時事解説「ディストピア」

ロシア、イラン、中国等の海外ニュースサイトの記事を紹介します。国内政治、メディア批判の記事もあります。

セレブレニツァのムスリム虐殺事件

2015-07-13 00:18:16 | ロシア・ウクライナ
20年前に起きたボスニア・ヘルツェゴビナでのムスリム虐殺事件。



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ボスニア・ヘルツェゴビナで、数万人の人々がヨーロッパ最大規模の虐殺、
スレブレニツァ大虐殺の20周年の式典に参加し、新たに遺体で発見された
犠牲者136人の葬儀を行うと共に、この大犯罪の犠牲者を哀悼しました。


この式典には、イランをはじめとする各国の高等使節団が参加しました。

1995年7月11日、ラトコ・ムラディッチが司令官を務めるセルビア人武装勢力は、
スレブレニツァを数日間包囲したあと、国連により安全地域に指定されたこの町に進軍し、
ボスニア人のイスラム教徒の男性や少年8000人以上を家族から引き離し、
殺害、集団墓地に埋めました。この犯罪は、国連のオランダ平和維持部隊の目の前で発生しました。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/56276
-%E3%82%B9%E3%83%AC%E3%83%96%E3%83%AC%E3%83%8B%E3%8
3%83%E3%83%84%E3%82%A1%E5%A4%A7%E8%99%90%E6%AE%BA%EF
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この事件を巡って、最近、ロシアが槍玉に挙げられている。



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旧ユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴビナで20年前、
セルビア人武装勢力がイスラム教徒の住民8000人を殺害した事件について、
国連の安全保障理事会で、事件を「大量虐殺」として非難する決議案の採決が行われましたが、
セルビアを擁護するロシアと欧米が対立し、ロシアによる拒否権の行使で否決されました。



この事件は1995年にボスニア・ヘルツェゴビナ東部のスレブレニッツァで
セルビア人武装勢力にイスラム教徒の男性8000人が殺害されたもので、
第2次世界大戦後のヨーロッパで起きた最悪の虐殺事件とされています。


事件から20年となるのに合わせて8日、国連の安全保障理事会で、
事件を「大量虐殺」と非難するアメリカやイギリスなどが提出した決議案の採決が行われました。


しかし、セルビアを擁護するロシアのチュルキン国連大使は
「今なお続く現地の対立をあおるものだ」として拒否権を行使し、
中国など4か国も棄権して決議案は否決されました。



これに対して欧米各国から厳しい批判の声が上がり、アメリカのパワー国連大使は
「拒否権の行使は多くの肉親を失った遺族たちの思いを踏みにじるものだ」とロシアを非難しました。



安保理ではシリアやウクライナを巡って欧米とロシアが鋭く対立してきましたが、
20年前のボスニア紛争を巡っても対立が解けない現状が浮き彫りになりました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150709/k10010144291000.html
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NHKの報道だけを読むと、欧米列強のほうがマトモに見えるが、
実際に、彼らが何に対して反対していたかを知ると、評価が逆転する。



Srebrenica’s legacy should be one of peace, not war

All Srebrenica massacre culprits must be punished – Moscow


実は、ムスリムを虐殺したのはスルプスカ共和国軍であり、セルビア共和国軍ではない。

実際、殺害の責任者であるラトコ・ムラディッチ参謀総長はスルプスカ共和国軍の軍人であり、、
現在、彼はオランダのハーグに移送され、旧ユーゴスラヴィア国際戦犯法廷で罪を問われている。



つまり、今回の決議案は、
スルプスカ共和国軍の犯罪の責任をセルビア共和国に求めるもので、
これに対してセルビア共和国やロシア、アンゴラ、ベネズエラらが抗議しているのである。




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The UN International Court of Justice in its ruling on February 27, 2007,
referred to the tragedy as genocide, but found that Serbia has neither incited,
committed, or conspired to commit genocide.


The court however said Serbia failed to take all measures
within its power to prevent it thus violating its obligations
under the Convention on the Prevention and Punishment of the Crime of Genocide.


(http://rt.com/news/273037-srebrenica-massacre-anniversary-justice/)
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2007年の国際司法裁判所では、
セルビア共和国が虐殺を誘発・加担・共謀していないことが確認された。


にも関わらず、事件を未然に防げなかったことから義務を怠ったと叱責されている。


紛争の生存者でありロシア・トゥデイのジャーナリストでもあるネボジャ・マリックは
次のようなコメントを残している。

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“Tens of thousands of Muslims in the Middle East and North Africa
were killed in US 'humanitarian' wars since,
conducted under the slogan of 'no more Srebrenicas'.

(中東や北アフリカにいる何万ものイスラム教徒が「ノー・モア・セレブレニツァ」
 のスローガンの下、アメリカの「人道的」戦争によって殺された。)

Nobody in the West counted or mourned them.
This isn’t about concern for the Muslim dead, but about justifying wars worldwide.”


