美津島明編集「直言の宴」

政治・経済・思想・文化全般をカヴァーした言論を展開します。

消費増税しないと、本当に国債は暴落するのか (2012・3・26 「イザ!ブログ」掲載分)

2013年11月07日 22時03分07秒 | 経済
Sankei Expressの平成24年3月25日付の記事「消費増税迷走で国債急落戦々恐々」は次のように始まっています。

国内の銀行が日本国債の値下がりリスクへの警戒感を強めている。景気低迷で貸出が伸びず、余剰資金で国債保有を増やし続けてきたが、ギ
リシャよりもひどい日本の財政悪化を受け、いつ急落するか分からないためだ。財政再建に不可欠な消費税率の引き上げが迷走していること
も不安に拍車をかけている。日銀は国債急落で長期金利が2%上昇した場合、国内銀行に約12兆8000億円の損失が発生すると試算。大手銀行は、“Xデー”に備えた「危機管理マニュアル」の策定に乗り出した。


こんな面白くもない記事を取り上げたのには、それなりの理由があります。

いま、民主党内では、社会保障・税一体改革合同会議で、党本部側と増税反対派との間で、連日連夜喧々囂々(けんけんごうごう)の議論が続けられています。議論の焦点は、景気弾力条項(いわゆるトリガー18条)に具体的な数値を盛り込むかどうかです。本部が、「経済状況の好転」という文言を織り込むことで決着をつけようとしているのに対して、反対派は「名目3%のGDP成長率」という具体的な数値を盛り込むことを断固として要求しているのです。本部側は、それでは消費税増税ができないではないかとその要求をはねつけている模様です。(おかしな反論ですね)

どうして私がそんなに詳しいのかといえば、昨年の民主党代表選に出馬して得票数が最低だった馬淵澄夫の最近のツイートをフォローしているからです。彼は、会議の模様の要点を逐次ツイートしてくれるのです。彼は、宮崎岳氏や金子洋一などとともに反増税派の理論的支柱なのです。小沢一郎がゴネて党本部を困らせているなどという大手メディアの報道は、国民を増税に誘導しようとするミス・リードの一貫に他ならないのですね。少なくとも、事の一面にすぎないのです。

当ブログでの最初の投稿で申し上げた通り、私は先の総選挙で民主党に投票しました。そうして、そのことを心の底から悔いています。感情的に言えば、民主党を毛嫌いしてもいます。しかし、だからといって、民主党員すべてを否定しようとは思いません。端的にいえば、自民党の谷垣総裁に比べれば、馬淵議員は、数段高い見識の持ち主であると思います。民主党=民主党員全員=売国奴などとオダを上げるのは、そういう事実を粗雑に塗りつぶしてしまう愚かな振る舞いであると私は思っています。そういう振る舞いこそ、私から言わせれば、最も悪質な売国奴であります。マルクスの「無知が栄えたためしはない」という文言は不滅であるとも思います。

というのは、こういうわけです。

馬淵氏は、増税反対派としての自分たちに対する、党内でのさまざまな圧力に加えて、民主党それ自体の不人気ゆえの国民からの無理解・白眼視を肌身に感じながら党本部との熾烈なつばぜり合いに毎日臨んでいます。その原動力は何なのでしょう。ほかでもありません、それは、自分たちが党本部とのつばぜり合いに負けてしまったら日本は地獄へ落ちてしまうという深い国難の意識、言いかえれば、愛国心であります。つまり、彼らは国のために、瀬戸際で踏ん張っているのです。馬淵氏が大声でそう言わないから、かえってそのことが伝わってきます。彼は、今、孤立無援の愛国者の位置に立っているのです。

そういう手ごわい、そうして頭の良い相手に、党本部はけっこう追いつめられているはずです。そうして、財務官僚にどうしたらいいのか相談をしているはずです。安住財務大臣など、おそらく泣き言たらたらなのではないかと推察します。オレは、君たちが言ったとおりに、G20という国際的な檜舞台で消費税10%を国際公約してきたんだぜ、どうしてくれるんだい、と。(なかなかよく出来た想像でしょう)

財務官僚の手下といえば、真っ先に浮かぶのが、日銀であり、大手銀行であり、大手マスコミですね。どのような手順かは、詳らかにしませんけれど、その合作が冒頭に掲げた記事、というわけです。(「コロンボ君、キミはなかなか想像力が豊かだね」という真犯人のセリフが浮かんできました。オヤジネタですね)

まあ、私の想像の部分は、笑ってななめ読みしていただければいいのですが、冒頭の記事が、窮状にある党本部および財務省に対する援護射撃の記事であるのは、間違いないところでしょう。党内の増税反対派がゴネているせいで、銀行が大迷惑を蒙ろうとしている。国際世論も困り顔である。そんな困り者のイメージを広めることで、反対派を孤立させようとしているのですね。そう思うと、瀬戸際でふんばっている一人の強面(こわもて)の愛国者の姿がちらついてくるので、先の記事を取り上げた次第です。彼がこのままむざむざとつぶされるのを座視してはいられない、と。

