まかろんのお茶会

日々の小さなことを詩モドキにしてます。
皆さまのお茶菓子代わりに楽しんでもらえたら嬉しいです。

新作 ~ 「妖精の結婚式」 その132

2014-08-10 21:33:46 | 未完「妖精の結婚式」 2014梅雨
続きでーす。


2014年6月10日~ブログ直接投稿 「妖精の結婚式」 その132

  我ガ地ノ民 光ノ民ヨ
  囲い地に 声と緑の気配があふれ出た
  今最モ強キ光ノ刻ガ ヤッテクル
  ・・・解放 セヨ
  ぶん・・と 二つの人影がぶれて崩れた

<つづき>

妖精たちは また歌を歌った
先より 大きく大きく宙を満たす
必死に中を窺う さやかさんには
頭の中を殴られるようだった
おい・・? 妖精が手の中振り返った

痛ぇぞ んな握るな・・ってどうした?!
さやかさんは 答えなかった
ただまっすぐ 石鉢を視ていた
解放セヨ解放セヨ解放セヨ解放セヨ
声が 歌が喚んでいる

また石鉢の上に 暗い人影が現れた
薄蒼い姿は 今度は現れなかった
人影は上を向くと 両腕を高く上げた
妖精たちは宙をおどり狂い 一層歌は響いた
・・導きたまえ フィン・バラの王!

さやかさんの胸から 幾重にも
太い緑のイバラが 飛び出してきた
イバラはずるずると 身体の上に伸び
胴から首・・頭・・腕や脚まで・・
ぎちぎちと さやかさんを締め上げ始めた

イバラはさらに 地面に伸びていった
くっそ地味女め! 妖精はイバラが覆う
さやかさんの手から抜け出そうと もがいた
てめーで てめーを縛ってりゃ世話ないぜ!
解放・・セヨ・・ さやかさんはつぶやいた

あああくそ完全にイカれちまってる!
妖精は身をよじりながら わめいた
人間にこんなに効くなんざ 忘れてたぜ!
つーか お前はいろいろ閉じ込めすぎだ!
だから お前は地味女なんだよ!


<つづく>



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※変更:2016年1月10日
胴体から首・・頭・・腕や脚まで・・ → 胴から首・・頭・・腕や脚まで・・

※変更:2018年8月17日
さやかさんの胸から 何重にも → ~ 幾重にも
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新作 ~ 「妖精の結婚式」 その131

2014-08-10 21:31:35 | 未完「妖精の結婚式」 2014梅雨
どもども、続きです。


2014年6月10日~ブログ直接投稿 「妖精の結婚式」 その131

  起きてた方が・・様子も分かるしな
  妖精は重そうに頭を上げて 囲い地を見つめた
  さやかさんの手を押す 妖精の手は冷たかった
  お前の心は しけってトゲだらけだが
  吹く“風”は熱いぜ ・・悪くない

<つづき>

石鉢の人影は 左手を横に差しのべた
薄蒼く光る人影が現れた
妖精たちは歓声を上げ 飛び回った
女王! 我ラガ女王おーな!
ふたつの人影の下 蒼い光が広がった

薄蒼い人影は 時折姿がかすれるものの
光の中で きらきらと輝いていた
流れる青い衣装に 清流のような蒼い髪
広がる 輝く蒼い池のような光の上に
白い両手をついて 無表情にひざまずいていた

暗い人影は 薄蒼い人影を立ち上がらせた
やはり羽のないその姿は 気高く優美だった
薄蒼い人影は静かに 手を暗い人影の手に預けた
蒼い光は消え 淡い光がふたりを包んだ
並んで立つふたりに また歓声が上がった

我ガ民ヨ 暗い人影が腕を広げた
深い声は 耳でなく身体の裡から聴こえた
魂まで掴むような響きに さやかさんは揺れた
一瞬 中を窺うための集中が切れる
息を整えて また囲い地の中を視た

威風豊かな 深い森を思わせる声だった
雨を含む苔の匂い・・溢れかえる緑の呼吸
草木は土に還り・・水を伝わる深い滋味
鳥は喜び虫は飛び きのこは奇妙な音階を歌う
妖精たちはうっとりと 宙を漂った

我ガ地ノ民 光ノ民ヨ
囲い地に 声と緑の気配があふれ出た
今最モ強キ光ノ刻ガ ヤッテクル
・・・解放 セヨ
ぶん・・と 二つの人影がぶれて崩れた


<つづく>



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※修正のご報告:2016年1月10日
ふたりの人影の下 蒼い光が広がった → ふたつの人影の下 ~
白い両手をついて 無表情にひざまづいていた → ~ 無表情にひざまずいていた
羽はなくても優美な姿は 気高さがあった →やはり羽のないその姿は 気高く優美だった
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