NHK木曜時代劇『ぼんくら』シリーズの第2弾『ぼんくら2』が今週で4話目になります。前作からもう一年も経つなんて、月日が流れるのは早いものです。『ぼんくら』の世界の中でも月日の流れは登場人物たちの暮らしを変えていました。
《本所深川の鉄瓶長屋。八百屋殺しを皮切りに長屋の住人たちが次々に姿を消す事件が起きた。同心・井筒平四郎(岸谷五郎)は事件の背後に17年前に起こったある事件が隠されていることに気づき、一連の事件の核心に辿り着いたものの、大商人・湊屋惣右衛門(鶴見辰吾)の力によって表向きは未解決のまま終わらされてしまった。その後、鉄瓶長屋は取り壊され、跡地には惣右衛門の正妻・おふじ(遊井亮子)が一人で住むための屋敷が建った。
人々から事件の記憶が薄れた頃――。
湊屋惣右衛門の姪にして妾の葵(小西真奈美)が芋洗坂の屋敷で何者かに殺害された。そして現場にいた葵の息子の佐吉(風間俊介)が下手人として捉えられてしまう。佐吉は植木職人だが、かつては故あって鉄瓶長屋で差配人をしていた若者だ。
佐吉の無実を信じる平四郎と甥の弓之助(加部亜門)は真犯人の探索を始めるが、事件にはまたしても湊屋が大きな影を落としていた。
鉄瓶長屋で煮売屋をしていたお徳(松坂慶子)は幸兵衛長屋でも店を開いていたが、向かいのお菜屋の強引な商売に腹を立てていた。そうこうするうちに、お菜屋の女将が失踪してしまう。
お菜屋の小女たちに泣きつかれたお徳は、相手をしているうちにボヤを出して大事な鍋を割ってしまった。仕方が無いのでお菜屋の台所を使って商売をすることに。そこに貰い火で休業中の料亭「石和屋」の板前・彦一(合田雅吏) が訪れ、「煮売屋を手伝わせて欲しい」と頼み込む。
惣右衛門は裏から金を使って葵の死を病死として片づけた。
佐吉はお恵の待つ長屋に帰るが、別れ話を切り出してしまう。その後、平四郎の説得を受けた佐吉は頑なな態度を崩して、自分は葵を殺していないことをはっきりと口にする。そして、自分がおふじの屋敷の庭木の手入れを請け負ったこと、その際おふじから「葵は失踪したのではなく、とうに殺されている」と告げられたことを平四郎に伝えた。
おふじは屋敷の敷地に自分が殺した葵の遺体が埋まっていると信じている。
佐吉が移植した立派な藤が毒々しい赤紫の花を咲かせると、おふじは不穏な表情を浮かべた。そして、「肥やしを変えれば来年からは花の色目を変えることが出来る」と提案する佐吉に対して、「良いさ。どうやったってこの藤の花は赤くなると決まっているんだ」と薄く笑った。それから程無くして、おふじは庭で首を吊ろうとした。
葵を殺したのはおふじではないかと考えた佐吉は、惣右衛門に真相を問いただした。惣右衛門は、「おふじは葵が死んだと思っているが、実は葵は生きていて、内緒で芋洗坂の屋敷に匿っている。必ず逢す手筈を整えるから勝手に探さないように」と釘を刺された。しかし、佐吉は自分で葵の住む屋敷を突き止めてしまう。そして、首を絞められた葵の遺体を発見してしまったのだった。
平四郎は、芋洗坂の屋敷で葵の世話をしていた子持ちの寡婦・お六(西尾まり)から、葵を殺したのはお六に纏わりついていた孫八(なだぎ武)ではないかと聞かされる。お六に同情した葵が屋敷に伝わる「子盗り鬼」の話に絡めて孫八を痛めつけていたのだ。