(西側の中で彼らを勘定に入れたり、追悼したりする国はない。
 これはムスリムの死を心配しているのではなくて、世界中の戦争を正当化しようとしているのだ)

(http://rt.com/news/273037-srebrenica-massacre-anniversary-justice/)
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極力、直訳に努めた。意訳するならば、

 「中東や北アフリカに住む何万ものムスリムが『セレブレニツァはもうたくさんだ』
  という名の下、アメリカの「人道的戦争」のために殺された。

  西側諸国で彼らの死を考えに入れたり、追悼する国は一国もない。

  彼らはムスリムが死ぬことを心配などしていない。
  世界中の戦争を正当化することに関心があるのだ。」

という意味だと思うが、断言できないので、悪しからず。


いずれにせよ、セレブレニツァの悲劇が現在進行形の中東・北アフリカへの
欧米の軍事介入の格好の口実にされていることだけは確かである。


ジャーナリストのニール・クラークは、この件について以下のコメントをしている。


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Srebrenica, along with the genocide in Rwanda,
is regularly cited by 'liberal interventionists'
in the West as an example of what happens when the US and
its closest allies don’t ‘intervene’.

It has been used not to promote peaceful solutions to disputes,
but to strengthen the neocon/faux-left case for wars (aka, 'humanitarian interventions')
against independent, resource rich countries that don’t
run their economies to the benefit of the Western elites or have
the ‘right’ i.e. pro-Western foreign policy orientation.


We saw a classic example in 2011, during the build up to the NATO war against Libya.

(http://rt.com/op-edge/273142-srebrenica-massacre-anniversary-balkans/)
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セレブレニツァはアメリカや同盟国が軍事干渉しなかったために
起きた悲劇として介入主義者たちによく引用されている。

それは、紛争の平和的解決を推進するためではなく、
ネオコンとニセ左翼が他国の独立に反対するための戦争を正当化する時に使われる。

自国の富を西側のために使わない反米・反欧国を更正させるために使われる。

その典型的な例がリビアへのNATOの軍事介入だった。


こういう事情を鑑みれば、今回の決議案は北朝鮮の「人権」問題と同一のもので、
欧米が特定の国家を攻撃・支配するために作られたものだとみなしても良いだろう。



未だに継続する列強国の植民地主義・帝国主義に着目して、
ロシアやアンゴラ、ベネズエラ、ナイジェリア、中国の抗議を見る必要がある。



セルビア共和国は事件の存在とその被害の大きさは認めている。
この点は、「証拠が無い」とか「すでに解決済み」とうそぶいている某国とは大違いである。


ユーゴスラビア一体の国々もまた、朝鮮半島のようなもので、未だに諸国の間で軋轢があるらしい。
NATOの利益を抜きにした戦後処理が進むことを望むばかりである。

パレスチナ占領60年

2015-07-12 00:14:50 | リビア・ウクライナ・南米・中東
パレスチナ人たちが故郷を失って今年で60年になる。
何らかの本が売られてしかるべきだと思うが……はたして……


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「抵抗はパレスチナ人が占領者に勝利する唯一の方法」




10日に行われたテヘラン金曜礼拝で、ハータミー師が説教を行い、
抵抗は、パレスチナ人が占領者に勝利し、聖地を解放するための唯一の方法だ
と語りました。



ハータミー師は、パレスチナ領土の占領から60年が経過したことに触れ、
「これまで、パレスチナに関して行われてきた会議の開催や条約の制定は実を結んでおらず、
 この領土の人々のためにはなっていない」と述べました。

さらに、「これまで、パレスチナ解放に向けて進展が見られたのは、ひとえに抵抗運動の賜物である。
イラン国民を36年前に勝利へと導き、この間、存続させたのもこの抵抗の文化だった
」としました。



また、サブラとシャティラ、ガザでの殺害、モスクや病院の破壊といった、
占領の間のイスラエルの政権の犯罪は、この政権にとって不名誉な記録であるとし、
「シオニスト政権は、世界の大国の支援を受けているが、滅亡に近づいている」と語りました。


ハータミー師は、イスラエルの政権のがん細胞を消滅させるためのイスラム諸国の連帯を強調し、
パレスチナ領土の問題解決のためのパレスチナでの国民投票の実施というイランの提案は有益なものだとし、
「パレスチナの人々は、自分たちの手で将来を決定すべきであり、望む人物に統治権を委ねるべきだ」
と述べました。

ハータミー師は、核協議に触れ、最近のアメリカの立場の変更と、これに関する矛盾した報道に触れ、
「アメリカは約束を破り、決して信頼できないことを証明した」と述べました。



また、イエメンでの人道的な悲劇に遺憾の意を表明し、
サウジアラビアは、シオニスト政権に最高の形で貢献したが、最終的に勝利するのはイエメンの人々だ
と語りました。

http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/56259-
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イランは民衆の意思を無視しているという批判をする者もいるが、
実際には現地の民意を否定しているのは、奇しくも列強のほうだ。


