時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

大東亜共栄圏の地図

2015-07-03 19:48:38 | 歴史全般
よく、日本はアジアを開放するために戦ったのだという声を聞くが、
それは公式文書をもってしても、簡単に論破できる。




大本営政府連絡会議が残した1940年9月16日の「日独伊枢軸強化に関する件」では、
日独伊の戦争を世界再分割の戦争と位置づけ、日本の取り分を決めている。


日本が領土とすべき地域を「皇国の大東亜新秩序建設のための生存圏」としているのだが、
これがアジアどころかオセアニアまで含む広大な地域を含んでいる。欲張りすぎ。


(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-23/2015052301_01_1.html)

この方針に基づいて、日独伊三国軍事同盟が結ばれた。

つまり、ドイツとイタリアが「欧州における新秩序建設」を担当し、
日本が「大東亜における新秩序建設」を担当することを承認しあったわけである。


どう見ても、他国への侵略を共謀したとしか解釈できないだろう。

安倍晋三、ポツダム宣言を承知していないと発言

2015-07-03 19:19:39 | 日本政治
赤旗からの記事。

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「実に危険な政権だ」「これは国際的な大問題だ」


―戦争法案の成立を狙う安倍晋三首相の歴史認識を追及した
日本共産党の志位和夫委員長の党首討論(20日)が国内外で衝撃を広げています。


安倍首相が志位氏の追及に対し、
戦後日本の原点となった「ポツダム宣言」(1945年7月26日)を
「つまびらかに読んでおらず、承知していない」と述べ、
過去の日本の戦争を「間違った戦争」と認めなかったからです。



海外紙も報道し、ネットでの再生回数は、22日までに4万回近くにのぼっています。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-05-23/2015052301_01_1.html
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まぁ、さすがに仮にも談話をするつもりなら読んでいるはずだとは思うが、
そうなるとポツダム宣言の受諾を認めなくてはならなくなるので、知らんと答えたのだろう。



安倍は昔から、こういう御仁なので、ある意味気にしていないが、
それよりも周囲の人間のほうが私としては気にかかる。



(同記事から)
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今回の答弁は、安倍首相一人の考えではありません。


礒崎陽輔首相補佐官は党首討論での安倍首相の答弁を受け、「ポツダム宣言」について

一字一句正しいことが書いているかどうかは私はどうかと思う。
 少し精査してみないと何とも言えない
」(20日のBSフジ番組)
と否定する発言をしたのです。


礒崎氏にとって
ポツダム宣言は(日本が)全体として受け入れたのは明確な事実」(同)というものなのです。


菅義偉官房長官も21日の記者会見で「全体として受け入れている」という表現を使いました。
これは安倍首相が今夏に発表しようとしている「70年談話」に関して、
「村山談話」の核心部分を引き継ぐと明言せず、「全体として引き継いでいる」というごまかしと同じです。



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つまり、現政権の首相補佐官や官房長官が安倍と同じ意見であるということだ。

イエスマンばかりを集めて、確かな談話が書けるのだろうか?


「戦後政治の原点も知らない首相がすすめている危うさを、メディアはもっと警鐘乱打すべきです」
 とジャーナリストの青木理氏も述べているが、NHKをはじめとして、
 こういう問題をスルーしているのも気にかかる。


(個人的には、NHKは、もはや戦前の大本営報道部に先祖がえりしていると思う)



要するに、首相に対してブレーキをかけるべき人間や機関が機能を失っている
という事態に対して、もっと危機感を抱くべきではと思うのだが…どうだろう?

最近のプロパガンダについて

2015-07-02 00:12:48 | マスコミ批判
最近、池上彰がニセの吹き替え字幕を表示させ、
日本に好意的な韓国人の言葉を真逆の内容に偽った事件がちょっとした話題になっている。

これは、もちろんテレビでは報道されていない。

今に始まった話ではないが、日本のメディアでは
毒を毒と言わずに、そのまま垂れ流す悪質な行為がはびこっている。



今年の2月に掲載された松尾某のインタビュー記事でも
データを見る限り、雇用情勢に量的緩和は大した影響を与えていないのに
「雇用は増えた」と大雑把な事実だけを提示し、真逆の印象を与えている。



しかも、雇用は増えたといっても、非正規雇用の増加であり、
壮年期の正規社員⇒非正規社員へのキャリアダウン現象を主とした
労働条件の低下を意味するものであるのだが、松尾は別の場所で、
無職よりはマシと語っている。ワーキング・プアという言葉を知らないらしい。