平四郎は葵殺しを調べ直すために、芋洗坂一帯を縄張りとする同心・佐伯錠之助(嶋田久作)を接待することを思いつくが、金が無い。そこで、お徳に仕出しを頼むことにした。お徳は尻込みするが、彦一が「仕出し料理なら自分が作れるし、器も石和屋から借りれば良い」と提案する。
果たして、葵を殺したのは誰なのか?平四郎は、今度こそ事件の真相を白日の下に曝すことが出来るのだろうか?》
葵役が佐藤江梨子さんから小西真奈美さんに代わりましたね。小西さんのことは可愛らしい印象の方だと思っていましたが、第一話冒頭の煙管をふかしながら鴉の啼き真似をするシーンは陰惨で、葵という女の虚無的な心情をよく表していたと思います。
葵は前作において謎の中心にいた人物ですが、今作では第一話でいきなり殺されてしまいます。前作では、暴力亭主から息子の佐吉を連れて逃げた先で、伯父・湊屋惣右衛門の妾になり、正妻・おふじと激しく争う毎日でした。それが、ある日忽然と姿を消して、店のお金を持ち出して使用人と駆落ちしたと噂をたてられ、残された佐吉は肩身の狭い思いをして育ちました。
それから17年後、鉄瓶長屋では店子が次々に姿を消す事件が起きていました。平四郎は事件の背後に葵の失踪が絡んでいるとにらみ、湊屋の周辺を探索します。平四郎は、葵はおふじに殺されていて、湊屋所有の鉄瓶長屋の敷地内に埋められているのではないかと推理しました。実際、葵はおふじに首を絞められましたが、その後息を吹き返して、おふじに内緒で惣右衛門に匿われていたのです。しかし、事件はうやむやのまま捜査を終了させられてしまいます。
佐吉は葵を恨んでいます。何故、葵は佐吉と連絡を取らなかったでしょうか?
『ぼんくら』シリーズには様々なタイプの女性が登場します。平四郎の妻で控えめだけど根はしっかり者の志乃(奥貫薫)、弓之助の従姉で親の決めた婚礼に悩むおとよ(大森絢音)、佐吉の無実を信じて待つ妻のお恵(村川絵梨)、苦労人で人情家の煮売屋・お徳(松坂慶子)、湊屋の正妻で嫉妬の鬼・おふじ(遊井亮子)、そして、葵(小西真奈美)…。
女たちは皆苦労を背負っています。お徳は夫や舅姑の介護を全うし、今は独りで煮売家を営んでいます。前作には老父の介護と八百屋の商いのことで兄と揉めた末に殺人事件に発展してしまった女性や父親の博打の借金で岡場所に売られそうになった娘もいました。そして、おふじと葵は惣右衛門を巡って激しい諍いを繰り広げていました。それらの一見関係のない事柄の裏では常に湊屋惣右衛門が糸を引いていたのです。
それから、前作でお徳が面倒を見ていた元女郎のおくめ (須藤理彩)。だらしないけどお調子者で憎めない人でした。お徳に説得され堅気で生きていくために、お徳の店を手伝いながら煮物の作り方を教わっていましたが、どんどん病み衰え、最後にはお徳に介護されながらの寝たきり生活になっていたのが可哀相でした。お徳と女二人で楽しそうに煮売屋を切り盛りする姿と、無表情な顔で荷車に乗せられ療養所に連れられていく姿の落差が心に残っています。
幸兵衛長屋に引っ越して煮売屋を再開したお徳は、今回は失踪したお菜屋の小女たちの面倒を見ることになります。お菜屋の失踪は事件と関わりがあるのでしょうか?
