時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

和田春樹に主導される日本の朝鮮問題

2015-06-16 00:44:21 | 北朝鮮
先日、和田春樹が平凡社から新書を出版した。
(和田春樹『慰安婦問題の解決のために』平凡社、2015年)


朝鮮新報からも書評が寄せられている。

「本書は、アジア女性基金の主要メンバーであり、
 東アジア、なかでも朝鮮半島問題を積極的に研究してきた和田春樹氏によるもの。

 その経験から「慰安婦」問題の解決のための新たな提言をしている。

 著者は文中で、「보상(補償)という表現が適切ではなかった」と
 当時南朝鮮で反感を買った女性基金の取り組みについて、反省をこめ振り返る。」


と書かれているのだが、和田の反省は何とも中途半端なものだ。


例えば、アジア女性基金が慰安婦本人から拒否されたものであることは
認めながらも、同基金によって救われた人間もいると言及している。



「救われた」と高評価する意見は下村満子、大沼保昭らと同じもので、
 右翼は彼らの意見をもとに「日本は反省しようとしたのに!」と主張している。



確かに、歴代首相の謝罪の手紙を読み満足する慰安婦もいたが、
その手紙の内容は慰安婦制度の歴史を伝えていくことを約束したものだ。


実際には、今の安倍政権や自民党、維新の会を見れば一目瞭然だが、
慰安婦の歴史を消去しようとする人間が非常に多くなっており、
それを政府が後押ししている。要するに喜び損だ。


和田の意見は、この手の「Aも悪いけど、Bも悪いよね」から、
「Aは駄目だったけれど、良いところもあったんだよ」と論じるものが多く、
それは彼の前著に当たる『日本と朝鮮の100年史』にも通じる。



あれこれ言いながら、結果的に保守的な意見をソフトに主張するもので、
彼の発言をもとに朝鮮問題が主導されているかと思うと、何とも無気味だ。



特に気になるのが北朝鮮問題で、和田の北朝鮮論は基本的に
韓国側の意見と同じものであり、一見、マイルドに見えるが、
実際には、かなり強硬な意見を言っていたりする。この点は忘れてはならないだろう。

ヘイト・スピーチに反対するのは正しいのか?

2015-06-16 00:03:58 | 反共左翼
昨今のヘイト・スピーチ論を見ると、どうも腑に落ちない点がある。

まず、メディアの責任を問わないものが多いこと。
例えば、安田浩一の『ヘイト・スピーチ』だが、この本は文芸春秋から出版されている。


同社から出版された右翼本をもとにして、
今日の嫌韓・反中思想が醸成されたと言っても過言ではない。

例えば、南京事件はなかっただの、強制連行は幻だっただの、
その手の歴史改ざんは文春、PHP、ワックのお家芸である。

右翼は、この手の本を読み、
「日本は悪くないのに韓国や中国は汚名を着せてくる。けしからん!」
という反応を見せている。


つまり、安田は爆弾売りから金をもらいながら
爆弾テロを非難しているような矛盾した行動を取っている。




しかも、安田は櫻井よし子や渡辺昇一、西岡力、鄭大均などの
史実改ざんを以前からしてきたネオナチたちには一切批判していない。




結局のところ、これは良い中毒者と悪い中毒者があるのだと言っているようなもので、
麻薬の密売を正当化させる危険な思想だ






では、櫻井らと在特会は、そこまで質的に異なるのだろうか?
次の櫻井よし子によるヘイト・スピーチ批判の文を読んでみよう。



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櫻井よしこ氏 ヘイトスピーチは日本人の誇りの欠如が原因




外国人を受け入れる日本人の側には「外国から来た人に幸せになってほしい」
「充実した良い生活を送ってほしい」という気持ちを持つことが求められます。



言い換えれば、本来日本人が持つ親切心や思いやり、寛容さ、
そして美徳を私たちもしっかり身に付けておくことが必要です。
私たちが「日本らしさ」を持っていないと、彼らにそれを伝えることはできません。