基本的に、彼らは話を振られると「ちゃんと考えてますよ」と言いたげに
日韓の友好平和が大事だ、本来なら正規雇用が増えるべきだ等々の
申し訳程度の一般論を述べるが、実際には政府にとって都合の良い見解を示している。


池上は慰安婦問題が解決されないのは韓国の市民団体の責任だと語っているし、
松尾は来年、好況になるかもしれないからアベノミクスを批判するなと言っている。


(正確には「安易なアベノミクス失敗論」への自粛を主張しているが、
 安易かどうかの基準は松尾にしかわからない。要は批判するなということである)


両者に共通するのが、実際はモロに保守的……というより極右な意見
(『中国人に足りないのはモラル』、『無職よりはマシ』等々)をしているのに、
自分たちは保守派ではないと主張し、メディアもまたそのように宣伝している点にある。


こういうメディアによる逆さまの報道・情報というのは、よく見られる現象で、
例えば、映画『アメリカン・スナイパー』は日本では大作として宣伝されたが、
実際は、この映画はプロパガンダの色が非常に濃く、多方面から批判を受けている。



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映画「アメリカン・スナイパー」は、
2014年にクリント・イーストウッド監督により制作され、
今年の1月6日から大々的に公開されています。



原作は、イラク戦争に4度従軍したクリス・カイルの自叙伝
『ネイビー・シールズ最強の狙撃手』であり、
この映画は第87回アカデミー賞の6つの部門にノミネートされています。


(中略)

クリス・カイルは、回想録の中で自らの信条や見解を述べており、
これを読むことで彼の本当の人物像をある程度知ることができます。


クリス・カイルは、回想録の中で次のように述べています。

野蛮人、忌まわしい悪魔。それは、私たちがイラクで戦ってきた人々のことだ」 


クリス・カイルは、射殺される1年前にあるインタビューで次のように述べています。


私が殺めた人間は皆、悪人だったと確信している。

 もし、自分がしたことのために神に返答しなければならない時が来れば、
 私が返答を求められる事例が沢山あるのは明らかだ。
 だが、これらの人々を殺めたのは、そのどれ1つとして罪ではない。
 彼らは、アメリカの野蛮な敵なのだ。
 私の責務は、敵を殺すことであり、これについて私に罪悪感は全くない。
 私は、戦争に多くの不快な記憶があるが、良心の呵責に悩まされることはない」


(中略)

映画「アメリカン・スナイパー」は、
クリス・カイルが残した残忍な人物像を、責任感溢れる兵士に変化させています。



この映画の中ほどには、子どもがアメリカ軍兵士に向かって銃撃しようと決意する時に、
クリス・カイルがストレスにさいなまれ、その子どもに向かって銃を捨てて
自分の生活を続けるようにと求める場面が出てきます。


この場面は、アメリカの世論を満足させた可能性はありますが、
アメリカ政府がイラクで引き起こした大惨事とは完全に矛盾しており、
この映画はその矛盾した内容を宣伝しているのです。

http://japanese.irib.ir/component/k2/item/52680
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積極的平和主義しかり、今回の反日報道しかり、真逆のイメージが刷り込まれている。


ある意味、橋下徹や石原慎太郎の述べることはストレートな表現であるぶん、
逆に、その怪しさを看破しやすいが、この種の中立や革新を装った意見は見破りにくい。


まぁ、それでも本文を読めば、その怪しさを見抜くのにそれほど苦労はしないのだが、
ほとんどの人間は、彼らの意見に直接触れないので、
何となく「池上=リベラル⇒信頼できる」というイメージが出来上がっていて、
意見自体は極右に近いのに、あれよあれよと正しい意見として拡散・受容されていく。


こういう巧妙なプロパガンダは信者を産みやすいので、
批判者を弾圧する際にも被害者を装うだけで、勝手に他人が空気を読んで始末してくれる。


池上と朝日新聞社との間のコラム掲載事件などは、その典型だろう。

この時、周囲のメディアが池上の英雄化を助長させたが、
それは、何も池上が頼み込んだわけではない。完全にメディアの責任である。

こういう御仁がメディアに持て囃されるのは世の常だが、
冷静に考えれば、鳩山政権時、執拗に県外・国外移設を強要していたメディアが
今の安倍政権では逆の立場から報道しているわけで、何だかんだで同類項なのかもしれない。