さらに今回は、板前の彦一が煮売屋を手伝うようになります。お徳を評価している平四郎は、これを機に商いの手を広げることを提案しましたが、どうなるでしょうか?『ぼんくら』シリーズには、久兵衛(志賀廣太郎)のように一筋縄ではいかない人もいますが、彦一が見たままの善人でお徳に良くしてくれることを望みます。
登場人物たちは皆それぞれの境遇で一所懸命に生きています。事件の真相もですが、人々の行く末も気になるところです。たった七週で終わってしまうなんてもったいないですね。今回も毎週欠かさずに観ますよ。
《本所深川の鉄瓶長屋。八百屋殺しを皮切りに長屋の住人たちが次々に姿を消す事件が起きた。同心・井筒平四郎(岸谷五郎)は事件の背後に17年前に起こったある事件が隠されていることに気づき、一連の事件の核心に辿り着いたものの、大商人・湊屋惣右衛門(鶴見辰吾)の力によって表向きは未解決のまま終わらされてしまった。その後、鉄瓶長屋は取り壊され、跡地には惣右衛門の正妻・おふじ(遊井亮子)が一人で住むための屋敷が建った。
人々から事件の記憶が薄れた頃――。
湊屋惣右衛門の姪にして妾の葵(小西真奈美)が芋洗坂の屋敷で何者かに殺害された。そして現場にいた葵の息子の佐吉(風間俊介)が下手人として捉えられてしまう。佐吉は植木職人だが、かつては故あって鉄瓶長屋で差配人をしていた若者だ。
佐吉の無実を信じる平四郎と甥の弓之助(加部亜門)は真犯人の探索を始めるが、事件にはまたしても湊屋が大きな影を落としていた。
鉄瓶長屋で煮売屋をしていたお徳(松坂慶子)は幸兵衛長屋でも店を開いていたが、向かいのお菜屋の強引な商売に腹を立てていた。そうこうするうちに、お菜屋の女将が失踪してしまう。
お菜屋の小女たちに泣きつかれたお徳は、相手をしているうちにボヤを出して大事な鍋を割ってしまった。仕方が無いのでお菜屋の台所を使って商売をすることに。そこに貰い火で休業中の料亭「石和屋」の板前・彦一(合田雅吏) が訪れ、「煮売屋を手伝わせて欲しい」と頼み込む。
惣右衛門は裏から金を使って葵の死を病死として片づけた。
佐吉はお恵の待つ長屋に帰るが、別れ話を切り出してしまう。その後、平四郎の説得を受けた佐吉は頑なな態度を崩して、自分は葵を殺していないことをはっきりと口にする。そして、自分がおふじの屋敷の庭木の手入れを請け負ったこと、その際おふじから「葵は失踪したのではなく、とうに殺されている」と告げられたことを平四郎に伝えた。
おふじは屋敷の敷地に自分が殺した葵の遺体が埋まっていると信じている。
佐吉が移植した立派な藤が毒々しい赤紫の花を咲かせると、おふじは不穏な表情を浮かべた。そして、「肥やしを変えれば来年からは花の色目を変えることが出来る」と提案する佐吉に対して、「良いさ。どうやったってこの藤の花は赤くなると決まっているんだ」と薄く笑った。それから程無くして、おふじは庭で首を吊ろうとした。
葵を殺したのはおふじではないかと考えた佐吉は、惣右衛門に真相を問いただした。惣右衛門は、「おふじは葵が死んだと思っているが、実は葵は生きていて、内緒で芋洗坂の屋敷に匿っている。必ず逢す手筈を整えるから勝手に探さないように」と釘を刺された。しかし、佐吉は自分で葵の住む屋敷を突き止めてしまう。そして、首を絞められた葵の遺体を発見してしまったのだった。
平四郎は、芋洗坂の屋敷で葵の世話をしていた子持ちの寡婦・お六(西尾まり)から、葵を殺したのはお六に纏わりついていた孫八(なだぎ武)ではないかと聞かされる。お六に同情した葵が屋敷に伝わる「子盗り鬼」の話に絡めて孫八を痛めつけていたのだ。