で、冒頭の記事なのですが、垂れ流し記事にありがちな、いつもながらの粗雑な論理に呆れ果ててしまいます。日銀とか大手銀行とかの権威機関を出せば、国民は黙るとでも思っているのでしょうか。そういう百姓根性が腹立たしい。ひれ伏したと思われるのも癪ですから、ちょっと異論を唱えておきます。

まず、政府の直面する課題にはいろいろありますが、それらを同時には解決できません。優先順位をつける必要があります。私見によれば、記事では明記されていないデフレ不況の克服がその第一番目に来ます。それを成し遂げることができれば、そのほかの課題、すなわち、景気の低迷・投資の低迷・財政悪化・国債急落はドミノ倒し的に順次解決します。ここでは、いちいち説明しませんが、その他のどんな課題を先頭に持ってきても、残余の課題を解決するドミノ倒しは成立しません。だから、正しい優先順位をつけた場合、そこに、消費税を上げなければ国債が暴落するという話が入り込む余地はありません。

デフレ下の消費税増税は、景気の悪化を通じて結局のところ税収減を招きます。で、また増税と、悪循環をもたらすだけなのです。その結果、財政悪化は抜き差しならないところにまで立ち至ることになります。その過程のどこかで、国債に対する信認低下を招くことになり、国債は急落するに至ります。そうなれば、(特に長期ものの)国債の発行はままならないでしょう。IMFなどの国際機関のお世話になるよりほかはありません。つまり、消費税の増税こそが、国債の急落を招く亡国の道筋を作ってしまうのです。記事の主張とは真逆の結論こそが、命題として正しい、というよりほかはありません。

日銀がもっともらしく上げている数値も、デフレ不況の継続が前提となっているのにすぎません。第一、「2%上昇」という仮定そのものもいささか非現実的な気がします。損失額への言及は、長期国債10年もので1%くらいでここ10年間ほど安定的に推移しているのに、何故にそんな3倍(1%+2%)なんていう急激な上昇をあえて想定するのか、その根拠を明示してからの話です。それを明示するなんて、まあ、無理でしょう。

また、銀行が金融のプロとしてあらゆる危機を想定して粛々と「危機管理マニュアル」を作るのは当たり前のことです。それが、彼らの仕事ですから。民主党の増税反対派がゴネるので、やばいと思ってあわてて作りはじめたのだとしたら、その銀行は間抜けすぎます。Xデーだなんて言って、破れかけたヘルメットをかぶって頭を引込めている金融当局がいたら、これは悪い冗談としか思えませんね。頭の悪い記者の、これまた頭の悪い妄想としか評しようがありません。いや、そこまで金融当局は馬鹿ではないでしょう?、実のところ。

さらに、これはまともな論客が口がすっぱくなるほど言っているので、あらためて私なんぞが申し上げるのはためらわれるのですが、日本とギリシャの財政状態を比べるのはナンセンスです。日本の国債のほとんどは円建ての内国債です。それに対してギリシャの国債はすべて外国債です。だから、同様に財政状態がひっ迫してデフォルト(債務不履行)の危機をむかえたとしても、日本は最後の手段としてお札を刷ればすむのに対して、ギリシャは財政主権がないのでお札が刷れません。つまり、日本はデフォルトを十分に自力で回避できるのに対して、ギリシャにはそれができません。これだけちがうものをどうして性懲りもなく並べたがるのか、理解に苦しみます。頭が悪いとしか言いようがないではありませんか。はっきり言って記者失格ですね。人をダマすなら、もうちょっとお勉強をして、ちゃんとだませるようになりましょう。

記事はさらにIMFまで繰り出す。百姓根性とドレイ根性の極地です。

国際通貨基金(IMF)も金融システムに与える影響を問題視。金利が2.5%上昇した場合の損害額などについて、金融庁を通じて各行に報告を要請した。メガバンク幹部は「突然のことで驚いた」とし、国際金融当局の危機意識を実感させられたという。 

「(条件が)一つ一つ崩れるとどうなるか、気をつける必要がある」。全国銀行協会の永易(ながやす)克(かつ)典(のり)会長(64)=三菱東京UFJ銀行頭取=も、警戒感を隠さない。


日本人は、アメリカに占領された経験を持つせいなのだろうか、IMFがこう言ったという報道に接すると、世界中がそう言ったような気分になってしまうところがある。そこを付け狙っているわけです、この記事は。自分に、権威にひれ伏す百姓根性とアメリカ=世界という、被占領期につちかわれたドレイ根性的な感性のDNAとがあるので、一般読者にもそれがあるものと当て込んでいるわけです。そういう気分を振り切って冷静に考えてみましょう。