ウクライナしかり、ギリシャしかり、スコットランドしかり、そして沖縄しかり。


大国の煽りを受けた被害地から国民投票を通じて
民意を反映させようとしても、あれやこれや理屈をつけて無視をしているのは大国だ。



ところで、上の記事にもあるように、つまるところ、パレスチナ問題にせよ、
イェメンのそれにせよ、これは西洋VS中東ではなく、侵略と抵抗の衝突だと言える。


サウジアラビアのように、欧米とつるんでまで
同じイスラム国家を侵略するような国が依然、多く存在する。


話によれば、イエメンを爆撃している連中は停戦協定が結ばれた二時間後に、
同国の都市を爆撃しだしたらしい。凄まじいことだ。


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アラブ連合軍によるイエメン領内、
特に首都サヌアと主要都市アデンに対する爆撃が再開された。


人道的休戦が宣言されてから、たった2時間後の事だった


首都サヌアで、アラブ連合軍は、中心部にある大統領宮殿を空爆した。
またイエメン第二の都市で大きな港のあるアデンも空爆された。
この町にはフーシ派(イスラム教シーア派系武装勢力)の拠点があり
多くのフーシ派支持者が住んでいる。リア-ノーヴォスチ通信が伝えた。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/middle_east/20150711/561868.html#ixzz3fazQ1GLv

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私の知る限り、サウジアラビアは中東の中でも
とびきり独裁的で性質が悪く、他国の侵略も平然と行う
文字通りの悪の枢軸国なのだが、なぜか日本も欧州も米国もサウジには甘い。


そして、この傾向は政治学者にも通用し、
あれほどイラクやシリア、エジプト、その他諸々の国に対して、
口を尖らせて非難轟々、バッシングの嵐を吹き起こす学者たちが
サウジアラビアに対しては、相対的におとなしいのは不思議としか言いようが無い。


いや、まぁ、理由は何となく分かるのであるが。

少なくとも彼らはサウジが良い国ではないことには気がついているし、
たまに思い出したようにそのことについて言及もしている。

ただ、それは申し訳程度の言及であり、彼らにとってより魅力的なのは
アラブの春やイラク戦争の折に見たように、アメリカや欧州がこれから
転覆させようとしている国への批判らしい。傍から見るとそう見える。


ポスト・コロニアリズム研究が唱えられて久しいが、
私たちは未だに植民地主義との対決を避けてはいないだろうかとふと、疑問に思う。

進む韓国の軍拡

2015-07-10 23:33:46 | 軍拡
歴史問題を巡って争いが絶えない日韓だが、
北朝鮮・中国を攻撃するためのアメリカの手駒として使われている点では、
どちらも同じ穴の狢である。


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韓国が、初めて軍事的な宇宙情報機関、宇宙情報状況室を立ち上げました。


イルナー通信によりますと、韓国空軍は9日木曜、声明の中で、
「危機に対する準備を強化し、敵国の衛星を追跡するため、
 初の宇宙情報管理機関を立ち上げた」と表明しました。


この声明によりますと、この宇宙情報状況室の設置は、敵国の衛星を認識し、
さまざまな軍事作戦の実行に重要な情報を収集することで、韓国空軍を支援します。



また、宇宙情報状況室の立ち上げは、韓国軍に、
最高の形で、宇宙における事故を防ぐ能力を与えることになります。


この宇宙情報状況室は、
現在、アメリカの戦略機関から提供される情報と密接に関係しており、
2019年までに国産のシステムを準備し、利用が行われる予定です。


アメリカと韓国は昨年も、宇宙情報の共有に関する合意覚書を、
宇宙における事故を防ぐ目的で締結しました。



http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/
56236-%E9%9F%93%E5%9B%BD%E3%80%81%E8%BB%8D%E4%B
A%8B%E7%9A%84%E3%81%AA%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%83%
85%E5%A0%B1%E6%A9%9F%E9%96%A2%E3%82%92%E8%A8%AD%E7%AB%8B

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安倍にせよパクにせよ、ここまでアメリカに言いように利用されて
お前らホンマに腹たたないんかとツッコミを入れたくなってしまう。




特に、こと北朝鮮に関しては、両者の態度は非常に似ている。




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朝鮮半島の緊張化に関し、朴大統領の訪米でなんらかの合意が期待できるのだろうか?
韓国問題の専門家、ゲオルギイ・トロライ氏は次のように語っている。

「新たな合意の本質は明らかにされていないが、
北朝鮮に対する米韓の立場の強硬化が反映されたものだろうとは想像できる。


これを裏付けるのが韓国マスコミがばら撒いた情報で、
金正恩氏が90人の側近を処刑したとか、
体制が厳格化されたとか、北朝鮮は危険だと盛んに言われている。


明らかに心理的な準備が行われており、
米韓の軍事同盟の強化のためにその理由付けがなされている。

これが朴大統領の訪米の主目的のひとつでもある。

それでもこれは北朝鮮の攻撃性が増したことと関係があるはずはない。
軍事的な脅威は高いレベルにあるが、それでも現段階で深刻な変化は認められない。


大体において、北朝鮮が韓国を攻撃しようと企てているなどありえない。
なぜならそうなれば北にとっては自殺行為だからだ。


これは米国にとって戦略的に重要な朝鮮半島において、
米国が立場の強化を図ろうとしているだけの話だ。


そして第1にこれは北朝鮮の行為に関係するというよりは、
むしろ中国というファクター、中国抑止政策に関係しているのだ。」

続きを読む http://jp.sputniknews.com/politics/20150710/558403.html#ixzz3fUxFo2tu

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そもそも、現代韓国は建国の時点からして、すでに
アメリカが推挙したイ・スンマンを首相にすえ、軍政を敷いていた。


