6/13 中村浩子 And then 第30話
雄二は翌日の朝になって夢を見たことを思いだした。
朝食のテーブルで雄二は見た夢を話した。
浩子さんは台に寝ていました。
灯りは暗くて、でも白い人がいました。
浩子さんから血がドバーっと流れてきたけど
すぐ消えてしまった。
浩子さんがお腹が痛いって、そう言いながら雄二は頭を抱え込んでしまった。
白い人? 顔は見ましたか?
見えませんでした。
寒い部屋で・・・・・と雄二はまるで部屋にいたように言った。
パチンと音がした。
浩子の父は雄二の言っていることをスマホに録音していた。
雄二君、君はノートにつけて。
後から追加できるスペースをとってね。
図もメモるといい。
浩子の父は霊感とか無関心な人だったけど浩子が何か訴えようとしていると感じた。
それが自分でなく、雄二だったことがなんか複雑な気持ちをさせた。
雄二はあの最後に浩子と話した日を何度も思い起こした。
そもそも浩子は珍しく男に興味を持った。
益田のどこが気に入ったのかしっかりきけばよかったと何度も思った。
でもそれが焼き餅とは思われたくなかった。
あの日、浩子はあんなに幸せそうに出かける準備をしていた。
丁寧にメイクをして、自分が最高に見えるドレスを選んで
なんで送ってやらなかったんだろう?
おまけに会えなかったなんて。
地下鉄を出てすぐだって言った。
どこの出口なんだろう?
自分で探してみたけどわからなかった。
警察に行ったとき、そのことをふれた。
地下鉄を出てすぐって言ったけど、どの病院の入口なんでしょう?
自分で見てみたいのです。
警察はその入口ならもうない建物に近いのです。
すでに調べました。
他にないのですか?
浩子は珍しくしっかり道順、ルートを知っていたんです。
刑事は考えていた。
推測だけどもし益田がその建物に浩子を呼んだのなら・・・・・
推測だけど、浩子はどこの防犯カメラにも映っていなかった。
浩子は病院に来た形跡がない。
でも会えなかったんですよね。
益田先生はまだ来ないって4時ごろ連絡をくれました。
4時ごろ? 警備も日曜日に益田を見ていない。
推測だけど、4時ごろ益田はどこにいたんだろう?
刑事は2年前の益田のスマホの詳細を調べた。
その日、4時に益田は東京にいなかった。
それどころか浩子の遺体、熊が隠した場所にすごく近いところにいた。
刑事はもう推測ではなかった。
益田は黒だ。
どう決定的な証拠を見つけるか?
刑事は考えろ、考えろ、そして刑事は考えた。
雄二は雄二の奇妙な夢の話をした。
刑事は興味深くその夢を聞いた。
それはホルマリンの瓶を見たとき、雄二たちが浩子のたすけての声をきいたからだ。
そういう科学で証明できないことありうるかも。
雄二の夢の話を人相書きの担当とともに聞くことにした。