最近、在日韓国人や在日朝鮮人に対するヘイトスピーチが問題になっています。



残念ながら日本人としての誇りや道徳が欠如していることの表われだと思います。
根拠なく日本に罵詈雑言を浴びせ続ける中国人や韓国人と同じことをするとしたら、
彼らと同じレベルに落ちてしまうことを自覚すべきです。


以下
http://www.news-postseven.com/archives/20140523_255470.html
(SAPIO2014年6月号掲載)
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根拠なく罵詈雑言を浴びせるというが、これはヘイト・スピーチにあたらないのか?
根拠があるのに「罵詈雑言」と無視を決め込んできたのが櫻井たち極右だ。


この点においては、櫻井は在特会と全く変わらない。
櫻井たちの言い分をベースに在特会の主張が作られたのだから当然である。




中国人や韓国人を日本人より下等な国民とみなし、
彼らと同レベルになるからやめろという「お前が言うな」的発言を櫻井はしている。



ハッキリ言って、言い方がマイルドかストレートかの違いだけで、
主張自体に両者に差はないのである。おまけに、在特会と比較すれば
マイルドというだけで、客観的に見れば櫻井の発言は十分、差別的なものだ。



このように、ヘイト・スピーチに反対するだけなら
極右にもできるし、現に櫻井よし子、小林よしのり、橋下徹などの
極右たちは、ヘイト・スピーチに反対し、無関係を装う小細工を弄している。



文芸春秋の反ヘイト・スピーチ本もその一環だろう。



このような欠点に加えて、反ヘイト・スピーチ本の大半は、
現民主党議員の有田芳生氏を異様に持ち上げ、評価しているが、
彼は1999年から櫻井ら極右と協力して北朝鮮を攻撃し続けてきた男である。




現在のヘイト・スピーチは、
「北朝鮮は非道い国だ。在日は北朝鮮の手先だ。けしからん!」
という理由で行われることが多い。


つまり、有田が極右と一緒に展開してきた過剰な北朝鮮バッシングによって、
今日の非常に攻撃的な差別思想が育まれたと言っても過言ではない。




この点について、反ヘイト本はスルーしている。
また、韓国へのヘイトには反対する一方で、北朝鮮バッシング本は無視している。



北朝鮮バッシング本には、私が指摘しているように、
非常にいい加減、それも韓国の謀略機関の情報をもとに論じたものも多く、
というか、それがほぼ全てで、質で言えば、つくる会の教科書と大差ない。


しかも、これらバッシング本は右翼だけでなく、
大月書店などの左翼の出版社からも売られているのだから、非常に問題だ。



要するに、有田や辛淑玉の意見は、
韓国と日本は仲良くして北朝鮮と戦おうぜ!というもので、

日本の植民地支配の反省や
戦後の冷戦体制(特に戦後韓国の軍政)の批判から生まれたものではない。





このように、反ヘイト・スピーチ論にも問題点はかなりあり、
単純に反ヘイト=正義とは決め付けられないのだ。



ヘイト・スピーチに反対するだけなら極右にもできる。
問題は植民地主義が日本でも韓国でも継続して今に至るということを知ることだ。


この辺を抜きにして差別に反対しても、あまり大きな成果は得られないだろう。

アメリカの諜報活動を黙認するドイツ政府

2015-06-15 00:08:23 | 浅学なる道(コラム)
日本は歴史を反省しない、それに比べてドイツは歴史を反省しているから立派だ。
こういう意見はよく左翼の側からも発せられる言葉だろう。


しかし、これが本当にそうなのかと言うと、すこぶる怪しい。



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米国の諜報機関はドイツで融通無碍に活動している。


あたかもドイツは、かつて反ヒットラー連合を形成した
西側諸国に、未だに占領されているかのようだ



ドイッチュ・ヴィルトシャフツ・ナハリヒテンのインタビューに対し、
欧州を代表するテロ対策・諜報・産業スパイ専門家で、
オーストリア連邦対テロ作戦・国家防衛庁創設者にして元長官、
ゲルト・ポッリ氏(Gert R.Polli)が述べた。



