みなさん、おはようございます。
昨日10月23日は300年住宅についてコメントしました。最近はときどき200年住宅についての質問を受けます。政府が、200年住宅の構想を小出しに発表しているからでしょう。
今年2007年の6月1日のブログにも簡単に書きましたが、
「新聞見出しの200年住宅」
この内容は、ひとことでいうとメンテナンスを行って200年持たせようというものです。
メンテナンスの記録を残して、売買にも利用できるようにし、中古住宅の価値を高めることにする。25年から30年で壊されている日本の住宅の耐久性を高めようというものです。そのことが、資産性はもちろん省エネ、エコバウ、温暖化防止にも繋がるという、良いことずくめです。
私はずっと以前から、住まい手から考えた快適な住宅の実現のためには、
断熱性を含めた温熱環境と住宅の耐久性の2点が日本の住宅は劣るので、
これをもっと本物にしましょうと訴えてきました。
阪神大震災以降は、これに耐震性とシックハウス対策の現状とお粗末さについても訴えてきました。現在は、耐震性だけでなく、地球温暖化が深刻になっていくので、耐災害性にまで広げないといけないと感じて研究しています。
外断熱が注目されて、断熱性への関心が生まれ始めています。
これに続いて耐久性についても、注目されるのは大変良いことです。
一般の方の関心が深まれば、業界も動きだしどんどん向上していくことでしょう。
さて、政府のコメントが新聞に載るたびに受ける質問は「木造住宅で200年も持つんですか?」というものです。
ハッキリ言って、現在の日本の住宅の考え方では無理です。特に構造体に集成材を土台にさえ多用している最近の建て方では、構造体が200年持たないでしょうからどう考えても無理ですよね。
私が設計し、監理をしてうるさく職人さんや現場監督にお願いしているのは、
50年経って大地震が来ても大丈夫な家、大地震が無ければ100年はもってもらいたいと願って造っています。
無垢材を使って、工事中も細心の注意をしてもらってもこの程度までしか言えません。
50年となぜ言えるのかというのは、築40年~50年の家は何度も改築やリフォームをして、構造体がどうなっているか、なぜ痛んでいるか、なぜ痛んでいないのかを自分の眼で観て研究してきたからです。
木造で200年住宅にするには、メンテナンスを繰り返しても、木造の構造体自体を200年もたせないといけません。
神社や寺のように太い無垢材を顕しにして、濡れても乾燥する、痛んだ部分がすぐわかるというものであれば別ですが、壁の中に閉じ込めてた木を200年もたせるには、ガラッと視点を変えなければなりません。
今現在の木造住宅では、後々のメンテナンスや取替えのことは何も考えていません。
欧州の建物では石積みや木造に限らず、窓の入れ替えは当然ですし、建物の構造体以外は取り替えることを前提に造っています。造り方だけでなく設計段階から考え方が違うのです。
北米の木造住宅でも同じ考えかたをしています。輸入住宅と日本でうたっていても、造りかたはやはり日本式にアレンジしています。デザイン的には輸入品をそのまま使うパターンも増えてきましたから随分輸入住宅らしくなってきていますが、造りかたは、やはり違います。あまり合理的ではありません。
私が海外に見学に行く理由は、先進国で優秀な日本の製品でも住宅だけは先進国に輸出されることはない、という事実があるからです。根本的な考え方が異なっているので、それを感じて取り入れるべきものは取り入れようと思っているらです。
さて、私の個人的な見解です。
この政府が言っている「200年住宅」の構想は、大変良いことです。
しかし、今までの住宅性能表示制度や今回の建築確認申請の変更などでもそうだったように、一見良いことのように繕っていても、実は中味はお粗末で素人騙しのような的外れの内容、見る人が見ればある別の意図が強く裏で動いているのを感じてしまうというパターンではないかと、現時点では私は疑っています。
とはいえ、意識が耐久性に向くことは大きな前進には違いないので、大変喜ばしいことです。
住宅設計 ミタス 一級建築士事務所のホームページ
ALL contentsCopyright R 2007 mitasu
