「東京新聞」社説 2022年8月26日
あの悲惨な原発事故をなかったことにしようというのか。政府がこれまでの方針を翻し、原発の新増設や建て替え、さらには法定寿命の延長まで検討するとの考えを明らかにした。脱炭素の潮流や、電力の安定供給を口実にした原発依存への回帰にほかならない。東京電力福島第一原発事故の教訓を反故(ほご)にしてはならない。
岸田文雄首相が二十四日、「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」の中で表明した。既に再稼働済みの十基に加え、来年の夏以降、新たに七基を再稼働させる方針も示した。
七基の中には、テロ対策上の重大な不備が相次いで発覚、地元自治体だけでなく、原子力規制委員会の強い不信を招いた東電柏崎刈羽原発なども含まれる。ロシアのウクライナ侵攻の影響による原油などの資源高が背景にあるが、政府が強引に再稼働を誘導すれば、安全性確保や住民の不信払拭(ふっしょく)が置き去りにされかねない。
「新増設や建て替えは想定していない」という3・11以来の大方針を転換し、今後、導入を目指す次世代型原発は、従来の軽水炉を改良する「革新軽水炉」や「小型モジュール炉(SMR)」などが想定されるが、安全性も経済性も未知数だ。いずれにしても開発途上で、当面の脱炭素への対応で主役になれるわけではない。
将来を考えるなら、エネルギー輸入の必要がなく、潜在力の高い再生可能エネルギーを充実させる方がよほど現実的で、何より安全だろう。蓄電技術の革新や送電網拡充による電力融通の強化といった面にこそ集中投資し、天候に左右されて供給が不安定だとされる弱点を克服していくべきだ。
原則四十年、特別な安全対策を施して六十年とする原発の法定寿命の延長方針に至っては、「老朽化」を「高経年化」と言い換え、不老長寿の夢を見た安全神話の復活と言うしかない。
「可能な限り原発依存度を低減する」という大方針は、あの福島の悲劇から導き出された重い教訓である。ただ脱炭素、資源高への対応だというのでは、方針転換の十分な理由には到底なりえない。
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政府の原発再稼働方針は「独裁的」 東海第二周辺住民「事故が解決した印象与える恐れ」
「東京新聞」2022年8月25日
政府が来年夏以降、日本原子力発電東海第二原発(茨城県東海村)を含む7原発の再稼働を目指す方針を示した。ただ、同原発の30キロ圏内の人口は全国最多で、自治体の避難計画策定が難航し、稼働への同意手続きもまったく見通せない。手順を無視した政府の方針表明に、地元からは批判の声が相次いだ。(原発取材班)
「福島第一原発事故の教訓に基づいた原発政策が基本だったはず。国民に問うこともせず、その路線を投げ捨てた。非常に独裁的な決め方だ」。前東海村長で「脱原発をめざす首長会議」世話人の村上達也さん(79)は語気を強めた。
東海第二は東日本大震災で被災し、その経験から全国で初めて地元同意の対象が立地自治体だけでなく、周辺自治体にまで広がった。ただ、同意手続き以前に避難計画の策定でつまずいている。
避難計画の策定が義務づけられる原発から30キロ圏内の人口は、全国最多の約94万人。多数の住民の避難方法を定めることは困難を極め、14市町村のうち9市町村は計画の策定すらできていない。約27万人が暮らし、避難計画がまだ策定されていない水戸市防災・危機管理課の保科竜吾副参事(46)は「避難するバスの確保など課題が多過ぎる」と頭を抱える。
避難対策が整わない中での政府の方針表明に、25日に原電本店前(東京都台東区)であった抗議行動に参加した千葉市の柳田真さん(82)は「事故が起きれば、94万人もの人は避難できない」と訴えた。
唐突な政府の動きに、原発事故被害の風化を懸念する声も。福島県双葉町で約30年前に設置された看板の標語「原子力明るい未来のエネルギー」を考えた大沼勇治さん(46)=茨城県古河市=は「原発事故が解決したかのような印象を与えかねない」と嘆く。
東海第二の再稼働反対の署名運動を進める朝日立雄さん(68)=同県常陸太田市=は「再生可能エネルギーで安全に発電し、電力量に見合うよう節電するべきだ」と話し、政府が示す次世代型原発の新増設は必要ないと主張した。
実際には再稼働ができない可能性も残る。水戸地裁は昨年3月、避難計画の実効性を問題視し、原発の運転差し止めを命じており、判決が確定すれば廃炉は免れない。原電によると、東海第二は津波に備える防潮堤などの事故対策工事の最中で、2024年9月までかかる見通し。広報担当者は「来年夏から冬に稼働できる状況にない」と言い切った。
何を考えているんだか?
ますます支持率を下げるだろう。
ウクライナでは、25日、ロシア軍が占拠しているザポリージャ原発が一時、外部電源を完全に失った状態に陥った。電源喪失はメルトダウンの様な重大事故につながりかねない。戦争の際、原発が狙われるリスクは重大である。しかし政府は「日本の原発が攻撃されることは想定していない」というスタンスのままだ。
ヤママユガ大発生。
大きなガだ。こんなのが街路灯に群がり朝になると道路上に落ち葉のごとく。落ち葉掃除ならぬガ掃除である。
大きなガだ。こんなのが街路灯に群がり朝になると道路上に落ち葉のごとく。落ち葉掃除ならぬガ掃除である。
花が終わった「エゾアカバナ」が面白い。
なぜ「生命が一番大事」と思えないんでしょう?
国葬に二億五千万円も使うと言いました!
それをコロナ対策に使えば、助かる人がたくさん
いると思います。
原発なんて危険なものは、無くしていかなければと
思うのですが…。
何百人の下層国民の生きた命より死んでしまったアベの命のほうが「重い」ということなのでしょう。
立憲の「新」役員にもがっかりです。若い人や女性を考慮しない、「統一教会」絡みの人事です。これでは闘えない。
いくら防衛費を増額しても国内に原発があれば、そこを狙えばいいのですから意味のない防衛費ですよ。