「G.I.ジェーン」は、1997年のアメリカ映画、
米海軍特殊部隊の入隊訓練に入隊した女性士官の奮闘を描いた作品。
チャーリー・シーン主演の映画「ネイビー・シールズ」で
その存在が世界に知られることになった特殊部隊シールズ(SEALs)、
各部隊の中から屈強な兵士たちが選抜され、
さらに12週間の入隊訓練に耐えた者だけがシールズに入隊できる。
訓練を卒業した者にのみ与えられる記章(バッジ)は
海軍将兵にとって最高の栄誉となる。
なお作品では、実在のSEALsをもじって「SEAL」としています。
オニール大尉(デミ・ムーア)は海軍情報部に勤務するエリート軍人、
海軍の予算を審議する米上院議会の委員長から
SEALはいまだに女性兵士の入隊を認めていない、
こんな男女差別はあってはならない、と言われ、
海軍が渋々、試験的に女性の入隊を認めたと聞いて、
第1号の女性訓練生に志願します。
訓練は男性兵士でさえ60%が脱落するという過酷さで、
しかも女性のオニールに対し
他の訓練生が露骨に「女の来るところじゃねえよ」と
彼女を仲間と認めようとはしません。
しかし、オニールは「女のど根性」を発揮して
課題を次々にクリアし、ついに最後の訓練である
模擬実戦訓練にまで進みます。
彼女が無事に卒業しそうとなって慌てたのが上院議員、
実は男女機会均等が目的ではなくて、
海軍の古い体質を攻撃することで
海軍基地の縮小を認めさせようというのが目的だったので、
女性訓練生「G.I.ジェーン」が男の中で頑張っているというのは、
逆に都合の悪いニュースとなるのです。
上院議員の姑息な妨害も排除して、
ついにオニールは訓練を終了し、記章を授与されるのです。
実際のところ、作品中で議員が語ったように
多くのアメリカ人は、娘や若い母親が
戦場で撃ち殺されることを望んではいないでしょう。
けれどそういう感情的な理由で
門戸を閉ざしてしまうことも許されないのが、
現代のアメリカ社会であるということです。
監督は「エイリアン」のリドリー・スコット、
SF映画の巨匠というイメージがありますが、
こんな社会批判を含んだ作品もあったのですね。
映画「ワンス・アンド・フォーエバー」