今日から東京出張なんで、アトランティス話は2,3日アップできませんが帰ってきてからまた続きアップしますので。
まあ、左の「アトランテイス小説」のカテゴリーでまた読み返していただけるといいかなぁ、なんて思っております。
書き加え前のものはケーシー・リングのページのほうに上がってますので、ネタバレしても言い方はそっち見て見てくださいね。
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僕は、ヤーフルとの過去を見た時の映像を調べるため、街の図書館に来ていた。
ヤーフルを連れてくると目的と違う調べ物になりそうなので、今日は一人で行動することにした。ちょうど施設見学も午後からだし。今日は半日フリータイムだったから。
施設見学があった翌日は、たいてい半日はフリータイムとなっていて。
自分で感じた疑問や知りたくなった事を、自分なりに調べる時間となっている。
後日、施設見学で自分の思ったこと、感じた事を報告するため。
ブリーフィングはあくまで自分たちで話し合うところだけど、僕らの事を見ている大人もいるから、そういう人用に報告を書かないと行けない。
だったら大人がそこにいて、記録してくれればいいのに。と思うけど。
まとめるまでが僕たちの勉強、だそうだ。
そういうことで、図書館に行くと、昨日のメンバーが結構来ていた。
むこうにラムンロゥスの姿を見かけたので、情報粒子を使って呼びかけるとこちらに気付いたようで、足を停めて僕が近づくのを待ってくれた。
情報粒子のある場所では、基本的に声をかけなくてもバンダナを使えばすぐに呼び止められる。
「カシェットとは同じじゃないんだね。」
僕が聞くと、ラムンロゥスは紫の目で僕をじっと見て
「あの人は博物館にいったわ。」
と無表情に言う。基本的に目つきがちょっとつり目なので、正面から見つめられるとちょっと怒っているか機嫌が悪いのかと思ってしまいそうだけど。
表情の豊かなヤーフルとはまた違った感じの子だ。
「カシェットはなにするって?」
「ヒトヲメンバーの生活していた時代を見に行くって。それで粒子技術の発達した理由を体験しに行くって言ってたわ。」
「一緒に行かなかったんだ。」
「私はカシェットが見落としそうなところをこっちの図書館で調べておくつもり。あの人は自分で体験するだけやって、あと周りが見えてないから見落としがおおいの。」
そう言ってちょっと笑う。
こうやって、ペアな感じのメンバーは、互の足りないところを補助するように行動して居たりする。僕とヤーフルはカシェットとラムンロゥスとは逆な感じか。
ヤーフルは今美術館に行って調べていると、さっき図書館に来るまえに食堂で会ったシェラから聞いたので。
同じ部屋のメンバーも、互いに補うように行動しているところが、ちょっと面白い。
図書館に入ると、入口の大人の女の人に自分の情報を伝えて(これはバンダナで一瞬で終わる)記録してもらって。
すると、別の女の人が部屋から出てきてくれた。
大人と僕ら子供は服装がちょっと違っていて。大人は仕事や役割によって上着の色が違っていて。足元までくるような長さがあるから、外見上はみんな同じように見えてしまう。
髪の色とかで区別するくらいかな。
子供の服はシルバーの体にぴったりとしたものになっていて。外出のときはそこに上着をまとっている感じ。
だから、パッと見は子供同士、大人同士だと個人の区別はつきにくい。
といっても情報粒子があれば外見はあまり気にしなくてもすぐに区別つくので、なにも不便なところはないけど。
今日来ている図書館の大人は、オレンジの線が入った白い上着を着ている。
「君、始めてここ使うの?」
そう言って僕の前に立つのは50周期くらい(20歳~30歳くらい)の目の色が青い女の人で。情報粒子によると「ラントォウ」という名前の人らしい。
