阿膠(あきょう)
阿膠
分類
養血薬
出典
神農本草経
処方用名
陳阿膠、驢皮膠、生阿膠、阿膠珠、蛤粉炒阿膠、蒲黄炒阿膠
基原
ウマ科 Equidae のロバ Equus asinus L. やウシ科 Bovidae のウシ Bos taurus L. var. domesticus GMELIN などの除毛した皮を水で煮て製したニカワ塊
性味
甘/平
帰経
肺、肝、腎
効能
補血止血、滋陰潤肺
1.血虚による眩暈、心悸などの病証に用いる。
本品は良好な補血薬で血虚諸症に適用する。
多くは党参、黄耆、当帰、熟地黄などの補気養血薬と配伍する。
2.吐血、衄血、血便、不正性器出血に用いる。
阿膠は止血の主要薬で、単味で使用しても効果があるが、常に他の薬物を配合して用いる。
『千金翼方』では、蒲黄、乾地黄を配合し、吐血に使用すると述べている。
吐血、鼻出血、血便、不正性器出血には、竈心土、乾地黄、黄耆、附子などを配合する。例:黄土湯。
不正性器出血、月経量の過多、妊娠下血、流産後の持続的な出血には、生地黄、白芍、艾葉炭などを配合する。例:膠艾湯。
3.陰虚による煩躁、不眠などの病証に用いる。
阿膠は、補血のほか、滋陰の作用もある。
たとえば熱病で陰液を損傷したことによる煩躁、不眠を治療する黄連阿膠湯は、阿膠に黄連、白芍、鶏子黄を配合したものである。
4.陰虚肺燥による咳嗽に用いる。
阿膠は滋陰潤肺の効能がある。
たとえば肺陰虚の内熱による咳嗽、咽喉乾燥、痰が少ない、あるいは痰に血が混じるなどに、馬兜鈴、牛蒡子、杏仁などを配合した、補肺阿膠湯がある。
壮熱が肺を損傷したことによる乾咳、無痰、呼吸促迫、煩躁、口渇、咽喉や鼻腔の乾燥などには、生石膏、杏仁、桑葉、麦門冬などを配合する。例:清燥救肺湯。
注意
阿膠はしつこくて消化されにくいので、脾胃虚弱による食欲不振、消化不良、嘔吐、下痢などには禁忌。
コメント
阿膠は粉のものだと、紹興酒につけておくだけで、ある程度溶けるようです。
写真の状態のものだといったん熱で溶かしても、常温で飴状態になり、阿膠がニカワだと思い知らされます。
飴状態になると手こずりますが、コラーゲンたっぷりなので美容には大変よいようです。
龍眼肉、黒胡麻、胡桃、紹興酒と一緒に蒸した阿膠ゼリーを、グラスに入れてお湯をさしたものを銀座『星福』の薬膳クラブでいただきました(黒砂糖も入ってます)。
温まるし、美容に良さそうです。味もいいですよ。
なお、基原にはロバの他にウシなどとも記載されておりますが、先生に言わせると「ロバでなければ阿膠とはいわない」とか。
だから、阿膠は高価なのだし、山東省のものが一番よいとのことです。
http://www.yakuzenjoho.net/chuyaku/akyo.html
赤小豆(せきしょうず)
あずき
分類
利水滲湿薬
出典
神農本草経
処方用名
赤小豆、紅小豆、紅豆、野赤豆
基原
マメ科 Leguminosae のツルアズキ Phaseolus calcaratus ROXB. またはアズキ P. angularis WIGHT の成熟種子を乾燥したもの
性味
甘、酸/平
帰経
心、小腸
効能
利水消腫、解毒排膿
1.水腫、腹満(腹水)、脚気の水腫などに用いる。
赤小豆の性はよく下行し、通利水道でき水湿を下泄させて消腫する。
水腫病では単味で煎湯して服用し、あるいは白茅根、桑白皮などの利水薬を配伍する。
『食療本草』には、赤小豆を鯉といっしょに煮て服用し、脚気と腹水を治療したという記載がある。
現在はその方法で腎炎の水腫、肝硬変の腹水、栄養不良性の浮腫などを治療する効果がある。
外用として、たとえば韋宙の『独行方』は、赤小豆を煎湯して、温かいうちに足を浸けて、脚気水腫を治療する。
2.熱毒による癰瘡に用いる。
赤小豆は解毒排膿できる。
痄腮(耳下腺炎)、乳癰(乳腺炎)、丹毒、瘡瘍などの病証は、すべて外用することができる。
赤小豆の粉末を卵の白身、蜂蜜あるいは酢で練って湿布すると癰(化膿症)の初期に効果がある。
苧麻根の粉末を配合すると、清熱解毒の作用を強められ、かつ粘りすぎることも避けられる。
丹毒、瘡などに、煎湯して患部を洗うことができる。
このほか本品は、利湿退黄の作用があり、湿熱による黄疸に用いられる。
コメント
あずきは昔から利水効果で知られています。
私もせっせとお汁粉を飲んでいます(アズキーノという粉末にお湯をさして飲んでいる)が、利水の効能より甘いものの食べ過ぎで太る害と、どちらが大きいか悩むところです。
おたふく風邪や乳腺炎などには、卵の白身や蜂蜜あるいは酢で練って湿布すると初期には効果があるそうです。
食品としてだけでなく、外用できるものっていっぱいあるんですね。
http://www.yakuzenjoho.net/chuyaku/sekishozu.html
鴉胆子(あたんし)
分類
清熱解毒薬
出典
本草綱目拾遺