IMFはアメリカ財務省の裏庭である、というのは周知の事実ですね。とするならば、われわれは、アメリカの意向をこそそこに読み取るべきでしょう。つまり、アメリカ財務省は、日本が消費税増税によってデフレ状況と円高とを継続し、アメリカの輸出が有利な状況を展開しつづけたがっているのではないか、と。まちがっても、IMFが国際世論を代表しているなどと思いこんでひれ伏してはなりませんね。IMFは十分にうさんくさいのです。IMFの陰にアメリカありです。また、IMFには、財務官僚が出向して、財務省の意向に添った日本向けの情報を発信していることは、つとに知られています。日本の一般国民をダマすくらいのことは、彼らにとって、赤子の手をひねるよりも簡単なことなのです。

今回はこんなところで。
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民主党政権の日銀人事に異論あり  河野龍太郎は適任か(2012・3・24 「イザ!ブログ」掲載分)

2013年11月07日 21時37分17秒 | 経済
平成二四年3月24日(土)の読売新聞の経済欄に、「日銀審議委員 一人は空席も 政府、河野氏提示」と題する次のような小記事がありました。それほどの分量ではないので、全文引用します。

政府は23日、4月4日に任期切れとなる日本銀行の中村清次(69)の後任に、BNPパリバ証券経済調査本部長の河野龍太郎(47)を充てる人事案を国会に提示した。マクロ経済だけでなく、税制や財政にも精通するエコノミストだ。衆参両院の同意が得られれば、水野温氏(あつし)氏(04年12月~09年12月在任)以来の証券会社からの就任となる。審議委員は金融政策などを決める9人の政策委員の1人。任期は5年間。同じく4月4日に任期満了となる亀崎英敏(68)の後任人事案の提示は見送られたため、一人は当面空席になる可能性がある。

一見なんの変哲もない、日銀人事異動記事のようです。ところがどっこい、これは十分に生臭い「政府ヨイショ記事」なのです。一般国民をだまくらかす狡知がなにげなくかつ周到にめぐらされている。今回は、そんなお話をします。

日銀の審議委員という耳慣れない言葉が出てきます。まずは、それについて手短に触れておきましょう。こんなときは、池上彰さんにご登場願うのがいちばん、というわけで、彼の『日銀を知れば経済がわかる』(平凡社新書)から引用します。

日銀の政策委員会は、日銀の最高意思決定機関。金融政策の方針を決めると共に、日本銀行という会社の運営も監督します。政策委員会のメンバーは、日銀総裁、副総裁二人の計三人、外部から六人の審査委員の計九人。多数決で方針が決められるように、わざと奇数にしてあります。委員は、決定にあたって全員一票を持ち、平等な立場です。国会(衆参両議院)の同意を得て内閣によって任命されます。任期は五年。政府と考えが違うからといって解任されることはありません。日銀は政府から独立しているからです。

さすがは池上さん、分かりやすいですね。ただし、本書を読んでも「経済がわかる」ようにはちっともならなかったのは残念でありますが。ただ、ここで一つ、今回の人事との関連で気になるのが、「多数決で方針が決められるように、わざと奇数にしてあります」という指摘です。審議委員のポストが一つ空席にしてありますね。多数決が機能しないようになっているわけです。これは、政府・日銀のトップの意向に日銀の意思決定を誘導するための悪知恵である可能性がありますね。

次に、BNPパリバ証券というのも、これまた庶民にとっては耳慣れない会社名です。さて、いったいどんな会社なのでしょうか。ウィキペディアによれば、

パリに本拠を置く世界有数の金融グループのうちの一つである。2010年には ブルームバーグ と フォーブズにより、3.1兆ドルの資産を持つ世界最大の銀行行及び事業会社として評価された。2000年にパリ国立銀行(BNP) とパリバ (Paribas) が合併して誕生し、ユーロ圏では最大規模の金融グループである。ユーロネクスト・パリ (BNP) に上場し、CAC 40 の構成銘柄である。

とあります。この会社は、なんと世界最大の証券銀行なのですね。

世界を恐慌寸前にまでたたきこんだリーマン・ショック以来、アメリカの金融資本は心ある人々によって痛烈に批判され続けてきました。いいかえれば、無条件の善、あるいは歴史的必然とされてきた金融資本主導のグローバリズムそれ自体がいまや良心的な批判の俎上に本格的に乗りはじめているのです。その意味で、野田政権はまるでリーマン・ショックなんてなかったかのような厚顔無恥な人事をしようとしている、といえるでしょう。少なくとも、その疑いが濃厚です。

次に、河野龍太郎とはいかなる思想傾向の人物なのか、見てみましょう。産経ニュースHPの記事(2011年5月30日掲載)からの引用です。

東日本震災からの東北被災地の復興のための財源をどう賄うべきか、との記者の質問に、河野氏は、

「震災対応などで時限的に増税する場合、各国では所得税や法人税の増税で賄う例が多い。ただ、法人税に関していえば、電力不足で海外移転を検討する企業がある中、増税は難しい。消費税なら1%引き上げで年間2・5兆円の財源を確保できる。同じ額を所得税で確保する場合、19・4%の定率増税が必要だが、10%が精いっぱいではないか」

