6/15 中村浩子 And then 第31話
雄二の見た夢で浩子は室内で殺害されたと推測された。
その部屋の中に誰かいる。
白く見えるのはどうして?
台って言った。
どんな台か?
刑事は雄二にどんな台か見てくださいって頼んだ。
血が大量に流れて来る?
大量? 大量だって? あの土管にも大量の血が流された・・・・
そうすると、浩子は前にあった建物で殺害された?
建物の中はどんなだったろう?
そうだ、解剖室があったって言った。
当時の写真はないか?
土管の血をもう一度たどってみよう。
翌日、刑事たちは病院の庭を再度訪れた。
花壇に隠された以前の排水溝を探した。
そうこうしているうちに、昔の解剖室で撮られた数枚の写真が見つかった。
それは当時の病院で解剖をしている幾人かの医者が映っていた。
台があった。
高い台だ。
部屋は狭くはなかった。
窓は写真では見当たらない。
みんな白衣を着ている。
誰かいた、白い? 白いって白衣か?
刑事はその写真を雄二に見せてみた。
ああ こんな感じ これは誰ですか?
これは当時の医者で、解剖中とか。
台を見てください と刑事に言われ
雄二は台を見た。
うーん 似ているけど、なんか違う、違って見える。
夢を思い出してください。
これまで似顔絵の人がデッサンした絵柄と比べてみた。
台の上がはっきりしない。
浩子は宙に浮いているように見える。
白い誰かって医者の白衣では?
白衣? 雄二は考えた。
あの白いのは動いていたと雄二は思い出した。
で、そう言った。
動いてですか? 刑事は考えた。
最初はどこで見ましたか?
この辺、それから浩子が見えて、血が流れて来て・・・・・
血はどこから流れてきましたか?
穴? というかトンネルみたいなところから・・・・
同じころ、庭を捜索していた刑事は排水溝の続きを掘り起こしていた。
排水溝の続きは土管だった。
しかし、土管は建物とともに掘り起こされもうなかった。
庭になった、花壇周辺の土に何かないか?
花を一時移動させ、土を丁寧にふるいにかかけた。
石ころ? 煉瓦? それから時々木片? そして二日目の朝、
ふるいに何か残った。 木片? 嫌、金属だ。
それは手術用のメスだった。
刑事たちは丁寧に水で洗った。
確かに手術用のメスだ。
下水溝にメス?
その事実は捜査陣に報告された。
もし、これが大量の血液とともに流されたなら
このメスは犯人のものだろうか?
病院の医療器材の提供元に問い合わせた。
それは手術用小器材の中のひとつのメスだった。
メーカーも特定され、さらに2年も土の中にあったので
腐食されたけどイニシャルも浮き上がった。
これは益田先生のじゃないか?
出入りの問屋のセールスマンはそう思ったけど、責任もあるし
うっかりしたことは言えないとあえて黙っていた。
刑事の中で益田は黒と思っていた山田刑事は
参考までに益田先生の手術用メスを見せてくださいと頼んだ。
益田は嫌な予感がした。
あの時、流れた血液を吸い取ったあとに
肝心の益田のメスがなかった。
排水溝の入口辺の見たけど見つからない。
ま、小さいものだし、建物を解体してしまえば
メスの1本くらい発見されることもないだろう?
なんで、警察は僕のメスを見たがる?
益田は最近一回だけ使ったメスを1本警察に渡した。
これだけですか?
外科医って手術用のメス、何本も持っているのでは?
益田は彼のメスケースを見せた。
それを見た山田刑事は1本のメスをとり、
これを見せてくださいと言って持って行った。
それから鈍い光を放つ土の中から見つかったメスと比較した。
メスのツカの目立たないところにイニシャルがあった。
消えかかっているけどMは判別がついた。
それは新品の益田のメスと同じと判定された。
ますだのMだ。
再び益田は中村浩子殺人の重要参考人。嫌、今度は容疑者としてとして警察に
連行された。
益田は何も言わないと固い決心をして連行された。