日刊ゲンダイ2012年6月20日掲載の「消費増税の大ウソ 3月時点で日本国債を買いまくっていた中国とハゲタカ」は、無視できない内容を含んでいます。
米英の“ハゲタカ”や中国の“赤いマネー”が日本国債を買い漁っている。日銀の19日の発表によると、海外勢が3月末時点で保有する日本国債は、前年同期比23%増の76兆円。国債残高(919兆円)に占める比率は8.31%に高まった。
日本の内債率は、これまで95%から94%で推移してきました。それが、日本国債の安定性に寄与してきたことはご存知でしょう。債務不履行(デフォルト)という最悪の事態に直面した時、日本政府にとって問題になる債務は、対外的債務4%~5%です。この割合に相当する金額を払い込めば、問題はとりあえず収束するわけです。
日本の場合、この数字が、先進諸国のなかで抜きん出て低いのです。それが、ドイツや英国並みにCDSが低い(1.4%程度)理由の少なくとも一端を成しています。CDSというのは、国債の保険料と考えればいいでしょう。これが低いほどデフォルトの危険性が低いと実務の世界でみなされているということです。ちなみに話題のギリシャのCDSは90%以上です。10年間で9回以上デフォルトすると見られているわけです。それに対して、日本は100年間で1.4回デフォルトすると見られているに過ぎないのです。日本は、国債事情において、国際的にギリシャの対極に位置するわけです。菅直人前首相や、現安住財務大臣が「ギリシャは対岸の火事ではない」とオダを上げていたのは、酔っ払いのタワゴトにすぎないことがお分かりいただいけますね。
ところが、外債率が最近8%以上になった。これは、国債の安定性にとって嬉しい材料ではありません。これも問題といえば問題ですが、もっと問題なのは次です。
とくに、すさまじいのが中国の買いっぷりだ。昨年末時点で約18兆円と、前年比71%も急上昇。米国や英国を抜き、いまや世界最大の日本国債保有国になっている。
中国が、現在米国債保有高において世界第一位であることはご存知でしょう。そのことが、アメリカが毅然とした対中国安全保障政策を展開できない要因になっていることも周知されていますね(だから、日本は尖閣諸島を自力で守るよりほかはないと腹をくくるべきなのです)。
その同じ手法を、中国はどうやら日本に差し向けようとしているらしいのです。金の力で日本の首根っこを捕まえようというわけです。(金)力は正義なり、とする中国の考えそうなことですね。
欧州危機が深刻化する中、日本国債は「世界一の安全資産」とバカ売れしているのだが、ちょっと待ってほしい。政府や財務省、日銀はこれまで、「国債は暴落する。日本もギリシャになる」と財政危機を煽(あお)ってきた。「だから消費増税が必要だ」と朝日新聞はじめ大マスコミをたきつけ、消費増税を国民に押しつけようとしてきた。
財務省・日銀・大手マスコミ(ただし産経新聞田村秀男氏だけは例外)が、寄ってたかって、「国債が暴落する。財政が破綻する。だから増税だ」と訳の分からない世迷言を大量に垂れ流し続けてきたことについて、私はこれまで何度も批判してきました。また、へこたれずに、これからも批判し続けようと思っています。私の言い方で、「そうか。そうだったのか。オレはマスコミにだまされていた」と言ってくれる方が一人でもいる限り、批判しつづけたいのです。
もし、財務省・日銀・大手マスコミが言う通り、日本が本当に「財政危機=デフォルトの危機」の状況下にあるのならば、それを買い漁ろうとする欧米の「ハゲタカ」や中国政府は大馬鹿者・ド阿呆ということになりますね。そんな馬鹿なことがあるはずがありません。これは、簡単な背理法です。日本が財政危機である、という前提が間違っているのです。
上念司氏が記事の中で次のように言っています。
「海外勢にとって、日本国債は『安全』どころか『おいしい』資産です。国債の実質金利は、名目金利から物価上昇率を引いた値ですが、デフレ政策を続ける日本では物価上昇率がマイナスなので、実質金利はプラスになる。デフレが続く限り、円高だから為替リスクもない。こんな国は世界では日本だけです。海外勢は、日本政府は絶対にデフレ政策をやめないし、円高も続くと足元を見ている。要するに、日本はカモにされているわけです。その一方で、日本の国民はデフレ不況のせいでモノが売れず、価格競争でみんな疲弊し、円高で輸出企業も火の車。サラリーマンの給料も減っている。そこに消費増税です。国民生活は破綻の危機なのに、ハゲタカや赤いマネーばかりが潤う構図になっているのだからムチャクチャです」
上念さんが言っていることを具体的な数値で言い直してみましょう。現在の長期国債(10年もの)の金利は、アメリカが1.678%で日本が0.825%です。これだと、マネーは日本からアメリカに移動しそうですね。つまり、円安ドル高になりそうなものです。ところが、実際は逆です。どういうことなのでしょうか。
これらはあくまでも名目金利であって、投資家はこれに着目しているわけではありません。
