一級建築士の「住宅のヒントと秘訣」

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住宅の第三者検査(2)

2007年10月10日 16時22分14秒 | 住宅検査・トラブル相談
みなさん、こんにちは。

2007年10月5日の「住宅の第三者検査」の続きです。

住宅検査は、間違いを指摘するために行うのではなく、良い品質の住宅を建てるために行うものです。客観性をもって検査を行うだけでなく、いかに未然に間違いを防ぐかに努めなくてはいけません。

そのため、通常の現場でよく間違っている点は、事前に現場監督にお話をして了解を得ます。このときに、現場監督に疑問があれば納得してもらうまで説明しますし、その根拠もお話します。

できれば、現場監督だけでなく工事の主となる大工さんにも直接お話したいので、現場でお会いした時に、大工さんにもお話するようにしています。

単にこちらの要点を伝えるのではなく、最初は雑談、この現場や他の工事のこと、苦労話をお聞きしたりします。相手の職人さんにとっても、ただ指摘されるだけでは面白くありません。現場や本人の腕の良い点や苦労もわかってくれる検査員が、間違いや手直しを指摘するなら、どうでしょう?

職人さんも良い仕事はしたいと思っていますし、評価してくれる人がいればやりがいも出るはずです。

実際、第三者として検査に入っても、気持ちよく手直しを行ってくれる職人さんが多いのです。

地元ハウスメーカーで工事途中から頼まれた工事検査では、ケンカ越しに、「30年間大工をやっているが、そんなことを言われたのは初めてだ!」と怒っていた大工さんもいました。

さらに現場監督や本社の設計課長という人達が、何人も現場に待ち構えていて、「そんなことは、普段やっていない。そうしろというなら、金を取る!」と興奮していました。

最初から検査に入る場合は、納得してもらっているので良いのですが、途中からの場合は、こういうこともあります。私まで興奮しないように、理由と根拠を丁寧に説明していきました。少し経つと相手は、今説明していることとは関係のない、様々な工事のことまでいろいろ質問してきます。

それは、私が本当に工事のことを知っているのか、机上の空論を振り回す設計事務所のわからずではないのかを、自身の知っている知識で試しているようでした。

最後は相手も納得して、大工さんだけでなく現場監督、設計課長を含めて全員で、すべて剥がして、やり直しの作業を始めました。

その時点でできる手直しが終わってから、文句を言って「金を取る!」と興奮していた設計課長も、「大変勉強になりました。これからは、どの現場でも先生のおっしゃる通りに工事をいたします。」と頭を下げたのです。

こういったことができないと第三者の建築専門家としての検査員は務まりません。

本来は、未然に防ぐのが一番ですが、もし間違っても納得して手直ししてもらうのが、その次に良いケースです。一番良くないのは、間違いとわかっていても手直し工事をしてくれないケースです。こういう業者の場合は、私がヘタに入ってもみなさんに不安を与えてしまうので、検査には入りません。

次回は、一般に行われている第三者機関の住宅検査について考えてみましょう。



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