miss pandora

ONE KIND OF LOVE

愛にはいろいろ種類があるの
全部集めて地球になるの

幸せの城

2006-02-24 18:53:43 | エッセイ
雪の降る季節が続き、私の家には、かわいい本物の赤ちゃんが来ました。
赤ちゃんは、たいしてうるさく泣くこともなく、ころころと太っていて
かわいいものです。
ベランダを開けると、どこまでも続く雪の原です。

そんなある晴れた日曜日のことでしょうか。父が中心となってお兄ちゃ
んと私は庭の真ん中にお城を作ることにしました。母は、赤ちゃんがい
るのでお家で留守番です。私たちは、いつもよりずっとしっかり着込ん
でボッコ手袋をはめ、長靴の中にズボンを押し込めて、家をでました。
リビングのベランダからお庭は、丸見えだったので時々母と赤ちゃんに
合図を送りながら作業は、進みました。

お兄ちゃんと二人だけの雪遊びとは違って、土台から作る本格的なも
のでした。流れ作業でお城を作りますが、それがとても大きかったので
初めは、何を作っているのかもよくわかりませんでした。私は、たいし
て役にたたなかったのでお城の飾りつけ用の雪玉を作ったりしました。

とうとうお城ができました。
アーチ型の入口、かわいい窓には、雪玉の飾りがついています。
見張り用の三角屋根の塔もできました。
その時です。ベランダの窓がトントンいっていました。
母がよんでいます。行ってみると母は、三角形の旗をいっぱいもってい
ました。父は、それを受け取るとお城の屋根にさしました。

「しあわせのしろ」三角の旗には、そう書いてありました。
私は、まだ字を読むことができませんでしたが母がそう読んでくれたこと
をはっきり覚えています。お城が完成するとちらちら雪が降ってきました。
私たちも十分に遊んだのでお家へ帰ることにしました。

三時のおやつを食べながら茶の間の窓越しにみえるお城は、とても立派に
みえました。私たち兄弟の誇りになりました。父が王様、母がお妃様、
お兄ちゃんが王子様で私と赤ちゃんは、お姫様です。両親は、インスタン
トコーヒーを飲みながら、私たちは、お番茶を飲みながら
「しあわせのしろ」にまつわる即席の伝説などを話しました。
その当時は、私は、小樽の日本銀行を本物のお城だと思っていたものです。

その日本銀行のお城よりわが家の「しあわせのおしろ」は、大切で立派でした。




*panエッセイ集「ママといっしょにいたかった」より
*版画。。2002年楽しいトナカイ展より「クリスマスキャロル」







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