p190
美味しいものを食べると人は嬉しくなる。それを確認してくれる人がいると、美味しいという自分の感覚が母親のそれとつながり、共感が生まれる。
美味しさは自分の体が感じている、まったく否定しようのない、明確で、確実な感覚だ。
それを、他の個体である母親と共有できる。人と人のつながりができる。生まれてから何度も繰り返されたその関係の先には、母親以外の多くの人々がいて、さらにその先に、社会があるのだ。
p191
しかし、母親が「美味しいかい?」と聞いてくれないと、「美味しいから、満足、うれしい、よかった」という体験は、人間関係の中で確認できないままに、ぼんやりとしてしまい、やがて消えていく。
世界との関係が希薄になる。
彼女の感覚は現実世界から、徐々に透明なガラスで遠ざけられていく。
…
自分には「美味しい」の確信がない。それが彼らの「孤立感」であり、「普通」でないことの感覚なのである。
*お知らせ*
5月24日(日)13:30〜14:10
zoomミーティング
一度参加された方には、メールでURLをお知らせします(^^)
初めての参加の方は、コメント欄でメアドを教えてください。
折り返し連絡いたします。