時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

前回の続き

2013-10-02 23:54:48 | 反共左翼
前回の記事を書いた後、戦後左翼の何がいけないのかについて
自分の考えを整理したのだが、あれこれ文句を言っているようにみえて
世論に対して攻撃的な意見を絶対に書かない部分がそれに当てはまると思う。


北朝鮮の人工衛星実験への報道はまさにそれだろう。
靖国問題や慰安婦問題は、国内にもそれなりに批判者が育っているから
国家や右翼の偽善を批判できるのであり、これが天皇制となれば話は別だろう。


はっきり言おう。今の左翼は靖国神社参拝に反対できても
天皇制廃止は反対することができない。支持者が極端に少ないからだ。


同じく、経済格差を批判しても、賃金労働制の廃止は叫ぼうとはしない。
天皇制(政治制度)や資本主義(経済制度)といった制度そのものに
問題があるとして、その廃止を叫ぼうという考えは随分前に消え去った。

これは共産党も同様で、現在の共産党は漸進的に、まず民主主義革命を
選挙によって平和的に起こすところから始めることを念頭においている。

経済改革もまずは富裕税の導入と内部留保の徴収を掲げており、
システム自体の改革から部分的な改革へと修正している。

これは、冷戦時代の共産党と比べると大きな後退でもあるが、
逆にいえば、そうでもしないと票を獲得できないまでに世論のレベルが
落ちていることも意味する。かつての共産党ならば自身らを前衛と称して
大衆を導こうとしたものだが、今は民衆に歩調を合わせることをモットーと
している。つまり、民衆のレベルに呼応して丸くなっているわけだ。

共産党はまだマルクス主義の立場を固持し、党名も変えずにいるが、
冷戦時代にすでに大衆に媚びた姿勢をとり、反保守派という立場から
権力者と協力して共産党を攻撃し与党の勢力維持に貢献してきた
反共左翼(戦後左翼)はもはや言うまでもない。

本来の批評とは大衆がもつ差別意識や間違った考えに対して
喧嘩を売るようなものでなければならない。ところがそれをしない
もんだから、世の中が右傾化すれば右傾化し、左傾化すれば左傾化する
という情けないザマをさらしているわけだ。利権政治の代表的存在だった
八ツ場ダムの建設中止の際に朝日をはじめとした反共左翼は何を行ったかと
言えば、住民の声を聞けといって利権に群がる地元の連中に味方したし、
社民党もこの件に対する民主党バッシングに対して抗議すらしなかった。

こうやって相手の顔色を見て自分の正義を引っ込めるから
ほとんどの日本人が現在、右に突っ走っているのは仕方ないことだと思う。

彼らの殆どは中道左派、あるいは中道右派を名乗っているが、
中道と言いながら徐々にスライドしていっているわけで、
こういう自身の後退っぷりについてもっと強く自覚しないといけないだろう。

これは現在の共産党に対しても言える。以前から共産党はソ連や中国に対しては
大国主義と称して反発の姿勢をとっていたが、現在連載されている不破哲三の
スターリン悲史を読むと、これは正論やSAPIOに掲載されても不思議でない
内容になっていて、かつての党のリーダーも随分変わったことがよくわかる。

本来、日本全体に流れる共産バッシングに対して抗う姿勢をとらなければ
ならないのに、逆にその時流に乗っかってしまうのは本末転倒だ。

現在でも、ムスリム圏、ラテン・アメリカ、アフリカを中心に
西洋ヨーロッパの制度(自由主義、民主主義、資本主義)とは
異なる国家が多くあり(というか、そっちのほうが多数派だ)、
こういう国家群を「野蛮(非民主的)」と称して滅ぼそうとする
動きに対して真っ向から立ち向かう人間が必要だと私は思う。

コミュニストという集団は、それら途上国の制度を肯定した上で
先進国の横暴に抗える可能性を秘めているし、実際、そうだったが、
今後、世論の支持を欲するあまり社会党のように世間にすり寄ってしまえば、
それは共産党とは名ばかりの敵役を演じる権力側の協力者になってしまうだろう。