(本記事は自ホームページの超古い記事をブログ用にリメイクしたものです。写真は劣化したリバーサルフィルムをフィルムスキャナーで読み取ったものなので、あまり鮮明ではありませんが、どうかご寛容下さい。)
【天狗平~不帰のキレット】
天狗平まで来たら、急に人影が少なくなった。
それは登山者の多くが、鑓ケ岳を過ぎると天狗平の手前で鑓温泉の方に下りてしまうからだ。
ちょっと心細くなったが、我々はそのまま南に進む。
鑓ヶ岳より南方、天狗尾根を望む。右奥の鋭峰は剣岳。
剣岳(2998m)
天狗山荘が近づいてきた。
左側、手前に唐松岳、奥に五竜岳。
ここでは思いがけなくオヤマノエンドウとウルップソウの開花株に出会った。
オヤマノエンドウは東北では見られない花だ(厳密には飯豊山にはあるが・・・)。
ウルップソウに至っては東北に無いのはもちろん、中部山岳でも白馬と八ヶ岳の二箇所だけ、
あとは北海道の礼文島にしか無いと言う貴重な高山植物だ。
今回は両方ともフレッシュな花を見ずに降りるのか、う~残念。と諦めかけていたが、
ここで咲き残りに会えたので、一同大喜び。
オヤマノエンドウ
ウルップソウはクジャクチョウのおまけつき。
クモマスミレは秋田駒ヶ岳に多いタカネスミレに近縁だ。以前はタカネスミレに含められていた。
クモマスミレ
ヨツバシオガマは東北でも普通に見かけるが、高山性のタンポポは東北には分布してない。
ミヤマタンポポ?とヨツバシオガマ。
いよいよ天狗の大下り。ここから一気に300m近く降下する。
鎖や鉄梯子もあり、両手を使わないと危険なので隊長命令で写真撮影は中止。
カメラはリュックに収納、三脚も畳んでリュックに縛り付ける。
天狗の大下り二景。
ここで意外な光景を目にした。大人の男性が「怖いよ~。怖いよ~。」と声を上げて泣いているのだ。
男性の年齢は大学生くらい。「男泣き」は話には聞くものの、こんな場所で遭遇するとは夢にも思わなかった。
私も高所恐怖症だが、さすがに人前では男泣きはしない。
奥にこれから登る不帰の岩山が見える。エーッ(^o^;)こんな岩山登るの?!
目の前の切り立った岩山は不帰Ⅰ峰だった。
不帰(かえらず)のキレットにてひと休み。キレットより下を望む。
不帰のキレットの標高は2411m。ここでは一旦、亜高山帯に戻ったのか、ダケカンバが現れていた。
初秋に咲くトウヤクリンドウも蕾を持ち上げていたが、カメラはリュックに閉まったから写真は撮れない。
ここからまたしばらく険悪な痩せ尾根の伝い歩きが続く。
ちょうど霧が出てきて、足下の風景をうまく隠してくれた(高所恐怖症の私には却って好都合だった)。
やっとの思いで不帰Ⅰ峰を越えたら、今度は黒い魔神のようなⅡ峰が立ちはだかっていた。
Ⅱ峰を越えたら、Ⅲ峰が・・・。
(^o^;)もういい加減にしてくれ!と先ほどの大学生ではないが、泣き出しそうになった。
不帰Ⅱ峰とⅢ峰
不帰Ⅱ峰
Ⅲ峰を越えたら、
おおおおお!やっと唐松岳が・・・
唐松岳(2696m)
【唐松岳からの眺め】
今までずっと稜線歩きだったので、景色はよかった筈だが、
なにしろ険しいところばかり命辛々で凌いできたので、景色の記憶がさっぱり無い。
唐松岳(2696m)の山頂に至って初めてゆっくりと眺めることが出来た。
まずは来し方来た方角を振り返ると・・・。
(^o^;)よくもまあこんな凄いところを歩いて来たもんだ。
手前から不帰の稜線、天狗の大下り、右奥に白馬鑓。
縦構図。
南に目を転ずると、筋骨隆々のどっしりした山が立ちはだかっていた。
その名は五竜岳(ごりゅうだけ)。
五竜岳(2814m)。有名な雪形『武田菱』は今の時期はわかりにくい。
北東に目を転ずると、頚城アルプスとも呼ばれる三山。
左から焼山(2400m)、火打山(2462m)、妙高山(2446m)
三日目(7月28日)の宿は唐松岳頂上山荘。
昨日(白馬山荘)に較べたら嘘のように空いていた。
唐松岳山頂から唐松岳頂上山荘を望む。
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