まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

母子の往復メール

2012-08-28 23:23:30 | 生老病死の倫理学
一昨日のパーティの最中、母からメールが届きました。

母 「飛鳥中止しました。ねつちゅうしよう。二度目の入院しています。」

人が楽しく飲んでいたというのに、衝撃のお知らせです。
ちょっと説明が必要でしょう。
「ねつちゅうしよう」 というのは 「熱中症」 のことです。
年取った方が熱中症で入院してしまうというのはよく聞く話ですが、
まさかうちの母がそんなことになるとは思っていませんでした。
「飛鳥中止」 というのは、日本郵船の豪華客船 「飛鳥Ⅱ」 でのクルーズに母が申し込んでいたけど、
それに行けなくなったということです。
楽しみにしていたのですが、入院となるとそれどころではありません。

さて、夜中にこういうメールをもらってどう対処したらいいものか。
入院中とあっては電話をかけても携帯電話で話すことはできないかもしれないし、
携帯使用禁止とするとメールもムリかもと思いつつ、とりあえずメールを返してみました。

私 「ゲゲッ! ホントに? 大丈夫? お大事に。」

わりと冷めた返しですが、うちの親子はどんな緊急事態でもだいたいこんなもんです。
予想に反してすぐにメールが返ってきました。

母 「足首と足のこうがはれて、歩け無い、車椅子だって。ものすごく痛いらしい。」

だいぶひどい状態みたいですが、今回もすぐにメールが返ってきたし、
なんとなく他人事っぽく客観視もできているようですし、
今すぐか明日にでも戻ってこいというようなことが書いてあるわけでもないので、
それほど緊急事態というわけでもないのだろうと判断し、そのまま私はパーティに戻りました。
翌日になって、どうしようかなと悩んでいたところ、母のほうからメールが来ました。
入院話とは関係のないいくつかの話題のなかに次のような一言が添えられている変なメールでした。

母 「暑いから体に、気おつけて。」

こちらが新幹線に飛び乗るべきか否か悩んでいるというのに、なんという間の抜けたメールでしょう。
入院といっても大したことはなく、もう朝には退院してきたということなのでしょうか?
別件に対する返しとともに、以下のような重要な質問を含んだメールを送りました。

私 「熱中症で入院までした人に心配されたくないなあ。もう退院したの?」

これに対して全然トンチンカンな別件のみのメールが返ってきたので、
もう一度念押しでただ一言こう送りました。

私 「退院したの?」

これに対する驚愕の返信がこれ↓でした

母 「●●さん、たいいん、まだまだよ」

私は一気に力が抜けてしまいました。
●●さんというのは、母が飛鳥で一緒に旅行に行こうとしていた彼女の友人です。
ただ、●●さんがなにかの病気で入院して旅行に行けなくなったというのは、
もう1週間以上前に聞かされていました。
で、●●さんの代わりにうちの伯母が旅行に同行することになっていたのです。
したがって、私のなかでは●●さんの問題というのはもう過去の情報であって、
最初のメールやその後のメールをもらったときに、
それが●●さんの話であるという可能性はまったく思い浮かびませんでした。
たしかに今から思えば 「二度目の入院」 というフレーズにヒントはあったのかもしれませんが、
母だってずっと入院するような大きな病気をしたことがなかったのが、
昨年だったか白内障の手術のために入院するということがありましたので、
私としては母が二度目の入院をしたとしか読み解けなかったのです。
とにかく、このメールでやっと入院したのが母ではなかったということが判明し、
すぐに実家に電話をかけてみました。
これ以上のメールのやりとりは時間のムダですし、
病院の携帯規制のことを心配する必要もありません。
当然のことながら何事もなかったかのように母が電話に出てきます。

てっきり母が入院したのかと心配したじゃないかと、あの杜撰なメールのことを責めますが、
本人はまったくどこ吹く風という感じです。
話をよく聞いてみると、飛鳥のクルーズを中止することにしたのは誰の入院とも全然関係なく、
この週末に伯母と大ゲンカをして一緒に行くのがイヤになったので、
オールキャンセルをすることになったのだということでした。
つまりあの第1便の第1文と第2文以下はまったく論理的つながりはなかったのです。
いくらなんでもそこまで行間を読める人はいないでしょう。
ただ驚いたのは、妹からはあの第1便に対してすぐに、

妹 「主語がないからわからん。誰が入院したの?」

という返信が来ていて、すぐにメールのやりとりで誤解は解消していたそうです。
うちの妹は私のようにあのメールを鵜呑みにしてしまわなかったんですね。
母からのメールの恐ろしさを十二分に理解していたということなんでしょうか。
私だってブログ記事に取り上げているくらいですから、
そのハチャメチャさは理解していたつもりなんですが、
「二度目の入院しています」 にはすっかりダマされてしまいました。
こういう人にケータイを売るなとショップに苦情を言いたいくらいですが、
時代の趨勢としてはこちらがこういったメールに適応していくしかないのでしょう。
それにしても、ああビックリした
母にはいつまでも元気に、横浜で一人で暮らしていてもらいたいもんだと心から思いました。