星くず雑記

日々の出来事は煌めく星くずのように…

宝塚の事件とOSK

2023年10月14日 16時57分30秒 | OSK・宝塚(OG含む)

まずは、満月の夜に自ら命を絶たれた

宙組の生徒さんの御冥福を心よりお祈りいたします。

ご遺族はもちろん、現役生徒さんらに

適切な対応が行き届くことや、組織改革を願っています。

(※亡くなられた直接の原因等は、今は分かりませんので

個別案件としては、本記事でも触れておりません。)

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宝塚歌劇団は様々な問題を内包してきました。

①中の人(劇団員、保護者、スタッフ)同士

②「ファン」同士

③中の人と「ファン」の関係

に大別できると思います。

加えて、歴史的に「宝塚は学校である」との

建前の元、プロとして相応しい技量⇔待遇

では無いと認識しています。

(その分、人材育成の功績も大きい)

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様々な諸問題に対し、

「学校」としては、①や②の行き過ぎた競争や

悪しき慣行に歯止めをかけるべきですし、

必要な手当金などの金銭面でのサポートも必要です。

プロ舞台人に対しては、「素人」の付き人(会の代表)

ではくマネージャーや、公式個人ファンクラブを作るとか

やりようはあったはずなのです。

 

長年、タカラジェンヌがプロかアマチュアかを曖昧にし、

内包する問題に向き合ってこなかった。

宝塚の持つ「清く、正しく、美しく」や

「高級」「お嬢様」等の正のイメージ

胡座をかき「金、コネ、いじめ」や「お金がかかる(何に?)」

「不祥事はスルー」の負のイメージ

長年向き合ってこなかったのが、現状だと思います。

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OSKは一時解散騒動があったことで、

かなりリセットされたのでは、と思います。

(近鉄時代のことは断片にしか分かりませんが)

まず、受験の年齢上限が23歳未満まで上がった。

近鉄時代のさくら寮は無くなった。

しかし給与待遇がかなり悪い時期(2007年の民事再生手続の頃)もあった。

 

宝塚は、10代の子供ばかりで社会経験に乏しく、

恵まれた家庭から一発合格を果たし挫折を知らない子や

宝塚以外の目標や価値観を持たない子もいる。

 

それに対し、OSKでは

最大7歳差の多様なバックボーンの研究生たちが

それでも歌劇をやりたい!

と言う共通の強い目標を持っている。

全員ではありませんが、「宝塚落ち」という

大きな挫折を経験している人も少なくない。

近鉄時代から、劇団員の人数も半減近く減った上、

寮が無いので、指導者の目が届かない場所も少ない。

宝塚ほどの、ガチガチのファンコミュニティもない。

スポンサーの冠公演や貸切もない。

数年前にテレビ取材で、給与システム(固定給+チケット売上の歩合給)や

チケット売上に応じたキャスティングの事情が公表されており、

(芸事以外の部分での)競争にも一定の透明性がある。

ファンは応援する劇団員名義でチケットを買えば、

金銭面でも、チケットや配役面でも、

その方を支援することが出来る、単純明快なルールです。

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歌劇ファンとしてOSKやSKDを知ってから、

親会社や設備・スポンサーが盤石な

宝塚がいかに恵まれているか知りました。

しかし、自死に至る生徒さんが出た以上、

宝塚の在り方が「正しかった」とは、

もはや言えません。

様々なしがらみで、硬直化していたのでしょう。

夢の世界、とは言え、そこに生きる

タカラジェンヌは生身の女性です。

宝塚退団後の方が、人生長いのです。

 

比べてみたとき、長年のOSKの苦難は、その度に

組織改革をせざるを得ない契機にはなったのだと思います。

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宙組は元々、東京通年公演を実施するために必要な存在でした。

しかし、宝塚も今一度、劇団員数や公演回数を減らし

管理や指導が行き届く規模となり、

宝塚「ムラ」として、関西ローカルで

伸び伸びと、創意工夫に満ちた劇団に戻っても

良いのでは無いでしょうか?

 

亡くなられたジェンヌさんを思うと、

当面『うたかたの恋』『心中 恋の大和路』等の心中物や、

『ベルばら』を含む、メインキャストの死を扱う演目は

演ずるのも観るのも、かなり辛いのではないでしょうか?