氏は次のように述べた。

米NSAがドイツに対し大規模諜報を行っていたことを示す
「スノーデン・レポート」に対し、ドイツ政界は憤激した。憤激は真率なものであった。

しかしそれも、今のところは、ただの空吹かしに終わっている。


メルケル首相のイニシアチブで、
米国と「対諜報」合意が結ばれようとしたが、いつの間にか頓挫してしまった。
首相の電話通信の盗聴をめぐる捜査も、証拠不十分として、停止されてしまった。


結局ドイツでは、通信の秘密というものは、事実上廃止されてしまったのであり、
政府は、さらなる情報漏洩を防ぐための措置を何ら講じることなく、2年間を徒過した。

その証拠に、先日、議会のコンピューターに攻撃が仕掛けられた。



ドイツにおいては、米国の国家安全保障局(NSA)と、
英国の政府通信本部(GCHQ)が、諜報に従事している。



ドイツ連邦情報局(BND)のゲルハルト・シンドラー長官によれば、
それは、ドイツの諜報機関の活動が米国および英国の諜報機関に依存しているからである。



ところでドイツの防諜は今も、主に「東」志向である。
誰の工作から国を守るかと言えば、昔ならソビエト、今ならロシアである。



そのロシアの諜報員たちは、ドイツにおいて、
米国の諜報員と比べ、常に、より慎重で、よりプロフェッショナルだった。
それなのにドイツの特務機関は、習慣的に、米国にこそ、排他的な協力を求めてきたのである。



同盟諸国の諜報機関の活動のあり方から見れば、
ドイツは今も「占領された国」なのである。


オーストリア連邦対テロ作戦・国家防衛庁の元長官、
ゲルト・ポッリ氏は以上のように述べた。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20150614/453992.html#ixzz3d325HygG

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日本の学者や知識人は戦争責任という狭い枠でしか見ようとしないが、
より広い視野をもち、植民地主義の歴史としてドイツを観察すれば、

占領統治が終了した後も、被占領国としてふるまっていること、
ソ連の防波堤として大国に利用されていることに気がつくだろう。



本来、ポストコロニアリズムという言葉は、
植民地主義の継続性を示すために使われるはずだったと思うが、
実際には、「植民地主義が終わった」時代として認識されがちだ。



ナチスドイツがあれだけ自由に振舞えたのも、
ソ連の当て馬として米英仏侵略トリオが利用したためである。



それを如実にあらわすのがスペイン内戦で、
ファシズム軍がフランコを支援したにも関わらず、
イギリスとフランスは黙認という形で静かにナチスを支持した。


近年のアルカイダやISISに通じるが、
結局のところ、第二次世界大戦というのは猛犬を飼い馴らせなかった歴史なのだ。


ゆえに、もっとも強く激しく糾弾されるべき国々が
どこなのかはハッキリしているのだが、この点を度外視して
上手くナチスだけを非難できるように、巧妙な歴史観が構築された。


この歴史観に応じて、
ナチスドイツとソ連とを同一の全体主義国家として区分する動きが生じた。
これらは、宗主国側の植民地支配の歴史と責任を無化させるのに絶大な効果を発揮した。


実際、1930年代~40年代の歴史を見れば、
イギリスやフランス、アメリカが同時期に行っていた植民地支配と
抵抗勢力への容赦ない弾圧については、ほとんど(或いは全く)言及されていない。


この種の西ヨーロッパ中心主義史観から脱却することこそ
今後の現代史に求められていることだと私は思うのだが・・・・・・


日露外交について、アメリカにお伺いを立てる日本

2015-06-14 23:28:05 | ロシア・ウクライナ
日本とロシアの両政府は、岸田外相が今年の秋をメドにロシアを訪問する検討に入った。
日本経済新聞が14日、伝えた。

「ロシアが求める日本企業の経済ミッション」も同行する可能性があるという。

なお、日経新聞は、「ウクライナ問題でロシアへの圧力を強める
米国とも調整しながら、訪ロ時期を最終判断する」と指摘しており、
日本とロシアの相互関係で、米国が実権を握っていることが、再び間接的に言及されている。


