『 ただわが身をも 心をもはなちわすれて、仏のいへになげいれて、 仏のかたよりおこなはれて、これにしたがひもてゆくとき、 ちからをもいれず、こころをもつひやさずして、生死をはなれ、仏となる。』
原文
「この生死は、すなはち仏の御いのちなり。これをいとひすてんとすれば、すなはち仏の御いのちをうしなはんとする也。これにとどまりて生死に執着すれば、これも仏の御いのちをうしなふなり。いとふことなく、したふことなき、このときはじめて仏のこころにいる。ただし、心を以てはかることなかれ、ことばを以ていふことなかれ。ただわが身をも心をもはなちわすれて、仏のいへになげいれて、仏のかたよりおこなはれて、これにしたがひもてゆくとき、ちからをもいれず、こころをもつひやさずして、生死をはなれ、仏となる。」
「仏となるに、いとやすきみちあり、もろもろの悪をつくらず、生死に著するこころなく、一切衆生のために、あはれみふかくして、上をうやまひ下をあはれみ、よろずをいとふこころなく、ねがふ心なくて、心におもうことなく、うれふることなき、これを仏となづく。」