昨日10月23日は300年住宅についてコメントしました。最近はときどき200年住宅についての質問を受けます。政府が、200年住宅の構想を小出しに発表しているからでしょう。
今年2007年の6月1日のブログにも簡単に書きましたが、
「新聞見出しの200年住宅」
この内容は、ひとことでいうとメンテナンスを行って200年持たせようというものです。
メンテナンスの記録を残して、売買にも利用できるようにし、中古住宅の価値を高めることにする。25年から30年で壊されている日本の住宅の耐久性を高めようというものです。そのことが、資産性はもちろん省エネ、エコバウ、温暖化防止にも繋がるという、良いことずくめです。
私はずっと以前から、住まい手から考えた快適な住宅の実現のためには、
断熱性を含めた温熱環境と住宅の耐久性の2点が日本の住宅は劣るので、
これをもっと本物にしましょうと訴えてきました。
阪神大震災以降は、これに耐震性とシックハウス対策の現状とお粗末さについても訴えてきました。現在は、耐震性だけでなく、地球温暖化が深刻になっていくので、耐災害性にまで広げないといけないと感じて研究しています。
外断熱が注目されて、断熱性への関心が生まれ始めています。
これに続いて耐久性についても、注目されるのは大変良いことです。
一般の方の関心が深まれば、業界も動きだしどんどん向上していくことでしょう。
さて、政府のコメントが新聞に載るたびに受ける質問は「木造住宅で200年も持つんですか?」というものです。
ハッキリ言って、現在の日本の住宅の考え方では無理です。特に構造体に集成材を土台にさえ多用している最近の建て方では、構造体が200年持たないでしょうからどう考えても無理ですよね。
私が設計し、監理をしてうるさく職人さんや現場監督にお願いしているのは、
50年経って大地震が来ても大丈夫な家、大地震が無ければ100年はもってもらいたいと願って造っています。
無垢材を使って、工事中も細心の注意をしてもらってもこの程度までしか言えません。
50年となぜ言えるのかというのは、築40年~50年の家は何度も改築やリフォームをして、構造体がどうなっているか、なぜ痛んでいるか、なぜ痛んでいないのかを自分の眼で観て研究してきたからです。
木造で200年住宅にするには、メンテナンスを繰り返しても、木造の構造体自体を200年もたせないといけません。
神社や寺のように太い無垢材を顕しにして、濡れても乾燥する、痛んだ部分がすぐわかるというものであれば別ですが、壁の中に閉じ込めてた木を200年もたせるには、ガラッと視点を変えなければなりません。
今現在の木造住宅では、後々のメンテナンスや取替えのことは何も考えていません。
欧州の建物では石積みや木造に限らず、窓の入れ替えは当然ですし、建物の構造体以外は取り替えることを前提に造っています。造り方だけでなく設計段階から考え方が違うのです。
北米の木造住宅でも同じ考えかたをしています。輸入住宅と日本でうたっていても、造りかたはやはり日本式にアレンジしています。デザイン的には輸入品をそのまま使うパターンも増えてきましたから随分輸入住宅らしくなってきていますが、造りかたは、やはり違います。あまり合理的ではありません。
私が海外に見学に行く理由は、先進国で優秀な日本の製品でも住宅だけは先進国に輸出されることはない、という事実があるからです。根本的な考え方が異なっているので、それを感じて取り入れるべきものは取り入れようと思っているらです。
さて、私の個人的な見解です。
この政府が言っている「200年住宅」の構想は、大変良いことです。
しかし、今までの住宅性能表示制度や今回の建築確認申請の変更などでもそうだったように、一見良いことのように繕っていても、実は中味はお粗末で素人騙しのような的外れの内容、見る人が見ればある別の意図が強く裏で動いているのを感じてしまうというパターンではないかと、現時点では私は疑っています。
とはいえ、意識が耐久性に向くことは大きな前進には違いないので、大変喜ばしいことです。
住宅設計 ミタス 一級建築士事務所のホームページ
ALL contentsCopyright R 2007 mitasu