(安倍首相がウクライナを訪問した時、ロシアのペスコフ大統領報道官は、
 ロシアが他国の2か国関係に干渉することはないと指摘し、
 安倍首相のウクライナ訪問は、日本とウクライナの2か国関係の問題であり、
 ロシア大統領府はコメントしないと発表した。)

続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20150614/452823.html#ixzz3d2xjSs7g


自主独立の外交を叫びながらも、実際には元宗主国の顔色を伺いながら
コソコソと準備する我が国の小物臭さよ。やんぬるかな。

サウジのイエメン侵略つづく

2015-06-14 23:23:26 | 中東
イエメンの情報筋が、同国南部でシーア派組織のフーシ派と
同国のハーディ前大統領を支持する勢力の間で衝突が継続されていると報じました。


IRIBがイエメンの地元情報筋の話として伝えたところによりますと、
13日土曜朝、イエメン南部アデンで、
フーシ派とハーディ前大統領の支持派の間で大規模な衝突が発生しました。


複数の報道によりますと、アデン市の住民は、
食料、医療機器や電気、水の大幅な不足に直面しているということです。


また、別の報道によりますと、サウジアラビア軍の戦闘機が
イエメンの首都サヌアにあるイエメンの中央治安部隊本部の
アブドッラー・サーレハ前議長の住宅とその周辺の住宅を攻撃し、
これにより、多数の人々が死傷しました。


サウジアラビアは、今年3月26日から、ハーデイ前大統領を復権させる目的で、
イエメンのインフラ、病院、学校や住宅を攻撃しており、これにより、
現在まで、女性や子供を含む数千人の人々が死傷しています。


http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/55520
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前の記事で酒井啓子のニューズウィークのコラムについて批判した。


まぁ、コラムと言えど編集者がチェックするわけだから、
文句を言われるのを嫌がって、無難にISIS批判をして終わらせたのかもしれないが、
どうせ批判をするならイエメンへのサウジの侵略行為の凄まじさについて伝えて欲しかった。

ISISをイラク再占領に利用するアメリカ

2015-06-14 23:20:24 | 中東
イラクからの米軍撤退というオバマの公約を世界中の人間が称えたことは記憶に新しい。
しかし、今思えば、オバマは米軍を「一時」撤退を主張したにすぎなかったわけだ。


私は当時から駒をイラクからアフガンに移すだけにすぎないと述べていたが、
今、再びアメリカ軍はイラクを再占領しようと画策している。


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アメリカのイラク派兵にイラクの人々が反対




イラクの人々と政府関係者が、新たなアメリカ軍のイラク派兵に反対しています。


IRIBによりますと、イラクのアバディ首相は13日土曜、
新たに450人のアメリカ軍関係者をイラク西部に派遣するアメリカ政府の決定に反応して、


「イラクの政府と国民は、
 テロ組織ISISとの戦いを口実にした
 外国軍のイラク進出に同意することはない」と語りました。



イラクの人々も、アメリカの派兵の決定は、イラク再占領に向けた試みとしています。

イラク市民の一人は12日金曜、アルアーラムチャンネルのインタビューで、
アメリカ軍の派兵の決定に対するイラクの人々の大きな反対に触れ、

「間違いなく、イラク軍の訓練を口実にしたこの行動は、
 イラクの再占領を目的として行われる」
と語りました。



また、別のイラク市民も、
アメリカのテロリストに対する大規模な支援と、
イラクに進出するためにテロリストを支援していることに触れ、

「アメリカとイスラエルの陰謀の中で、
 イラクの人々はテロと戦っている世界全体の代表だ」
と語りました。


イラクの政治問題の専門家も、アルアーラムチャンネルのインタビューで、
イラクの人々はアメリカとの安全保障協定をめぐるアメリカの行動を不満だとして、


「アメリカの軍事顧問団のイラク派遣は、
 テロ組織ISISとの戦いの参加という主張やパフォーマンスとされる」


と述べました。


また、イラクの別の政治問題の専門家も、アルアーラムチャンネルのインタビューで、
アメリカ軍の部隊の新たな派遣は、イラクにおける訓練基地の設置を目的にしている
というのはイラクにおける軍事基地の再度の設置を目的とした口実だ
として、
「この行動は、イラクの人々に対する欺瞞だ」と表明しました。


