ピレネーの山の犬 Zion♪シオン

シオンとともに歩く道、ともに見る風景、暮らしと庭の花たち。

言葉のない会話

2018-01-31 | 生態・行動
浄水通の住宅地を歩きながら、
近くで出会ったある婦人のことを思い返した。

その人は小さな声でZionに話しかけ、涙を浮かべた。
どうしたの?と言うように、Zionが自ら顔を近づける。
婦人は涙を手で拭いながら、少し笑った。
Zionが何を話したのか分からないけれど、伝わったんだね・・・

不思議だけど、これまでにもこんな場面が何度もある。



人の心を感じ取ろうとする一方で、
撫でられるのを避けたり、無視したりすることもある。
Zionは人が好きであるが、誰でもというわけではないらしい。

初対面でもすぐに親しくなろうと積極的にアプローチしたり、
犬好きで慣れているから、犬にも好かれると自信満々で接する人には、
Zionは引いてしまう。

前に出会ったゴールデンを飼っていたという男性。
低く構えて、両手を広げ、笑顔でZionを呼んでいる。
「さぁ、来い! ヨシ、来い! ソラ、来た!」
自分の方へ来たら、ガシガシとハグして可愛がろうと待ち構えている。

Zionに漂うしれ~とした空気・・・
チーン・・・

こんな時、申し訳ない気持ちになってしまうが、
Zionの気持ちを代弁すると、こうだ。
「何で?」

Zionはどんな場面でも、
自分にとってそうする理由が見当たらない時、無反応を貫く。
彼はそういう性格の持ち主である。

不愛想で頑固、繊細な優しさ、言葉のない会話・・・

涙をこぼしていたあの婦人・・・
あの時、Zionは何を話したのだろう。

散歩道は凍てつくような風の中。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




油山の足跡

2018-01-12 | 高原・山
10日、この冬一番の寒波が押し寄せた。

市内はみぞれやちらちらと雪が舞う程度だったが、
油山の方を眺めると、3日たっても展望台の辺りは真っ白。



散歩コースは油山。
中腹にある駐車場までの車道は積雪のため閉鎖、歩いて上る。
歩けば歩くほどに、登山道も遊歩道も雪に覆われていた。
平地とこんなに違うなんて・・・!



いつも遊んでいた場所は・・・



足跡ひとつなかったよ!



わ~い、わ~い!
足跡つけまくりだっ!



先月、Zionは10才になった。
無条件にはしゃぐ年代は過ぎているが、楽しそうに駆け回った。



目的があれば、スイッチが入る。
そんな時のZionは、人にも大きなエネルギーを運んでくれるようだ。



草スキー場の急斜面にも一番乗り。
次に来た人は、Zionの足跡に大きな動物の姿を重ね、驚くかもしれない。



なんて思っていたら・・・
登山客もまばらな雪道、続く谷にイノシシのような足跡を発見。
もし出会ったらと思うと、やっぱり怖い。

Zionがいる、大丈夫、大丈夫。
Zionの気配をまき散らせて、山を下りる。

途中、草スキー場へ行くらしい親子連れに出会った。

「あの足跡は、ぼくだよ。心配いらないよ!」

すれ違う時、Zionがそう言ったような気がした。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




縁起のいい日

2018-01-03 | 散歩と人
「第九」の演奏が終わると、時計はひたすら午前零時に向かい始めた。
オーケストラと共に歌う「威風堂々」。
指揮者のきめポーズ!鳴り響くクラッカー!湧き上がる歓声!
大成功のカウントダウン曲に会場がひとつになる。
私は合唱団員として大晦日のコンサートに出演していた。

高揚する気分は収まらないけれど、静かに静かに・・・
午前2時前、帰宅すると、2階の寝室からZionが駆け下りて来た。
おかえり。おかえり。

夕方のゲネプロ入りから立ちっぱなしだった足に湿布薬を張ると、
カーペットの暖かさの中に溶けていくような心地よさ。
Zionは夢の続きのページを探しているのか・・・
傍らで気持ちよさそうに寝息を立てた。

2018年はこんなふうに始まった。



公園を散歩していると、家族連れがこちらを見てしきりに何か言っている。
「縁起がいい」「縁起がいい」「縁起がいい」

今年は戌年。
元旦にZionに出会ったことを「縁起がいい」と思ってくれたと言う。
そんな家族に出会えて、こちらも本当に「縁起がいい」。
らいおんスマイルのZion。



公園では色んな人に出会う。
今度は年配の女性が話しかけてきて、
今年は戌年だから・・・そう言って、Zionに手を合わせた。
チーン。



Zion、大笑いの図。

この国は、八百万の神々の国。

神様、元旦早々ごめんなさい。

それでも、笑う門には福来たる。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!