東京国立博物館の古代ギリシャ展に行ってきました。
この展覧会は、紀元前7000年から古代が終わりを告げる西暦330年頃までのギリシャ史にスポットを当て、ギリシャの各地を巡る旅へのいざないとして企画されたそうです。会場には、ギリシャ国内の40ヵ所以上の博物館から集められた325件の作品が展示されています。
山がちな半島であるギリシャは、エーゲ海、イオニア海、ミルトア海、クレタ海に囲まれ、海上には約6000の島々が点在しています。
神話・美術・建築・哲学・演芸・スポーツ…多彩な自然を背景に構成された古代ギリシャの文化は、驚くほど豊饒で、西洋文明の揺り籠とか美の源泉などと呼ばれるのに相応しいものでした。西洋文化とは、古代ギリシャの模倣とアレンジに過ぎないのではないかと思った次第です。
会場は二か所に分けられています。
展示物は、古代ギリシャ世界の始まり→ミノス文明→ミュケナイ文明→幾何学様式~アルカイック文明→クラシック時代→古代オリンピック→マケドニア王国→ヘレニズムとローマと時代の流れに沿って置かれていました。
古い時代のものほど独創的で興味深く、逆に最後のヘレニズムとローマのコーナーになると過去の模倣というか、どっかで見たことのある感じがしました。
会場でカタログを購入しましたよ。
パピルス形ビーズのネックレス。前15~前14世紀、メッセニア地方、エリニカの墓地。
左ページ、前14~前11世紀。オリンピア、トリベス、マギラス墓地。
右ページ、前1500年~前1100年前。プサラ島、アルホンティキの墓地。
ボタン。前325~前300年。ピエリア地方、古代ピュドナの南墓地。
イヤリング。前325~前300 年。ピエリア地方、古代ピュドナの南墓地。
装飾品や食器類は現代人が使用していても違和感がないくらい洗練されていました。これは、現代のデザイナーがギリシャの文化・美術をかなり意識しているということなのでしょうね。さすが西洋文明発祥の地です。
左ページ、前5世紀。
右ページ、前500~前450年。
丁度オリンピックが開催中ということもあって、古代オリンピックのスペースは興味深かったです。
画像の石器は、ハルテレスといいます。
石或いは金属製の重りで、走り幅跳びの競技者が跳躍の勢いをつけるのに用いたそうです。説明文だけではちょっとイメージが難しかったのですが、そういう人のためにか、会場には古代ギリシャ人に扮した役者による再現映像が用意されていました。両手に持って走り、着地の直前に放り投げるのですね。使い方はよくわかりましたが、効果のほどは疑わしいです。私たち夫婦は、「これ、ほんとに意味あるのかね?」「無かったから廃れたんじゃないの?」などと話し合いながら映像を見ていました。
因みにこのハルテレスは、腕力を鍛えるトレーニング(ハルテロポリア)にも用いたそうです。鉄アレイみたいな感じでしょうか。
娘は、絵葉書を購入しました。
上段右・ギンバイカの金冠(前4世紀後半)
上段左・抱擁するエロスとプシュケ(前1世紀初め)
下段・イルカに乗ったアフロディテ像(前2~前1世紀)
朝日新聞の号外をもらえました。
こちらは、ジュニアガイド。
ただし、会場にはあまり子供の観客はいませんでした。チビッ子には難しいのかもしれません。その分、静かに観覧することが出来ますよ。
ギリシャ本国の作品のみによるものとしては、かつてない大規模なギリシャ美術展です。日本ではもう2度と見ることのできない展示物も多いと思いますので、興味のある方はこの機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。9月19日までです。