肩で切りそろえた銀色の髪に茶色のバンダナを巻いている。茶色は事務関係の仕事に携わる人たちの色だ。
ヤベーへたちがいた粒子を扱う塔の中みたいなところでは青い色のバンダナを使っていた。
大人の使うバンダナは仕事ごとに色が違って居たりするけど、ぼくらのはみんなおなじシルバー。
これは色つきのバンダナになるとそれぞれの個人が持っている能力がより高められる調整がしてあって。
シルバーのバンダナはみな同じ性能になっている。
第二学校を出るまではシルバーのまま。
はやく色付きのバンダナをつけたいところだけど。
「この図書館は始めてだけど、カプセルは使ったことあるから大丈夫です。」
そう僕が答えると安心したようすで微笑んで、広間につれてきてくれた。
ここから個人でつかうブースに入るのだ。
無数の大きなカプセルが並んでいるけど、このカプセルのことを「ブース」と呼ぶ
長さは3m、幅は1mくらい(だいたいこれくらい、という感じです)。外から見ると半透明のガラスみたいに見える。これは使っていないブースの場合で。
使っているブースは黒っぽい煙水晶みたいな色になっていて、中は見えないようになっている。
今日は半分くらいしか黒くなっていないので、まだ来ている人が少ないみたいだ。
「三〇〇四番は・・・。ここね。じゃあ、何か分からないことがあったら、コーディネー
ター経由で知らせてね、私がここのあたりの担当だから。」
そう言ってその女性は戻っていった。
僕は案内されたブースの中に入った。
そこは一人が入れるくらいの広さで、全面がゴーグルのような役割をする。
つまり、全部の面に情報が映し出されるスクリーンになっていて。
詳細な情報も受け取れるし、端末を接続すれば、音の情報も豊富に得ることができる。
そして、調べた事はすべて端末に記録されるので、部屋に帰ってもその情報を引き出すことが可能になっている。
カプセルの扉を閉めて、内部を情報粒子で満たした。半透明の色が次第に黒くなっていって。
スクリーンに映し出されたのは外部の様子。
自分のブースの周囲が映し出された。まるで周りの壁が透明になった用にみえるけど、これは情報粒子の情報から外部の姿を合成して映し出している疑似風景。
バンダナを使っていると、多少粒子の粗い感じを受ける。
僕は胸当てから端末を取り出して、まるいくぼみにはめ込んだ。
これから調べる内容は、これが記憶してくれる。
そして、スクリーンに指を触れさせる。
このブースに入る際には手袋を着用させられる。これは、手で触れる感じも再現してくれるからだ。
僕はスクリーンに映っている壁を触った。すると、固い冷たい感触が伝わってくる。
そのまま、横にある椅子に触ってみた。
柔らかい素材の感触がある。
このブースに入るたびに、家でもこういうの欲しいなあ、と思ってしまうところだ。
さて、これから調べ物をする事にしよう。
頭に、昨日の自分の見たイメージを思い浮かべる。
羽のある姿。
カプセルのようなものに入った人物。
すると、周囲のスクリーンが一気に変化した。
僕の周りの時間が逆流するかのように、すべての風景が後ろへと去っていくのだ。
そして、1つの映像が目の前に現れた。
それは、広大な海と大陸の物語。
僕らの都市ができる前の話。
ずーっと昔の、そんな世界の話。
「創世記」
と書かれた文字が浮かんでいる。
そう、僕の見た風景は、「創世記」の様子だったのか。
そして、僕は手袋を動かして。その風景を触ってみた。
そこに広がるのは海。
何処までも広がる大海原だった。
僕は、その上をすごいスピードで飛んでいる。
波は荒れ狂い、空は曇り。風と雨が海面を強く揺さぶる。
鉛色の海が立ち上り、暗い空とまじりあう。
手で触れると、雨の感触もリアルに伝わってきた。
僕はどこへ連れて行かれているのだろう?
