家庭の事情により里親募集に出された2頭の超大型犬。
ともに年齢はシニアである。
飼い主がこの決断をしている時、
2頭はどんな気持ちでいただろう・・・
想像するだけで、寂しく、悲しい。
これから書こうとしているのは、
私が彼らの里親探しを通して学んだ
想像も出来なかった犬たちの心である。
推し測る犬の気持ちは、全て私が感じたことであり、
想像の域を出るものではないが、
心動かされた犬たちのことを言葉で記録しておきたい。
私は何度か、犬たちに会いに行った。
ロン(仮名)が1才半の時にやって来た仔犬のボン(仮名)。
それからずっと、ロンは甘えん坊のボンの面倒をみてきた。
ともに穏やかで、人懐こく、躾をされていたことも分かる。
2頭の関係は、まるで仲の良い兄弟、
時にはケンカもしたけれど、どんな時も一緒だった。
彼らのことを少しずつ知るうちに、
私はその健気な可愛らしさに魅かれていった。
この可愛い仔たちを何とか守りたい・・・
しかし、人様に打診するには、大きな問題があった。
健康状態の確認がどうしても取れないのだ。
そんな時、犬たちに一緒に会いに行った私の友人から申し出があった。
高齢で難しいであろうロンの方を引き取りたい、
病気があっても治してあげたいと。
しばらくして、ボンの方にも明るい話が舞い込んで来た。
病気や要介護の際のケアも含めて、受け入れてくれると言う。
犬の余生を大切に思い、共に楽しもうとしてくれる人々。
本当に有り難く、嬉しかった。
そして、引き取りの日。
ロンの足から血が・・・
前に会いに行った時には気がつかなかった。
飾り毛に隠れたかかと部分に腫瘍があり、それが悪化したようだった。
友人はそのまま引き取り、すぐにロンを病院へ連れて行った。
診断はフィラリア検査で陽性、そのため手術や治療にリスクを伴うとのこと。
つまり、亡くなってしまうことも覚悟の上で、病気の治療に当たらねばならない。
それでも、友人は出来る限りの検査と手術を予約し、
応急処置をしてもらった。
ロンは病院で激しくマーキング、家に連れて帰ってからも
門扉をこじ開けようとしたり、帰りたい素振りを見せていたと言う。
そのあまりに悲しそうな表情に友人は悩み、相談してくれた。
ロンは病気の治療よりも元の家に、飼い主の元に戻りたいのではないか?
命の長さは、誰にも分からない。
もしかしたら、時間はあまりないかもしれない。
残された時間を知らない場所、知らない人の中で過ごすことが
ロンにとって、幸せなのか?
辛いことだが、飼い主を説得することも踏まえて、
私たちはロンを元の家に連れて行った。
その時・・・
元の飼い主を見たロンの明るい表情・・・
そばに駆け寄る喜びに満ちた足取り・・・
それが、ロンの選択なんだ・・・愕然とした。
ロンの中には、可愛がられた記憶が確かにある。
家庭の事情で手放されると分かっても、
パパをを支えたいよ、ずっとそばにいたいよと
言っているように思えてならなかった。
もしかしたら、ロンとボンは話し合っていたかもしれない。
僕が残ってパパを支えるから、心配しないで。
ボンは新しいおうちへ行くんだ、そこで可愛がってもらうんだよ。
そんな会話が聞こえて来たような気がしてならなかった。
ボンは受診の結果、健康体だった。
少しずつ落ち着き、可愛がられていると聞いている。
帰る時、ロンがこちらをじっと見つめた。
飼い主に連れられて私たちを見送る表情は、
穏やかで優しく、とても清らかだった。
その表情が心に残って離れない。
どうかきみの思いが届きますように。
きみがいるから、頑張れることもあるかもしれない。
きみの命が尽きる時、きみのパパがそばにいますように。
私には祈ることしか出来ない。
後日、私は深く傷ついているに違いない友人を訪ねた。
保護した犬猫たちと暮らし、母親を介護中でもある友人は、
こう言って、笑わせてくれた。
母の気持ちは分からないけれど、
犬の気持ちは分かるのよ。
笑いながら、涙がこぼれた。
犬たちは、どこまでも、どこまでも、
何て、愛おしい存在なのだろう。
ロン・・・ボン・・・
きみたちに会えてよかったよ・・・
今日も会いに来てくれて、ありがとう!