と答えています。震災対応のための増税は先進国の常識、ただし法人税増税はダメ、所得税や消費税の増税ならOKと言っていますね。これは、野田政権の方針と完全に一致しています。

では震災復興対策のための財源捻出は消費税率引き上げが望ましいのか、とあらためて問われて、

「仮に復興に15兆円かかるとして、すでに平成23年度1次補正予算で措置した4兆円を除いた11兆円を10%の所得税の定率増税で賄うとすれば、9年程度かかる。復興財源は本来、所得税や法人税の増税で確保すべきで、それでもいいが、忘れてはいけないのが、社会保障との整合性だ」

と答えています。

ちょっと分かりにくい言い方をしていますね。所得税増税がいいのか、消費税増税の方がいいのかもっと具体的に、との記者の突っ込みに、河野氏は、次のように答えています。

「社会保障と税の一体改革は震災前から喫緊の課題だった。復興は大事だが、一体改革の足かせになってはいけない。復興財源の捻出で所得税を増税している間、二重増税の反発から、社会保障の財源確保のための消費税率引き上げができないと、日本の財政は大変なことになる。復興と社会保障を同時並行で考えることが重要だ。極力早い時期がいいが、社会保障制度改革のために消費税率を引き上げ、最初の数年間は増税分の一部を復興に使い、残りを社会保障の財源に充当するのが妥当だろう」

要するに、復興財源確保のためには所得税増税で対応すべきだが、社会保障の財源確保のためには、それと同時並行で消費税も増税すべきである、ということですね。これまた、野田政権と息がぴったり合っています。早急な増税こそが国を救う道、というわけです。

増税以外の選択肢はないのか、と問われて、

「国債の日銀引き受けは高率のインフレを招く恐れもあり、副作用は大きい。歳出削減は基本だが、復興や新たな街づくりには民間資金を活用した社会資本整備(PFI)や民間の知恵を活用する視点も大事だ。国民負担の縮減につながると同時に、民間が創意工夫することで経済成長にもつながっていくはずだ」

と。国債の日銀引き受けはハイパー・インフレを招く恐れがあるのでダメ、とにかく民間がどんなに苦しくても自力で這い上がるしかない、と言っているわけです。カッコよく言えばシュンペーターの末裔、今風に言えば「シバキ上げ派」の典型的な物言いですね。これが分かりにくければ、戦前の大恐慌時に緊縮財政を実行して日本を奈落の底に突き落とした、あの井上準之助の流れを汲む人です。

河野氏が、野田増税路線と100%呼吸の合った言動をしているエコノミストであることは明らかです。リフレ派の上念司氏によれば、例の「復興構想会議」において増税を進言したエコノミストとしてつとに有名である、とのことです。そういう人物を政府は審議委員として抜擢しようとしている。野田内閣を財務省がコントロールしているのは明らかですから、財務省が、自らの意向を貫徹する一貫として増税路線積極容認のエコノミストを日銀に送りこもうとしていると見てもまず間違いはないでしょう。日銀が財務省の植民地であることは周知の事実です。今回、目立たない形で、財務省はその事実のさらなる地固めをしようとしているのでしょう。

私でさえ容易に見破ることができる日銀人事異動の本質を読売新聞が分かっていないはずがありません。一切を知悉したうえで、河野氏を「マクロ経済だけでなく、税制や財政にも精通するエコノミスト」などと持ち上げる報道姿勢には、大きな問題があります。

ここには、野田政権と軸足をそろえて、増税路線を是とする社の方針を貫徹するために、自社の主張に都合の悪い事実には蓋をして記事を書いてしまうという読売の最近の乱暴な悪癖が露呈されています。記事が小さくて目立たない分、やり方が露骨になります。「小人閑居して不善をなす」とはよくいったものです。ちょっと見(み)とはうらはらに、ずいぶん生臭い記事だとは思われませんか。心ある読売の記者は(もしいるとすれば)心をひどく痛めているにちがいと推察します。

この人事には、もうひとつ見過ごせない問題点があります。

次の記事は、ブルームバーグというアメリカの大手マスメディアのHPからの引用です。ちょっと長くなりますが、それは私が曲解に基づく批判をしているという印象を避けるためです。退屈に感じる方は、適当に読み飛ばしてください。

河野氏はブルームバーグ・ニュースが定期的に配信している、有力日銀ウオッチャーを対象とした日銀金融政策に関する予測調査記事の回答者の1人。同調査回答者では、水野温氏現クレディ・スイス証券副会長も日銀審議委員(2004年-09年)に選ばれた。

河野氏は9日付の同記事で、日本経済が停滞しているのは、①少子高齢化に伴う働き手の減少でトレンド成長率そのものが低下している②社会保障制度の持続可能性に対する疑念から現役世代が消費を抑制している③財政赤字拡大で民間の貯蓄が食い潰され、設備投資が抑制されている-ことなど構造問題が主な原因であると指摘。

