まかろんのお茶会

日々の小さなことを詩モドキにしてます。
皆さまのお茶菓子代わりに楽しんでもらえたら嬉しいです。

新作 ~ 「妖精の結婚式」 その153

2014-08-23 21:52:41 | 未完「妖精の結婚式」 2014梅雨
昨年から物語詩を連続で創っておりますが、
物語を書いてて一番、よしッと思うのは、
前々から決めてた設定を、バシッと書き表わせた時だったりします。

まあ、ホント、ホッとしますね。

それ当てにして、思わせぶりなこと散々書いてるのに、
作中で出せないまま終わらせることになっちゃったら、
読む人はどー思うだろう、と気が気じゃないのデス。

当茶菓子もまだまだネタが隠れて(うーん、本人は隠してるつもり)るので、
なんとか全ての隠し扉を開きつつ、
ゴールまで皆さまをご案内していきたいですね。
(と言いつつ、2018年現在、再開の見込みは全くないのですが・・・。
 本当にすみません)

では、続きでーす。


2014年6月10日~ブログ直接投稿 「妖精の結婚式」 その153

  スコップは ざくざくと
  渇いた地面を 掘り進めていった
  暗い人影は ぐらぐらと揺れ始めた
  紫陽花を見上げて 笑った
  眼鏡の奥の目に 桃色の娘が映っていた

<つづき>

ああそうだったと 妖精は
切り裂かれるような想いで思った
この方が・・この方が
視てらしたのは いつだって・・
妖精は 桃色の自分のまた奥を見つめた

貪欲に 世界中から草花を集めた
陽の沈まない国は 蒼い花を手に入れた
華やかに形を変えた花は 異国の土と水で
桃色に色を変え 人々の庭で愛でられた
東洋の青年が学ぶ宿 その隣の庭でも

桃色の東洋由来の花 彩る庭で
咲きにおうは 無邪気な金髪の天使
ふるさと戻って見た 蒼い花
同じ花と聞くに 愛し慕わし遠き国
懐カシイナ・・・

暗い人影は また地を堀り始めた
お願いです ・・さま!
百年を経た紫陽花の精は 叫んだ
どうか捨て置いてください・・
私は・・私は“青花”です!

暗い人影は 掘るのを止めて
黒い目で 蒼い紫陽花を見上げた
私は 貴方の“天使”ではありません・・
紫陽花の精は 震えながら言った
彼の地の色すら もうないのです・・・

けれどと 蒼い紫陽花は地面の中に
なんとか もうほんの少し根を伸ばした
この娘は それと関係なく接してくれた
お願いです・・ と妖精は必死に訴えた
私に ここにいさせてください・・・

<つづく>


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新作 ~ 「妖精の結婚式」 その152

2014-08-23 21:35:11 | 未完「妖精の結婚式」 2014梅雨
どもども。静かな夜です。

続きでーす。


2014年6月10日~ブログ直接投稿 「妖精の結婚式」 その152

  ・・さま? 妖精はつぶやいた
  ふいに身の裡に 水が湧いたような気がした
  暗い人影は 微笑んだようだった
  紫陽花の精は ぼんやりと笑い返した
  暗い人影は 渇いた地面にしゃがみこんだ

<つづき>

暗い人影は 紫陽花を掘り返し始めた
いつの間にか その繊細な手には
銀色の小さなスコップが 握られていた
スコップは 薄ぼんやりとした明りの中
ギラリと 光を弾いて光った

・・お待ちください! と妖精は言った
お気持ちは嬉しゅうございますが けど・・!
心配シナイデイイカラネ と人影は言った
君ハ 僕ノ家ノ庭ニ植エテアゲル
人影は花をなでた 大丈夫ダヨ・・・

ああこれはと 妖精は思った
百年前に あの方が言ったこと
舶来品として連れてこられて
陰気な花だと捨てられそうになった私を
留学先でよく見た花だと 拾ってくれた

百年 この家の人は良くしてくれた
紫陽花は 根を踏んばりながら思った
主を失い代を替えても 戦の気運に
重くなる空気の中 家を守り庭を守って・・
干上がる夏には じょうろの甘露・・・

アジサイがやっと 世間で認められると・・
妖精は スコップを一心に動かす
繊細な手を ざわめく思いで眺めた
この家の人は 表に挿し木をしてくれた
うちの自慢の花を見てもらおうと・・・

スコップは ざくざくと
渇いた地面を 掘り進めていった
暗い人影は ぐらぐらと揺れ始めた
紫陽花を見上げて 笑った
眼鏡の奥の目に 桃色の娘が映っていた

<つづく>


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※修正のご報告:2016年1月10日
陰気な花だと捨てられそうになった私に → 陰気な花だと捨てられそうになった私を
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