時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

右翼がいかに無茶苦茶かについて

2013-10-21 02:09:49 | 反共左翼
前回の記事で取り上げたサイトで参考文献として谷沢永一という
典型的な右翼が書いた本が取り上げられていたのだが、
結構笑える目次なのでここに引用したい。


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こんな国家に誰がした  今も続く、スターリンの呪縛

「日本は第二次大戦の主犯」と言う歴史の偽造家
 戦後の学界、言論界の大ボス・ 大内兵衛 への告発状

「ソ連はすべて善、日本はすべて悪」の煽動者
 日本罪悪論の海外宣伝マン・ 鶴見俊輔 への告発状

国民を冷酷に二分する差別意識の権化
戦後民主主義の理論的指導者・ 丸山眞男 への告発状

栄達のため、法の精神を蹂躙した男
反日的日本人の第一号・ 横田喜三郎 への告発状

金日成に無条件降伏の似非出版人
進歩的文化人の差配人・ 安江良介 への告発状

恫喝が得意な権力意識の化身
「進歩的インテリ」を自称する道化・ 久野収 への告発状

祖国をソ連に売り渡す“A級戦犯”
進歩的文化人の麻酔担当医・ 加藤周一 への告発状

その正体は、北京政府の忠実な代理人
日本の伝統の徹底的な否定論者・ 竹内好 への告発状

最も無責任な左翼・教条主義者
マスコミを左傾化させた放言家・ 向坂逸郎 への告発状

日本を経済的侵略国家と断定する詭弁家
現代の魔女狩り裁判人・ 坂本義和 への告発状

国家間の原理を弁えない謝罪補償論者
ユスリ、タカリの共犯者・ 大江健三郎 への告発状

近代日本を全否定した国賊
進歩的文化人の原型・ 大塚久雄 への告発状

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さて、ここに述べられている人間のうち、
少なくとも赤で表示されている人間は共産党と対立している。

(加藤と鶴見は晩年支持に回ったけれども)

特に丸山、向坂、久野の3人は反共産主義として有名で
丸山に至っては戦後間もなくの時点で共産党批判を明言しており、
共産党も丸山の批判キャンペーンを行ったこともある。
こいつらは共産主義者どころかその反対の位置に立つ人間である。

スターリンの呪縛だなんて書いているが、要するに
スターリン主義→共産主義→悪魔思想→国賊と訴えたいのだろう。


こうやって共産主義者と単なる左翼を混同して攻撃するのが
お決まりのパターン
で、右翼というのは敵の実態すら掴めていないのである。
(あるいは意図的にゆがめている)

おそらく有名な反保守の人間を叩きたかったのだろうが、
元共産党員の割に谷沢の決めつけは妄想の域に達している。

私が不破哲三の意見や党の外交政策、天皇制への態度を非難する一方で、
何だかんだで共産党の味方をしてしまうのも、
元党員のほぼ全員が極右に走って自分の妄想を平然と吹聴して
大衆を欺き、あまつさえそれによって大金をせしめるからである。


もちろん、共産党も内部では派閥争いがあるのだろうが、
破れた人間のみっともなさといったら目も当てられない。


戦後の論壇をみる限り、「左翼か右翼」かではなく
「共産主義」か「反共主義」かで見ていったほうが理解しやすい。

というのも、元共産主義あるいは非共産系の左翼は
えてして反共主義に走り、実質的にも実際的にも右翼と協力しているからである。

この点は侵略肯定者の佐藤優とつるむ左翼を批判する
元岩波書店社員の金氏のサイトが参考になる。
http://gskim.blog102.fc2.com/blog-entry-9.html

要するに、枝の部分だけ違うだけで連中は根っこの部分は同じであり、
派閥争いをしているにすぎない。そこが純粋なコミュニストと違う点だ。

もちろん、場合によっては協力することも考えられるが、
戦後左翼の右翼との協力はレイプ魔と一緒になって
女性の人権を訴えているようなもの
で、理屈が通らない。


コミュニストといっても、共産党よりも更に左な面々もいるが、
彼らは信条からか右翼とつるんだりはしない。構図としては


極左  日本共産党 (越えられない壁) 左翼 右翼 極右

となっており、左翼(反共左翼)も右翼も極右も同じグループの一員である。

この点ははっきり理解しないといけないと思う。

戦後左翼について

2013-10-21 00:58:11 | 反共左翼
私が右翼を嫌うのは、平気な顔をして出鱈目ばかりを吹聴しているからだが、
こんな連中が運営するサイトでも、意外と使える情報があるので、
ごくたまーに閲覧することがある。


今回、取り上げるのは右翼系某サイトで引用された
歴史学研究会の創立60周年の記念号の文章である。

これは戦後左翼(反共左翼)を考える上で重要なものだと思う。


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はじめに  -批判的史学をめざして-
1932年12月に創立された歴史学研究会は、
自らの歴史を振り返ってすでに『歴史学研究会 四十年のあゆみ』、
『歴研半世紀のあゆみ』を刊行している。

昨年、六十周年を迎えるにあたっても記念行事・出版を考えたが・・・
財政的にもあまり余裕のない状況だったので、つつましい企画で満足することにした。


歴史学研究会の創立は、必ずしも反「史学会」とか、
その後有力になっていく 皇国史観に逸早く対抗する
とかの意識をもってのことではなかったようだ。

・・・だが、 第二次世界大戦後、歴研はマルクス主義者を中心に
時代のエートスに応える歴史研究者の団体として大きな影響力を及ぼすに至った。
いわゆる「戦後史学」の中軸をになったと言ってよかろう。