その上で「日銀が政策目標として『物価安定』 が与えられている以上、これらの構造問題 や 円高が引き起こすデフレ圧力を可能な限り吸収することは日銀の責務であるが、構造問題の解決そのものは金融政策で対応できるわけではない」としている。


要するに、現下のデフレ不況は金融政策で解決されない、日銀のこれまでの金融政策に基本的な誤りはない、デフレ不況は野田内閣の、財政健全化と消費税増税による税と社会保障の一体化路線によって根本的な解決が可能になる、と言っているわけですね。

私の耳に、彼の言葉は「オレが日銀の審議委員になったら、デフレ不況によって国民が塗炭の苦しみにどれほどのたうちまわっていようとも、とにかく日銀の既定路線を踏襲するだけだ」と響く。デフレ不況を肌で知る者としては、目の前が真っ暗になる発言です。情け容赦のない発言です。私の目には、河野氏が、デフレ不況という国難に直面する日本の金融政策の中枢を担うのに不適格な人物と写ります。

大手メディアの垂れ流し報道に抗するような形で、インターネット上においてさまざまな方面から、早速今回の人選について激しい異論が立ち上げられはじめているようです。
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公務員の給与削減・人員削減という愚策 あっぱれ、西田昌司議員!(2012・3・21掲載分)

2013年11月07日 20時21分31秒 | 経済
ちょっと前の話になります。2月29日の産経新聞HPに、

自民・西田氏が造反 公務員給与削減法に反対

と題して、次のような記事が掲げられました。

自民党の西田昌司参院議員は(2月―引用者補)29日午前の参院本会議で行われた国家公務員給与を平均7・8%削減する特例法案の採決で反対した。同法案は民主党や自民党などの賛成多数で成立したが、西田氏は自民党でただ1人造反した。西田氏は本会議で行われた裁判官や検察官の給与削減法案の採決でも反対した。(中略)党の処分を受ける可能性がある。

国家公務員給与削減法案は、震災復興のために国民が所得税増税を呑んだからには、国会議員をはじめとする国家公務員も身を切る必要がある、という心情倫理に基づいて立ち上げられたものです。ごく普通に考えれば、もっともなことであり、特にこの法案に反対する理由は見つからないような気がするでしょう。だから、西田昌司参院議員は、単なるへそ曲がりか変わり者の扱いを、党内においてもまた世間からも受けるほかないように思えるし、実際そんな扱いをされています。

しかし、実は、彼に対するそういう扱いは不当であり、西田氏は困難な局面で自民党の良心を孤立を恐れずに守った見識者であり勇者なのです。今回は、そんな話をしようと思います。

前回に申し上げた通り、これまでの10数年間、日本はデフレ不況の泥土のなかで息をするのがやっとという状態を続けています。デフレ不況のもっとも恐ろしいところは、それによって国家全体の経済規模が相対的に縮小していくことです。消費者物価指数の減少率をはるかに上回るスピードで勤労者の可処分所得が低下する(田村秀男氏の指摘)ことによって国民の貧困化を招き、税収の低下を招き、財政の悪化を招き、総合安全保障体制の脆弱化を招くのです。一言でいえば、長引くデフレ不況によって国民国家は衰亡の危機に直面するのです。現に、日本はそういう危機的状態にあります。むろん、震災はデフレ不況を悪化させました。

国家にそのような異変が起こったとき、給与についても異変がおこります。つまり、民間に比べて公務員の給与がはるかに高いのが当たり前、という奇妙な状況になるのです。インターネットでお調べいただければ分かるとおり、一般国民からすれば、今の公務員の給与は不当に高いという印象を受けます。だから、デフレ不況は、公務員バッシングが起こりやすい条件を提供する、と言えるでしょう。政府からすれば、公務員バッシングを国民の不満のガス抜きに利用して、自分たちの失政の責任の本当の所在をあいまいにすることができる、ということになるでしょう。

誤解を恐れずに言います。公務員の高給は、デフレ不況という異常事態における仮象なのである、と。公務員をいくらバッシングしたところで、さらには、いくら彼らの給料を下げたところで、一般国民の暮らし向きは良くなりません。いや逆にもっとひどくなるでしょう。なぜなら、一般国民を苦しめている本当の原因、つまりデフレ不況が放置されたままなのですから。また、公務員の賃金カットは、行政サービスの低下を意味するのですから。

公務員の給料が高いのではなく、一般国民の給料が低すぎるのです。これも、インターネットでお調べいただければすぐに分かることなのですが、この十数年間日本の名目GDPはほとんど変わっていません。というか、少しづつ下がってきています。それに対して、欧米先進国は平均して年4~5%の経済成長を持続してきましたから、GDPはその結果約2倍になっています。そのギャップをざっと見積もれば、少なくとも約2000兆円になるそうです。

これは、政府がまともな経済政策を遂行してこなかったがゆえに国民が得られなかった所得分・失われた国富である、となります。政府がデフレを野放しにした場合、民間に比べて公務員の給料が高くなるのは当たり前のことなのです。