日本はアメリカの言いなりという言説はよく聞くが、
負けず劣らず韓国もアメリカの言いなりなのである。


しかも、軍を認めていることもあり、過去、ベトナム戦争、湾岸戦争、
イラク戦争などのアメリカの侵略戦争に軍を派遣、住民虐殺に大いに協力していたりする。



今の韓国の姿は集団的自衛権が容認された未来の日本を見ているかのようだ。

誇りを捨て、同じアジア人に牙を向けるアメリカの犬になり下がるか、
鎖を引きちぎり、このアジアを共に守る狼となるか。ここが正念場である。



……まぁ、どちらの首相も前者を選んでいるわけだし、
北朝鮮絶対に滅ぼす病に、両国のほとんどの国民がかかっている時点で、
自分たちを本当に苦しめる存在に対して抗おうとしないのは明白なわけだが(※)



(※)ちなみに、韓国にも米軍基地があり、核があるのではないかと疑われている。
当然、現地の市民は猛反対しているが、中央政府は彼らの言葉に耳を傾けようともしない。



……似たような国を思い出すなぁ


激増する自衛隊軍事演習

2015-07-10 23:04:05 | 軍拡
集団的自衛権を巡り激しい議論が繰り広げられる一方で、
現実の自衛隊は、数々の軍事演習に参加し、戦闘に向け万全の構えをとりつつある。


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(1)数量の多さ。日本の海上保安庁と海上自衛隊は5月に相次いで
フィリピンの沿岸警備隊や海軍とマニラ湾で海賊対処、通信などの合同訓練を行い、
海上自衛隊のP-3C対潜哨戒機2機がベトナムを訪問した。



6月23日には海上自衛隊の対潜哨戒機が
フィリピン・パラワン島の空港から離陸し、南中国海の関係空域で3時間にわたり活動した。

同機には海上自衛隊員14人とフィリピン軍人3人が乗っていた。


24日、P-3Cはフィリピンの軍用機と共にパラワン島から
約80~100キロの南中国海海域で合同演習を行った。



7月5日から21日まで、自衛隊は米国とオーストラリアによる
オーストラリア周辺海域での2年に1度の合同軍事演習に参加した。



(2)進攻性の強さ。米豪合同軍事演習には島嶼上陸・奪還などの内容があり、
陸上自衛隊は「離島」作戦に海兵隊と似た「西部方面普通科連隊」を
米海兵隊と共に演習に投入した。



(3)多くの演習に初めて参加。日本は南中国海海域での演習に初めて参加し、
フィリピンとの合同演習に初めて参加し、豪米合同軍事演習に初めて参加した。
安倍政権がこのように多くの軍事演習に熱を入れて参加する動機には次の点がある。



第1に、新安保法案の成立を推進するため。
安倍当局は日本の「平和憲法」に違反する一連の安保法案改正作業を強行し、
野党と多くの日本国民から強く反対され、阻止されている。



こうした中で、安倍当局が公然と脅威を誇張し、
周辺国との合同演習に参加するのには、緊張した雰囲気を作り出し、
新安保法案成立の口実を作る狙いがある。

http://j.people.com.cn/n/2015/0710/c94474-8918685.html
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9条によって紛争解決の手段として
戦争が禁じられているはずの日本の自衛隊が軍事演習を行っている。



集団的自衛権の容認に反対するのはもちろんだが、
その更に一歩先にまで踏み込まなければ、軍拡に歯止めをかけられないだろう。

世界遺産を巡る日韓の対立

2015-07-09 23:19:08 | 国際政治
韓国の保守系新聞では「日本が強制連行を認めたぞ」と
パク・クネ政権を褒めているが、そんなことはないだろうと思う。



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安倍晋三首相は6日午前、
「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録の決定について

「物づくり日本の原点が世界遺産登録されて、大変うれしく思う。
 これまで保存のために尽力してこられた各企業や地元のみなさまに敬意を表したい」


と語った。首相官邸で記者団の質問に答えた。

毎日新聞 7月6日(月)10時12分配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150706-00000016-mai-pol
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外務省の担当者は、日本側が登録決定後に行ったスピーチの中で、
戦時中に朝鮮半島出身者が一部施設で労働に従事していた
歴史的な事実関係に触れた部分について、「強制労働を意味するものではない」と述べ、
「徴用」の表現をめぐる従来の日本政府の見解に変化はないとの認識を示した。



~中略~

政府は、徴用は国内法の下で合法的に労働が行われたとの認識で、
この問題をめぐり、政府見解や公式文書などに「強制」の文言が記述された前例はない。


水嶋参事官は「意思に反して日本に連れて来られた方もいたことは否定できないが、
合法だった。違法な形で強制労働を行ったことを意味するものではない」と説明した。


産経新聞 7月6日(月)10時48分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150706-00000533-san-kr
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時系列順で見ると、