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OSKにおいても、朝ドラ効果で大きな追い風の中

100年誌にある、毎年の規則の見直しや、

生徒監によるケアはこれからも続け、

必要な、そして愛のある厳しさの中で芸を磨き

一人一人が心身とも健やかに、

活気ある舞台姿を魅せて欲しいです。

宝塚も同様であって欲しかった。

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改めて亡くなられた宝塚の生徒さんに対し

心より御冥福をお祈りいたします。

御家族や、彼女と心からの友愛で結ばれた仲間やファンの方々のお心が

少しでも安らかであることを願っております。

 

両劇団におかれましては、

未婚の若い女性を多数預かる組織である

女性歌劇の特性を理解し、劇団員を大切にして下さい。

 

特に、最大手である宝塚歌劇団が、過去の様々な不祥事と合わせ

大きな組織改革を図ることを期待しております。

(でも無理なんだろうな…(-ω-;))

 

悲報から2週間余り、モヤモヤした気持を整理すべく

書き綴ってみました。


令和6年9月浅草公会堂『The 北翔まつり』

2023年09月24日 22時02分32秒 | OSK・宝塚(OG含む)

北翔海莉25周年公演に行ってきました。

2018年の『蘭』での共演のご縁で、

俳優の藤山扇治郎さんとご結婚。

お二人には長男:美治ちゃんが2020年にご誕生になってます。

…で、この藤山扇治郎氏は、藤山寛美さんの孫であり、

松竹新喜劇の重要な俳優さんです。

ただ、近年は松竹新喜劇も芳しくない中、

出自や話題性で申し分ない美治ちゃんの

将来に期待がかかるところ。

北翔海莉自身も、実力派とは言え

個人事務所であり、松竹・東宝系ミュージカルは

すでに宝塚OGで大混雑しているので、

違う路線、すなわち「和」で頑張っている所。

このような中、ご自身のメモリアルとして

松竹新喜劇ゆかりの演目を、

松竹ゆかりの国立文楽劇場や浅草公会堂で演じ

息子さんのお披露目の場も作るという

絶妙なバランスのもとに企画された(と思われる)公演です。

加えて、「今の」彼女の集客力とかも含め

ファンや出演者の方も含めた「内輪向け」の公演でした。

さて第1部『先づ健康』。

いやー、元トップが高齢者役って、

北翔海莉以外には出来ないよなあ、と言う

彼女のセンスが炸裂。

扇治郎さんは次男役ですが、

ジャケットがどうもサイズが大きすぎる。

もしかしたら藤山寛美ゆかりの衣装かも知れませんね。

美治ちゃんは場面は短いながら、等身大の子供役。

第2幕は和物ショー。

幕開きが、「清く、正しく、美しく」で始まる

あの初舞台口上でお馴染みの曲。

北翔海莉のソプラノを初めて聴いたかも知れない…

凄く良かったし、宝塚では口上の間はピアノ演奏なので

フルバージョンの歌としても初めて聴きました。

『JAZZYな妖精たち』のピクシー役で、高い裏声だったことはありました。

ほんの一節だけでしたが。

次に扇治郎さんにより、北翔実父(海自OB )が

合格発表の一日を振り返った『いちばん長い日』

の朗読。お馴染みのエピソードなんですが、

初めて聞くキーワードもあり、興味深かったです。

最近指摘されつつありますが、合格発表が4月だと

必然的に大学や高校の入学手続き・費用がかかり

クラス編成や学用品準備などで、学校側にも迷惑がかかります。

宝塚音楽学校の入試スケジュールも改革が必要な時期に来ていると思います。

そして、宝塚時代の和物メドレー

新人公演の『飛鳥夕映え』や、バウ単独初主演『想夫恋』

から『風の次郎吉』『桜花に舞え』、さらに『蘭』まで、思い出が蘇ります。

宝塚OGや松竹新喜劇系の俳優さんも

みなさん日舞の素養があるので、一緒に踊り、華やかでした。

バウWS初主演『恋天狗』は和物なのに無かった気がします。

退団後の『ふたり阿国』も。

また2014年当時、公演ラインアップ(公演予定)で

当て書きの「大江戸夜飛翔」の文字を見たたとき、いよいよ退団かと思ったのですが、

まさかの星組トップ就任で、本当に驚き、嬉しかったです…

美治ちゃんの日舞「桃太郎」は独りで踊りきれず、

傍らの扇治郎さんは冷や汗(途中から一緒に踊る)。

扇治郎さんと美治ちゃんの「パパとあそぼう」は

