ペドロランド日記

スペインの国際村「ペドロランド」を中心にフランスとイギリスに発信地を移しながら、日々の出来事を綴っています。

スペインのサンタクロース

2007-01-05 17:42:29 | 異文化・風俗・習慣
1月6日はキリスト教で公現日にあたり、この日の朝、スペインの子供たちはプレゼントをもらう。公現日はもともと東方の3賢人がキリストの誕生を祝うプレゼントを持ってベツレヘムを訪れたことを記念することから、スペインの子供たちにプレゼントを持ってくるのは、東方の3賢人ということになっている。この日は国民の祝日でもある。

地元の英字新聞に載っていた統計によると、スペインの子供の46パーセントが3賢人からプレゼントをもらい、38パーセントはサンタクロースと3賢人の両方からプレゼントをもらって、14パーセントはサンタクロースからだけプレゼントをもらうということだ。習慣の国際化を示す数字といえよう。もともと、サンタクロース(イギリスではファーザー・クリスマスという名前のほうがかつては優勢だったが、最近は変わってきた)はスペインの習慣にはなかった。が、移民が増えたり、テレビや映画を通じて、外国の風習が入ってきたためだろう。ハロウィーンといい、子供に都合のよい習慣が広まるのに時間はかからない。ちなみに、サンタクロースからプレゼントをもらう場合は、12月25日の早朝にプレゼントが届けられることになっている。2週間のうちに2度もプレゼントをあげるなんて、親の懐も痛いだろう。そのうち、12月6日のサンタクラウスの日に子供にプレゼントあげるオランダの習慣も入ってきて、1ヶ月の間に3回も子供がプレゼントをもらうなんていう日も来るかもしれない。

ペドロランド近辺の町では、1月5日の夕方に3賢人(スペインでは王と呼ぶ)のパレードがあり、沿道に並ぶ子供たちにお菓子が配られる。スペインの田舎では、この日の夜は、旅をする王たちの馬のために、子供たちは靴に藁やにんじん・大麦などをつめて、窓際に置いてから眠りにつくそうである。24日の夜にブランデーとミンスパイをサンタクロースのために用意しておくイギリスの習慣に似ている。25日の朝になるとミンスパイとブランデーが姿を消しているのは言うまでもない。3人の王がどんな経路をたどってやってくるかについてはそれぞれ地方バージョンがあるらしくて、ペドロランドから南に50キロほど下った、スペイン海軍の基地のあるカルタヘナでは、3人の王は船に乗ってやってきて、海辺に上陸するそうである。

1月6日の昼には市役所や町役場主催のお祭りがあり、子供たちが広場など一箇所に集められ、3人の王からプレゼントが配られる。

そして、家で「王のケーキ」を食べるということだ。砂糖のかかったリング型のケーキで、アンゼリカなどの砂糖かけのお菓子で飾られているということであるが、わたしが一度だけ買ったケーキはパンと言ったほうがふさわしいような代物であった。全体に砂糖はかかっておらず、いくつかの小さなパンを輪型につなげたような形のパンの表面に砂糖がけのフルーツが飾りについていた。パン屋から買ったから、パンだったのかもしれない。ケーキ屋で買うとケーキっぽいものが出てくるだろうか。正直なところ、パン屋から買った「王のケーキ」はとりわけおいしいものではなかった。ただのパンという感じ。それだけでは味がなくて、ジャムでもつけたい気分である。中には陶器でできた、飼い葉おけに横たわるイエス・キリストの赤子姿が入っていた。おもちゃや景品が入っているケーキもあるらしいが、わたしはこちらのほうが宗教的でよろしいような気がする。でも、うっかり包丁を入れたら、イエス様がまっぷたつなんてことになったら、あまりいい気持ちがしないだろう。

追記:1月6日、この日は毎週土曜日のマーケットの日に当たったので、歩いて2分ほどのマーケット通りに出かけた。重要な祭日なので、マーケットは休みかと思ったが、規模は普段の3分の2ほどだったものの、多くの出店が並んでいた。普段は3つほど出ているケーキ屋の屋台がこの日はたった1つだったが、期待通り王のケーキ(Rosco'n またはRosca de Reyes)を売っていた。やっぱりケーキ屋バージョンはパン全体に砂糖がかかっていて、パン屋バージョンよりもっと茶色くて多少おいしそうだった。化粧箱に入って金色の帯までかかっており、高そうだったので、買うのはあきらめた。たいしておいしいものではないのはないので(わたしは砂糖がけの干しフルーツが苦手)、食べずに写真だけ撮って腐らせても惜しくない値段だったら買ったかもしれない。わたしがかつて買ったパン屋バージョンでは、飾りの砂糖がけのフルーツは小片だったが、こちらはオレンジの輪切りなど大きな塊が表面に飾り付けられていて、ずっとカラフルで見栄えがした。