人の世は、滞在期間の定め無き、今日一日の旅の宿

 時 人を待たず、光陰 惜しむべし
 古より有道の人、国城 男女 七宝 百物を 惜しまず
 唯 光陰のみ、之を惜しむ

仏、ほっとけ

2014-12-31 | 日記


弟子が尋ねる度に、"ほっとけ"と禅師は応える。

何を問うも一つ文句の、"ほっとけ"が木霊する。

無いものに囚われる処に、更に加えるのは余分。

過ぎ去ったものを、掴んで離さないだけなのだ。

心は無常ゆえ、想いが二つ同時に在る事は無い。

想いが一つ起こる処に、従前の想いは既に無い。

問いに対し得た答えを、自ら標準に立てる処は、

標準と只今を比較し、新たな矛盾と相克を招く。

只今の事実と在るべき理想の間の、葛藤を導く。

事実に二見はなく、現物を得る処は過去を失う。

一得一失の処に比較は立たず、二見相対と無縁。

記憶に依存する我の懐にのみ、分別比較がある。

過去の想念も、未来の想念も、只今に生じ滅す。

掴まえている想いと、掴んでいる主体は等しい。

自らの想いに手を加える処が、矛盾相克となる。

理屈の足枷が無い処は、心と事実が一つに在る。

ほっとけ心は留まらず、もとより心は仏の働き。

我と事実の同時成道の処は、一片の道理も無い。

"ただわが身をも心をも、放ち忘れて仏の家に投げ入れて、
仏の方より行われて、これに随いもてゆく時、
力をもいれず、心をも費やさずして、生死を離れ仏となる。
自己をはこびて万法を修証するを迷とす、
万法すすみて自己を修証するは悟りなり"  道元

今日の縁: 比較の立たぬ処は模倣と無縁
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