韓国「強制連行について併記しろ」
   ↓
日本「OK」
   ↓
独逸「じゃあ、世界遺産を認めましょう」
   ↓
韓国「日本が強制連行を認めた!パク政権すごい!」
   ↓
日本「強制連行を認めると言ったな?あれはウソだ」


となっている。ますます日本の評判を落としたような気がする……(汗)



よく反日、反日と右翼は叫ぶが、
正直、彼らの言動のほうが日本のイメージを物凄く悪くさせている。



それにしても気になるのは、軍艦島を巡る日本の報道で、
実は、この島でコリアンに奴隷労働をさせていたのが麻生炭坑だったことに触れていない。


つまり、あの麻生太郎の家が強制連行に思いっきり関わっているのだが、
この点に関して、これといったコメントが無い。単に知らないのか、それとも……?


韓国反発「明治産業遺産」は安倍首相のゴリ押し!
仕掛人の女性に「俺がやらせてあげる」


とはいえ、リテラは今回の件に関して、きちんと批判記事を書いていた。

リテラはリテラで変な記事を書くことがあるのだが、
何だかんだで、そのへんの全国紙よりよっぽどジャーナリズムを貫いていると思う。


最近のリテラは天皇制についても触れたり、何だか知らないが、
以前よりも積極的というか批判的な記事をよく書いている。


池上彰氏の批判記事などは半年前には考えられなかったことだ。

そのうち、『世界』より優れた情報媒体になるのでは……と思わなくもなかったり。
(褒めすぎ?)

中国経済の報道

2015-07-09 21:45:20 | 中国(反共批判)
昨夜の報道ステーションの報道内容はあんまりだったのでは……と思う。

冒頭で北京オリンピック時に報道された映像(※)を再び映し、
中国株の下落を因果応報であるかのように古舘氏が説明していたのだが、
それは説明になっていないような気がするのは私だけだろうか?


中国株式市場 一日で4兆元蒸発、一月の努力が無に

上の記事は5月末に書かれたものだが、この時、日本で
中国株の下落をバブル崩壊の始まりと報じた動きはなかったような気がする。
(すべてのメディアをチェックしたわけではないが……)



中国株はバブルでない、GSは27%の上昇予想



【市況】8日の香港市場概況:ハンセン指数は急反発、
値ごろ感と本土株の大幅反発が買い安心感に



【中国株】波乱を乗り越え中期上昇継続 /冨田康夫 <夏の相場観>


株専門のニュースサイトをチェックした限りでは、未だ結論が出せない状況であるようだ。

私は、今回の株安をもって中国経済が崩壊するとは思っていない。

いわゆる中国経済崩壊説は、15年も前から主張され続けていたことだ。
北京オリンピックの時も、あと○年で崩壊するという声が多くあった。


この前、立ち読みした本には「2014年、中国経済は必ず崩壊する!」と書かれていた。

要するに胡散臭いのである。


もちろん、その中にも確かな情報はあるだろうとは思うが、
正直、私にとって中国経済崩壊説は東海大地震説と同じようなもので、
「そりゃ、いつかは景気は後退するだろうが……」といった面持ちである。


上に紹介した記事の中で、冨田康夫氏は次のように述べている。

「上海総合指数を、やや長期的な視点から見ると、2007年10月に過去最高値の6124をつけた後、
 反落に転じ約1年後の08年10月の1664まで急降下した。その後09年8月にいったん戻り
 高値の3478をつけたものの、14年7月からの今回の上昇相場がスタートするまでの
 約7年もの間、低迷を強いられていた経緯がある。この7年間に日本や米国の株価は
 それぞれほぼ2倍の上昇をみせている。したがって、上海総合指数は
 中長期的な視野に立てば、上昇の途上ということになる。」



http://www.nhk.or.jp/ohayou/marugoto/2015/06/0620.html


冒頭で紹介した記事と合わせて読むと、
どうも今の中国株は上がったり下がったりを繰り返しているような気がするのだが…


と思っていたら、おあつらえ向きの記事を発見した。

中国株暴落の理由

こういう記事を読んでも、株安→中国経済の終わりと断定するのは早計だろう。


(※)郊外にあるスラム街を塀で囲い込んだ。

沖縄とギリシャ

2015-07-06 23:36:56 | 浅学なる道(コラム)
宗主国に理不尽な要求をされる。反対する首長や現地民が否定的に報道される。
似てるなぁと思うのは私だけだろうか?


