硝子のびんからさそっているよ
わたしたちのペチカの火
いつものきびしい冬将軍が 私の手をかじかませ
まぶたを重くしていくの
コモ・サバにはストーブも あたたかい囲炉裏も ございません
デッサンしようにもさむすぎて すみが紙にのらないの
硝子びんのウォトカが
ぼっうとからだを暖めて こころもじんわり暖める
木枯らしの夜の十枚がさね
帽子をかぶって踊りをおどる
それでもがまんできなくて
硝子びんまで手がのびる
硝子のびんからさそっているよ
わたしたちのペチカの火
--1995・詩集「思い出のコモ・サバ」より--