雨と波しぶきで煙る景色の向こうに、次第に何かが見えてきた。
それは巨大な塔。
中央にある高い塔の周りには巨大なリングが重なり、その周囲にはまた別の塔が立っている。
すべては海の上に存在し、雨も波もそれを揺るがすことは無かった。
リングで囲まれた周囲には雨粒1つ入り込んでいなかったからだ。
その塔へと僕の視界は近づいていく。
今の僕らが住んでいる町と同じくらいの巨大な塔。
そこには人の気配がする。
海からそびえたつ塔の高さは1つの山脈ほどもあり。
直径は1つの運河ほどもあった。
その表面を見てみると、それは鉱物のような結晶で覆われていて。まるで僕らの町の建物と変わらない感じ。光のエネルギーを集める壁のように見える。
周りのリングも同じような素材でできていて、ゆっくりと中央の塔の周囲を回っていた。
その下には、リングを支えるかのように低い塔がいくつも配置され。
中央の塔を取り囲むように、低い塔の壁が出来上がっている。
この巨大な塔は、僕らも昔から聞かされている。
「光のゆりかご」
と呼ばれる場所だ。
創世記、僕らの先祖は空からやってきて。
そしてこの星にたどりついた言われている。
その時に、まだ肉体を持ってここに存在していなかった先祖たちは、この星の生物とともに生きていける「肉体」を得るためにしばらく船とともに星へと滞在していた。
その船が、「光のゆりかご」なのだ。
まだこの中に居る僕らの先祖は、「肉体」、というものを持っていないので。そもそも船の中に居るという事も正確な表現では無い。
船の中にあるのは、元もとの星にある自分の意識体からの情報を転写したものであり。
それは優れたコピーであるけれど、本物の意識体では無い。
そういうものが多数中に存在している。
つまり、その意識体のコピーをここで肉体に情報を転写するような、そういう事が行われているのだ。
なぜ、肉体が必要なのか。
それは、惑星意識を受けて、それを活動に写す媒体が必要であるからであって。
惑星意識単体であれば、何も何処にも影響与える事も無く、そのまま存在しているだけのものになり。
そこからは新しい何かは生まれ無い。
しかし、惑星意識をこちらに「具現化」する存在があれば、この惑星系に訪れる変化は大きなものとなり。
その変化がまた周囲の存在に影響を与えて。
この惑星を基準点に、宇宙全体の変化を作っていく事ができる。
その場所として僕らの星が選ばれた。
塔の中には僕らの先祖の意識が存在し、周囲のリングに、この星で「具現化する存在」として情報をダウンロードされた存在達が生まれ始めていた。
僕は、塔の中に意識を向けようとした。
すると。カプセルに警告音が鳴り「制限@99」と文字が。
やれやれ、ここは僕の認識ではまだ入れない場所なんだな。
と思い、表面上の解説だけちょこっと見る事にした。
:解説
「光のゆりかご」
我々の存在が肉体を持つ前、
元惑星意識との連携場所として作られた宇宙試験場。
元惑星からの情報をダウンロードしてここにストックし。
地球意識からの情報もダウンロードしてストック。
そして、その情報をかけ合わせ、そこに肉体を持ちながら星の意識を感じられる。そういう生命を作りだす目的で地球上に設置されている。
と、いう説明があり、なので、情報を持つものはここにアクセスしてはいけない。と書いてあった。
僕らも今は情報の形で存在している(カプセルを通じて自分の意識が情報として創世記に入り込んでいるから)ので、強い情報に触れるとこちらの小さな情報が消し飛んでしまう可能性があるからだ。
つまり、僕らの意識が戻って来なくなる可能性もあると言う事で。
「光のゆりかご」の話は以前から聞いていたけど。
もっと詳しい内容が知りたいと思った。
でも、制限がかかっているので、情報粒子を介してだとこれが限界かな。
光のゆりかごの塔には入れなかったが、外のリングにならどうだろうか?
