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金子勝の「天下の逆襲」 ー生産人口を増やす策を

2017年05月23日 | 社会・経済

金子勝の「天下の逆襲」

アベノミクスは無関係
  
「団塊の世代」が招いた
    人手不足

           日刊ゲンダイ 2017年5月23日

   ヤマト運輸がサービスを縮小し、ファミリーレストランが24時間営業をやめるなど“人手不足”が社会問題になっている。

   安倍首相はアベノミクスのおかげで有効求人倍率が上がったと喧伝しているが、まったくの間違いだ。人手が不足し、有効求人倍率が上がっているのは、15~65歳の「生産人口年齢」が急速に減っているのが原因である。

 これまで人手不足が表面化しなかったのは、「団塊の世代」が定年を過ぎても嘱託などの形で職場に残っていたからだ。しかし、団塊の世代も65歳を越えて70歳に近づき、さすがにリタイアしていく。中小企業を中心に、その穴を埋めるのに苦労しているのが実情なのではないか。

  もうひとつ、中小企業が深刻な人手不足に襲われているのは、20代、30代の若い社員を補充してこなかったことも大きい。いま企業の年齢構成は、伸び盛り、働き盛りの若手が少なく、年齢構成が高くなっている。それにつれて自然に「賃上げ」になる。

  なかでも、人手不足の弊害に直撃されているのが地方だ。この20年間、工場がなくなり、農業が衰退し、働く場がなくなったため、どんどん若い人が都会に流出しているからだ。

  心配なのは、融資先を失った地方の金融機関の経営が急速に弱体化していることだ。ただでさえ、金融機関は超低金利のため利ざやを稼げない。伸びているのは、消費者ローン、住宅ローン、不動産融資くらいである。しかも、住宅ローンは、住宅ローン減税分が利払いを上回るので借りる人が増えているという背景がある。需要の先食いだ。「地方創生」どころの話ではない。しかも、融資先がない地方銀行は仕方なく外国債を買っているが、ノウハウが乏しいため将来、大きな損失が生じる恐れがある。

  今からでも、大急ぎで生産人口を増やす策を打たないといけない。女性の出生率が上がったフランスは、事実婚やシングルマザーにも子ども手当を給付している。社会で子育てを支えるという考え方に立つ。

  なのに、いまだに戦前のような復古的な家族を理想としている安倍自民党は、本気で出生率アップに乗りだそうとしない。この国は、足元から崩れ始めている。

金子勝慶応義塾大学経済学部教授
  
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業。東京大学大学院 博士課程単位取得修了。 法政大学経済学部教授を経て。2000年10月より現職。TBS「サンデーモーニング」、文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。『資本主義の克服 「共有論」で社会を変える』集英社新書(2015年3月)など著書多数。新聞、雑誌にも多数寄稿している。


午前中は小雨、1日を通して太陽が出ることもなかった。
「青年の木」は5本の新芽を出し、上の水苔にさしてある3本は1本だけ小さな芽が3つ確認できた。

 農地の問題も。
馬(どさんこ)を飼っている友人が農地を取得しようとしたところダメの判断。その農地は条件が悪く、誰も借りないし、息子も農業はしない。このまま息子に相続されると全くの荒れ地、耕作放棄地となってしまう。それよりも馬を放しておいた方がいいと思うのだが、そんな融通は利かない。