アメリカのオバマ大統領は、ISISがイラク北部ニナワ州の中心都市、
モスルを占領してから1年と、イラク西部ラマディの陥落に際して、
450人のアメリカ軍関係者のイラク派遣を指示しました。


ISIS対策に関するアメリカの政府関係者の主張は、
このテロ組織が西側諸国によって育てられ、これらの国々や
そのアラブ諸国の同盟国による資金援助、武器支援を受けている中で行われています。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/
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宮田律のイスラム国解説本では、サウジのイスラム国支援には触れていても、
アメリカのイスラム国支援に関しては、述べてはいない。
一応、彼は中東(確かイラン)政治の専門家だと思うのだが・・・・・・


http://www.newsweekjapan.jp/column/sakai/2015/06/post-931.php

酒井啓子氏は、、
サウジアラビアがイスラム国を支援してきたことに触れず、
いや、触れているつもりなのかもしれないが、ここ数年、
サウジはシーア派に比較的穏健な政策を取ってきたという別側面を強調している。


酒井氏や宮田氏が無知だとは思わない。
故意に肝心な事実を隠蔽して中東政治を語っているように見える。


で、こういう人たちの意見が『世界』などの良心的メディア(笑)から
発信されるので、向こうの情勢について、ある程度詳しくなければ、
特に不思議に思うことなく彼らの言い分をすんなり受け入れてしまうだろう。


それが恐いのだ。

池上彰は本当にリベラルの星なのか?

2015-06-13 23:08:50 | マスコミ批判


さすがに度が過ぎたのか、池上彰の番組が非難されているようだ。
http://lite-ra.com/2015/06/post-1181.html


先に批判記事をリテラに書かれてしまった。残念。
上の記事では池上はリベラルの星と表現されている。


しかし、池上が左翼はおろか、リベラルに立ったことなどない。


靖国問題に関しては、参拝の意義を理解してもらうよう訴えることが大事と言い、
慰安婦問題に関しては、解決されないのは韓国の市民団体のせいだと言い、
竹島に関しては、「日本としては、それ(韓国の領土化)を阻止するため、
韓国の実効支配を認めないというアピールをしておかなければなりません。」
と言っている。


どこらへんがリベラルなのか、さっぱりわからん。


池上の主張は右翼の言説をそのままなぞったものだ。
リテラは池上が極右ブログを参考に韓国を批判したと非難するが、
それはいつものことである。



そもそも、右翼の言葉と左翼の言葉を並べて、
最終的に保守よりの意見を述べるのが、池上のスタンス
ではないか?


例えば、池上は靖国神社にしても、実はこの神社は天皇の神社であり、
西郷隆盛など、賊軍として働いた人間は、同じ日本人でも祭られない、
つまり、日本人ではなく天皇の兵士を称える神社であることを知っている。


ところが、最終的に彼は
「日本のために死んだ兵士を悼む気持ちを理解してもらおう」という
安倍の言い分をそのまま繰り返している。

何のための知識なのやら、わけがわからなくなる。


そういうわけだから、今回の反日解説番組にしても、
いつも通りの通常運転だったのだが、なぜか今回だけ批判されてしまった。


これは実に不思議なことだ。



リテラをはじめ、岩波書店、その他の左派系メディアも
池上彰を正義の使者であるかのように褒め称える。



正直、私はヘイト・スピーチよりも池上のほうが性質が悪いと思う。

桜井誠の言い分は、誰がどう聞いたっておかしいとわかる。
だが、池上の場合、ウソを含め肝心の事実を知らせず「わかりやすく」解説する。
そのため、予備知識の無い一般市民は彼の言説を疑わず信じるだろう。

つまり、合法詐欺師の腕前としては桜井より池上のほうが遥かに上だ。
明らかに後者のほうが受け手の思考力を鈍らせている。


テレビの効果もあいまって、池上の言説を聞き、
嫌韓や嫌中に目覚めた国士は結構いるような気がする。


その点を黙認して、池上無双だの、リベラルの星だのといって
同氏を宣伝している左翼系メディアの無責任な言動は批判されてしかるべきだろう。


リテラは、インターネット週刊誌の色が濃いのでまだ理解できるが、
岩波まで池上に記事を書かせるのは一体全体、何なのだろうか?