しかし 1970年代 になると、「戦後史学」はイデオロギーの面でも
歴史研究の方法の点でも批判に晒されるようになった 。

その頃の特徴は批判者の多くが歴研と同根の
「左翼」の人々であったことである。



1980年代の末ともなると、ソ連邦が消滅する という
それを長らく願っていたような人ですら意表をつかれるような事態が生じた。

歴研を批判していた「左翼」にとっても歴研批判どころではなくなり、
土台が一緒に揺らいだと言える。
・・・歴研委員会の中ですら、 歴研にとっては馴染みの
「人民的・変革的・科学的」という言葉に対する違和感が表明された 。

私は、1990年の総会の答弁で述べたとおり、その三つの言葉を
「下からのまなざしをもち、現実の矛盾から目を逸らさず、
学問的な手続きをきちんとふむ」ことと理解する。

・・・ 歴研は今もこの三つを追及しようという人々の集まりである。
あくまでも現実と歴史に批判的な目を持ち続けるのが「歴研」であろう。
そして、江口委員長の時代から、
党派的分裂の危機を何度も乗り越えてきた伝統を持っている。

その伝統と観点に立って、1992年12月5日(土)、
東京大学本郷キャンパスで「いま、なぜ歴史学か」
というテーマを掲げてシンポジウムを開催し、約200名の参加を得た。・・・
さらに、 全12巻の「講座世界史」(東京大学出版会)
と 「国民国家を問う」(青木書店)との出版 を準備している。
これも六十周年記念企画の一環である。

以上すべての企画に協力された方々に深く感謝したい。
とくに若い委員の諸君に。そうした若い諸君の存在こそが
歴研の未来を保証してくれるのである。

1993年3月 委員長 西川 正雄

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歴史学研究会というのは、日本における全国規模の学会の一つで
西洋史、日本史と何かとジャンル分けされている日本の歴史学会の中で
数少ないジャンルを問わず、かつ一般人ですら入会できる民主的な組織だ。

会費が高いのが玉に瑕だが、間違いなく歴史学における
信頼ある学会であり、筆者も入会している。

この歴史学研究会ですら明言しているのが歴史学の
「批判者の多くが歴研と同根の左翼の人々であったこと」だ。


もちろん、これは学問的な論争のことを指していると思われる。
確かに歴史学の手法でいえば、経済的側面にのみ着目したり
階級闘争や史的唯物論などの公式をただ当てはめるだけの
学問には批判も寄せられたし、現在の歴史学はそれらの
欠点を補った上で、更にその先を進んでいる。

だが、このような純粋な学問の論議を別として
左翼の仮面を被りながら実際にはコミュニズムを攻撃すること、
ないしはそれに連なるであろうものを否定する動きがあったことは否めない。


実際、藤井一行や前野徹三、加藤哲郎などの面々は、
歴史学研究者なら一瞬で見抜ける虚偽で装飾した自称自由主義史観、
実際は隠ぺい史観(都合の悪い史実を隠そうとする歴史の見方)に対して
一定の評価すら与え、かつ一連の動きに確固とした批判を行えない
醜態をさらしている。


これは鎌倉時代の骨董品だと称されて競りに出された
メイドインチャイナの土産品を贋作だと見抜けない鑑定士同然である。


幸い、歴史学者の多くはソ連崩壊以降も他の学者と違い、
まぁ中国史やソ連史は別としてだが、時代の沈黙の圧力に屈せず
今日まで至っていると思う。だが、以前紹介した今西一のように
どちらかといえば、ソ連崩壊に気を良くして体制に与する歴史を
書く御用学者も少なくはない。いわば、リベラルを装いながら
徐々に右にシフトさせようとする動きもまた確かにあるわけで、
こういう輩から歴史を守ることも今後の学者に課せられた使命だろう。


なお、引用した右翼サイトでは戦後の歴史学を
マルクス主義歴史学と決めつけているのだが、その代表者に
遠山茂樹や永原慶二を加えず、なぜか井上光貞を入れている。

また、代表者として羽仁五郎を挙げているが、彼は確かに
マルクス主義学者であるが、戦後の歴史学を牽引した人物とは
言い難い。むしろ日本史に関しては藤原彰、大江志之夫、
遠山茂樹、永原慶二、直江孝次郎といった面々が主に主導した感がある。

この中には当然非マルクス主義の学者も大勢おり、
要するに大日本帝国の汚点は科学的に実証された事実であって、
これを歪めて伝えることは学者としてできないわけである。

明らかにサイト主は日本の歴史学会について無知に等しいことを
さらけ出している。また、常に日本の歴史を否定的に見るとして
怒りをあらわにしているが、日本近現代史が否定的に見ているのは
天皇制度に基づいた大日本帝国の蛮行であって、民衆まで否定的に
見ているわけではない。むしろ民衆を相対的に善玉として描くことが
批判されて、最近では大衆の戦争責任も研究されるようになったほどだ。

要するに、批判者によると
日本政府の批判→日本そのものの批判
にあたるらしい。こういう見方こそ権力の犬になることに
エクスタシーを感じる奴隷的アプローチである。

このサイトの著者は、歴史学者は全てマルクス主義という
誇大妄想に取りつかれており、かつ共産党と対立している
日教組を始めとして、明らかに御用メディアであるNHKや
朝日もマルクス主義として攻撃している、まさに
人を見たら泥棒と思えを実行している狂人である。

こういう人間が極右に吹き込まれた出鱈目を信じ、
「解放された」「目が覚めた」と書いているのだから、
まぁやっぱり右翼というのは宗教法人の一種だと思う。