観光が主な収入源になっている点も似ている。
米軍基地が駐留し、侵略の拠点にされた点も似ている。



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アメリカの軍事基地は、ギリシャの人々に政治的な圧力をかけて
彼らの民族的独立に損害を与えるために使われてきたし、今なおそうなっている。



(中略)

これらの基地群はしばしば隣接する諸人民に対して用いられる。


ギリシャの大地に置かれた基地群は、
1983年にはアメリカの第六艦隊がベイルートを爆撃するのに使われ、

1986年にはリビアに対する米国の攻撃を、
そして1990年にはイラクに対する攻撃を容易にするために使われた。



ギリシャに置かれた米軍基地はまたスエズ運河をめぐる
六日間戦争のときイギリスによって用いられ、また最近ではボスニアに対し、
また続いてユーゴスラビアに対するNATOの爆撃に使われた。


これらの基地群が土台となって、
コソボの占領を狙ったNATO軍がギリシャ経由で出撃することが可能になった。


この場合、民間港湾や空港その他のような非軍事的な民間施設も彼らは使用した。

また基地群はNATO軍の演習がバルカン半島や東地中海地域全域での
将来の干渉のために為されるのにも便益を与えている。

最近こうした種類の二つの演習がギリシャの大地で実施された。

http://www.heiwataikai.info/past_rally/00_nago/simpo/bunsyo_05.html
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これは2000年に書かれた文章だが、
状況は変わっていないのではないだろうか?



現に、ギリシャには未だにクレタ島とソウダ・ベイに米軍基地がある。
http://www.cnic.navy.mil/regions/cnreurafswa/installations/nsa_souda_bay.html



沖縄は基地の受け入れが、ギリシャは緊縮策の受け入れが問題になっているが、
本質的な部分、すなわち、欧米の植民地主義の被害を未だに受けている点では、
両者は兄弟とでも言うべき間柄ではないだろうか?



そう考えると、ここ最近のギリシャ債務危機に関して、
別に反日国家でもなんでもない同国に対して日本のメディアが
冷酷な主張(金は借りたら返すのが当たり前)をするのも納得がいくのだが……


参考記事 池上彰氏のギリシャ債務危機の説明について

ギリシャ国民投票:緊縮反対が6割を占める

2015-07-06 23:11:14 | 国際政治
ギリシャの債務危機について前々回の記事で解説したが、
このたび、EU・IMFが提起した緊縮財政案の受諾を問う国民投票が実施された。
(http://rt.com/news/271828-greece-referendum-no-vote/)


結果として、緊縮策の受け入れに反対する人間が60%、賛成する人間が39%を占めたが、
今後、EUが譲歩するかどうかは定かではない。予断を許さない状況になっている。



気になるのがギリシャの反対行動を否定的に扱うメディアの存在だ。


池上彰氏のニュース解説番組もそうだが、
毎日新聞でも、幾分、中立ながらも同様の姿勢を見せている。
(http://mainichi.jp/shimen/news/20150703ddm003020044000c.html)


「チプラス首相は民衆扇動とポピュリズム(大衆迎合主義)にとらわれている」

「首相が自分の信念にこだわればギリシャは他のEU諸国から孤立してしまう」

「態度がころころ変わる。何を考えているのか理解不能だ」



このように、ツィプラス首相への批判の言葉を何度も取り上げる一方で、
親ツィプラス派の人間は一人しか取り上げていない。しかも次のような評価付で。



「EUとの交渉で「ギリシャの尊厳を取り戻す」と
 宣言する弁舌は一部の国民の自尊心をくすぐる。」



他にも、緊縮策の譲歩はないという
EU側の言葉をそのまま受け止め、絶対の真実であるかのように語っている。


「「ノー」ならEU側は対応に苦慮する。チプラス首相は現行の
 緊縮策の大幅な緩和を求めることになるが、EU側に譲歩の余地はないからだ。」

「「信頼関係が壊れた」(ショイブレ独財務相)中で
  全加盟国の議会から承認を得るのは困難を極める。

 ユーロ圏財務相会合のデイセルブルム議長(オランダ財務相)は
 2日、「(国民投票の結果が『ノー』なら)極めて困難な状況になる」と警告した。」


なぜ譲歩の余地がないのか?なぜ極めて困難な状況になるのか?
上の毎日新聞の解説記事には、その答えが書かれていない。



要は、緊縮を強いる人間の言葉をそっくりそのまま伝えている記事であり、
結果的にはEU側の意向に影響された内容になってしまっている。



こういう記事に、どれだけ意味があるのか、ちょっとわからない。

私たちに必要なのは「緊縮の結果、ギリシャ社会がどうなったのか」、
「これ以上の緊縮策にギリシャ国民が耐えられるのか」といった情報であるはずだ。


上の記事からは、それを伺い知ることが出来ない。



加えて、ツィプラス首相の描写は、イランやシリア、北朝鮮、中国・・・
要するに日本の保守派にとって気に入らない国々の主導者に対するそれと同じで、
頑迷な独裁者(あるいは扇動者)として描かれている。



こういうセンセーショナリズムな記事が全うな解説記事として
押し出されるのは如何なものかと思うのだが……どうだろう?



