その男は司祭に歩み寄っていいました。「司祭さま、言いにくいんですが、私は神さまと祈りの力に対する信頼をなくしてしまいました」
「それはまたどうしてなのかね?」と司祭は丁寧にたずねました。
男は二、三ヶ月ほど前アラスカの原野で狩りをしていて、友人たちとはぐれてしまったのだそうです。原野にたった一人というのは途方もなく恐ろしい経験でした。「凍死するかもしれなかったんですよ。それで助けてくださいと、何度も何度も神さまに祈りました。でも何も起こらなかったんです」
司祭は戸惑いました。「でもここにいて私にその話をしているのですから、明らかにあなたは助けられたのですよね」
「ええ、そうですよ。たしかに助けられはしたけど、神さまのおかげじゃなしにね。エスキモーが助けてくれたんです。」
私たちの多くがエスキモーに助けてもらいながら、そこに神の手が介在したことに気がつきません。
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3月のミーティングはお休みです。