『世界』の編集部や岩波新書の編集者は、
池上の言説が保守派のそれだと気づかないのだろうか?



これは何度も言っていることだが、
今の日本の右傾化は正確に言えば、左翼の右傾化だ。


市民の中には依然、左翼と呼べるであろう人間は潜在的に多くいると思う。
実際、震災などの大きな困難に遭遇して、多くの市民団体が生まれたのは記憶に新しい。


とするならば、近年、左翼系の図書が売れない原因は、読者ではなく、
彼らを満足させられない中途半端な情報しか発信しない出版社にあるだろう。

安倍にまかせては北方領土は返ってこない

2015-06-12 01:00:03 | ロシア・ウクライナ
ロシアが、北方領土で軍事・民間インフラを拡大

ロシアの国防省が、日本のウクライナへの支援に反発し、
「(北方領土を含む)クリル諸島でのインフラを拡大する」と発表しました。


外交誌は、ロシア国防省は8日月曜、クリル諸島での軍事・民間
インフラ整備に向けたロシアの決意を明らかにした、としました。


ロシア国防省は、この計画の理由と詳細については語っていませんが、
この決定は最近の安倍総理大臣のウクライナ訪問に関係がある可能性があります。



安倍首相は、ウクライナで、同国のポロシェンコ大統領とその政策を支持すると述べました。

ポロシェンコ大統領はロシアの政策に反対しており、
ロシアをウクライナの内政干渉とロシア系住民の扇動で非難しています。


クリル諸島の一部は日本では北方領土として知られており、
国後、択捉、色丹、歯舞の4島はとくに60年前に領土問題の対象となり、
日本とロシアの緊張を生じさせています。


ロシアと日本が19世紀に締結した二つの条約は、
両国の国境を択捉島以北、カムチャッカ半島以南と設定しました。


こうした中、日本が第2次世界大戦で敗北し、ロシアは北方領土のすべてを占領し、
1万7千人以上の日本人を追い出し、それから撤退しようとしませんでした。



1951年に日本と戦勝国の間で締結されたサンフランシスコ条約で、
日本は戦勝国であるソビエトに対する領有権の主張から退くことになりましたが、
ソ連はこれに署名しませんでした。こうした中、
ロシアは1945年の協定は、クリル諸島のロシアの領有権を正式に認めており、
サンフランシスコ条約の必要はなかったと考えています。


1945年の協定は、ドイツと同盟国に対する宣戦布告のために、
西側がソ連におくった一種の贈り物であり、
「クリル諸島はソ連に与えられるべきだ」と強調していました。


1956年、ロシアと日本の政治関係は復活しましたが、両国は平和条約を締結しませんでした。

ロシアは択捉島に軍事駐留を行っており、2014年に国際空港をオープンしました。
北方領土におけるロシア系の住民の人口は3万人以上となっており、
ロシアは北方領土の上空を定期的に飛行しています。


こうした中、かつてのロシアのプーチン大統領の声明は、
協議と日本への一部の島の返還の可能性を否定していませんが、
この1年の出来事は、これに関する合意の展望を暗いものにしています。


日本はロシアのクリミア併合の問題を理由に、G7のロシアに対する制裁を支持しました。
さらに、日本は2016年のG7サミットの開催国となっており、
恐らくその年にもロシアはこの会議に招かれないでしょう。

ロシアはウクライナ情勢をめぐり、G8から脱退させられました。


http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/55453
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私は北方領土に関しては現地住民の立場を優先しており、
また、そもそも北海道は日本ではなくアイヌの土地だと考えているので、
返してもらおうとは思っていない。そもそも「返す」という表現がおかしい。


しかしながら、私と反対の立場であるはずの北方領土返還を主張する
連中が、安倍政権によるロシア政府への挑発と、その結果であろう
北方領土の開発強化に関して、同政権への批判を展開しないのは不思議だと思う。