少なくとも「一部の人間を鼓舞させるだけ」と評価した数日後に、
国民の6割が反対派になったわけで、現実と乖離した報道だったように感じるのだが……

池上彰氏の集団的自衛権の説明について

2015-07-04 23:36:25 | 軍拡
本日の池上彰氏の番組では、集団的自衛権が認められると、

アメリカに撃たれた弾道ミサイルを迎撃できるようになると解説されていた。

2013年の2月に参院予算委員会で安倍首相が述べた意見を
そっくりそのまま伝えたものだが、

法的に可能になること技術的に可能であることは違う。



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集団的自衛権の行使を合理化するための事例の一つに、
米領グアムや米本土に向かう弾道ミサイルを
日本が撃ち落とさなくていいのかという議論があります。


首相は、「ミサイル防衛において、日本に飛んでくるものは
(撃ち)落とすけれども、グアムに飛んでいくものは(撃ち)
落とすことができてもパスをしてしまう。これでもう相当たくさんの死者が出る。
日米同盟はその段階において大変な危機を、終わるかもしれないという危機を迎える」
(2013年2月27日、参院予算委員会)と述べていました。


ところが、グアムに向かう弾道ミサイルは高高度を高速で飛ぶため、

日本のミサイル防衛システムで撃ち落とすことが技術的に不可能なのは、

政府自身も以前から認めていたことです。



もともと無理なことを集団的自衛権行使容認の口実にするのはおかしいとの批判を受け、
首相は、
「もし将来、技術的にそれが可能となった場合、
グアムあるいはハワイに向かっていくミサイルについて撃ち落とす能力が
あるのに撃ち落とすことはできないのか」(今年2月10日、衆院予算委)
と答弁を修正し、日本に迎撃能力がないことを認めました。


集団的自衛権の行使容認ありきで、
都合のいい事例を考え出したものの、破たんしたのが実態です。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2014-03-14/2014031401_05_1.html
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技術上、ミサイルの迎撃は無理だと述べるのが本来の解説だと思うのだが

どうして安倍首相の過去の言葉をそのまま採用してしまったのか、ちょっとわからない。



池上氏はあれでも、相当、参考文献を読んでいると思うが、
なぜ、安倍首相本人がお認めになったことを無視して話を進めるのだろう?



ちなみに、池上氏の解説は、利点と欠点を併記する構成になっていたが、
「良い集団的自衛権」と「悪い集団的自衛権がある」と語り、
「今、安倍首相が目指しているのは良い自衛権なんだ」と語る意見が
 極右雑誌Willに掲載されている。



本人が意図したかどうかは知らないが、池上氏の解説も
「集団的自衛権を容認するとメリットがある」という印象を持たせる内容になっている。



なお、Willのそれは佐藤優氏と岡本行夫氏の対談で岡本氏が発言したものだが、
佐藤氏は特に反論していない。


この佐藤氏と池上氏が最近タッグを組んで、
色々と本をだしているのだが、気が合うのだろうか?どうでもいい話だが。

池上彰氏のギリシャ債務危機の説明について

2015-07-04 22:50:36 | マスコミ批判
「究極の責任逃れ」
またもや、名言が生まれてしまった(汗
池上氏は、毎回一言は名言を言わなくては気がすまないのだろうか……


久々に日本を代表する名ジャーナリスト、戦うリベラリスト池上彰氏の番組を見た。
4つのテーマを扱っていたが、特に面白かったのが最後のギリシャ債務危機の開設。

少年Aの話も中々だが、とりあえず、今回は債務危機のことにだけ言及しようと思う。



まず、今回の債務危機に関して確認しなければならないのは、
明日行われる国民投票は、債務を返すかどうかではなく、
融資の条件として提示された更なる緊縮策の可否についてのものであるということだ。


おあつらえの記事があるので、紹介しよう。
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ギリシャでは明日5日、国民投票が実施され、人々は、
国の社会・経済政策を引き締めると約束すれば財政援助を与える
とする債権団の要求に
「イエス」と答えるか、それとも「ノー」と答えるか、決めなければならない。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/europe/20150704/535183.html#ixzz3evXCwS9o
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現在、ギリシャでは緊縮策が行われた結果、次のような現象が起きている。



・大増税⇒消費減退⇒約100万の失業者が発生(失業率が9%⇒25%に)

・医療予算の削減⇒大量の無保険者が発生⇒医療費を払えない人間の路上死が社会問題になる


つまり、大量の失業者と無保険者が発生したのだが、
この上、さらに緊縮を求め、EUは「主に」次の要求を行ってきた。


●年金需給年齢の67歳まで引き上げること

●低所得である年金生活者への追加支払いを削減すること

●ギリシャの島々のための消費税に関する優遇措置を撤廃すること

●ビジネスに対する税金を引き上げること

消費税を23%に引き上げること


これら要求を受け入れるかどうかの国民投票なのだが、
どうも池上氏の話では、ギリシャが金を借りておきながら
「借金を踏み倒そうとしている」と視聴者に受け止められるのではないか
と番組を見て感じた。(「金をよこせ」と言う言葉を多用してもいた)



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ギリシャの債務総額は3500億ドルに上る。
うち2700億ドルが欧州中央銀行、IMF、ユーロ圏各国に対する債務である。

この三者が交渉におけるギリシャの相手型である。
三者は、税率引き上げや予算削減などの緊縮策をギリシャ政府に求めている。


こうした緊縮策が導入されれば、長年にわたり
経済危機に苦しめられてきたギリシャ国民の生活が、さらに圧迫されることになる。

続きを読む http://jp.sputniknews.com/business/20150703/532882.html#ixzz3evamjOlg

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池上氏の解説では、
緊縮策=節約となっているが、実際には増税だ。



