時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

平等について

2013-10-31 21:36:22 | 浅学なる道(コラム)
医療費・教育費が無料の国家に対して悪平等という言葉を
もって否定したがる連中がいる。彼らに次の記事を読ませたい。


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軽自動車税引き上げは「弱いものいじめ」 スズキ会長

軽自動車大手スズキの鈴木修会長兼社長は29日、
東京都内で開かれた記者会見で「軽自動車税が増える(増税される)
と弱い者いじめになる
」と述べた。

消費増税に合わせて自動車取得税をなくした場合、
税収減を補うために軽自動車税の増税が議論になる可能性があるため、
警戒感を強めている。

鈴木氏は「軽の利用者は地方の人や所得の低い人が多い
「軽は海外ではなく日本の部品でつくる。つくる方も利用する方も弱者だ
などと述べ、軽自動車税の増税に反対した。

政府は消費税率を予定通り来年4月に8%、
2015年10月に10%へと上げる場合、代わりに地方税である
自動車取得税をなくすことを決めているが、自治体などは
税収減を補う対策を求めている。


佐賀県の古川康知事は29日、軽自動車税は普通車の自動車税より
税率が低いことを挙げ、「増税して普通車との税負担の差を
小さくする考え方は理解できる
」と述べた。

http://www.asahi.com/business/update/0829/TKY201308290357.html?ref=reca
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税率が低いことを理由に増税する。
これこそが悪平等というものだ。



悪平等を掲げる人間は例えば医療では、ヤブ医者と名医が
同じ報酬であることに不満を持っているが、ヤブ医者の報酬を
下げ相対的に医者の報酬を上げるということを主張せず、治療費の自由化、
すなわち、良い治療には高い治療費を設けるように要求している。

健康で文化的な最低限度の生活を保障することから考えれば、
お金を持っていない人間はショボい治療で我慢しろということだが、
これを実践したアメリカでは医者にかかることが出来ずにいる貧困層が
大勢いて社会問題になっている。知らないわけではあるまい。

医療や教育、インフラのような生存権に関わるものは
なべて低価格で提供するよう努力するのが国のあるべき姿だろう。

民族主義の弊害

2013-10-31 19:07:57 | 浅学なる道(コラム)
19世紀~20世紀において民族主義というのは、
イギリス、アメリカなどの支配国から自分たちを解放するための
論理として働いていた。本来、行政・立法・司法権は支配国ではなく
自分たちにあるのに、それを不当に奪われているため回復するという理屈だ。

だが、こういうナショナリズムは近頃は単なる宗教主義や国粋主義者の
支配欲を正当化するためだけに用いられており生産的なものとは言えない。

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日本の国会議員159人は靖国神社の秋季例大祭の2日目(18日)に参拝に訪れた。
今回参拝した議員数は今年の春季例大祭を除くと最大となる。

「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」は
日本の超党派議員による組織で、メンバーの多くは日本政界の重要な人物だ。
現任の安倍晋三首相や元首相3人、前任や現任の内閣大臣なども何人か含まれている。


http://j.people.com.cn/94638/94659/8429243.html

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国会議員の定数が衆議院480人、参議院242人、計722人だから、
159人÷722×100=22、すなわち国会議員の5人に1人が極右
というのが今の日本政治である(※)。エクセレント!

※現代日本の前身である大日本帝国を神聖視、崇拝対象とし、
 大日本帝国のシステムの継承(マイノリティ蔑視、天皇制強化、
 殖産興業、アジア覇権を目論む)する連中を意味する。


すでに滅びた国を懐かしがり神話化し崇拝する。まさに宗教だ。
こういう連中とウィグル民族主義者が協力関係を結んでいる。

ここから導き出されるのは、ナショナリズムというのは
究極のところ、その地域の権力者によって創造されるものであり、
当然対立するであろう大国と小国の指導者が裏側で癒着し、
共に大衆を支配しようと画策しているという事実である。


大日本帝国の時代でも、中国や韓国の有力者の中には
自分の地位の上昇・安定を狙って日本の権力者と友好関係を
結ぶ者がいた。関東軍に爆殺された張作霖しかり、後に韓国で
軍事国家を構築したパク・チョン・ヒしかり。


普天間基地の国外移転を狙って鳩山首相が動いていたその時、
日本の外務省が米国に無視するよう通達を送っていたことは記憶に新しい。

沖縄の駐日大使ケビン・メアが沖縄はゆすりの名人と語っていたのに
対して彼を弁護したのも、極右の宣伝企業である文芸春秋だった。


ナショナリズムというのは国家間との争いを過熱させると私たちは想像する。
だが実際には、争いは「私たち」の間で起こり「彼ら」は利益を分け合っている。


人民日報はどうして安倍政権がここまで挑発的な言動を繰り返すかに
ついて、アメリカの尖兵となってこちらの出方を探っているのだと指摘する。
(http://j.people.com.cn/94474/8441383.html)

確実に日本の農業と医療に莫大な損害を与えるTPPに
積極的な動きを見せ、集団的自衛権を確立しアメリカと協力して
軍事行動に出ようとする安倍政権ならさもありなんと言える。


おわかりだろうか?美しい日本だの誇りと伝統だのを掲げている
人間が、沖縄の住民から奪った土地を未だに基地として占領し、
広島に原子爆弾を落としたアメリカの人形となって働いているのである。

私たちはナショナリズムから距離をおくべきだ。
かつて国際主義という思想がコミュニストの間で流行した。

国家というものは支配者の都合に良いように作られたものであって、
各国の指導者は協力し合って、自国の人間を支配している。

被支配者は本来、利害が一致し共に行動してこれら政府を拒否する力があるのだが、
彼らは国民や国家という概念によって分断され、結果的に虐げられている者同士が
憎しみ合い、権力者に自発的に協力している。この現状を克服するために今こそ
国家の枠を超えて民衆が立ち上がる時だ。

・・・というのが国際主義だと考えてよいだろう。これは結果的に国際関係に
左右されたり、グループ同士の対立や支配者の弾圧によって挫折したわけだが、
ナショナリズムが台頭する今、アンチ・ナショナリズムとして
このインターナショナリズムが今一度目覚めるときなのかもしれない。