コメントをいただき、有難うございます。
2007年に投稿したものですが、2009年の今日でも、土屋賢二教授の「経済学は巨大なヌエ」という考察は興味深いと考え、再投稿いたします。
●2007-09-07 10:02:43 投稿
昨日、紹介した土屋賢二教授の日経新聞「経済教室」~経済学を語る、異分野の視点、「巨大ヌエ」さらに解明を、
(関連投稿
http://blog.goo.ne.jp/mamiko-kouhei/e/e16793d9ced25d96f75e47d8ddacdbaa
の中で、下記のような記述があった。
(以下、引用)
奇妙なのは、専門家の予想が外れても、だれ一人として損害賠償を求めないことである。もし医学の専門家の言う通りにして病気が悪化したり、物理学や工学の専門家が設計したロケットが飛ばなかったりすれば責任を問われるが、経済学者が予測を外して訴訟を起こされた話は聞いたことがない。
(中略)
ノーベル経済学賞受賞者がふたりも参加した米国のヘッジファンドが倒産したときも、ノーベル賞を返上しろとは言われなかったし、たぶん学者としての信用は失われていないのでなかろうか。
この話のオチとしては
「経済学者が信用を失うには痴漢でもはたらくしかないのかとさえ思う」というツチヤ節で終わる。
(この話全体は、いたって真面目で鋭い考察なので、ぜひ9月6日の日経新聞を読んでみてほしい)
この、ノーベル賞のいたヘッジファンドってどこだろう、と思って調べてみた。
おそらく、ツチヤさんが例に出したのは、ご存知の方はご存知だと思うが、
「
ロング・ターム・キャピタル・マネジメント」(LTCM)という、巨大なファンドが破綻(1998年)したことだと思われる。
あまりに巨大なファンドであったため、その破綻は、世界の金融市場に壊滅的な打撃を与えるとして、FRB(米連邦準備制度理事会)が音頭を取って、市場原理にはゆだねずに、先進各国の金融機関が損失を分担する形で、事態を収束した、という歴史がある。
そしてLTCM の「チーム」の中に 2 人のノーベル賞受賞者がいたから注目されたらしい。
一人はコンピュータ・サイエンス出身の金融経済学者でスタンフォード大学教授マイロン・ショールズ(Myron Scholes)、もう一人は数学出身の経済学者でハーバード大学教授ロバート・マートン(Robret Merton)。
2 人は 1997 年、フィッシャー・ブラック(Fischer Black)と共同で導出に成功した「
ブラック・ショールズの公式」(Black-Scholes formula)というデリバティブの価格付け理論によりノーベル経済学賞を受けている。
(内容は難しくて、とてもじゃないが説明できないので興味のある人は調べてください)
事態に困惑したノーベル賞委員会のなかには、2 人に対する受賞の撤回、ノーベル経済学賞自体の廃止の声さえ上がったそうな。
ノーベル経済学賞は賞の創設時にはなく、現在も選考手続は外部委託されており、ノーベル賞委員会からみればこの事件は賞の権威を失墜させるものと考えられたらしい。
ノーベル賞受賞者ですら失敗するのが、経済の複雑怪奇なところだと素人も思う。
ツチヤさんのいう通り、経済学は巨大なヌエだ。