増税を巡って、それでも融資を受けるか受けないかの話なのだが、
なぜだか「返すか返さないか」の話にされていたので、一応補足しておいた。



では、この国民投票に関して、現首相のツィプラス氏はどうコメントしているか?
結論を述べると、「要求を呑むな」と語りかけている。




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ツィプラス首相は、国民に対し
投票では、国際債権団の提案を退けるよう訴えた。


彼の意見によれば、
もし有権者の大多数が緊縮財政措置に反対すれば、
それはアテネ政府がEUやIMFそして欧州中央銀行との交渉で、
相手側の歩み寄りを期待できる
との事だ。




一方欧州委員会のユンケル委員長は国民投票を前にコメントし、
ギリシャ市民に対し「自殺行為はせず」ギリシャ支援継続に関する
債権団の条件に賛成するよう求めた。



緊迫するギリシャ情勢を、現地の民間ジャーナナリスト
ヴァッソ・ポリフロノプロ(Vasso Polychronopoulou)氏に聞いた―



「我々は、債権団三者の条件に賛成することはできない、
我々の欧州のパートナー達は、我々に消費税を23%に引き上げるよう求めている。
我々の競争相手の税率は10%なのにである。


債権団三者は、我々が経済的に自滅するのを欲している。
おまけに今は、観光シーズン真っ盛りなのだ。


観光業は、百万もの失業者を抱えたギリシャ国民にとって
仕事にありつける唯一の分野なのだ。これは、政治ゲームである。


彼らが我々の政府を好きではないことは良く分かる。
彼らは、どこか他の国の政府であれば、こんな風には行動しなかったろう。


しかし多くのギリシャ人は、
こんな政府であっても国民の利益を強く主唱していると捉えている。

前の政府でさえ、それを試みなかった。
我々は、EUから抜けたくはない、しかし平等でない欧州も欲してはいない。

もし最も強力なパートナー達が、
弱い国々の意見より大きな発言力を持つのであれば、それはもう連合体ではない。」

続きを読む http://jp.sputniknews.com/business/20150630/518144.html#ixzz3evd1W826

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これ以上の増税は嫌だ、でも要求を呑まなかったら融資は受けられない。

一体どうしたらいいのだろうと右往左往しているのが今のギリシャだ。




池上氏はギリシャ人が「借金を返済しない」理由として
「ヨーロッパ文明が始まった土地はギリシャだというプライドがある」
「冷戦時代アメリカが援助してくれたので、また今回も助けてくれると思っている」
「EUを脱退し、中国やロシアの側へ向かってもいいのかと脅しをかけている」

とコメントしていたが、確かにそういう声が絶対に無いとは言い切れないが、
それは少数意見であって、更なる増税・福祉費削減がメインの反対理由である。



私が見た限りでは池上氏は
「返すのが常識なのに愛国心をむき出しにして返そうとしない」
と主張しているのだが、それは曲解なのだろうか……?



まぁ、確かにギリシャの反対派の民衆は、
一貫して緊縮策受け入れの拒否を唱えてきたわけだが、
「緊縮策は受け入れないぞ。金だけよこせ」と主張していると
解説するのはどうだろう?明らかに悪いイメージを与えているように見えるのだが……



古事記か何かだと勘違いしているような気がするのだが、それは邪推だろうか?



一番気になるのが、ツィプラス首相が6月の中旬に
緊縮財政の拡大が強調されれば、ギリシャはユーロ圏脱退を検討すると警告した
ことを無視して「責任逃れで国民投票をするのだ」と語ってしまったことだ。



「究極の責任逃れ」(開き直りだったかも?いずれにせよ同じことだが)をして
自分の立場を鮮明にせず、国民に決定を委ねたということを述べていたが、それは違う。


逆に彼は緊縮策の拡大に反対しろと自分の意見を述べているわけだが、
番組では「本来は政治家が決めるべきもの」と真逆の事実が語られている


要するに、いつもの池上彰だった。
(中立を装いながら、保守派の意見を代弁する、いつも通りの解説だった)


私は、なぜ彼が未だにメディアに登場できるのか不思議で仕方が無い。
そろそろメディア研究者や政治学者らが苦言を呈してもいいのではないだろうか?



しかも、彼の場合、明らかにギリシャ国民に悪印象を与える話をしているわけで、
(中国や少年Aに対してもそうだが)、一種のヘイトスピーチじゃないかとさえ思う。



「節約しろ」と「増税しろ」では反対者に対する印象が大分違う。
意図的に単語をチョイスしているとするならば、かなり問題がある気がするが……どうだろう?





・追記

もしかして池上氏は
「究極の責任逃れ」ではなくて、「究極の開き直り」と言っていたかもしれない。
 どちらにしても、ツィプラス首相を非難する言葉である。

 更なる緊縮策を受け入れないギリシャは悪だということだ。


・追記2

 文明の発祥地であるギリシャがEUの要求など呑めるかという
 自惚れた考えをギリシャ人がしているという言説は池上の創作だと思う。

 あるいは保守派の創作をどこかで耳に挟んだとか?
 少なくとも私は、そのような話は効いたことがない。