
浸み入る声が 葉を伝う雨のように流れた
・・いのち湛えし 古き女王オーナ・・
青花と呼ばれた妖精が 石鉢の下
満開の紫陽花に座り 歌っていた

青花も あまり姿は変わっていなかった
少し大きくなり 蒼い髪と目が
明るい桃色に 変わったくらいだった
濃い緑色になったドレスが 歌に揺れた
・・力もて砕かん 新しき女王ヌアラ・・

ぴくっと 黒焦げの肉塊が動いた
動揺する妖精たちを なだめるように
紫陽花の精は 歌い続けた
・・導きたまえ フィン・バラの王・・
ひとりふたりと 妖精たちが歌い始めた

・・隠されし都 ブルー・ナ・ベーハ
妖精たちはまた 声を合わせて歌っていた
草地や木立から きらきら淡い金色の光が
包みこむように ふんわり立ち上り始めた
石鉢が 蜜蜂のような低いうなりを上げた

妖精たちの顔は光の中 期待と喜びに満ち
もう 黒焦げの肉塊など気にしていなかった
・・いざやいざ 恵みもて還らん!
石鉢から再び 光がほとばしった
燃える炎に似た 力強い紅蓮の光だった

縮まっていた者も 醜く膨らんでいた者も
また伸びやかに 美しい姿を取り戻した
肉塊は びくりびくりとわずかに動いた
姿を全く変えてない妖精が 痛ましげに見た
彼には その物いわぬ肉片の声が聴こえていた


<つづく>



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R15? 新作 ~ 「妖精の結婚式」 その137

2014-08-13 22:16:29 | 未完「妖精の結婚式」 2014梅雨
ども、今晩は。

えーと、今日の更新部分にいささか残酷な表現がありますので、
一応警告しときますね。

人体の損傷に関する表現を当お茶会で見たくない、と思われる方は、
ここは飛ばして、その138にお進みください。

まあ、これくらいの表現は以前の作品でもしてたとは思うのですが、
今回は主人公が「フツーの現代人」(動物とか魔法使いとかじゃなく)なので、
よりグロさがリアルに感じられて不快に感じる方が出るかも、と思いましたので、

見たくない方は見ないほうがいいよと、お伝えしときます。


では、続きでーす。


2014年6月10日~ブログ直接投稿 「妖精の結婚式」 その137

  一瞬にして囲い地は 業火と高熱の渦となった
  妖精たちは きらきら燃えながら踊り上がった
  ばきんぱきっ と音が弾ける
  炎と光の中に 妖精たちの姿が浮かび上がる
  黒光りする枷をまとった 妖精たちの姿が

<つづき>

金属めいた輪は炎を上げ 次々に弾けて消えた
妖精たちは みるみる内に大きくなった
背中の羽は炎となり 金の火の粉をまき散らす
伸びゆく金色の天地で 妖精たちは踊り狂った
いざやいざ 恵みもて還らん!

炎と熱は 足を踏み入れたばかりの
さやかさんをも 直撃した
イバラは瞬時に 燃え上がって灰となり
さやかさんの身体は 烈火に包まれた
さやかさんの手から 妖精が抜け出た

妖精は 少しも姿を変えてはいなかった
小さな身体で 炎で乾ききった空気を
吸って吐くと 口から黒いもやが流れ出た
もやは 渦巻く熱気にまぎれて消えた
妖精はさやかさんを 振り返った

それはすでに 人の身体ではなかった
髪は焼け 全身が焼けただれ
ところどころ骨まで焼け落ち
まだ 炎に包まれていた
燃える身体は ごとっと地面に倒れた

女! と妖精は大声で呼んだ
炎は金色の草地の上で 揺れて消えた
生身を焼く悪臭が じんわり立ち上った
踊り回ってた妖精たちは 一斉に振り向いた
人間だ! 妖精たちは叫んだ

妖精たちは 四方八方に飛び惑った
また小さくなる者 怪物のように膨れ上がる者
囲い地から逃げ出そうとする者
石鉢からあふれていた炎と光は 不安定に
あふれだしたり とぎれたりし始めた


<つづく>


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※変更:2016年1月10日
妖精たちは みるみる内に大きくなって → 妖精たちは みるみる内に大きくなった
羽は炎となり 火の粉をまき散らしながら→ 背中の羽は炎となり 金の火の粉をまき散らす
広がっていく 金色の天地で踊り狂った→ 伸びゆく金色の天地で 妖精たちは踊り狂った
石鉢からあふれてた炎と光は 不安定に → 石鉢からあふれていた炎と光は ~
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