平四郎は葵殺しを調べ直すために、芋洗坂一帯を縄張りとする同心・佐伯錠之助(嶋田久作)を接待することを思いつくが、金が無い。そこで、お徳に仕出しを頼むことにした。お徳は尻込みするが、彦一が「仕出し料理なら自分が作れるし、器も石和屋から借りれば良い」と提案する。
果たして、葵を殺したのは誰なのか?平四郎は、今度こそ事件の真相を白日の下に曝すことが出来るのだろうか?》
葵役が佐藤江梨子さんから小西真奈美さんに代わりましたね。小西さんのことは可愛らしい印象の方だと思っていましたが、第一話冒頭の煙管をふかしながら鴉の啼き真似をするシーンは陰惨で、葵という女の虚無的な心情をよく表していたと思います。
葵は前作において謎の中心にいた人物ですが、今作では第一話でいきなり殺されてしまいます。前作では、暴力亭主から息子の佐吉を連れて逃げた先で、伯父・湊屋惣右衛門の妾になり、正妻・おふじと激しく争う毎日でした。それが、ある日忽然と姿を消して、店のお金を持ち出して使用人と駆落ちしたと噂をたてられ、残された佐吉は肩身の狭い思いをして育ちました。
それから17年後、鉄瓶長屋では店子が次々に姿を消す事件が起きていました。平四郎は事件の背後に葵の失踪が絡んでいるとにらみ、湊屋の周辺を探索します。平四郎は、葵はおふじに殺されていて、湊屋所有の鉄瓶長屋の敷地内に埋められているのではないかと推理しました。実際、葵はおふじに首を絞められましたが、その後息を吹き返して、おふじに内緒で惣右衛門に匿われていたのです。しかし、事件はうやむやのまま捜査を終了させられてしまいます。
佐吉は葵を恨んでいます。何故、葵は佐吉と連絡を取らなかったでしょうか?
『ぼんくら』シリーズには様々なタイプの女性が登場します。平四郎の妻で控えめだけど根はしっかり者の志乃(奥貫薫)、弓之助の従姉で親の決めた婚礼に悩むおとよ(大森絢音)、佐吉の無実を信じて待つ妻のお恵(村川絵梨)、苦労人で人情家の煮売屋・お徳(松坂慶子)、湊屋の正妻で嫉妬の鬼・おふじ(遊井亮子)、そして、葵(小西真奈美)…。
女たちは皆苦労を背負っています。お徳は夫や舅姑の介護を全うし、今は独りで煮売家を営んでいます。前作には老父の介護と八百屋の商いのことで兄と揉めた末に殺人事件に発展してしまった女性や父親の博打の借金で岡場所に売られそうになった娘もいました。そして、おふじと葵は惣右衛門を巡って激しい諍いを繰り広げていました。それらの一見関係のない事柄の裏では常に湊屋惣右衛門が糸を引いていたのです。
それから、前作でお徳が面倒を見ていた元女郎のおくめ (須藤理彩)。だらしないけどお調子者で憎めない人でした。お徳に説得され堅気で生きていくために、お徳の店を手伝いながら煮物の作り方を教わっていましたが、どんどん病み衰え、最後にはお徳に介護されながらの寝たきり生活になっていたのが可哀相でした。お徳と女二人で楽しそうに煮売屋を切り盛りする姿と、無表情な顔で荷車に乗せられ療養所に連れられていく姿の落差が心に残っています。
幸兵衛長屋に引っ越して煮売屋を再開したお徳は、今回は失踪したお菜屋の小女たちの面倒を見ることになります。お菜屋の失踪は事件と関わりがあるのでしょうか?
さらに今回は、板前の彦一が煮売屋を手伝うようになります。お徳を評価している平四郎は、これを機に商いの手を広げることを提案しましたが、どうなるでしょうか?『ぼんくら』シリーズには、久兵衛(志賀廣太郎)のように一筋縄ではいかない人もいますが、彦一が見たままの善人でお徳に良くしてくれることを望みます。
登場人物たちは皆それぞれの境遇で一所懸命に生きています。事件の真相もですが、人々の行く末も気になるところです。たった七週で終わってしまうなんてもったいないですね。今回も毎週欠かさずに観ますよ。