微笑ましいものの、美治ちゃんの動きはフリーダム。

私は歌舞伎も観ますので、その子役達と比較すると

お目見えは時期尚早だったと思いました。

ただ、「内輪向け」とは言え、

舞台出演が、楽しく、やり甲斐あるものだと

幼いなりに幸せな記憶として残って欲しいです。

ペンライト禁止タイムになり、

再登場の北翔海莉による、棒術の演舞。

ライトセーバーみたいで格好良かったです。

北翔・扇治郎夫妻で「深川マンボ」を踊ると

風莉じんの歌で共演の皆様「お祭りマンボ」

『蘭』から「大阪ラプソディ」のフィナーレで幕。

宝塚時代からずっとそうですが

北翔海莉は口元が「ありがとうございました」

とはっきり言っているのが分かります。

幕が開いて、ご挨拶。

美治ちゃんがフリーダムに動いても、

母北翔海莉は動ぜず、父扇治郎が冷や汗。

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ところで、宝塚OGのセカンドキャリアは

長年の大きな課題です。

特定の方を指すわけではありませんが、

退団後、年々ファンが減っていく中で

元スターが宝塚時代の栄光を引きずり続け、

「落ち目」になっていくのは、残念な姿です。

また宝塚時代の若々しいイメージを引きずり

年齢相応では無い姿(言動、ファッション)も痛々しいです。

取り巻きの「ファン」も、疑似恋愛的にチヤホヤするにもかかわらず

OGジェンヌの人生にまで責任を持たないので

お花畑を作り出してはいけないと思います。

永遠に若く美しく大人気のスター、等あり得ないのですから…

潔く芸能活動から距離を置き、スター時代のイメージを大切にするのも、

また一つのセカンドキャリアの有り様だと思います。

その点、北翔海莉は「身の丈」「持ち味」や

扇治郎さんを含めた「周りの状況」を理解しながらも

公私共に充実し、実に楽しそうに活動していて、

安心して観ていられます。

コロナ禍で、副業として?

美容サロン経営・エステティシャンも始めましたしね。

もともと多趣味で努力家の方なので

ご本人の興味関心と実益が両立できてるんだろうなと思います。

今回は冒頭から何度も書いたとおり「内輪向け」で、

共演の方々も含め、実力があるものの

上手く肩の力を抜いていて、程よく楽しかったです。

北翔海莉さんが、今後も手堅く、楽しみながら

「天職」である舞台人として活躍なさることを

期待しています。


OSK日本歌劇団100年史が届きました

2023年06月09日 20時03分01秒 | OSK・宝塚(OG含む)

5月に劇団公式サイトで購入した『100年史』が届きました。

6月分の購入受付が始まったとのことで、

いつ注文したっけ?発送予定いつかしら?

とスマホをぽちぽちしていたら、ちょうど宅配便が届き

通販等の心当たりが無かったので、送付元を見たら

びっくり!ちょうど100年史が届いたのでした。

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90年史と比べると、厚みは一目瞭然。

まだ読み比べには至っていませんが、

秋月恵美子&芦原千津子のページは

大幅に増えているのが、すぐ分かりました(^^)

全体に写真がふんだんに用いられ、

歌舞伎の演目(白浪五人男、狐忠信、連獅子など)で

古今のOSKスターの写真が「競演」する企画は見応えあります。

現役スターの楊さんらのインタビュー記事も豊富。

 

巻末に在阪企業を中心とした「OSK日本歌劇団支援委員会」の一覧があり

実に頼もしい限りです。

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歌舞伎とのゆかりでは、上記の写真ページ他

1986年近鉄劇場『楊貴妃』が

「13代目片岡仁左衛門 総指揮」「5代目片岡 我當 演出」で、

記者会見の様子が、時代を感じさせます。

 

また市川右團次の実父である、日舞の家元

飛鳥峯王氏の名前が資料に見えるのも嬉しいです。

 

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身体的な性に基づき、現実にはあり得ない「異性装」

で創りあげるファンタジーが、

歌舞伎や女性歌劇の魅力です。

 

長い歴史の中で築き上げられた不変の魅力を信じ

これからも応援していきたいです。

 