リングの方へは思いのほかすんなりと入れた。
こちらは情報ではなくて、すでに肉体として固定されているからだろうか。
リングへ入ると、すぐにカプセル内にコーディネーターが登場した。
これはいわゆる疑似人格のようなもので、
未知の情報を得ようとする時に、この世界を案内してくれる存在だ。いわゆる情報で合成された疑似人格なんだけど。
今回現れたのは女の人。体と頭に布を巻きつけ居てる感じで、このカプセル専用のコーディネータだと言う話だ。
「シェウと呼んでね。」
との事なので、そう呼ぶ事にする。
さっそく、シェウにリングの中を案内してくれるように頼んだ。
「まずはどこから行きたいですか?」
と言うので。
「カプセルに入った、羽のある人物のいる場所ってない?」
と聞くと
僕が情報粒子に伝えた様子を確認して、ちょっと考えて。
「ご期待に添えるかどうか。ちょっと違うかもよ。」
と言いながらも僕を連れて行ってくれた。
それはリングの外側に近い場所。
リングは巨大で、その内部は広い疑似自然環境になっているみたいで。
広大な大地と空を見る事ができた。
「1つの世界を作り出せる場所なの。」
とシェウ。
しばらく草の深い地面を移動して行く。途中、手袋をつけた手で触ってみると、その草は思ったよりも柔らかかった。
「それはまだ、固定化されていない草だから。手を触れるときは気をつけて。」
僕の思考を読んでシェウがそう言うので、「何があるの?」と聞くと。触ったそばから草が刺々しい固いものに変化した。驚いて手をひっこめる。
「ほら、まだ固定化されてないから、あなたの意識に反応しちゃったわよ。」
「え、だって、これは過去の情報を見ているんでしょう?」
「そう。でもね、過去の情報が持つ『反応』を見る事もできるの。」
「それって、もしも手で怪獣にっ触って手を噛まれたら。この手も怪我するってこと?」
「怪我はしないけど。神経系にそれと同じダメージは行くわよ。」
ちょっとゾッとしててをひっこめた。
妙なものは触らないようにしよう。
コーディネーター、「シェウ」はまるでそこに居るかのように、カプセルの映像内に常に存在している。
手を触れてみればさらに実在感は増すのかもしれないが、ちゃんと手の届かない範囲にいるので、触って確かめる事はできない。
でも、そこにある存在感はある。
不思議な存在だ。これが疑似人格というのもさらに不思議な感じがする。
会話やしぐさ。それに変な癖もあって。まるで本物の人間が居るような感じだ。
初めての空間、未知のエリアの情報、そういうものを調べようとする時は、シェウのようなコーディネーターが表れてきて、それ以外に普通に調べるときは現れて来ない。
情報の重要度によって居る、居ない、が決められているのか。
情報を得たい人に向けたサービスなのか。
それとも、勝手に情報を得られないようにするための門番なのか。
そんな事を考えていると、シェウが振り向いた。
あ、僕の考え読まれたかな?
「さあ、あなたのイメージした存在の居る場所に来ましたよ。」
そう言ってほほ笑んでいる。
まあ、疑似人格だから、人の雑然とした思考に対しての反応はしないようになっているのかもしれない。
目の前に現れたその場所は、リングの内部を、巨大な隔壁でさえぎり。そこに1つの実験エリアを設けてある。そういう感じのところだった。
見上げるほどの巨大な壁が左右を区切り、結晶質の壁がまるでどこかの洞窟の壁を思わせるような鈍い輝きを放っている。
地面も同様に結晶質で覆われていて。
その場所は、さらに細かい壁でいくつかに仕切られていた。
遠目に見ると、細い縦長の箱が数十も並んでいるような、そんな場所だ。
手前に通路のようなところがあって、隣の隔壁からつながっている。
そういえば、僕のイメージで見たところヤーフルの過去生が居たはずだけど。人間は居るの?
と僕が聞くと。
「私はコーディネーター。でも肉体は持っていません。でも、この時代には肉体をもったコーディネーターが確かに存在したと言われています。」
「肉体をもったコーディネーター?」
「そうです。あなたと同じように、肉体をもっていて、それでコーディネーターという人が居たのですよ。」
「それって、どういう感じ?ロボット的?」
「あなたたちと何にも変わりません。ただ、情報と共に存在しているので。『思考』をしないのです。」
「思考しないって?」
「私は思考しません。なぜなら、膨大な量の情報と常につながっているから、あなたの質問に対しての答えは瞬時にこちらに降りてきます。今あなたが質問している事は、すでに情報の中にソースとして存在してますから。それを多少理解の進むように情報量を制限してあなたに伝えている感じです。
私達の存在は、『情報リミッター』みたいなものなんですよ。」
「その情報と直結すると、僕らはどうなるの?」
「すべてが理解できるようになります。」
「それって、いい事じゃないの?」
「すべてが分かるので、行動する必要が無くなります。すべての流れが当たり前に流れて行くのをただ見ているだけになります。
そこにあなたの目的とか願望は関係なく。」
「へえ、なんだか。あまり楽しそうじゃないなあ。」
「そうですか?」
「じゃあ、シェウはどうなの?楽しいの?」
「私ですか? 私はコーディネーターですから。ここに存在できて、あなたと話しているだけで楽しいですよ。」
そう言ってシェウは微笑んだ。
情報とつながる、とはどういう感覚なんだろうか?
「それでは、その肉体をもったコーディネーターを見ますか?」
僕はうなづいた。
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