ギネス認定「世界一栄養のない野菜」って?
Mocosuku - 2016年4月8日 執筆:山本ともよ(管理栄養士)
手軽に食べられる野菜として好まれるキュウリがギネスブックに掲載されたことがあります。とはいっても、名誉な評価ではなく、とっても残念な評価です。特別目立つ栄養成分がないことから、「世界で一番栄養のない野菜」として認定されてしまったのです。そこで、今回はキュウリに含まれる栄養素について管理栄養士の方に聞いてみました。
キュウリに含まれる栄養素
実は、キュウリは95%以上が水分です。みずみずしい食感を楽しむ野菜といっても良いでしょう。キュウリに含まれる特徴的な栄養素を挙げてみましょう。
・カリウム:身体の水分調整をするので、むくみ予防や改善に効果的。
・ビタミンA:ベータカロテンという形で存在します。皮膚や粘膜の健康を保つのに働きます。
・ククルビタシン:唾液や胃液の分泌を促進し、食欲増進に働きます。
・ピラジン:キュウリ独特の青臭さの成分。血液をきれいにする抗酸化物質で、生活習慣病の予防に働きます。
・ホスホリパーゼ:脂肪を分解するのに働く酵素。従来型より分解力が強い新型の酵素と言われています。
このように、身体にいい働きをする成分が含まれているのです。しかし、残念なことにその量は多くありません。そのため、「ほかの野菜と比較して」栄養のない野菜と言われてしまっているのでしょう。
キュウリを食べる時の注意点
キュウリに含まれているアスコルビナーゼという成分には、ビタミンCを破壊する酵素が含まれています。つまり、ビタミンCを含んだ野菜や果物と一緒に摂っても、その効果を得られないのです。ただし、その酵素は酸や熱に弱いので、酢やレモンなどと一緒に使い、加熱して食べるのがオススメです。
栄養素をしっかり摂るコツは「ほかの野菜と一緒に摂る」
先にも述べたように、キュウリに含まれる栄養素は限られているため、他の野菜と一緒に摂り栄養素を補いましょう。その際には、酢やレモンを使ったドレッシングを使って野菜サラダにすると、他の野菜のビタミンCを壊すことなく摂ることが出来ます。また、あまり馴染みがないようですが、中華料理では炒め物や煮込みなど加熱して使われることも多くあります。
味噌をつけてそのまま頂くのはもちろん、サラダ、漬物、煮物、炒め物など様々な料理で使われるキュウリ。その手軽さは老若男女問わず人気です。「栄養がない」と言わず、他の野菜と一緒に「名脇役」として活用してください。
<執筆者プロフィール>
山本ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士、サプリメントアドバイザー、食生活アドバイザー
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中