宝塚80周年記念CDを聴く

2022年12月30日 13時24分57秒 | OSK・宝塚(OG含む)

宝塚80周年記念CDを中古で買いました。

宝塚歌劇団は1987年から主題歌CDを発売しており、

それ以前はレコード…

 

この80周年記念CDでは、レコード時代の主題歌が含まれ

特に大地真央の「Luck be a lady」に期待していました。

1980年代は私の両親が熱心に宝塚を観ていたこともあり

写真や台本は知っているのに音や映像を

観たことが無いものばかりなのです。

 

麻実れいさんは、男臭い顔立ちなのにソフトな歌声、

ニヒルなイメージの平みちさんは、二枚目ボイス…

と言う風に、声のギャップが素敵。

 

 

そして異次元は大地真央さま。

声や歌い方が、宝塚のスタンダードな男役

のそれでは無いです。

運命の女神を誘う歌の、なんとも耽美なこと…

 

何回もリピートしてしまいました。

勢いで、北翔海莉の歌と聞き比べるのですが、

何かが違う。

北翔海莉のそれは、ライブ盤なのもあり

(彼女らしからぬ)激しく、スリリングな感じ。

でもそれだけじゃない……?

 

もう一度、大地真央版を聞いて分かりました。

歌詞が違う!

再演以降「俺はあんたのもの」が、

初演「あんたの男になる」

 

大地真央さまに、こんなこと言われたら、

たまりませんね


OSK100周年『春のおどり』と歌舞伎『新三国志』①

2022年03月28日 20時57分20秒 | OSK・宝塚(OG含む)
OSK100周年『春のおどり』と歌舞伎『新三国志』
を観てきました。
 
私自身、感激が久しぶりなこともあり
どちらの公演でも、感動で最後に泣いてしまいました。
共通点も多く、二つを連続して観た感想を書きたいと思います。
 
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『春のおどり』
・第1部 光
 
コロナ対策なのか、演出なのか
日本髪のカツラが無い!メイクも洋風!
なのは驚き半分、残念半分でした。
でもその分、衣装が本当に豪華でした。
 
第1章:花の巻の「三番叟」は、
トップスターの楊琳が豪華で色も鮮やかな衣装で
スピーディーに舞い踊り、これぞ女性歌劇の和物!
と思いました。(カラフルな刺繍でしたよね?)
 
第2章:夢の巻は、歌舞伎風の演出で
さすが和物を大切にするOSK!
と思いました。
虹架の早変わり、遥花の花魁も良かったけれど、
愛瀬・華月の剣術シーンは素晴らしかったです。
(宝塚では(日本物が激減してるので)技術面、(長期公演故に)体力面でできないでしょう)
アクロバットや見得の切り方は、歌舞伎を見ているようでした。
若手モブの役名も「若い者」とのことで、歌舞伎を意識したのが分かります。
 
写楽役で目立つのが、男役ホープの翼和希。
花魁との絡みは妖艶だけれども、哀しさ儚さと相まって実に幻想的。
ここで、今回、日本髪のカツラを使わなかったことが活きます
突然、花魁(白夜大夫)の唯城ありすがドレスに。
そして琥珀大夫のが燕尾服に。観客席は戸惑いと驚きで、どよめきました。
(私も、パンフを見て気付いていましたが、やはり驚きです)
ここで洋舞と日舞の不思議な融合があり、
まるで、モネの『ラ・ジャポネーズ』を見るようでした。
 
そして第3章:月の巻は、内容は全く違うのに、
どうしても暗い舞台×黒系の着物×月モチーフ
なので、2021年宝塚月組『Welcome to Takarazuka』(演出:植田紳爾
を想起させてしまい、もったいない感じはあります。
ちなみに、演出の山村友五郎氏は、植田センセの息子です(笑)
 
さておき、この月の巻の楊の着物がとにかく豪華でした。
(螺鈿細工のような…)
彼女を中心に、男役たちの一糸乱れぬ舞から
現代演劇のようなセリフ、力強く壮大な舞踊、セリや照明の大胆さ…
OSKのあの(2004年の)復活劇を想起させる歌詞はどこにもありませんが
何度でも立ち上がる「凛とした」逞しさを感じさせました。
 