ロシアは日本が経済制裁を敢行したことについては、あまり怒ってはいなかった。

それは親米国家であるゆえ、宗主国に
歩調を合わせなければならないのだろうと考えていたからだ。

ところが、日本は頼まれもしないのに、
わざわざウクライナに多額の経済援助を申し出た。

これは明らかに、申し訳程度の反ロ行為ではなかった。


この経済支援は、ロシアのメディアでは随分大きく取り上げられたようだが、
日本では、小さなニュースになったかどうかといったレベルだ。

この辺のズレは、私としてはかなり気になるところである。
客観的に見れば、安倍政権の大失態が領土返還への道をさらに遠ざけたのだが、
なぜかメディアはこのことをまるでなかったかのように無視を決め込んでいる。


よく竹島や尖閣諸島については、執拗に報道されるのだが、
北方領土に関して言えば、完全無視の態度がデフォルトになっている。

考えても見よう、北方領土に関するロシアの政策は韓国や中国の比ではない。


一応、竹島にも住民がおり、また観光地になってはいるが、
それにしたって、ここまで露骨に自国の領土として開発してはいない。

にもかかわらず、なぜメディアもネトウヨも激怒しないのか?
なぜ嫌韓や反中キャンペーンはされるのに、ロシアにはしないのか?



そもそも、ネトウヨも含め、なぜか日本人にはロシアに割合好意的な人物が多い。

フィギュアスケートのプルシェンコ選手しかり、リプニツカヤ選手しかり、
アイドルのような扱いだ。これはキム・ヨナ選手に対する態度とは随分異なる。


実際、やってることを観察すれば、ロシアのほうが領土問題に関しては
強硬姿勢を貫いているのに、なぜ北方領土より竹島がクローズ・アップされるのか?

この辺を考えると、実に面白いものが見えてくると思う。

酒鬼薔薇聖斗の著書について

2015-06-11 21:58:31 | 浅学なる道(コラム)
17年前、知り合いの下級生の首を切り、校門に置いたという猟奇殺人の犯人である
当時14歳の少年(今は中年。まぁ若者を自称する古市憲寿や古谷経衡ら
30代の右翼論者にとっては彼はおじさんじゃないかもしれない)が本を出版した。


ニュースサイト「リテラ」で大体の内容は把握できる。
http://lite-ra.com/2015/06/post-1177.html


私は死刑論者に反する際に、酒鬼薔薇(以降、Sと表記)を挙げることがある。

Sのような猟奇殺人者でさえ、更正が可能だったのだ、いわんや……というわけだ。

実際、日本の殺人事件の多くは尊属殺だ。

友達なら絶交すればいい、上司なら辞職すればいい。
だが、身内(特に親)の場合、縁を切ることが非常に難しい。

ストレスがたまりにたまり、最後の一線を越えた時、殺人は起こる。

世間一般では、殺人=死刑、「遺族の気持ちを考えろ!」という意見が多い。
しかし、実態を見るに、遺族=犯人の身内が多いため、その論法はどうかなとも思うし、
逆に「反省すれば許される」かのような擁護派の意見にもちょっと首を傾げたくもなる。


私としては、殺人者というのは、逮捕された瞬間から絶対的弱者になると考えている。
自業自得という言葉で何もかもが許される風潮がそこにはあると感じる。


実際、今でこそ冤罪だと判明した足利事件の容疑者、菅家利和氏に対しても、
当時は、様々な新聞社やテレビ局、雑誌社がいい加減な報道を流し、
なかには菅家氏の性癖にまで踏み込んで異常犯罪者と断定した。


これら報道への謝罪は今でも行われていない。


このような犯罪者には何を言っても、やってもいいのだという風潮は
別のジャンルでもセクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメント、
ヘイト・スピーチ等々、ありとあらゆる差別行為に通じるものである。


