ピレネーの山の犬 Zion♪シオン

シオンとともに歩く道、ともに見る風景、暮らしと庭の花たち。

健脚への道

2014-09-24 | 阿蘇・久住
阿蘇谷に浮かぶような天空の道。
その絶景が見える丘に立ち、風に吹かれていると、
バイクだけでなく、自転車が上ってくるのをよく見かける。
すごい脚力だな・・・



健脚はここにもいる。
山道や坂があれば、当然のように登って行く犬。

でも、ここを歩く人を見たことがない。
ならば歩いてみようか・・・

一人ではとてもそんな気は起こらないが、
Zionと歩けば・・・不思議なことに歩けるのである。



道の中ほど、Zionだけが小さく見える。



遠くなるほどに、それは白い点のようになっていく。
途中から戻ったが、あまり匂いがないためか、
Zionは下りも上りも駆け足で進んだ。

阿蘇谷に雲海が広がるのを想像してみた。
雲の上に現れる道はどんな感じなのだろう。
そう思うと、ますます雲海を見てみたくなるのだった。

それから大観峰を経由して、阿蘇・中岳へ。
ちょうど連休でどこも観光客でいっぱいの道。
火口の下までやっと辿り着くと・・・



こんなことはよくあることだが、
登る気満々だったZionは、不満そうに柵の向こうを伺った。

この日は中岳頂上へ登山をしに来たわけではなく、
少し上って、火口を見るだけのつもり。
山の空気はZionに何かを語りかけるのか・・・
Zionの表情は、山登りの時に見せる
揚々とした輝きに満ちていた。



それでも、自然には逆らえない。
Zionを諭して、草千里まで引き返した。

烏帽子岳と草千里。

人々は馬に乗ったり、散策したり、思い思いに楽しむ。
犬は草千里には入れないので、この辺りを歩くだけなのだが、
秋の風がススキを揺らし、Zionは楽しそうだった。



その夜、私は大腿四頭筋の筋肉痛になった。
長い坂を駆け上がったからだろう (弱っ)。

ピレネーにとって気持ちのいい季節がやって来る。
放浪のごとく、気の向くままに歩くことこそ君の楽しみ。

足は引きつろうとも・・・
よかろう、つき合おうじゃないか。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




ピレネーと満月

2014-09-19 | お散歩
つくつくぼうしの鳴き声が止んだと思ったら、
あっという間に夜の帳が降りて来て、リンリン・・・リンリン・・・
秋の虫たちが散歩の夜道を風流にする。


( 福岡城址・天守台より望む )

今はもう下弦の月を過ぎ、暁月に向かう頃・・・
月は深夜から夜明け近くに東の空に昇り、午後に西に沈むため、
夜9時頃の散歩では、どこを探したって月は見つからない。

欠けていく月は昼間に見えることがあっても、
その時刻には月のことなどすっかり忘れている。

そんな私でも、三日月が日没頃に西の空に光って見えるようになると、
やがて上弦、十五夜と月が日ごとに丸みを帯びていくのを
ちらりとだけでもどこかで眺める。

月齢ごとにつけられた月の呼び名は、
旧暦の人々と月との深いかかわりが感じられ、美しい。


( 9月9日、スーパームーンとともに )

満月の夜、Zionは色々な生き物に敏感に反応した。
夜の闇に紛れる黒猫も決して見逃さない。
集中力が高まり、五感が冴え渡る。

月や太陽の引力が地球の潮の干満を起こしたり、地震などの関連性から
人体へも影響するという説がある。

特に太陽、月、地球が一直線に並ぶ新月と満月の時、引力が重なり大潮となるが、
この時、人の血液や体液も引っ張られ、神経系が活性化するというのである。
米では犬や猫にまで影響するというデータもあるようだが、
科学的根拠は不明である。


( 薄雲に隠されながらなお、その輝きを放つスーパームーン )

スーパームーンに照らされた公園で、
Zionは月を眺める人々の様々な思いを感じ取り、
気持ちが高揚したのかもしれないと思った。
そんな気持ちの連動は普通にあるように思う。

夜は、昼間にはない緊張感を犬も感じているはずである。
それ故、一緒に歩く家族とのつながりを深めながら、
自然に五感を鍛えるような時間になればと思う。

夜のパトロールは、そんな思いもあり、
朝の散歩とともに大切なひとときである。

月の神秘を秘かに感じながら・・・


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




8月の犬たち

2014-09-08 | 生態・行動
雨ばかりの夏が終わっても、なおぐずつく空の下、
久しぶりに光がこぼれて来た日・・・

豪雨災害に遭われた方々に一日も早く
平穏な日々が戻りますようお祈りしながら、
あの災害現場で働いていた犬たちの姿を思い出す。



泥だらけになり、ひたすら人の匂いを探していた
100頭を超える災害救助犬たち。

中には、センターで殺処分寸前に保護され、訓練を経て、
初めて臨んだ現場で活躍を見せたという犬もいた。
ニュースでも何度か取り上げられていたが、
現場でも訓練時でも、使命感に溢れた表情が印象的だった。

人に裏切られた犬が人によって再び心を取り戻し、
人を助けるために働く・・・何と言うひたむきさだろう。
その姿にただ、心を打たれる。



こうした働く犬たちの中でも、働く環境が大きく違うのが盲導犬だ。
盲導犬とパートナーは、自らに危険が忍び寄って来た時、
積極的な行動により回避することが難しい。
それを狙った悪質ないたずらは、卑劣極まるものだが、
卑劣な行いに対抗できるのは、周囲の目だと思う。
事件が大きく報道されると、模倣犯が出るとの危惧もあるが、
多くの人々は、温かく見守ることの大切さと
卑劣な行いは許さないという思いを新たにしたのではないだろうか。



ところで、前に書いたあの気になる家はどうなったかと言うと・・・
その後、お家の方と話をする機会があり、
7月の初め頃、引っ越して来たということが分かった。
ちょうど、Zionが気にし始めた頃だ。
その家の犬は、とても内気な性格だそうで、
慣れない所に来たばかり、不安な気持ちを募らせていたようだ。
今では時々、奥から出て来て、嬉しそうに挨拶をしてくれる。
Zionがここでの最初の友だちになった。



そして、8月に初めて晴れた気がする最後の週末、姪たちが遊びに来た。
小さな彼女とZionは・・・



ずんずん突き進んで来る1才5か月、怖いものなし。
Zionは予想外にも、引いては逃げた。

幼児に触られることには慣れていると言っても、
それはわきまえであって、実のところは、
コミュニケーションが取れない不安があるのだと思った。



少しの間でも一緒に暮らすと、また違ってくるのだろうが、
Zionにとって、今のところ、彼女は得体の知れない生き物らしい。

今度会う時、心はどこまで近づけるだろう。

人と犬、犬と犬・・・

いつも何かを教えてくれる。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!