繰り返しになりますが、異常な原因からは異常な結果が生じるのです。異常な結果をいくらいじくっても、事態は悪化するだけなのです。異常な原因を取り除くことが、異常な結果を根治するただひとつの手立てなのです。つまり、長引くデフレ不況を解消することがただひとつの道なのです。

では、長引く不況に終止符を打つにはどうすればいいのでしょう。

デフレ時にはデフレ対策を実行すれば良いのです。一般的に言えば、日銀が大胆な金融緩和を実施し、政府は政府で大胆な財政出動を敢行すれば良いのです。

公務員制度について具体的に言えば、デフレ時には公務員の人件費の総額と人数の増加を積極的に実施して、デフレ・ギャップを埋めること、すなわち有効需要を創り出すことに政府は尽力すべきなのです。人員の増加については、臨時雇用のほうが後のことを考えればベターであるとは思います。

これは、デフレ対策として、教科書にも載っているような、ごく常識的なお話です。

これに抵抗を感じる方がたくさんいらっしゃるのは存じているつもりです。ここには、以下のような長年にわたる事情があると私は考えます。

1980年代にアメリカのレーガン、イギリスのサッチャー、そうして日本の中曽根康弘が行財政改革を実行し、資本主義の長年の宿痾(しゅくあ)であったインフレの退治に一応成功してからというもの、特に日本では、本質的にインフレ政策である行財政改革は、経済状況に関わりのない絶対善になってしまいました。その証拠に、それ以降の歴代政権のほとんどは、行財政改革を政策として唱えてきたし、積極的に唱えなくても、それに正面から反対したことはなかったでしょう。マスコミと国民世論が行財政改革を強く支持し続けてきたからですね。

行財政改革とは、一言でいえば、ムダを省くことです。もうすこし具体的に言えば、公務員の給料の総額と人員数をできるだけ減らし、社会保障費を削り、財政支出をできるだけ減らすことです。行財政改革は実際断行されてきたと言っても過言ではないでしょう。なぜなら、日本の公務員の数は、いまや世界最低水準(労働力人口比率5%強。ちなみにアメリカ・イギリスは15%弱、ドイツは10%強 06年OECD)になっていますし、公共投資の額は最盛期の半分にまで削減されたからです。

行財政改革が絶対善である状態が続くと、困ったことに、国民が享受できる行政サービスが劣化します。その行政サービスの中には、民間では本質的に解消不能なデフレギャップを政府が適切な財政出動・金融政策によって解消することももちろん含まれます。安定した経済活動状態は、国民の幸福の根本条件の少なくともひとつです。

以上より、デフレ不況が続くときに、公務員の給料を大胆に削減し、その人数を減らすのは、政府の国民に対する責任の放棄である、と結論づけることができるでしょう。「小さな政府」はインフレ時のスローガンではありえても、デフレ時のそれでは決してありえないのです。

西田昌司議員は、いま私が長々と述べてきた一切をよく分かっていらっしゃる方です。だから、見識者であると申し上げました。

西田議員と同じレベルの見識者は党内にほかにもいるとは思います。しかし、それだけでは、法案に反対することはできません。党内での孤立を恐れない勇気が、それに加えて必要とされます。義を見てせざるは勇なきなり、という言葉があります。彼は、それを見事に実践したただ一人の自民党議員なのです。イザというときに、正しいことを貫くには、ただ正しいことを知っているだけではだめです。万難を排してそれを実行する勇気が必要です。

彼は、高い見識とそれを貫徹する勇気とを兼ね備えた立派な政治家であると申し上げたい。一般的には、議会で「西田砲」のニックネームがつくほどに、「野次議員」としてだけ名を馳せていますが、最低、それだけの人ではないことだけは覚えておいていただきたい。

念のために申し上げておきます。私は、もとより公務員ではありませんし、私の知り合いに利害関係を有する公務員もいませんし、西田議員とは一面識もありません。
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消費税率40%? (イザ!ブログより転載 2012年3月20日分)

2013年11月07日 19時46分49秒 | 経済
今回は、「です」「ます」調を排して、いささか激しい物言いに終始することをご容赦願います。

*****

産経新聞が、3月20日インターネットMNS版に、

増税封印、傷んだ財政…「消費税40%」シナリオも

と題して、次のような記事を載せた。

消費税増税法案をめぐる民主党の議論が大詰めを迎えている。ただ、党内の反発は強く、法案の了承を取り付けても採決の行方は現時点で見通せない。日本の財政は歴代政権の多くが消費税増税を避けた結果、主要国でも最悪の水準にあり、増税の先送りで、将来的に消費税を40%程度まで引き上げなければいけなくなるとの最悪のシナリオも浮上している。

産経新聞は、論説委員として反消費税増税派の田村秀男氏を擁しているだけに、読売新聞を筆頭とする他の4紙とは異なり、増税キャンペーン一辺倒というわけではないのだが、上記のような「大本営発表」的な記事も時折出す。残念なことである。いや「大本営」ではないという言い訳のために、記事の最後のところで

