狭いのでヒゲに寝癖がつくらしい
猫が箱に詰まっている。
なぜ「詰まっている」と言ったかというと、この猫は体重5㎏はある、立派なオス猫である。と、すると、この箱がさほど大きくないと察しがつくと思うが、大きさはせいぜい25cm×25cm位のものである。
そう、もともとは、このノラ猫のためのものではない。
この箱には、1週間ほど前まで違うノラ猫が寝泊まりしていた。
そのノラ猫は、夏頃は確かにこの辺りにも時々姿を見せる、少し洋風な毛並みの可愛らしいメス猫だった。灰色のトラ縞模様だが毛足が長めで、目は水色だった。側溝や生垣から愛くるしい顔を覗かせていた。
それがぱったりひとシーズンほど姿を見かけなくなった。
(可愛いから誰かに飼われたかな)と悠長に構え、私はさほど気にはかけなかった。
ある日、窓の外に、見るからに骨と皮状態のガリガリに痩せ細ったノラ猫が現れた。
この辺りは私を含めて、比較的ノラ猫には、干渉せずとも温かい目で見ている住人が多い。道路に面した庭先や駐車場の死角になる辺りに、ノラ猫用の餌を常に置いてあったりする人も多い。(私も例外ではないが。)その餌場に、やっとの思いで辿り着いたに違いないノラ猫が、そこにうずくまっていた。
餌も食べられそうにないほど衰弱しているようにみえた。家にある、うちの猫にも滅多に食べさせない(理由は、単純に口が肥えるから。それに2匹ともメタボだし。)レトルトのソフトフードを与えてみた。私の心配をよそに、彼女は凄い勢いで餌を頬ばった。あまりあわてるので吐き出したりもするが、その吐いたものまで綺麗に平らげる。そして食べ終わると、ヨロヨロ、足を引きずると言うより体を引きずって、何処かへ消える。翌朝6時半頃、窓の外を見るともう既に、朝の冷え込みの中にうずくまっている。私はレトルトのフードを与えてやる。その繰り返しで数日が過ぎた。
あの時ホフク前進のように体を引きずっていた彼女が、ふらふらとヨロつきながらもしっかり4本足で歩けるようになった。
出会って1日目は弱りながらも威嚇していたが、3日目くらいには頭を撫でさせてくれるようになった。こちらを信用してくれたのか、自分から頭をこすり付け体を摺り寄せて「撫でて」と催促するようになった。少し離れた所で日向ぼっこしていても「おいで」と手招きすれば、にゃ~と、か細く答えながら嬉しそうに(気持ちは多分)駆け寄ってきた。
ただの衰弱か、なんらかの病気をもっているのかは分からなかったけど、多少は回復しているように見えた。撫でるとゴツゴツしていた頭部も、心なしか弾力を感じる気がした。相変わらず骨と皮状態だが前よりはましにみえた。
ご飯を食べると何処かへ消えて、早朝に現れ窓の外にうずくまっている。
何処で寝泊りしているか分からないけれど、こんなに弱っていてさらにこの寒空の下、風邪でも引いたら間違いなく死んでしまう。夜になるとあの彼女のことが心配になった。
私はある決心をした。
◆私のオリジナルソングを公開しています。(ヘッドホンorイヤホン推奨)◆世界に於ける日本の役割は原発技術を広めることではなく、自然エネルギーの活用技術を広め世界を牽引することじゃないのかと思う。◆イジメとジサツと…イジメがなければその子がジサツしない可能性は?限りなく100%に近いと思う。