彼らが着目しているのは、名目金利-インフレ率=実質金利なのです。アメリカの2012年の推計インフレ率は2.1%で、日本は0%です。だから、実質金利は、アメリカが1.678-2.1=▲0.422%で、日本が0.825-0=0.825%です。つまり、日本の実質金利は、アメリカのそれより1.247%も高いのです。だから、マネーはアメリカから日本に流れるのです。つまり、円高ドル安です。白や赤のハゲタカが円を手にして日本国債を買おうとするのは当たり前のことです。
そういう状況において、野田政権による消費増税の推進は、彼ら赤白のハゲタカの目にどう映るのか。上念さんがおっしゃるとおり、「日本政府は絶対にデフレ政策をやめないし、円高も続くと足元を見ている」となります。日本政府が「赤白ハゲタカさん、どうそ日本の国債をカモにし続けてください。それがグローバリズムですから」というメッセージを送っているというわけです。(イギリスが野田さんを絶賛するはずですW)これが、「国債の信認」を維持するということの真相です。つまり、消費増税路線は、売国路線でもあるというわけです。そのためだったら、国民が失業で苦しもうが、貧乏になってしまおうが、輸出産業が苦しもうが、自殺者が増えようが、GDPが減ろうが、税収が減ろうが、財政が悪化しようが、構ったこっちゃない、と日本政府は開き直っているわけです。
国の借金が膨らみすぎている、ヤバイ、と言いながら大増税に突っ走り、そのくせデフレを放置して、海外勢に国債を大量に買わせてボロ儲けさせているペテン首相とデタラメ財務省。この国は外資の手先かと言いたくなる。
言いたくなる、ではなく言ってしまって構わないと私は考えます。
政府・日銀がデフレ政策を続けることが、先ほどの中国による日本国債の買い漁り行動に見受けられるように、結局は、日本の安全保障体制を根底から崩壊させる危険な選択であることを、私は訴えたいのです。これは、ここでは詳述しませんが、私がTPPに反対する理由でもあります。つまり、TPP参加は、日本の総合安全保障体制にとっての脅威となる危険性がかなりの高い確率で排除できないので、反対せざるをえないということです。もしも、TPP参加が自由貿易の推進であるといまだに思っていらっしゃる方がいるなら、少しだけ勉強してみてください。
「ウソつきはドロボーのはじまり」。今日はこの言葉を財務省に進呈します。人をだましてお金(税金)を盗ろうしているのですから、彼らはドロボーと呼ばれても仕方がありませんね。彼らは、省益と引き換えに、国民の財産だけではなく安全をもついでに盗もうとしているのです。
米英の“ハゲタカ”や中国の“赤いマネー”が日本国債を買い漁っている。日銀の19日の発表によると、海外勢が3月末時点で保有する日本国債は、前年同期比23%増の76兆円。国債残高(919兆円)に占める比率は8.31%に高まった。
日本の内債率は、これまで95%から94%で推移してきました。それが、日本国債の安定性に寄与してきたことはご存知でしょう。債務不履行(デフォルト)という最悪の事態に直面した時、日本政府にとって問題になる債務は、対外的債務4%~5%です。この割合に相当する金額を払い込めば、問題はとりあえず収束するわけです。
日本の場合、この数字が、先進諸国のなかで抜きん出て低いのです。それが、ドイツや英国並みにCDSが低い(1.4%程度)理由の少なくとも一端を成しています。CDSというのは、国債の保険料と考えればいいでしょう。これが低いほどデフォルトの危険性が低いと実務の世界でみなされているということです。ちなみに話題のギリシャのCDSは90%以上です。10年間で9回以上デフォルトすると見られているわけです。それに対して、日本は100年間で1.4回デフォルトすると見られているに過ぎないのです。日本は、国債事情において、国際的にギリシャの対極に位置するわけです。菅直人前首相や、現安住財務大臣が「ギリシャは対岸の火事ではない」とオダを上げていたのは、酔っ払いのタワゴトにすぎないことがお分かりいただいけますね。
ところが、外債率が最近8%以上になった。これは、国債の安定性にとって嬉しい材料ではありません。これも問題といえば問題ですが、もっと問題なのは次です。
とくに、すさまじいのが中国の買いっぷりだ。昨年末時点で約18兆円と、前年比71%も急上昇。米国や英国を抜き、いまや世界最大の日本国債保有国になっている。
中国が、現在米国債保有高において世界第一位であることはご存知でしょう。そのことが、アメリカが毅然とした対中国安全保障政策を展開できない要因になっていることも周知されていますね(だから、日本は尖閣諸島を自力で守るよりほかはないと腹をくくるべきなのです)。
その同じ手法を、中国はどうやら日本に差し向けようとしているらしいのです。金の力で日本の首根っこを捕まえようというわけです。(金)力は正義なり、とする中国の考えそうなことですね。