処方用名
鴉胆子、苦参子
基原
ニガキ科 Simarubaceae のニガキモドキ Brucea javanica MERR. の成熟果実
性味
苦/寒
帰経
大腸、肝
効能
清熱解毒、截瘧治痢、腐蝕贅疣
1.間日瘧あるいは三日瘧に用いる。
本品は抗瘧作用がある。
常に単用でカプセルに入れ、龍眼肉に包んで服用する。
2.熱毒血痢、痢下膿血、裏急後重に用いる。
本品は清熱解毒治痢できる。たとえば「幼幼集成」には、冷積久痢を治すのに、単用で龍眼肉に包み服用するとある。
現代のアメーバ赤痢に効く。
3.鶏眼、うおのめ、尋常性疣贅に用いる。
本品は、外用で疣贅を腐蝕することができる。
鴉胆子仁を搗いて患部に敷くか、鴉胆子油を局部に塗布すると、鶏眼、尋常性疣贅は脱落する。
http://www.yakuzenjoho.net/chuyaku/atansi.html
紫石英(しせきえい)
分類
重鎮安神薬
出典
-
処方用名
紫石英、蛍石、氟石
基原
紫色の蛍石の鉱石(主成分はフッ化カルシウムCaF2)。
なお古来の正品は紫水晶 amethyst (主成分は二酸化ケイ素SiO2)である。
性味
甘/温
帰経
心、肝、腎、肺
効能
鎮心定驚、温腎養肝、温肺下気
1.鎮心定驚
心神不寧の動悸、不眠、驚きやすいなどの症候に、茯苓、遠志、柏子仁、竜骨、牡蠣などと用いる。
驚き、恐れなどによって生じる痙攣(驚癇)に、竜骨、牡蠣などと使用する。例:風引湯。
2.温腎養肝
子宮虚冷の不妊、不正性器出血、帯下などに、熟地黄、当帰、川芎、枸杞子などと用いる。例:紫石英丸。
3.温肺下気
肺寒の呼吸困難、咳嗽、多痰に、鍾乳石などと使用する。
http://www.yakuzenjoho.net/chuyaku/sisekiei.html
芦薈(ろかい)
芦薈
分類
攻下薬
出典
薬性論
処方用名
芦薈、真芦薈、アロエ末
基原
ユリ科 Liliaceae の Aloe ferox MILL. または A.africana MILL.、 spicata BAK.との雑種、その他同属植物の葉から得た液汁
性味
苦/寒
帰経
肝、心、胃、大腸
効能
瀉熱通便、涼肝除煩、殺虫療疳
1.習慣性便秘、熱結便秘に用いる。
芦薈は瀉下通便もできれば、肝火を清除することもできる。
もし熱積便秘に焦燥感、不眠などが見られると、安神薬の朱砂を配合する。例:更衣丸。
もし肝経実熱を伴って、眩暈、頭痛、イライラして怒りやすい、痙攣などを呈すると、竜胆草、梔子、青黛などを配合する。例:当帰龍薈丸。
2.小児の疳積に用いる。
芦薈は殺虫作用があるので、寄生虫による小児の疳積に、腹痛、顔色が萎黄、瘰痩などが見られると、補気健脾、駆虫薬を配合する。例:肥児丸。
注意
脾胃虚寒(食欲不振、泥状便など)、妊娠中は禁忌。
http://www.yakuzenjoho.net/chuyaku/rokai.html
秫米(じゅつべい)
あわ
分類
養心安神薬
出典
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処方用名
秫米、北秫米、粟
基原
イネ科 Gramineae のアワ Setaria italica BEAUV. の種子
性味
甘/微寒
帰経
肺、胃、大腸
効能
益陰和胃、安神
脾胃虚弱、胃気不和による不眠に、半夏と用いる。
陰虚の不眠にも使用する。
コメント
あわはお米のようにアワゴメとモチアワがあります。
モチアワの方はかなり黄色く、日本産は白色アワと黄色アワがありますが、この黄色アワよりモチアワの方がさらに黄色いです。
アワ、キビ、ヒエ、ムギなど雑穀を健康のためにいただきましょうといわれて久しいですが、特別雑穀料理を作るのはなんだか面倒なので、もっぱら玄米とともに炊いています。
他の雑穀に較べるとアワは、どうも鳥のエサのイメージがぬぐえません。
リラックス効果のある食べ物だったんですね。
http://www.yakuzenjoho.net/chuyaku/jutubei.html
安息香(あんそくこう)
分類
開竅薬
出典
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処方用名
安息香、アンソクコウ
基原
エゴノキ科 Styracaceae のエゴノキ属植物 Styrax benzoin DRY. などの樹幹の傷跡から滲出する樹脂
性味
辛、苦/温
帰経
心、肝、脾、胃
効能
闢穢開竅、行気活血
1.闢穢開竅
寒閉による突然の意識障害、牙関緊急、手を握りしめるなどの症候に、蘇合香、麝香などと用いる。例:蘇合香丸。
2.行気活血 気滞血瘀の胸痛、腹痛に用いる。
産後の血虚血瘀による血暈(めまい)、血脹(腹満)に、五霊脂などと使用する。
http://www.yakuzenjoho.net/chuyaku/ansokukou.html