ぐうたら里山記

兵庫の西の端でただのほんと田舎暮らしをしています。ぐうたらです。のん兵衛です。

モリエール全集(4)

2017年06月04日 18時45分36秒 | 本の中から
文化は連続的に開花するのでなく断続的に開花する。
モリエールがいた時代のフランス。
デカルトやパスカルがロシュフコーやフォンテーヌがシラノ・ド・ベルジュラックやコルネイユやモリエールやラシーヌが、
相次いで生まれ育った時代。
フランスの国民文学、アレクサンドル・デュマの「ダルタニアン物語」の、舞台となった時代。
ブルボン王朝の絶頂期、ルイ14世の時代だった。
このように文化が一度に開花する時代はほかにもある。

古代アテネ。
ソクラテスやプラトンやアイスキュロス・ソフォクレス・エウリピデス・アリストパネスを相次いで輩出した輝かしい古代アテネ。

レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロやラファエロがいた15~16世紀のイタリア。
古代アテネのような輝かしい時代だった。

18世紀~19世紀のオーストリアのウィーン。
ハイドン、モーツアルト、ベートーベン、シューベルトがあいついで暮らした町、ウィーン。
不思議なことにあの「魔弾の射手」の作曲家ウェーバーはシューベルトよりも先に生まれてベートーベンやシューベルトよりも先に死んでいる。
ウェーバーというとロマン派の作曲家、シューベルトの次の世代の人間とついつい思ってしまう。

日本でも開花したことがある。
平安時代、紫式部や清少納言などがいた時代。
モリエールとほぼ同時代の芭蕉・西鶴・近松などがいた時代。

文化は一度に開花する。
モリエールの時代、フランス人にとって、きっと古き良き時代だったのだろう。
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モリエール全集(3)

2017年06月04日 02時13分58秒 | 本の中から
モリエール全集(1)(2)を読んだ。
現存してい初期の笑劇、「ル・バルブイエの嫉妬」からすでにモリエールだ。
3つ子の才能100までも。
人は基本的に変わらないものらしい。

昔、高校のころふとラジオを聞いたら交響曲が流れていた。
初めて聞く曲だった。
なんだろう?モーッツアルトじゃないな、
ハイドン?・・・でもないな。
ベートーベン、それも初期の作品、きっと1番だろうと思った。
曲が終わってやっぱりベートーベンの1番だということがわかった。
まったく同じように、途中からそれも初めて聞いたのに、シューベルトの1番もあてることができた。
これはずっと密かに自慢しているのだけど、もしかしたら誰でもわかることなのかもしれない。
3つ子の魂100までも。
持って生まれたものは一生変わらないものなのだろう。

モリエール全集を読んでいる。
モリエールは最初からモリエールだ。
「粗忽な男」狂言風なバカ殿さまと賢い家来の構図。
古今東西笑いを誘う。
賢い召使いと善良だけど愚かな主人、でも憎めない。

モリエールは医者嫌い「トンデモ医者」から最後の作品「病は気から」までことあるごとに医者は笑いの対象。
まあ医者が好きな人はあまりいないだろうけど・・・
それに医者は人類に何を寄与したか?プラスかマイナスか?
ある本を読んだらマイナスと書かれてあった。
人はあまりに医者を信用し過ぎていないだろうか?
成人病って何だろう?
西洋医学で成人病を治すことができるのだろうか?
治したふりをしているだけじゃないのか?
何十年も高血圧の薬を飲み続けて、それで治った人がいる?
何十年も痛風の薬を飲み続けて、それで治った人がいる?
抑えているだけ。
病人は生かさず殺さず絞り続けろ。
一度成人病になったらもう終わり、一生医者に貢いでいかないといけない。
これが西洋医学ではなかったか?
西洋医学で評価するのは外科的医療だけ。
風邪さえも治せない。
これが今の西洋医学ではないのか?

バッハやヘンデルを殺した偽医者。
モーツアルトを砒素で殺した医者。
そんな医者さえいなかったらもっと長生きできたのに・・・
モーツアルトがベートーベンと同じ時代をもっと長く生きることができたら、どんな名作を生まれたことか・・・

いやいやそんな話じゃない。
モリエールの話。
「滑稽な才女たち」~知ったかぶりの人間もまた喜劇の材料。
モリエールは医者だけじゃない、学者も嫌いだったらしい。
まあ学者が好きな人もあまりいないだろう。
学者って時の権力者のあとをぞろぞろくっついていく人間。
第三者委員会なんてそんな人間の集まりだよね。
それで結構な笑いの種。
モリエールの筆はさえる。

でも一番好きだったのは「ドン・ガルシ・ナヴァール あるいは嫉妬深い王子」
一見あまりモリエールらしくない作品。
たいていのモリエールの作品の舞台はサロン、家・・・小さな舞台だけど、この劇の背後にはシェークスピア的な壮大な舞台がある。
でも展開するのはサロンのなか。
嫉妬深い王子ととその王子が求婚している気位高く強情な姫との性格劇。
モリエールはこの劇にずいぶん力を入れて書いたのに「人間嫌い」とおなじように受けなかった。
それで早々と講演を打ち切り他の劇を上演することになった。
営業面を考えないといけない座主としてのつらいところだ。
でもよほどこの劇に愛着があったのか、後に「人間嫌い」や「タルチュフ」にその台詞の一部を使っている。
当時の観客のレベルが惜しまれる。
もうちょっと高かったらな~、もっともっと素晴らしい作品ができたのに・・・
でも今の日本でこの劇をあるいは「人間嫌い」を上演してもあまり受けないと思う。
人類は石器時代からそれほど進歩はしていない。
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