欧州危機が深刻化する中、日本国債は「世界一の安全資産」とバカ売れしているのだが、ちょっと待ってほしい。政府や財務省、日銀はこれまで、「国債は暴落する。日本もギリシャになる」と財政危機を煽(あお)ってきた。「だから消費増税が必要だ」と朝日新聞はじめ大マスコミをたきつけ、消費増税を国民に押しつけようとしてきた。
財務省・日銀・大手マスコミ(ただし産経新聞田村秀男氏だけは例外)が、寄ってたかって、「国債が暴落する。財政が破綻する。だから増税だ」と訳の分からない世迷言を大量に垂れ流し続けてきたことについて、私はこれまで何度も批判してきました。また、へこたれずに、これからも批判し続けようと思っています。私の言い方で、「そうか。そうだったのか。オレはマスコミにだまされていた」と言ってくれる方が一人でもいる限り、批判しつづけたいのです。
もし、財務省・日銀・大手マスコミが言う通り、日本が本当に「財政危機=デフォルトの危機」の状況下にあるのならば、それを買い漁ろうとする欧米の「ハゲタカ」や中国政府は大馬鹿者・ド阿呆ということになりますね。そんな馬鹿なことがあるはずがありません。これは、簡単な背理法です。日本が財政危機である、という前提が間違っているのです。
上念司氏が記事の中で次のように言っています。
「海外勢にとって、日本国債は『安全』どころか『おいしい』資産です。国債の実質金利は、名目金利から物価上昇率を引いた値ですが、デフレ政策を続ける日本では物価上昇率がマイナスなので、実質金利はプラスになる。デフレが続く限り、円高だから為替リスクもない。こんな国は世界では日本だけです。海外勢は、日本政府は絶対にデフレ政策をやめないし、円高も続くと足元を見ている。要するに、日本はカモにされているわけです。その一方で、日本の国民はデフレ不況のせいでモノが売れず、価格競争でみんな疲弊し、円高で輸出企業も火の車。サラリーマンの給料も減っている。そこに消費増税です。国民生活は破綻の危機なのに、ハゲタカや赤いマネーばかりが潤う構図になっているのだからムチャクチャです」
上念さんが言っていることを具体的な数値で言い直してみましょう。現在の長期国債(10年もの)の金利は、アメリカが1.678%で日本が0.825%です。これだと、マネーは日本からアメリカに移動しそうですね。つまり、円安ドル高になりそうなものです。ところが、実際は逆です。どういうことなのでしょうか。
これらはあくまでも名目金利であって、投資家はこれに着目しているわけではありません。
彼らが着目しているのは、名目金利-インフレ率=実質金利なのです。アメリカの2012年の推計インフレ率は2.1%で、日本は0%です。だから、実質金利は、アメリカが1.678-2.1=▲0.422%で、日本が0.825-0=0.825%です。つまり、日本の実質金利は、アメリカのそれより1.247%も高いのです。だから、マネーはアメリカから日本に流れるのです。つまり、円高ドル安です。白や赤のハゲタカが円を手にして日本国債を買おうとするのは当たり前のことです。
そういう状況において、野田政権による消費増税の推進は、彼ら赤白のハゲタカの目にどう映るのか。上念さんがおっしゃるとおり、「日本政府は絶対にデフレ政策をやめないし、円高も続くと足元を見ている」となります。日本政府が「赤白ハゲタカさん、どうそ日本の国債をカモにし続けてください。それがグローバリズムですから」というメッセージを送っているというわけです。(イギリスが野田さんを絶賛するはずですW)これが、「国債の信認」を維持するということの真相です。つまり、消費増税路線は、売国路線でもあるというわけです。そのためだったら、国民が失業で苦しもうが、貧乏になってしまおうが、輸出産業が苦しもうが、自殺者が増えようが、GDPが減ろうが、税収が減ろうが、財政が悪化しようが、構ったこっちゃない、と日本政府は開き直っているわけです。
国の借金が膨らみすぎている、ヤバイ、と言いながら大増税に突っ走り、そのくせデフレを放置して、海外勢に国債を大量に買わせてボロ儲けさせているペテン首相とデタラメ財務省。この国は外資の手先かと言いたくなる。
言いたくなる、ではなく言ってしまって構わないと私は考えます。
政府・日銀がデフレ政策を続けることが、先ほどの中国による日本国債の買い漁り行動に見受けられるように、結局は、日本の安全保障体制を根底から崩壊させる危険な選択であることを、私は訴えたいのです。これは、ここでは詳述しませんが、私がTPPに反対する理由でもあります。つまり、TPP参加は、日本の総合安全保障体制にとっての脅威となる危険性がかなりの高い確率で排除できないので、反対せざるをえないということです。もしも、TPP参加が自由貿易の推進であるといまだに思っていらっしゃる方がいるなら、少しだけ勉強してみてください。
「ウソつきはドロボーのはじまり」。今日はこの言葉を財務省に進呈します。人をだましてお金(税金)を盗ろうしているのですから、彼らはドロボーと呼ばれても仕方がありませんね。彼らは、省益と引き換えに、国民の財産だけではなく安全をもついでに盗もうとしているのです。