一橋大の小黒一正准教授は「今回の増税すらしなけば、30年ごろには40%前後まで上げなければならくなる」 と警告する。

とアカデミシャンのコメントを、読者を脅かすような形で登場させてはいる。(お前たちは増税をイヤがるかもしれないけど、エライ先生が、さらなる増税が必要だと言っているんだから10%くらいの増税は我慢しろ、とかね)しかし、それは所詮言い訳である。(ちなみに小黒一正氏は『2020年、日本が破綻する日』の著者で、強硬な増税論者のようである)普通に読めば、野田政権の増税路線の意向を十二分に踏まえたうえで,それへ援護射撃をした記事、となる。

私見によれば、財政がひっ迫している大本の原因は、1990年代の後半から続くデフレ不況である。デフレ不況→個人所得・法人の売り上げの減少→税収減→財政逼迫の負の連鎖が働いていることが大問題なのである。その負の連鎖の起爆剤になってしまったのが、橋本龍太郎内閣による3%から5%への消費税増税(1997.4)であった。

この、橋本政権によるデフレ下における増税によって、日本は本格的なデフレ不況に沈みこんでいったのだ。つまり、皮肉半分で言えば、橋本内閣は、デフレ下で増税することは、かえって税収減とデフレ・スパイラルを加速させるので、絶対にやってはならない下策である、という教訓を国民と為政者とに残す貴重な社会実験を、後世の悪評価を覚悟で断行したのであった。(消費税による増税分を所得税・法人税の減少分が上回るのである)

記事では、橋本内閣を引き継いだ小渕内閣が、財政悪化の張本人の一人として槍玉に上がっているが、それはとんでもないことである。40兆円に上る財政出動によって、小渕内閣は橋本内閣がもたらしたデフレ不況の悪化を財政的な下支えによってかろうじて防いだのである。つまり、やるべきことをやるべき時期にやったまでのことなのだ。この記事を書いた記者は、政府の財政出動分はまるまるGDPの一部分を構成することをきっちりと分かっていないのではないだろうか。分かっていて、小渕内閣を槍玉に上げたのだとしたら、とんでもない悪人である。

さらに言えば、記事は小渕内閣の大規模な財政出動と民主党のバラマキ政策とを同列に並べて批判しているのであるが、これまたとんでもない無知な発言である。あるいは、ペテンである。小渕内閣が実行したのは、デフレ不況下における、教科書的と言っていいくらいのオーソドックスな対処療法的な政策であった。(FRBのバーナンキが、ここでコクリとうなづいてくれそうな気がする。)

それに対して、民主党の子ども手当などのバラマキ政策は、デフレ不況下における政策のオーソドキシーを踏まえていない、というか、そんなことを一度も考えたことさえない単なるバラマキなのである。子ども手当として政府から国民に支給された分は、とりあえずはGDPの増加をまったくもたらさない所得の移転にほかならず、支給された側が、パチンコにでもなんにでも支出してはじめてGDPの増加をもたらす、という頼りないものにすぎない。生活が大変だからと貯金された分はGDPにまったく貢献しないのである。民主党の「コンクリートから人へ」は、デフレ下では愚かしいと形容するよりほかにない空前絶後の愚策だった。一言でいえば、寝言をいってんじゃない、ということだ。

記者は、そういうことを踏まえて2者を同列に並べているのだろうか。私は、かなり疑わしいと感じる。

ここまでお読みいただいた方は、上の記事のなかの「日本の財政は歴代政権の多くが消費税増税を避けた結果、主要国でも最悪の水準にあり」という因果関係の主張がまったくの誤りである、という私の主張をお分かりいただけるのではないだろうか。

財政状態が悪化したのは、歴代政権が消費税増税を避け続けたからなのではなく、10数年続くデフレ不況を事実上放置したからなのである。

デフレ不況(や経済成長の鈍化)は、地震や雷などのような自然現象なのではない。人の営みの総体によってもたらされた経済社会現象なのである。

そうして、ここが今回いちばん言いたいところなのだが、国民に災いをもたらすマイナスの経済社会現象に対して、国民の代表者によって構成されている(はずの)政府はそれを改善する大きな決定的な責任を負っているのである。デフレ時は経済の冷却状況を改善し、過度のインフレ時には経済の過熱状況をなだめる。そういう時宜を得た経済政策を実行する叡智が彼らには常に求められているのである。

詳細は次回以降に譲るが、長年のデフレ不況は、ざっくりと言ってしまえば、自民党・民主党の歴代政権の愚かしいと形容するよりほかにない失策によってもたらされた。まともな金融政策と財政政策とを長年にわたって実行してこなかったツケが、財政悪化という形で回ってきたのである。