ゆえに、私は犯罪者なら殺してもいいのだという意見、
それも被害者の遺族を利用して正当化させる意見には反対している。


そういうわけで、Sに対しても、そこまで厳しい視線を送ってはいなかったのだが、
今回の出版に関しては、正直、幻滅というかSと出版社の商売根性にあきれてしまった。


リテラは絶賛しているが、私としては、この本は、およそ最悪の部類だと思う。

同じタイプの文でも、秋葉原通り魔事件の犯人、加藤智大とは大分違う。

加藤の場合は自分の罪の重大さを認め、責めながらも、なお深い考察を加えていた。
対して、Sの場合は、妙に茶化しているというか、大げさな表現が目立つ。


一言で言えば、自分の犯罪を面白おかしく書いているように感じるのだ。

Sは自分がいかに異常であるかを強調するために、祖母の位牌の前で
性に目覚めたとか被害者の少年に同性愛的な眼差しを向けていたとか、
石原慎太郎の小説に出てきそうな背徳感あふれる人物として自己を演出している。



これは、人間は追い詰められた時、当り散らす、散財するなど、
いろいろな逃げ道があるのだが、その選択肢が非常に限定されてしまった時、
殺人事件は起きると分析した加藤のそれとは対極的なものだ。


読者ウケしやすいというか、マスコミ向けというか。被害者遺族が怒るのも無理はない。
実際、この本は犯罪の抑止には役立ちそうもないし、遺族への償いにもならないだろう。


殺人犯は異常だから人を殺すのだという世間の偏見を助長させるだけのものだ。
この本を皮切りに、また死刑存廃論が、それも悪い方向に論議されるのではないだろうか?

冷静に考えれば、最も重要なのは再犯や模倣犯の防止であり、
そのためには、効果的な更正システムの構築が希求される。

死刑か否かよりも前に、現状の更正システムで十分なのか、
不十分ならばどこを改善すべきか。そういう議論をすべきだと私は思う。


その意味で、Sが事件後、これといった犯罪を犯していないのは
賞賛すべきことだが、彼が真人間に戻ったかと言うと、正直、かなり怪しい。


死刑支持者も犯人の反省を重視しており、存廃論に決着をつけるためにも
この点(更正が上手くいっているのかどうか)に関する本格的な解説書が要される。


あわせて、前述のメディアと犯罪報道の問題点も絡めた、
より大きな問題として扱った一般向けの入門書の出版が望まれる。


そういうのは、岩波などの大きな出版社が仕切るべきだと思うのだが、
まぁ……菅家氏に対しても、基本的にスルーしているわけで、あまり期待できない。


誰か企画してくれないのだろうか?無理か。

無駄に強気なポロシェンコ

2015-06-11 00:13:05 | ロシア・ウクライナ
ウクライナのポロシェンコ大統領は、
軍事協力に関するロシアとの合意破棄通告に関する一連の法律に署名した。
この件については、月曜日、ウクライナ最高会議のサイトが公表した。

ポロシェンコ大統領は特に、軍事分野及び軍事諜報分野における協力に関する
ウクライナとロシア連邦政府間の諸合意の破棄、国家間での軍事輸送の組織及び
その決済に関する合意の破棄についての法律に署名した。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20150609/432413.html#ixzz3cfinuKJ4



ポロシェンコは勝算があって上のようなことをしているのだろうか……

どれだけ煽っても実際に被害を受けるのは自分ではなく兵士だからヘッチャラなのか?


なお、ポロシェンコ含め西側メディアでは
ロシア軍が東ウクライナにいると主張しているが、これは誤報だろう。


ロシアはクリミアに関してはオープンに軍備配備を知らせているし、
仮にロシア軍が介入しているならば、とっくの昔に紛争は東ウクライナの勝利で終わっている。


グルジアの時を思い出してくれると良いが、ロシア軍はかなり強い。
地方の州軍にすら負けるキエフが太刀打ちできるものではない。


では、まったくロシア人が戦闘に参加していないかと言えば、
これも間違いであり、実際にロシアの公的情報機関では、
義勇兵が現地に向かっていることを包み隠さず報道している。


つまり、義勇兵という文字通りのボランティア軍が現地にいるが、
肝心のロシア軍は干渉していないということになる。


こういう複雑な状況を解説するのも専門家の仕事だと思うのだが、
いわゆる右も左もスクラムを組んでロシアバッシングしかしていない。

これは少々問題なのではないかと私は思う。