まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

アメリカ初の長編映画 『国民の創生』

2016-07-09 11:43:18 | 人間文化論
7月29日 (金) は 『FAKE』 でシネマdeてつカフェですが、

その約1週間前の7月23日 (土) には 「フォーラム福島」 で、

D・W・グリフィス監督作品 『国民の創生』 が上映されるそうです。



1914年撮影、1915年に公開されたサイレントの白黒映画で、

アメリカで初めての長編作品とのことです。

私は映画には疎いのでまったく知りませんでしたが、

先日一緒に飲んでいたときに、フォーラムの阿部さんがこの映画について熱く語ってくださいました。

グリフィス監督は 「映画の父」 と呼ばれているそうで、

この最初の長編映画でもさまざまな技法が試されているし、

俳優にスポットが当たるようになったのもこの映画からだったそうです。

時代が時代だったのでストーリーには人種差別的な色合いが含まれていて問題視されていた、

ということもちょっと奥歯に物のはさまったような感じで教えてくれました。

その後調べてみるとたしかに物語としてはトレランス (寛容) をテーマにしているものの、

それは南北戦争の頃の南部の白人と北部の白人のあいだの寛容であって、

黒人に関しては一貫して差別的に描かれていて、

上掲のポスターに描かれているのはKKKですが、それがこの映画のヒーローなんだそうです。

しかし、そうした問題を踏まえた上でも、この映画の歴史的価値が減ずるわけではないでしょう。

100年前の白人の価値観がそのままストレートに表現されているというのは、

倫理学的に見ても意味あることだと言えるのではないでしょうか。

映画の技法や映画の歴史のことはわからなくても一見の価値はありそうです。

その映画が 「フォーラム福島」 で7月23日に1回限り上映されるそうです。

昨年の3月に 「てつがくカフェ@ふくしま特別編5」 をフォーラムでやらせてもらったとき、

映写室にもおじゃまさせてもらったんですが、

『ニュー・シネマ・パラダイス』 で見たような映写機がドーンと据えられていました。

しかしながら、デジタル化の波は映画の世界にも及んでいて、

今ではほとんど映写機でフィルムを回すことはなく、すべてDVDでの上映になっているんだそうです。

ところが今回の 『国民の創生』 は、

国立近代美術館フィルムセンターからお借りしたフィルムでの上映ということで、

スタッフ一同今から戦々恐々としているという裏話もうかがいました。

フィルムをセットして回せばいいだけのことかと思っていましたが、

なんとフィルムは (元の165分版で) 12巻もあるそうで、これを次々と差し替えながらの上映で、

1回限りの上映でたぶんヘトヘトになり、これを何度も上映するなんて考えられない、

とあの映画の達人の阿部さんが顔をしかめて話してくれましたので、きっと本当に大変なのでしょう。

(今回上映されるのは125分版のようです。)

そんな阿部さんたちをはじめとするスタッフの皆さんの、

映写室での苦心惨憺ぶりを想像しながら見るのも一興かと思います。

7月23日 (土) 13時からはぜひ 「フォーラム福島」 で 『国民の創生』 をお楽しみください


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