その核心をいえば、ときどきの政権担当者が、構造改革、規制緩和、グローバリズムという「はやり」のタームに呪縛されて、政策を決定するうえでの思考の幅をいちじるしく限定されつづけてきたことが、そういう愚かしさを招いたのである。つまり、彼らの頭の悪さが諸悪の根源なのである。彼らには、日銀に対して断固として「紙幣を刷れ」「国債を引き受けろ」と言い切るだけの見識と勇気がなかった、ということでもある。

ところで、日本政府の財政が決してほめられた状態でないのは確かだが、「主要国でも最悪の水準」などと、ギリシャやイタリアやスペインなどのそれと同列に並べかねないような矯激な表現をしている点は黙認できない。これまたとんでもない大嘘である。(詳細についてはまたの機会に)私のいまの指摘は、多くの心ある人々によって共有されつつある事実である。ここを見誤ると、〈政府はもう一銭も国債を発行することができない〉などという極論を真に受けることになる。しかし、この記事の記者はそう言いたげである。いい加減にしろ、と言いたい。

今回の10%への増税が実現しても、基礎的収支を32年度までに黒字化する政府の目標達成には、さらに6%程度の財源が不足する。この分の追加増税を実施しても、借金残高を減らす財源は確保できない。逆に、増税が遅れるほど借金の膨張は避けられず・・・

この議論が成り立つためには多くの悲観的な前提がいる。とりわけ、日本経済は二度と成長しない、永遠にデフレ不況がつづくという馬鹿げた前提が必要である。それは、政権担当者としての責任を恥知らずにも放棄したタワゴトにほかならないと申し上げておきたい。

大手マスコミの垂れ流し記事は、不勉強ゆえなのか、あるいは「長いものには巻かれろ」的に腐敗し切ってしまっているからなのか、それとも巨大企業として広告収入の増減だけにしか実のところ関心がないからなのか、いずれかは私としては判然としないのではあるが、既成政党やパワー・エリート官僚との腐れ縁が、さすがに一般国民の目にも露わになりつつあり、その言葉の力が著しく低下してしまっていることを、彼らは、肝に銘じておいたほうがいいのではないだろうか。だってね、言葉の力って、あなた方の一番の商売道具でしょうが(笑)。
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ブログを開設しました(イザ!ブログより転記 2012・3・20アップ)

2013年11月07日 19時30分23秒 | ブログ主人より
「イザ!ブログ」が今年いっぱいで閉鎖されるので、当ブログに移転することになりました。エクスポート・インポート手続きをすると、お金がかかるようなので、手作業でひとつひとつアップ順に移すことにしました。よろしくお願いいたします。

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ブログを開設しました。

ちょっと前にツイッターも始めました。いささかITづいている感があります。動機はいたって簡単。大手マスコミの報道姿勢に対する不信の念が黙っていられないほどに強くなってきたからです。

TPP問題のときに、新聞・テレビは、それがどのような問題かよくわかっているようにはとても思えないのにもかかわらず、一斉に賛成報道を繰り広げました。賛成報道があることそれ自体は、当たり前のことです。しかし、一斉に賛成するとなれば問題は別です。不自然な社会現象であると考えるのが自然でしょう。しかも、知れば知るほど(ISD条項など)、暢気に賛成などとはとてもいえた代物ではないことが自分なりにはっきりしてくると、大手マスコミに対する疑念がどんどん深まっていきました。

最近では、消費税増税問題の扱い方に同じような疑問を抱いています。TPP問題のときと違って産経新聞一紙が反対に回っていますが(田村秀男氏の功績大です)、その他は相変わらず政府翼賛体制然とした賛成報道の嵐です。とくに読売新聞がひどい。私は、学習塾を経営しているので、周りの塾の様子を知るために、チラシがいちばん多い読売を取っているのですが、そんな事情がなければ、こんなバカ新聞は絶対に取りたくありません。それほどに、最近の読売はひどい。朝日もひどかったが、今は読売が、ひどさにおいて朝日に勝っているような印象があります。

ごく個人的なお話をすれば、私はかつて小泉にだまされ、次に民主党にだまされ、最近では、橋下徹にあやうくだまされるところでした。つまり、どこかでうすうすおかしいと思いつつも、「きっぱりとしていてなかなかいいじゃないか」と気分的にひきずられるように彼らを支持し一票を入れてはみたもののの、その後自分の軽挙妄動を悔いるという、ポピュリズムのお手本のような愚民でありつづけてきたのですね。今だって、自分をそれほど信用していません。

個人的な愚痴をこぼしたくてそんなことを言ったわけではありません。私が愚民でありつづけてきたことに、マスコミが一枚も二枚も噛んでいることを指摘したいのです。マスコミの力恐るべし、です。

いいかげん、愚民であることに倦んできました。いつまでもやってられっか、馬鹿野郎、というわけです。

マスコミが作り出す底の浅い、しかし圧倒的な空気に少しでも抗したいものだと思い、(やや大げさですが)ブログ開設を思い立った次第です。気長にお付き合い願えればと思っています。

今回はこんなところで。
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