ともに年齢はシニアである。
飼い主がこの決断をしている時、
2頭はどんな気持ちでいただろう・・・
想像するだけで、寂しく、悲しい。
これから書こうとしているのは、
私が彼らの里親探しを通して学んだ
想像も出来なかった犬たちの心である。
推し測る犬の気持ちは、全て私が感じたことであり、
想像の域を出るものではないが、
心動かされた犬たちのことを言葉で記録しておきたい。
私は何度か、犬たちに会いに行った。
ロン(仮名)が1才半の時にやって来た仔犬のボン(仮名)。
それからずっと、ロンは甘えん坊のボンの面倒をみてきた。
ともに穏やかで、人懐こく、躾をされていたことも分かる。
2頭の関係は、まるで仲の良い兄弟、
時にはケンカもしたけれど、どんな時も一緒だった。
彼らのことを少しずつ知るうちに、
私はその健気な可愛らしさに魅かれていった。
この可愛い仔たちを何とか守りたい・・・
しかし、人様に打診するには、大きな問題があった。
健康状態の確認がどうしても取れないのだ。
そんな時、犬たちに一緒に会いに行った私の友人から申し出があった。
高齢で難しいであろうロンの方を引き取りたい、
病気があっても治してあげたいと。
しばらくして、ボンの方にも明るい話が舞い込んで来た。
病気や要介護の際のケアも含めて、受け入れてくれると言う。
犬の余生を大切に思い、共に楽しもうとしてくれる人々。
本当に有り難く、嬉しかった。
そして、引き取りの日。
ロンの足から血が・・・
前に会いに行った時には気がつかなかった。
飾り毛に隠れたかかと部分に腫瘍があり、それが悪化したようだった。
友人はそのまま引き取り、すぐにロンを病院へ連れて行った。
診断はフィラリア検査で陽性、そのため手術や治療にリスクを伴うとのこと。
つまり、亡くなってしまうことも覚悟の上で、病気の治療に当たらねばならない。
それでも、友人は出来る限りの検査と手術を予約し、
応急処置をしてもらった。
ロンは病院で激しくマーキング、家に連れて帰ってからも
門扉をこじ開けようとしたり、帰りたい素振りを見せていたと言う。
そのあまりに悲しそうな表情に友人は悩み、相談してくれた。
ロンは病気の治療よりも元の家に、飼い主の元に戻りたいのではないか?
命の長さは、誰にも分からない。
もしかしたら、時間はあまりないかもしれない。
残された時間を知らない場所、知らない人の中で過ごすことが
ロンにとって、幸せなのか?
辛いことだが、飼い主を説得することも踏まえて、
私たちはロンを元の家に連れて行った。
その時・・・
元の飼い主を見たロンの明るい表情・・・
そばに駆け寄る喜びに満ちた足取り・・・
それが、ロンの選択なんだ・・・愕然とした。
ロンの中には、可愛がられた記憶が確かにある。
家庭の事情で手放されると分かっても、
パパをを支えたいよ、ずっとそばにいたいよと
言っているように思えてならなかった。
もしかしたら、ロンとボンは話し合っていたかもしれない。
僕が残ってパパを支えるから、心配しないで。
ボンは新しいおうちへ行くんだ、そこで可愛がってもらうんだよ。
そんな会話が聞こえて来たような気がしてならなかった。
ボンは受診の結果、健康体だった。
少しずつ落ち着き、可愛がられていると聞いている。
帰る時、ロンがこちらをじっと見つめた。
飼い主に連れられて私たちを見送る表情は、
穏やかで優しく、とても清らかだった。
その表情が心に残って離れない。
どうかきみの思いが届きますように。
きみがいるから、頑張れることもあるかもしれない。
きみの命が尽きる時、きみのパパがそばにいますように。
私には祈ることしか出来ない。
後日、私は深く傷ついているに違いない友人を訪ねた。
保護した犬猫たちと暮らし、母親を介護中でもある友人は、
こう言って、笑わせてくれた。
母の気持ちは分からないけれど、
犬の気持ちは分かるのよ。
笑いながら、涙がこぼれた。
犬たちは、どこまでも、どこまでも、
何て、愛おしい存在なのだろう。
ロン・・・ボン・・・
きみたちに会えてよかったよ・・・
今日も会いに来てくれて、ありがとう!