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・第2部 INFINITY
 
プロローグは期せずして、ウクライナカラーのラテン衣装。
この歌姫は誰?と思ったら遥花ここでした。
写真のイメージや私の記憶とも違っていて、びっくり。
 
アルルの女~ファランドールは
楊だけ軍服風で、周りが白燕尾の衣装が意味不明。
南仏~スペインの雰囲気なら、楊・舞美の雰囲気に合わせるべきでは。
 
パリ・パナムは、冒頭の舞美の黒燕尾も良かったし
全体の流麗な雰囲気がOSKらしくて非常に良かったし
OSKの歴史と言う意味で、途中で登場した歌手の千咲
傘を差すのも良かった。OSKの傘回しのルーツですからね。
でも独りだけ差すのは、どうしても千咲に視線が行ってしまい違和感。
傘回し以外に、傘を使うダンスを取り入れても良かったのでは。
特別専科の朝香の立ち位置も違和感。
ところで、この階段と桜のセットをフィナーレでも使うかと思ってました。
舞美さんは、90周年南座の『グラン・ジュテ』で、
ピョンピョン飛び回る少女役が印象的でしたから、
ふっくらとした(※体型ではなく雰囲気のこと)素敵なお姉さんになったなあと思います。
 
ここから、花の馬車に乗っては、実花さん大活躍!
日本歌劇団時代の団歌ですが、初めて聞きました。
小さな馬車も可愛らしいし、軽妙なラインダンスも良かった。
(OSKはもっと高速ラインダンスもできますが、
今回はこの位の、ゆるふわっと可愛らしい感じが合うと思います)
 
続く、大人のタップやジャズシーンは、桐生朝香が中心。
この場と言い、ラテンの黒と言い、ビターな場面は長身の城月が似合う。
(『娘役トップスター』が明確化されたため、城月の扱い方が残念である)
 
ジャストダンス、は見覚えがあるというか、
いつものOSKと言うか、新鮮味はなかったです。
 
鳩の場面は、やはり期待の翼に目立つパートを与えます。
昨年の女神と死にゆく戦士のシーンと、既視感。
雰囲気は好きですが、荻田先生の好みなのでしょうか?
 
そしてフィナーレは、わずかに楊・舞美のデュエット(リフト有)
があってからの群舞。
いくらトップコンビと言う概念が希薄とは言え、
もうちょっと時間を取ってほしかったです。
舞美千咲のダブルデュエットになるかと期待してしまいました。
 
虹色の彼方へ、はプログラム上「パレード」となっていますが
非常に斬新!
 
宝塚もOSKも階段を、スターが序列順に中央から降りてくる
というのが基本ですが、群舞の流れから
テーマソングを歌い継ぎ、要所要所でスターが出てくるというスタイルでした。
最後に中央から楊。宝塚風の丸い羽は背負いません(これ重要)。
てっきりパリ・パナムの階段セットを再利用すると予想していたので
全く新しいスタイルなのを歓迎します。
 
最後にカーテンコールで、楊の挨拶、桜咲く国で締め。
(私は『桜咲く国』の3番で泣きました)
 
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全体を通じ、100周年記念として
『伝統・定番』ではなく『全く新しいもの』を
創始したい意欲を強く感じ、見応えがありました。
今回は「今回」として良かったのですが、
やはりオーソドックスでクラシカルな日舞・洋舞レビューも
また観たいです。どちらも大切にして欲しいと思います。
 
また、スターの扱い方も宝塚とは全く異なり、
宝塚でいうところの「路線」を基軸とした起用ではなく
中堅以上の団員に満遍なく見せ場を与えているのも、
女性歌劇のあり方として良いと思いました。
観客としては、OSKは人数が少ない分、
一人一人の団員に思い入れが出てきます。
なので、それぞれに活躍の場があることは嬉しいです。
 
その上で、楊、舞美、千咲に加え、翼と唯城を
主力スターとして明確にしているのは
女性歌劇の文化として、必要なことだと思います。
 
今回、唯一物足りなかったのは、
OSKと宝塚の決定的な違いである、娘役の地位。
「娘役だけの場面」「娘役が男役を率いる」といった
力強い娘役シーンが少なかったことが残念でした。
 
久々のOSK生観劇でした。
楊さんは歌の上手いイメージは無かったのですが、
とにかく声が高く透明で美しく、魅力的でした。
(宝塚の男役のように、(煙草などで)不自然に声を潰していない印象)